シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

「ニッポン」不思議な国の成立ち

(10)嗚呼、日輪落つ!(卑弥呼没す)

西都原古墳

卑弥呼とニニギ。好対照なこの二人の特性が生かされて、争乱状態にあった倭国の平定は成し遂げられた。
だが、民衆の人気は、断然卑弥呼の方が高かった。ニニギは影の薄い存在だったのである。
彼は面白くなかっただろう。しかし、卑弥呼が倭王として自分の上位に立っている以上はどうしようも無い。。
民衆が卑弥呼になびけばなびくほど、天下を狙うニニギにとって、卑弥呼は次第に疎ましい存在になって行った。
そんな時、軍を率いて遠征していたニニギは「卑弥呼が没した」との訃報に接する。
時は来た!直ちに遠征先から邪馬台国に取って返したニニギは(義理の)弟として、卑弥呼の葬儀一切を取り仕切る。
倭国の民衆にとっては、日輪が落ちた様な悲しみだったに違いない。卑弥呼を慕う大勢の巫女達が殉死、或いはそれを希望した。
あの秦の始皇帝の後宮の殉葬者が99人(強制的?)だと言うから、いかに卑弥呼が、多くの巫女や人々に慕われていたかが解る。
倭国を挙げての葬儀は盛大に執り行われ、昼夜兼行で大きな墳墓が築かれ、卑弥呼の遺体は殉死者と共に埋葬される事になった。
「卑彌呼以死大作冢徑百餘歩」 ところが、魏志倭人伝にはその墓の場所が記されて無い?
邪馬台国畿内説に基づくと「箸墓古墳」が卑弥呼の墓稜であるとされる。確かに北九州には、その様な大きな墳墓は見当たらない。
しかし、果たして卑弥呼の墓は北九州に築かれたのだろうか?(亀山古墳と言う説もある)ニニギは後年、卑弥呼を煙たがっていた。
カリスマ性が高く、人望のあった指導者の後を継ぐ者は、誰でもそうだが、その影に付きまとわれ、悩まされるものである。
ならば、ニニギがその墓を、民衆の目に付き易い北九州に作る訳が無い。卑弥呼は、故郷を遠く離れた地に埋葬されたに違い無い。
卑弥呼の遺体が舟で運ばれたと言う様な記述を、何処かで見た事がある。筆者はやはり日向が怪しいと睨んでいる。
ともあれ、無事卑弥呼を葬ったニニギは、名実共に(弟として)卑弥呼の持っていた倭王の位を受け継ぐ事を宣言する。
だがそれは、邪馬台国内のみならず、倭国の諸王達の猛反発を買ってしまう。
「更立男王國中不服更相誅殺當時殺千餘人」 魏志倭人伝には、謀反が相次ぎ1000余人が誅殺されたと記されている。
反対勢力を力ずくで抑え様としたニニギに対して、復讐を狙う狗奴国の勢力を引き込んで、反乱に及ぶ国まで出て来た事だろう。
慌てたニニギは、亡き卑弥呼を慕って宮中に仕えていた宗女の壹與を国主(神主)に立てて、何とか反乱を収拾するしか無かった。
卑弥呼の正統な血縁ならば、邪馬台国の民も倭国の民衆も、誰もが納得するはずに違いないと考えたからだ。
しかし、この方策もまた怪しい。本来ならば、それ相応の経験豊かな年増が国主(神主)になるのがしきたりであったはずである。
この時、壹與はまだ13才。ニニギがその地位を利用して、壹與を傀儡にして実権を握る事は目に見えている。
壹與が国主(女王)に登った事で、やっと倭国が落ち着いたこの頃、魏の勅使・張政は、邪馬台国の使者と共に倭国を離れている。
そして、これが日本と中国の最期の国交になった。張政には、もう少し日本に居て、歴史の行く末を見届けて欲しかったと思う。
張政が邪馬台国に留まっていたなら、また違う展開が記されていたであろう。魏志倭人伝はこの記述を持って終っている。

それからしばらく、案の定、ひとまずは卑弥呼の宗女が国主(女王)と言う事で落ち着いた、倭国の雲行きが怪しくなって来た。
邪馬台国から、各国に向けて出される指示が、以前の卑弥呼の時代とはまったく異なるものになって来たからだ。
誰が見ても、ニニギが後ろで壹與の糸を引いている事は見え見えだった。
思うに、どうして男と言うヤツは、こう見え透いた事(嘘)をやるのだろう…と、男ながらに思う。
女子の皆さんから見てどう思います…?男のごまかしは、まるっきし嘘丸出しに見えるでしょう(笑)
各国は個別に反邪馬台国同盟を組み出した。狗奴国と手を握ったり、熊襲を傭兵に雇ったりする国も出て来た。
先の狗奴国討伐の裏の事情も段々見えて来た…自然と「敵の敵は味方」の図式が出来上がって行く。
ニニギは軍を派遣して、懸命に各国の反乱を鎮圧しようとしたが、邪馬台国軍は各地で敗退、とうとう都は反乱軍の手に落ちた。
もはやこれまで!…ニニギは、壹與に神社の神器を運び出させ、一族郎党を連れて、ほうほうの呈で南へ落ち延びた。
そして落ち延びた先は、奇しくも卑弥呼の墓所がある地…墓守や、卑弥呼を慕う元邪馬台国の人々が住まう日向であった。
結局、ニニギは卑弥呼の助力を受けて一人前になり、後年は疎ましく思い、煙たがったその人から逃れる事は出来なかったのだ。
卑弥呼(邪馬台国)と言う求心力を失い、幾つかの勢力に分かたれた倭国は、やがて長い群雄割拠の時代を迎える事になる。
倭国の混乱に乗じて入って来た熊襲の勢力も、それぞれに定住先を見つけ、倭人と混住し、双方の文化も溶け合って行った。
九州は面白い土地で、まるでモザイクの如く異なる文化で彩られている。民族のるつぼであったこの時代の名残かも知れない。
邪馬台国が没落した後、倭国の民がいかに苦労したか…九州には様々な伝承が残っているので、一度訪ねてみると良いと思う。
その後の倭国には邪馬台国を模倣する国もあったらしく、古代九州各地の風土記には幾人かの女酋長(姫巫女)が登場する。
地名にもなっている「八女」などは有名である。もしかしたら歌に出て来る「おてもやん」も居たかも知れない(笑)
だとしたら、余りにも愛らしい女酋長である。戦を起す気にもなれない(大笑)
だが、どの勢力も以前の邪馬台国が成し遂げた様な、倭国の繁栄を築く事は出来なかった様である。

一方、日向に落ち延びたニニギは、邪馬台国に似た小さな国を作って落ち着くが、志を遂げらぬままに生涯を終えた。
ほどなく壹與も没するが、彼女の懸命の努力によって、長い間培われた姫神神社の意義はかろうじて守られた。
やがて「イワレ彦」の代になり、東からやって来た海人族が、海の向こうにたくさんの耕せる土地がある事を告げる。
折りしも、復讐を狙うかっての狗奴国や、邪馬台国から独立した倭人の勢力が、ここ日向をも脅かしていた。
イワレ彦は決心する「行ってみよう。そこへ!その地に我ら天孫族の未来があるのならば…」
 ~邪馬台国の謎へ続く~

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男性の嘘はすぐわかっちゃいますね。o゚(p´⌒`q)゚o。

女性は疑い深いから裏をかいてしまったりします(;^-^)
男性はそういう意味では純粋な気がしてしまいます。

それが手だといわれて されてる男性も知ってますがw

昔も今も、男性よりも女性のほうが立場が上なら
揉め事にもなるのかしら?上に立てないので経験もないですがw


#501[2014/07/23 02:24]  yume-mi  URL  [Edit]

Re: y様 COありがとうございます^^

> 男性の嘘はすぐわかっちゃいますね。o゚(p´⌒`q)゚o。
> 女性は疑い深いから裏をかいてしまったりします(;^-^)
> 男性はそういう意味では純粋な気がしてしまいます。
> それが手だといわれて されてる男性も知ってますがw

女の目から見ると、男はさぞ単純で可愛い生き物に見えるでしょう^^
女の経験を積めば、これほど扱いやすい動物はいないですよ。
まぁ、せいぜい可愛がってやって下さい(笑)
#503[2014/07/23 19:26]  sado jo  URL 

権力欲とかってある程度方向性が決まっててこれほど分かりやすい欲望はないと思うよ。お金、権力、女etc。男は衝動せいが強い生き物なので分かりやすく思えるんだろうなあ。自分に正直でも方向性を間違えるとなあ~?
#505[2014/07/23 21:25]  つきほ  URL  [Edit]

男は、崇高もっと言うとロマンに生きている生き物ですからねw
まぁ、自分も一応男なので、あれですがw

小説を描くという行為も、言ってしまえば、ロマンに生きている証拠ですからねw

女は、幸福や美を求める生き物だと思うので、男視点で見ると、そこまでして?って思うのも無理はないかもしれないですねw
#506[2014/07/23 21:37]  blackout  URL 

Re: つきほさん COありがとね^^

> 権力欲とかってある程度方向性が決まっててこれほど分かりやすい欲望はないと思うよ。お金、権力、女etc。男は衝動せいが強い生き物なので分かりやすく思えるんだろうなあ。自分に正直でも方向性を間違えるとなあ~?

わはは…って、その通りだね。でも、男って地上に何を残せるんだろうね?
考えてみたら哀れな動物だよ。意地張って…己の我を通そうとジタバタして…
中身が空っぽだから、何かを得ようとして足掻くのかも知れないね(笑)
#508[2014/07/23 22:28]  sado jo  URL 

こんばんは
男女の思考は違うなと思いました。
#510[2014/07/23 22:52]  ネリム  URL  [Edit]

Re: CO ありがとうございます^^

> 男は、崇高もっと言うとロマンに生きている生き物ですからねw
> まぁ、自分も一応男なので、あれですがw
> 小説を描くという行為も、言ってしまえば、ロマンに生きている証拠ですからねw

ロマン=夢…ですか?多くの英雄達が「あれは夢だった」と言って死んでます。
ロシア人は独立の夢を見ながら「マレーシア旅客機」を撃ち落したのかなぁ~?
目が覚めてみたら、悪夢どころか、悲惨な現実を目の当たりにしてしまったとか><
男は止まる事が出来ない…立ち止まったら死が待ち構えているのが怖い。
女子のみなさん。男達に子守唄を聞かせて止めてやって下さい(笑)

http://www.youtube.com/watch?v=bxBAvv4VD1Q
「マドンナたちのララバイ」 岩崎宏美
#512[2014/07/24 00:35]  sado jo  URL 

Re: n様 COありがとうございます^^

> 男女の思考は違うなと思いました。

違ってるから、やっていける部分もありますけどね^^
でも、観察力(勘)は女子の方が上手ですね~(笑)
#513[2014/07/24 00:41]  sado jo  URL 














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