シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

「▼その他の小説」
時のない世界の少女

時のない世界の少女 (8)

時のない08

 翌朝…朝なんて言うものは存在しないのだろうけど、僕はドアをノックする音で目が覚めた。
 寝ぼけまなこをこすりながらドアを開けると、背中にリュックと刀を背負い、肩に弓を担いだサヤが立っていた。
「いつまで寝てんのよ。早く起きて!食料を探しに行くわよ」
「おはよう…ちょっと待って、すぐに着替えるから」
 僕は一旦ドアを閉めて、慌てて着替えを済ましてから再びドアを開けた。
「ほら、これ持って、リュックを背負って…」
 そう言って、サヤは手に持っていた短い棒とリュックをグイッ!と僕に押し付けた。
 リュックを背負って、短い棒を手に取るとズッシリとした重さを感じた。
「何、これ…?」
「抜いてみたら分かる」
 僕が少し戸惑いながら短い棒を引くと、ヤクザ映画で目にするような短刀(ドス)が出て来た。
「イザとなったら、それで身を守るのよ」驚いている僕に、サヤは平然とそう言った。
(なぜ、サヤは弓やら、刀やら、短刀やら、昔の武士みたいな武器を色々持っているんだろう?)と思った。
 でも、武器を持たせてくれたと言う事は、きっと僕を信用してくれてるんだ…そう思うとちょっぴり嬉しかった。
「さァ、出掛けるわよ!」
 そう言うと、サヤはラブホを出て、辺りを警戒しながら細い路地に入って行った。

 僕はサヤの後ろを付いて歩きながら考えた。
(もし、回収業者とか言うおじさんたちに出遭ったら、この短刀で突き刺さなきゃならないのかな?)
 果たして僕にそんな事ができるだろうか?…そう思うと少し恐い気がした。
 路地を抜けて、ビルの谷間に隠れながら街を歩いている内に、僕は不思議な光景に出くわした。
 羽根を広げて止まったまま空に浮かんでいる鳥。漂いもせずに宙に浮いている風船。
 昨日はそれどころじゃなくて気付かなかったが、物音一つしない街は、まるで一枚の写真を見ているようだった。
 本当に世界は時間が止まってしまっているんだなァ…と改めて実感する事ができた。

 サヤは通りの反対側に一軒のコンビニを見つけると、じっと辺りの様子を窺ってからぼくの方に振り向いた。
「あそこが良さそうだわ」
「あそこって…コンビニ?」
「そう…でも、食料のある場所は調査業者がよく見回りに来るから油断は禁物よ」
「うん、気を付けるよ」
 僕とサヤは、姿勢を低くして通りを駆け抜けると、コンビニの横の窓からそっと店の中を覗き込んだ。
「よし!誰もいない。中に入るよ」店の中を確認してからサヤはそう言った
 僕とサヤは、開け放たれているドアをかいくぐってコンビニの中に入った。

~続く~

にほんブログ村 小説ブログへ

 
関連記事
スポンサーサイト
 関連カテゴリ一覧 ▼ 
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼シムーン第二章 ~乙女達の祈り~
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼未来戦艦大和
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼ビーストハンター
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼地球年代記 ~カルマ~
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼まぼろし
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼やさしい刑事
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼幻影の艦隊
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼その他の小説
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼シムーン第二章 ~乙女達の祈り~
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼未来戦艦大和
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼ビーストハンター
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼地球年代記 ~カルマ~
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼まぼろし
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼やさしい刑事
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼幻影の艦隊
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼その他の小説
もくじ  3kaku_s_L.png オリジナル詩集
もくじ  3kaku_s_L.png 随想/論文集
もくじ  3kaku_s_L.png 死とは何か?
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  ↑記事冒頭へ  
←時のない世界の少女 (9)    →時のない世界の少女 (7)
*Edit TB(0) | CO(6)

~ Comment ~


こんばんは^^

よく考えれば、身を守るって 相手を刺さなきゃならない
場合もあるということですよね。

想像したら怖いけどp(・・,*)
実際なら、とっさに手が出るのかもしれないですね。
出ないと 相手にやられちゃいますものね。

コンビにに入るなんて・・・
最高にドキドキ鼓動が早くなります。゜゜(´□`。)°゜
#905[2014/10/19 02:42]  yume-mi  URL  [Edit]

Re: yume-mi様 COありがとうございます^^

> よく考えれば、身を守るって 相手を刺さなきゃならない
> 場合もあるということですよね。

今の日本人に自分の身は、自分で守ると言う考え方は余り無いですが、
(先進国でも)外国では当たり前に市民が武装してる国もあります。
実は、日本人も徳川幕府以前は、一般庶民でも武装していました。
外国人も増え、市民同士の信用も無くなり、犯罪が増えている現代社会。
やがて、警察力だけでは治安を維持する事が出来なくなるかも知れません。
そこで来るべき近未来社会「ビーストハンター」を只今、構想中です^^
#906[2014/10/19 13:19]  sado jo  URL 

今の社会ではそれほど食料について困っている人も多くありませんが、
穀物地帯の壊滅とか海上封鎖のような感じで何かの影響で、
食料が不足する日が来るかもしれませんしね(`・ω・´;)
そうしたらいずれは武器を持って奪い合いになるなんてことも……。
#909[2014/10/19 21:05]  ツバサ  URL 

Re: ツバサ様 COありがとうございます^^

> 今の社会ではそれほど食料について困っている人も多くありませんが、
> 穀物地帯の壊滅とか海上封鎖のような感じで何かの影響で、
> 食料が不足する日が来るかもしれませんしね(`・ω・´;)
> そうしたらいずれは武器を持って奪い合いになるなんてことも……。

まァ、それは先進国についてのみ言える事で、世界の二割にも満たない先進国が
後の八割の後進国の人々を飢えさせていると言う指摘もあります。
先進国の優れた農業技術で、各々の地域に適した農業生産を上げる事も可能ですが、
紛争とテロばかりやっていて、農業を含めた教育が出来ないのが後進国の実情です><
イラクなどは良い穀倉地帯になるんですがね(バビロニア時代は農業王国だった)
#910[2014/10/19 22:25]  sado jo  URL 

「逃走中」でしたっけ、その番組のようなスリルがありますね。
調査業者に見つからず食べ物を手に入れられるのでしょうか。
でも、毎食ごとこんな危険にさらされるなんて、大変ですね。
#911[2014/10/20 20:04]  マウントエレファント  URL  [Edit]

Re: マウントエレファント様 COありがとうございます^^

> 「逃走中」でしたっけ、その番組のようなスリルがありますね。
> 調査業者に見つからず食べ物を手に入れられるのでしょうか。
> でも、毎食ごとこんな危険にさらされるなんて、大変ですね。

「逃走中」?確か昔、古いバージョンのを見た事があります。
有名人が変装して逃亡し、視聴者がその正体を見破ったら勝ち…だったかな?
全国放映なので、どんなに変装して逃げても、結構見つかる確立が高いんですよね~(笑)
確かにオチオチ食事も取れません…本物の指名手配犯って大変なんだなァと思いましたね。
#912[2014/10/20 22:10]  sado jo  URL 














管理者にだけ表示を許可する

~ Trackback ~


  ↑記事冒頭へ  
←時のない世界の少女 (9)    →時のない世界の少女 (7)