シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

「▼ビーストハンター」
ビーストハンター 小説本編

ビーストハンター 第1話 狩猟免許と言う名の殺人許可証 (5)

ビークル車

「あぁ…俺だ。吉野」ツクモは立体映像に呼び掛けた。
「ご苦労様です。夜行さん…で、ビーストの身柄は確保できましたか?」吉野刑事はそう言った。
「スマン。吉野…後一歩の所でレベルスリーに移行したもんで、うちの若いもんが始末しちまった」
「そうですか~」吉野は少しがっかりした表情をした。
「本当にスマン…せっかくお前さんに情報をもらいながらザマ~ない」
「気にすることはないですよ…夜行さんでだめなら、誰がやってもだめだったでしょうから」
「何とかお前の顔を立ててやろうと思ったんだがなぁ…けど、最近は公安局の方針が変ったのか?」
「そうですね~…以前は社会のクズは殺せ!殺せ!の一点張りだったんですが、最近は身柄確保の命令が多いです」
「公安局も気まぐれなもんだな…お前さんも宮仕えで苦労が多かろう。身を引いた俺が言えた義理じゃないがな」
「まぁ、イェーガーの監督だけじゃぁなくて、偉いさんのお守りも仕事の内ですからね~」
「大変だよなぁ、いま時の刑事は…ところで奥さんと子供は変わらず元気か?」
「えぇ、チビはあれから随分大きくなりましたよ。女房のヤツがすっかり手を焼いてます」
「そうか~…そりゃよかった」
「一度家に遊びに来ませんか?久し振りに差し向かいで一杯どうです」
「う~ん…お前さんの奥さんや子供の顔を見るとな~」
「気持ちは分かりますよ。7年前の事件を思い出すんでしょ…でもねぇ、もうそろそろ気持ちを切り替えて」
「ありがとう。吉野…でも俺にゃぁ、昨日の事のように思えてな~」
「無理は言いませんよ。気が向いた時にでも寄ってもらったらいいです」
「あぁ、そうさせてもらうわ…で、後始末の件だがな」
「ご心配なく…検死官の手配と死体処分はこっちでやっときますから…あ、それから報告書はゆっくりでいいですよ」
「スマン…世話を掛けるが頼むわ」
 ツクモは吉野刑事に現場の住所を知らせてサテラフォンのスイッチを切った。
 仕事とは言え、いつもビーストを始末した後はイヤな気分になる。
 なぜ、こんなに虚しい気持ちになるんだろう…ツクモは恨めしそうに雨が落ちて来る空を見上げた

 ほどなくやって来た検死官と現場検証を済ませた音羽警備のイェーガーたちは、ビークルに乗り込んだ。
 一見、四輪駆動のサファリ車のようにも見えるビークルは、実はイェーガーたちの戦闘用装甲車だった。
 車体は強度の防弾仕様になっていて、天井には放水銃やマシンガンを据えつけられる銃座を備えている。
 前のバンパーには、テロリストや犯罪組織が築いたバリケードを突破するチェーンソーまで装備されていた。
 車内はかなり広く、ジャルクのケージや武器・弾薬を積み込むスペースもあり、8~10分の座席があった。
 なぜ、民間警備会社がこれほどの重装備をするようになったかは、時代を少しさかのぼって説明しなければならない。

~続く~

にほんブログ村 小説ブログへ

 


<ビースト法あれこれ>
ビースト法は、基本的に犯罪を犯した者の人権を剥奪し、獣に落とす法律である。
では、一般市民が犯罪を犯した者に制裁を加えた場合は、どの様に判断されるのであろうか?

Q.ケース(1)
ある高校でA君が、B君、C君、D君に苛められて、喝上げされていた。それを見たE君はバットを手に三人に殴りかかり、
誤ってB君を殺してしまった。殺人を犯したE君は、人権を剥奪されてビーストとなるか否か?
 
関連記事
スポンサーサイト
 関連カテゴリ一覧 ▼ 
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼シムーン第二章 ~乙女達の祈り~
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼未来戦艦大和
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼ビーストハンター
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼地球年代記 ~カルマ~
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼まぼろし
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼やさしい刑事
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼幻影の艦隊
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼その他の小説
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼シムーン第二章 ~乙女達の祈り~
もくじ  3kaku_s_L.png ▼ゴジラ奇譚
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼未来戦艦大和
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼ビーストハンター
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼地球年代記 ~カルマ~
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼まぼろし
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼やさしい刑事
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼幻影の艦隊
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼その他の小説
もくじ  3kaku_s_L.png オリジナル詩集
もくじ  3kaku_s_L.png 随想/論文集
もくじ  3kaku_s_L.png 死とは何か?
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  ↑記事冒頭へ  
←ビーストハンター 第1話 狩猟免許と言う名の殺人許可証 (6)    →ビーストハンター 第1話 狩猟免許と言う名の殺人許可証 (4)

~ Comment ~


やっぱり始末した後は 嫌な気分になりますね。
それも いつか慣れがくるのでしょうかね。

慣れてしまう生き物ですものね、
人間ってヾ(。>﹏<。)ノ゙✧*

ケースのお話は、A君・B君・E君の親御さん
それぞれの思いが変わるでしょうね。
正当防衛?でもお話の中でいくとビートスとなるのかな。
#1059[2014/11/23 02:30]  yume-mi  URL  [Edit]

こんにちは^^

殺すつもりはなかったとしても法律上は殺人になるはずなのでビーストでしょうか。
だいたいバット持ってる時点で殺意があったとみなされる可能性もありますし
喝上げまでなら殺処分のレベル3以上には該当しないと思いますし。
しかし、私の身の回りにあるケースなら
そろそろ親戚のBBAを窃盗罪でポリスメンにつきだしたいです(笑)。
#1060[2014/11/23 10:51]  西條すみれ  URL 

Re: yume-mi様 COありがとうございます^^

> やっぱり始末した後は 嫌な気分になりますね。
> それも いつか慣れがくるのでしょうかね。

戦争などはそうですね。敵と名付ければ相手は人間では無くビーストになります。

> ケースのお話は、A君・B君・E君の親御さんそれぞれの思いが変わるでしょうね。
> 正当防衛?でもお話の中でいくとビートスとなるのかな。

ビースト法では、市民の「集団自衛権」が認められています。
うかつにイジメ、幼女誘拐、身障者傷害などをやると市民からリンチを受けます。
市民によるリンチ(私刑)は、治安の悪かった西部開拓時代にはよくあった事です。
#1061[2014/11/23 14:11]  sado jo  URL 

Re: すみれ様 COありがとうございます^^

> 殺すつもりはなかったとしても法律上は殺人になるはずなのでビーストでしょうか。
> だいたいバット持ってる時点で殺意があったとみなされる可能性もありますし
> 喝上げまでなら殺処分のレベル3以上には該当しないと思いますし。

B君、C君、D君は、犯罪(恐喝)を犯した時点で、すでに人権を喪失しています。
従ってE君の行為は、畑を荒らしたタヌキを退治したのと同様に見なされます。

1992年10月、米国で間違って他人の家に入った日本人留学生が家人に射殺されました。
判決は無罪…治安の悪い外国では、すでにビースト法の下地になる法律があるのです。
「ビーストハンター」はただの荒唐無稽なSF小説ではないのですよ(笑)
#1062[2014/11/23 14:13]  sado jo  URL 

ハマーですか。
かっこいい。
ときどき街なかでみかけると振り返ってしまいます。
駐車場にとめられるのかと、余計な心配をしながら。
#1063[2014/11/23 16:12]  マウントエレファント  URL  [Edit]

こんにちは
いくら仕事でも人を始末するのは後味悪いなと思いました。
家族がいるのなら尚更です。
#1064[2014/11/23 16:48]  ネリム  URL  [Edit]

Re: マウントエレファント様 COありがとうございます^^

> ハマーですか。
> かっこいい。
> ときどき街なかでみかけると振り返ってしまいます。
> 駐車場にとめられるのかと、余計な心配をしながら。

カッコいいでしょう^^
コレに乗れるんだったら、自分もイェーガーやりたい!
それで、獲物はナチスドイツ将校御用達のルガー-P08を希望します。
尤も、自分はヘタレだから、すぐにやられちゃうんだろうけど…(笑)
#1065[2014/11/23 17:32]  sado jo  URL 

Re: ネリム様 COありがとうございます^^

> いくら仕事でも人を始末するのは後味悪いなと思いました。
> 家族がいるのなら尚更です。

人間を狩る狩人(イェーガー)=殺し屋ですからね~
考え様によっては、犯人を射殺するFBIなども合法的な殺し屋ですですから。
犯罪者を持った家族は辛いですよね…昔は一家村八分にされたそうですよ。
#1066[2014/11/23 18:40]  sado jo  URL 

戦闘用装甲車も支給されているだなんて、
普通の警備会社ではないですもんね~。
機関銃と放水銃と聞くと、
他にも色々な武器を搭載しているタイプもありそうな気がしますね(`・ω・´)

今回は一つのケースとしての紹介ですけど、
ビースト法があるからこそのE君の行動なんでしょうね。
いきなりバットで、なんて思い付かないですし、
相手に人権がない犯罪者だから排除するという考えに行ったんでしょうしね。
#1068[2014/11/23 23:00]  ツバサ  URL 

Re: ツバサ様 COありがとうございます^^

地球規模の気候変動と災害によって、各国の沿岸都市が沈んだ近未来と言う時代。
目安として、開拓時代の西部を想像してもらったらいいのではないかと思います。
人心は荒れ、かなり治安は悪いです。強力な武装が必要になって来ますよね。

E君の行動は自警団の「集団的自衛権」に相当しますね。
アメリカでは、国防軍の他に、各州が自警の為の州兵を置いているそうです。
警察も、連邦警察と州警察の二重構造になってます。治安の悪さが窺えますね。
#1069[2014/11/24 00:41]  sado jo  URL 

こういう場合どうなるのでしょうか…といった議論は、やればやるほど、今あるものに近づいて行くのかもしれませんね
するとビースト法のある世界は、みんなで考えようってのを諦めてしまったのでしょうか
この世界で苦悩する彼らの今後が気になります
#5372[2017/01/19 12:45]  rainshot  URL 

Re: rainshot様COありがとうございます^^

大雑把な法だけ定めれば、後は各自が道徳や倫理に基づいて行動し、社会が成り立つ。
逆に、人の行動の細部に至るまで事細かな法を定めなければ社会秩序が維持できない。
前者は人の思考力が豊かな善い社会であり、後者は人が行動規範を無くした悪い社会。
現代は自由な民主主義で、中世は王や教会が庶民を抑圧していた悪い時代…と誰しも考えますが、実は犯罪は驚くほど少なかった。
押さえ付けられていたのでは無く、各自が考えて行動していた。
文化・芸術が絢爛と華開いたとても精神的に豊かな時代だったと言うのが真実です。
#5373[2017/01/19 13:43]  sado jo  URL 














管理者にだけ表示を許可する

~ Trackback ~


  ↑記事冒頭へ  
←ビーストハンター 第1話 狩猟免許と言う名の殺人許可証 (6)    →ビーストハンター 第1話 狩猟免許と言う名の殺人許可証 (4)