
<第五節:ラマダンの奇襲>
夕暮れ間近い空の上に、たくさんの光の筋が流れ星のように走った。
その光の筋は、バーディヤの街の真上でパァッ!と花火となって弾け散った。
一日のラマダン(断食)がもうじき明けて、やっと食事にありつけると思っていた人々は呆然と空を見上げた。
その人々の頭の上に、束になった無数の火の粉が降り注いだ。それはナパーム弾を搭載した巡航ミサイルだったのだ。
たちまち数人の人が炎に包まれ、街のあちこちから炎が上がった。通りが、屋敷が、市場が、街全体が燃え始めた。
人々は逃げ出そうとして走り回り、街の方々から悲鳴が上がった。またたく間にバーディヤの街は大混乱に陥った。
「弾着確認。されど城塞の損傷は軽微。第二弾、Lx=0.3、Ly=0.1、修正されたし」
バーディヤの上空から弾着を観測していた「やたがらす」の指示がシリア沖にいる艦隊に届いた。
ミサイルのオペレーターたちが、すぐさま修正情報を巡航ミサイル「すさのお」にインプットした。
「あまぎ」と「ひたち」を護衛する「あきづき」「ゆきかぜ」「むらくも」「あさぎり」「あやなみ」「とどろき」「ゆうだち」
それらの2000トン~3000トン級のミサイル護衛艦には、それぞれ巡航ミサイル、すさのおの二連装発射台が装備されていた。
葛城が、数ある海上自衛隊の護衛艦の中からこれらの船を選抜したのは、巡航ミサイルの発射台が装着可能だからであった。
さらに、葛城が指揮を執るイージス艦、ひだかにも、二基の二連装巡航ミサイル発射台が装備されていた。
「全護衛艦、すさのお発射準備完了!」
「第二射、発射よ~い!てぇ~っ!」
各艦の甲板にもうもうと煙が立ち昇り、激しくガスを噴き上げながら巡航ミサイルの群れが空に駆け上がって行った。
その頃、DDH護衛艦「あまぎ」と「ひたち」の甲板の上では、フライトクルーたちが忙しく走り回っていた。
「こちらあまぎ、無人ゼロ戦・鷹隊、発艦準備完了しました」
「ひたちの燕隊も発艦準備が完了したようです」
「よしっ!出してくれ」葛城はそう指示した。
「第一次無人ゼロ戦攻撃隊、発進っ!」
ブゥ~ン!ブゥ~ン!ブォ~ン!
あまぎから12機、ひたちからも12機の無人ゼロ戦が、次々と甲板を蹴って飛び立って行った。
それは、まるで在りし日の連合艦隊航空母艦「赤城」と「加賀」から、真珠湾に向かって飛び立つゼロ戦を彷彿とさせた。
そして、その両翼には、矢のようにキラリと光る小さなミサイルが取り付けられていた。
全長4.7メートル。翼長5.8メートルと言う、小型の無人ゼロ戦に搭載するために開発された対地ミサイル「すずめばち」
その特徴は、先端から突き出た針にある。針が目標物に触れると、信管が数千度の高熱を発して内部の爆薬を起爆させる。
分厚い戦車の鋼板も瞬時に溶かす高熱の針。それを突き刺して、少ない量の爆薬で最大限の破壊力を生み出す。
まさに小さいながら、猛毒を持つ針で相手を刺すと言う「すずめばち」の名に相応しい恐るべき対地ミサイルであった。
このすずめばちをゼロ戦は4本。攻撃ヘリ「かるら」は8本装着する。かるらが戦車キラーと呼ばれる由縁はここにあるのだ。
~続く~

<自衛隊を「我が軍」だと本音を言ってしまった首相の軽率さ>< ~20日の参院予算委員会~>
小説の中に登場する「ゼロ戦」の如き高度な軍用無人機は、フィクションとは言え、現代の日本の技術で製作が可能です。
また、現存するDDH護衛ヘリ母艦「いずも」は、発展形として空母打撃群の中核を為す航空母艦に充分成り得るものです。
近代軍としての自衛隊は侮れぬ実力を秘めている訳で、その戦力が行使されればどうなるか?が一つのテーマになります。
小説は資料を調べて、筋書き以外は出来るだけ(戦闘シーンなど)ノンフィクションに近い形で描いているつもりですが…
正直、その実力は永久に披露されない方がいいと思います。近隣諸国共々多大な犠牲が出る事は間違いありません。
日本も、近隣諸国のリーダー達も、間違っても破壊行為に至らぬ様お互いに気遣いをしていただきたいと思います。
小説の中に登場する「ゼロ戦」の如き高度な軍用無人機は、フィクションとは言え、現代の日本の技術で製作が可能です。
また、現存するDDH護衛ヘリ母艦「いずも」は、発展形として空母打撃群の中核を為す航空母艦に充分成り得るものです。
近代軍としての自衛隊は侮れぬ実力を秘めている訳で、その戦力が行使されればどうなるか?が一つのテーマになります。
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