シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

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砂漠のゼロ戦 - Desert of ZERO -(9)

ゼロ戦飛行士

「早く正規の作業服に着替えて来い!」
 強引に押し付ける広瀬二左を前に、若い隊員は不服そうな顔をしていた。
 その様子を見ながらしばらく考えていた葛城は、やおら二人の間に割って入るように言った。
「ちょっと待ってくれないか。広瀬二左」
 それから若い他員の方に向き直って、微笑みながら尋ねた。
「君はその服装が気に入ってるのかね?」
「はい、だって気分が乗ってヤル気が出ます。みんなも似合うって言ってくれてますし…」
「分かった。作業の邪魔にならないならそうしなさい。但し、海上自衛隊の徽章と階級章は付けるように…」
「わァ~、ありがとうお爺さん」若い隊員は喜んで礼を言った。
「こらっ!葛城司令に向かって何て事を言う…司令、甘やかされては困りますよ~」
 今度は広瀬二左の方が不服そうに葛城に言う。
「押し付けでやらされるのと、自分から進んでやるのとでは仕事をする意欲が違わないかな?広瀬二左」
「しかし、葛城司令。規律は規律ですから…」
 広瀬二左はそう言い掛けたが、若者たちはもうすっかりその気になっていた。
「それ、僕も欲しいわ。秋葉原のどの店で売ってんの?教えて」
「ゼロ戦ぽくってカッコいいやん」
「私も着てみたい。色はピンクがいいなァ…そんなのある?」
「分かった。分かった。それじゃ、ゼロ戦隊の正規の制服を作らせよう。それでいいかな?」
 葛城は、飛行服の隊員を囲んではしゃいでいる若者たちに向かってそう言った。
「わァ、ほんとうですか~?ありがとうございます」
「楽しみだなァ~…できたら真っ先に着させて下さい」
 葛城は喜んでいる隊員達を見ながら、なお不満そうな顔の広瀬二左に笑いながら言った。
「君も着てみたまえ。きっと似合うぞ~」
 こうして、海上自衛隊・無人ゼロ戦隊のオペレーターの制服が決まった。

 実際、上官たちは、ニートのゲーマーから自衛官になった彼らに、実技よりも規律を教えるのに苦労していた。
 自衛隊の常識に掛からない彼らは、いつもこんな調子だったから、広瀬二左の苦労は分からぬでもなかった。
 だが、戦争は結果がすべてなのだ。戦に勝つ事が何よりも優先される事実を葛城はよく知っていた。
 実際の戦場では規律の整った軍隊よりも、優れた個人や集団を持っている軍隊の方が勝利するケースが多い。
「アレクサンダー」「シーザー」「ナポレオン」彼らの傍らには、必ず戦の技量に優れた勇者たちがいた。
 後に、腕の立つゲーマー上がりの彼らが中東で見せた活躍は、世界の軍事常識を根底から覆すものだった。

~続く~

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~ Comment ~


こんにちは^^

若者の気持ちになり対応するって
大事な事なのかもしれないですね。

よく○○しないと何を取り上げるよ。って注意しがちな大人が多いけど
取り上げるとマイナスを条件に出されて
人はやる気がおきないと言うのを
友人の教師から聞いたことがあります。

この葛城司令をお爺さんと言ってしまうのも若者だからこそ?なのでしょうか(☍﹏⁰)。
年を重ねた人にはお姉さんって言えといいますからね(;^-^)
#1537[2015/02/26 07:04]  yume-mi  URL  [Edit]

こんにちは^^

何にしたって押し付けではやる気が出ないのは当たり前ですよね。
これは心理的リアクタンスという心理現象で
テスト前だからって「勉強しなさい」では勉強しない(笑)。
何事も自分がやりたいようにやってこそ伸びるものなのに
そういう経験がないのか私の周りにはそれがわからないバカな大人が多すぎて困る。
#1538[2015/02/26 10:08]  西條すみれ  URL 

軍服は敵味方をとっさに識別するのに必要なんでしょうが;;
チームの気持ちをくんで、新しい制服を作ってくれるなんて粋ですね。

確かに、持っている戦力をいかに有効に使うか、が名将の条件かも。
歴史的な名将というのは、その時代の「戦争の常識」を壊しますよね。

この戦いの顚末はどうなるのか、気になってます。
#1539[2015/02/26 12:58]  椿  URL 

Re: yume-mi様 COありがとうございます^^

> 若者の気持ちになり対応するって
> 大事な事なのかもしれないですね。

若者の気持ちになり…と言うより若者を理解するが、同化しない…ですね。
それには、大人が主体性や目的意識をしっかり持つ事が肝要だと思います。
でないと、単なる過保護、甘やかしになって、若者は堕落してしまいます。
時代は嫌でも進歩する。若者が大人を越えてくれないと先行きが危ぶまれますよね。
#1540[2015/02/26 15:06]  sado jo  URL 

Re: すみれ様 COありがとうございます^^

> 何にしたって押し付けではやる気が出ないのは当たり前ですよね。
> そういう経験がないのか私の周りにはそれがわからないバカな大人が多すぎて困る。

押し付け…我々は先祖が残してくれた(知的・物質的)遺産を相続して生きています。
それをどう有効に用いるか?子孫に押し付けるだけか?利息を増やす努力をするか?
遺産を食い潰して終るのか?時代にそぐわないものは積極的に改革して行くか?
判断は大人に委ねられています。そこに賢い大人か?バカな大人か?の差が出ます。
進歩する人々と、どこかの宗教勢力の様に野蛮なままの人々の差が出て来るのです。
世の差別は自分達の責任!こうでなければならない…と言うものは何一つありません。
#1541[2015/02/26 17:07]  sado jo  URL 

Re: 椿様 COありがとうございます^^

> 軍服は敵味方をとっさに識別するのに必要なんでしょうが;;
> チームの気持ちをくんで、新しい制服を作ってくれるなんて粋ですね。

制服や旗印は、特定の集団に属する事を意味し、士気を高めるのに有効ですね^^
でも、今は敵に化けて襲う戦術が罷り通るので、戦のルールは死んでますね(笑)

> 確かに、持っている戦力をいかに有効に使うか、が名将の条件かも。
> 歴史的な名将というのは、その時代の「戦争の常識」を壊しますよね。

名将の条件は、自分の中に360人の人間を持っている事でしょうね。
360度、どの視点からでも物事を見て判断し、臨機応変に采配を揮える人は強い!
人は何かに拘る。それは両刃の刃になる。だが、この将には拘りが無いです(笑)
#1542[2015/02/26 17:36]  sado jo  URL 

その分野で天才的な才能をもった人たちが、思う存分やれる環境ができたら、すごい成果があがるでしょうね。
ただ、統制がきかなくなると、混乱を招きそうですが。
#1543[2015/02/26 19:31]  マウントエレファント  URL  [Edit]

Re: マウントエレファント様 COありがとうございます^^

> その分野で天才的な才能をもった人たちが、思う存分やれる環境ができたら、すごい成果があがるでしょうね。
> ただ、統制がきかなくなると、混乱を招きそうですが。

多分、英雄と言うのは、天才的な軍人達を操る能力を持ってたんではないでしょうか?
企業で言うなら、優れた人材を集めて、その能力を存分に発揮させるCEOに当りますね~
個性もアクも強い人間を束ねる力…それがカリスマ性と言うものなんでしょうかね。
#1544[2015/02/26 20:09]  sado jo  URL 

本当に押し付けてやる仕事よりも、
自分から進んでやる仕事の方が結果も良いものが付いてきますしね~。
制服ひとつでやる気が変わるのなら、
やる気を他人が起きるように仕向けるよりも簡単に出来ますしね^^
#1545[2015/02/26 20:24]  ツバサ  URL 

Re: ツバサ様 COありがとうございます^^

> 本当に押し付けてやる仕事よりも、
> 自分から進んでやる仕事の方が結果も良いものが付いてきますしね~。

例えは悪いですが、娼婦の出す声は演技です。決して愛情はこもっていません。
逆に、女性が自らが愛する男を相手にする場合は、俄然本気になりますよね(笑)
人は気持ちが入れば、何事につけても良い結果が出てくるものです。
#1546[2015/02/27 02:13]  sado jo  URL 














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