
全長280メートル、基準排水量25000トン、33ノットの高速で洋上を走る、空母型護衛艦。
大きさだけならあの戦艦「大和」を凌ぎ、飛行甲板は旧日本海軍の空母「赤城」を越える長さを持っている。
だが、その飛行甲板にジェット機を発進させるカタパルトはない。元来は対潜ヘリを搭載するために建造された船だからだ。
一見、ヘリ母艦としては無駄に大きいように見える二隻の船は、実は多目的空母としても使えるある秘密が隠されていた。
そんな「あまぎ」と「ひたち」の姉妹艦が、何の目的でシリアの国境に近いイスカンデルンの沖合いに停泊しているのか?
その理由は一年以上も前にさかのぼる。
<第二節:眠れる獅子は立つ!>
在位30年を迎えられた天皇陛下は、迎賓館に各国の要人や大使を招かれて晩餐会を催された。
だが、その晩餐会の最中に思わぬ悲劇が襲い掛かった。
突然、押し入って来た七人のイスラムテロリストが、カラシニコフを乱射し、手榴弾を投げつけたのだ。
ただちに駈け付けた皇宮警察によって、三人は射殺されたが、二人は逃亡し、テロリストの二人が自爆した。
天皇陛下と皇太子殿下はかろうじて難を逃れられたが、各国の代表21人がイスラムテロの犠牲となった。
世界は、日本の皇室行事に付け入ったイスラムテロリストを激しく非難し、天皇と日本へ弔慰のメッセージを送った。
しかし、被害を受けた日本はもっと深刻な方向へと動いた。テロで重傷を負われていた皇太子妃殿下が亡くなられたのだ。
民間より皇室に嫁がれ、明るい笑顔で国民に愛され続けた妃殿下の死は、日本国民に大きな衝撃を与えた。
責任を問われた宮内庁と警察庁の懸命の捜査から、さらに一層の驚愕の事実が浮かび上がった。
職員の中にテロリストを手引きした者がいたのだ。事実が判明した時には、すでに容疑者はシリアに出国していた。
ここに至って国民の怒りは爆発した。シリアを拠点とするイスラム蛮国を討つべし!妃殿下の仇を取るべし!
政府は集団的自衛権を行使せよ!自衛隊は中東に向けて出撃せよ!
もう、誰にも止められなかった。反対した一部の人々は、国民から「非国民」呼ばわりされ吊るし上げを食った。
野党各党も国民感情を恐れた。敢て異を唱えれば、次の選挙ですべての議席を失う事は明白だったからだ。
圧倒的な国民の支持を背景に、内閣総理大臣「阿藤晋蔵」は自衛隊による集団自衛権の行使を決定した。
世界各国で、その国の象徴的な存在を標的にし、恐怖を煽って来たイスラムテロリストは、ここに来て重大な誤ちを犯した。
日本において皇室を標的にした事が、恐怖どころか日本人の民族的感情に火を付けてしまったのだ。
巷では、在日イスラム教徒が迫害され、モスクが焼き討ちに遭い、多くのイスラム教徒が出国を余儀なくされた。
自衛隊の戦力行使が避けられぬ状況となった防衛省では、早速、戦略会議が開かれ、一人の人物に白羽の矢が当った。
葛城忠誠海将。幕僚の中でもさほど目立たず「昼行灯」と呼ばれながら淡々と任務をこなして来た彼は、定年間近であった。
目に入れても痛くない孫と遊び、家族の団らんを何よりも大事にし、家では蝿やゴキブリを殺すのもためらうような男だった。
「それでよく軍人になれたわね」そう妻が呆れ果てるほど、凡庸で温厚な海将は、しかし、ある一つの特徴を備えていた。
与えられた任務に忠実…つまり、何の感情も制約も挟まず、冷静に敵に立ち向かえる本物の軍人であった。
~続く~

お断りして置きますが、私はいわゆる右翼なる人ではありません…最近は右寄りなファンの方も増えてますが(笑)
架空戦記物を書かれる「荒巻義雄さん」や「かわぐちかいじさん」も、よく右翼的な作家と勘違いされるそうです。
しかし、それならば「機動戦士ガンダム」も「マクロス」も「宇宙戦艦ヤマト」も右翼的な作品の部類に入ってしまいます。
真相は、あの方々も私も、戦争(戦い)の中にドラマチックな要素がたくさんあるから書いてるだけなのです。
戦う男のロマンと、戦う男に惹かれる女性の心理は、とても絵になり、一層ドラマを盛り上げる要素でもあります。
戦争は現実には無い方がいいと思います。ただ日本人が、他国や悪の勢力に黙って屈するのは如何なものでしょうか?
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しかし、それならば「機動戦士ガンダム」も「マクロス」も「宇宙戦艦ヤマト」も右翼的な作品の部類に入ってしまいます。
真相は、あの方々も私も、戦争(戦い)の中にドラマチックな要素がたくさんあるから書いてるだけなのです。
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