シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

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時のない世界の少女

時のない世界の少女 (13)

時のない13

 サヤにそう言われて、僕は「北鴎高等学校」と記された棚の前に行って、シャツとブレザーとズボンを選んだ。
「カナちゃん。着替えるまでちょっと待っててね」
 僕はカナちゃんにそう言って、試着ブースで以前通っていた北鴎高校の制服に着替えた。
 僕が着替えを済ませて出て来ると、先に着替えを済ませていたサヤが驚いたような顔をして言った。
「あら、あんた北鴎高校だったの…有名な進学校じゃない。偏差値高いし…」
「まァね…でも、もういい加減に「あんた」は止めてよ。三科君とか、スグル君って呼んでくれないかなァ~」
 僕が少し得意気に言うと、サヤは小悪魔的な表情を浮かべながら言った
「じゃ、スグル君…その代わりあたしの方が先輩だかんね。で、どうして優等生さんが引きこもった訳。落ちこぼれた?」
「はいはい、サヤ先輩…僕は体が弱くてね。学校でもイジメられたし、受験にも失敗したんだ」
「それはお気の毒様…でも、ここじゃァ、体を鍛えないと生きていけないわよ」
「それは充分実感しました。で、サヤ先輩は何かスポーツやってたんですか?祥華高校って体育会強いし…」
「あたしは弓道部にいて、インターハイに出る所だった。父は居合道の師範をやってて…」そういい掛けてサヤは口ごもった。
「へぇ~、インターハイとはスゴイや…お父さんは居合の師範って、親子で武道の家系なんだ。兄弟はいるの?」
「父や兄弟の事はいいでしょ!今は話したくない」急にサヤはぶっきらぼうに言った。
 僕は何かあったのかな?と思ったけど、それ以上サヤの家庭事情を聞くのは止めにした。
 でも話を聞いて、あのサヤの身のこなしや、剣さばき、馴れた弓の使い方が理解できて、何とも心強く思った。

 三階で制服と靴を調達した僕たちは、下の階まで下りてカナちゃんの着替えを探す事にした。
 「確かこの辺にチャイルド・ショップがあったと思うけど…あァ、あった!あった!」
 そう言って、サヤが指差す先には、たくさんの子供服やグッズをショーウィンドウに並べた店があった。
 中に入ると、カナちゃんはすぐに目をキラキラさせて、ディズニーやジブリのキャラクターグッズを手に取ってはしゃいだ。
(子供は純粋なんだなァ。こんな状況でも先の事を憂うより、今の状況を楽しもうとする)僕は少しうらやましく思った。
 僕がカナちゃんに手を引っ張られて、店の中をあっちこっち引き回されているのを見てサヤが言った。
「ここは任せるわ。ちゃんと似合うのを選んであげてね。値札は気にしなくていい。どうせタダなんだから…」
「どっか行くの?」僕は尋ねた。
「斜め向かいの店まで、ちょっとね」
「斜め向かいの店?」
「野暮な事は聞かないの!じゃ、ちょっと行って来る」
「あァ、スグ帰って来てね」
 僕がそう言うと、サヤはリュックと弓を置いて店を出て行った。

~続く~

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~ Comment ~


こんばんは^^

スグル君は優等生でしたね。
そうだ。優等生ほど親の言うことを聞く
良い子タイプだから、どこか崩れたら一気に
きそうです。

親の顔色を見て育ってしまうから、親に支配されてしまう
場合も少なくないですよね。

サヤちゃんやぼなこと?って何を買いに行ったのかな
あ・・もしかしてアレかな?p(・・,*) でも荷物置いていったならわからない~~
#967[2014/11/04 02:18]  yume-mi  URL  [Edit]

Re: yume-mi様 COありがとうございます^^

> スグル君は優等生でしたね。
> そうだ。優等生ほど親の言うことを聞く
> 良い子タイプだから、どこか崩れたら一気にきそうです。

学校でイジメに遭って、落ちこぼれた引きこもりの優等生ですね~
でも。元々頭は良いから、時のない世界の謎を解くかも知れませんよ^^
少し気の弱いヘタレた所に難があるけど(笑)

> サヤちゃんやぼなこと?って何を買いに行ったのかな
> あ・・もしかしてアレかな?p(・・,*) でも荷物置いていったならわからない~~

それは、女の子のヒ・ミ・ツ…です(笑)
#968[2014/11/04 13:44]  sado jo  URL 

洋服選び放題は、コンビニ食べ放題と同じくらい魅力的ですね……。

まあ、失った平穏な暮らしやお母さんには替えられないですが。

カナちゃん、いい服選ぶんだよ。(←母目線)
#969[2014/11/04 16:13]  椿  URL 

Re: 椿様 COありがとうございます^^

> 洋服選び放題は、コンビニ食べ放題と同じくらい魅力的ですね……。
> まあ、失った平穏な暮らしやお母さんには替えられないですが。
> カナちゃん、いい服選ぶんだよ。(←母目線)

食べ放題・飲み放題(但し、火が使えない)着放題と来れば天国ですね~^^
お金の心配も無いし…これで監視者に追われなければ、ずっと住んでいたい。
でも、現実は物資の調達も命懸けなんですよね。孤島のサバイバルより厳しいかな?
そろそろ、監視者達に出くわしそうな展開になって来ました。
#970[2014/11/04 17:32]  sado jo  URL 

そういえば、自分は親に合わせるところは合わせて、歯向かうところは歯向かって(正確に言うと、無視したり、無言を貫いたり)過ごしてきたのを思い出しました(汗)

まぁ、歯向かうことの方が多かったですが(汗)

もちろん学校の勉強もしませんでした
常に平均点スレスレでしたねw
在籍していた学校も、偏差値は中の上あたりでした

生きていくのに必要ないもの、って思ってたんだと思います
この考えは今も変わりません

学校を卒業したら、サッサと家を出て、1人で生きていくにはどうすればいいか?

それしか考えてなかったので、楽しい学校生活とは程遠い状況でしたよ
#971[2014/11/04 20:53]  blackout  URL 

Re: blackout様 COありがとうございます^^

ははは…自分も似た様なもんです。勉強そっちのけで特撮映画に熱中してましたからねぇ(笑)
希望通り映画の道に入ったんですが、体が弱く病気したりで、ついて行けなかったのが残念です。
でも、短い間でも色んな出会いがあり、人生勉強も出来たので、後悔はしていません。

男の子は、やがて独り立ちする訳だから、やんちゃで独立心が強いのが当たり前だと思います。
いつまでも親掛かりで、家に引き込んでいては男として役に立ちませんよ(笑)
#972[2014/11/04 21:29]  sado jo  URL 

「あんた」から「スグル君」に呼び方が変わる瞬間……。
何だかこういうのって良いですね(*´ω`*)
小悪魔的な表情で、という所がまたいいですね~(笑)
#973[2014/11/05 19:44]  ツバサ  URL 

ただで好きな服を選べるなんて夢のようですね。
それにしてもサヤは斜め向かいの店に何をしにいったのでしょう。
それを聞くのは野暮ですか。
#974[2014/11/05 20:00]  マウントエレファント  URL  [Edit]

Re: ツバサ様 COありがとうございます^^

> 「あんた」から「スグル君」に呼び方が変わる瞬間……。
> 何だかこういうのって良いですね(*´ω`*)
> 小悪魔的な表情で、という所がまたいいですね~(笑)

あァ、ソレ経験があります^^
何だか幼い頃、お姉さんっ子の子分にされていた様な気が…
でも、女の子って可愛がってくれますから、結構子分でも心地良かった(笑)
#975[2014/11/05 22:13]  sado jo  URL 

Re: マウントエレファント様 COありがとうございます^^

> ただで好きな服を選べるなんて夢のようですね。

ですねぇ…お金が無くても生活できる世界なんて、夢みたいです^^
でも、時のない世界にいる当人たちは命懸けみたいですよ。
お金がある世界の大切さをしみじみ味わってるんじゃないでしょうか?

> それにしてもサヤは斜め向かいの店に何をしにいったのでしょう。
> それを聞くのは野暮ですか。

多分、女の子にソレをしつこく聞くと引っ叩かれる…と思いますです(笑)
#976[2014/11/05 22:23]  sado jo  URL 














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