シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

オリジナル詩集

愛の都の建国神話 ~創作吟遊詩~

愛の都の建国神話 ~吟遊詩~

炎は狂い 嵐は叫ぶ
崩れ落ちし スカイア門は
勇敢な つわものの血に染められ
美しき乙女らの 縛められし姿は いたましや
栄華を誇りし トロイアも 運命の一夜に滅びゆく

おりしも 殺戮の中を逃れ
イダの丘に たどり着きし 一人のおの子
そは 輝けるヴィーナスの子 アイネイアス
されど今 幼き子を抱え 老いたる父を背負いて
愛しき妻 クレウサともはぐれ
途方に暮れて とまどいぬ

おお!あれを見よ
眼下に映ゆるは イリオンの最期
まちびとらの 奮戦むなしく
尊きベルガマも血に穢れ すでに都は炎に包まれぬ

誇り高き 神々らの末裔よ
あぁ…ディポブスよ アンテノールよ
親しき汝らは いかようになりしや

悲嘆に暮れし アイネイアス
天を仰ぎて おのが母に訴えん

我に命を与えし ジュピターの娘 ヴィーナスよ
かくも脆く かくも惨く トロイアは滅び
愛しき妻や 親しきともがらを呑み込みました
私は これからどうすればいいのでしょう
いずこへ 父と子を 伴いゆけばいいのでしょう
この世界に 我らが安住の地はあるのでしょうか

こう訴うれば 天より厳かなる声 響き来たらん
そは 我が子を愛しむ 母なるヴィーナスの声なりき

我が心に慕いし アンキセスの愛しい子
勇敢なる アイネイアスよ 心に希望を持て
西へ西へ トロイアの古き母を尋ねて 旅立つがよい
かしこに ラティウムなる土地ありし
そこにて 再びトロイアの再興を図らんとせよ
されば やがてその国は 数多のつわものを養い
西は オケアノスの大洋の果つる岸から
東は クロノスの大山脈のふもとまで
その威勢を 奮うであろう

しかし これだけは堅く心に留めよ
いかなる時も 決して愛を絶やしてはなりませぬ
人々が 互いに愛しみ合う心を忘れ
ますらおが 愛妻よりも 地位や権勢を重んじ
娘が 金銭や土地もて 売買される様になりし時
国は 再び滅亡せんことを心得よ

かくして ヴィーナスの予言に従い
愛の都「ローマ」は建国され 世界を支配して驕り
愛を失くして 滅び去った・・・と 伝え聞く



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<詩の心>
ギリシャとの戦に破れたトロイの王子「アイネイアス」は、母である愛の女神「ヴィーナス」の導きにより、長い放浪の旅の末、イタリキ半島のティベル川の畔にたどり着きます。これが『ローマ帝国』の始まりです。
ローマが元々は軍事国家では無く、愛の女神・ヴィーナスに相応しい「女性の愛に支えられた国」だった事を証明する歴史的事実が幾つかありますが、また別の機会にお話いたしましょう(古来より女性を大切にする国は栄えます)
さて、神話の神々はなぜか?人間と恋をします。主神ゼウスに愛された「エウロパ」は『ヨーロッパ人』の祖先となりました。
しかし、神は不死ですが、人はやがて朽ちて死んでゆく身…さぞかしつらい恋になるでしょうね~
神話の世界には、そんな「悲しい恋の物語」がたくさんございます。
 
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