シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

未分類

砂漠のゼロ戦 - Desert of ZERO -(17)

パールハーバー

 バーディヤの攻略作戦を目の前に控えて、葛城海将は副官の権田陸将と語り合った。
「いよいよ、明日決行ですなァ…武者震いがして来ますわい。わしも現地に行きたいような気がします」
「ははは…権田さんらしいですな。第一空挺団と一緒にバーディヤに降下されますか?」
「滅相もない!こんな年寄りが飛行機から飛び降りたら、身体がいくつあっても足りませんわい」
「ではグラウンドに立たずに、大人しくスタンドから試合を観戦するとしますか」
「アウェイの試合ですがな…若い連中が10対0で相手を完封してくれるのを見たいです」
「いぇ、バーディヤを陥しても試合は終りません。敵の首領「マクバディ」は、一万以上の兵士に守られてラッカの街に立てこもっております。こやつの首を取るのは容易な事ではないですよ」
「そうですなァ…日本の国民は仇討ちの熱に浮かれていますが、実際、現場の者にとっては…」
「もし、敵の頭(かしら)を討たねばならん状況になったら、権田さんならどうされます?」
「そうですな…まずは、何が何でも先に相手を丸裸にするでしょうな」
「バーディヤの攻略はそのための布石です…言わば、マクバディを裸にするための餌ですね」
「なるほど、戦略上の要衝を奪われた敵は、奪い返すために立てこもっている街から出て来ざるを得ない」
「立てこもって身を固めている敵を討つのは容易ではないが、引きずり出してこちらの手の内に入れれば…」
「敵の鎧を剥ぎ取る…つまり敵の野戦軍を叩くのが目的ですな。葛城さんは海の人かと思ったら、陸戦もよくご存知で…」
「陸も海も戦いの要諦は同じですよ。統合幕僚監部にいる間、随分、先の大戦の資料を閲覧させていただきました」
「さすがに…よく勉強されたんですなァ、葛城さんは」
「かって日本海軍は、見事にアメリカ軍に餌を撒かれ、洋上に引きずり出されて、敵艦載機の集中攻撃を浴びてしまった」
「巨艦大砲主義の失策ですな…せっかく真珠湾攻撃で、航空戦力の卓越性を示しておきながら…ですか」
「ミッドウェイ、マリアナ、レイテ、すべてアメリカ軍の罠に引っ掛かってしまったんですよ」
「だから、今度はこちらはその愚を犯さず、逆に敵にその愚を犯させる訳ですな」
「そう…権田さんが指揮を執られるのは陸の艦隊です。それにペシュメルガと言う有力な援軍が加わった。だが、主力はあくまで航空戦力だと思います。これをいかに活用するか?それが勝敗を分ける鍵になります」

 確かに歴史的に見ても、1970年頃までは、航空戦力に劣る勢力がそれを上回る敵を負かした事もある。
 だがそれ以降は、航空戦力で劣る側が、航空戦力に勝る側を打ち負かした例はただの一度もない。
 近代戦における航空戦力(ミサイルを含む)は、戦の要とも言えるほど重要な存在なのである。

「第二波弾着!城塞より出火確認。攻撃は成功です。これよりゼロ戦隊を誘導します」
 やたがらすを指揮する豪羅一尉は、艦隊司令部にそう報告を入れた。
「よし、高度を下げろ。向こうから無人ゼロ戦隊の奴らがやって来たぞ」
 やたがらすは敵の対空機関砲の有効射程ギリギリまで高度を下げて、レーザービームを照射した。
 そのレーザービームは敵の城塞を正確にポイントし、攻撃目標としてロックした。

~続く~

にほんブログ村 小説ブログへ

 
関連記事
スポンサーサイト
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼シムーン第二章 ~乙女達の祈り~
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼未来戦艦大和
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼ビーストハンター
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼地球年代記 ~カルマ~
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼まぼろし
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼やさしい刑事
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼幻影の艦隊
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼その他の小説
もくじ  3kaku_s_L.png オリジナル詩集
もくじ  3kaku_s_L.png 随想/論文集
もくじ  3kaku_s_L.png 死とは何か?
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  ↑記事冒頭へ  
←砂漠のゼロ戦 - Desert of ZERO -(18)    →砂漠のゼロ戦 - Desert of ZERO -(16)
*Edit TB(0) | CO(8)

~ Comment ~


なるほど、今は航空戦の時代なのですね。
陸戦部隊も海戦部隊も、発見すれば航空機で迎撃可能だし、航空戦力に優れていれば敵の本拠地をいきなり叩くことも出来るし。

だから、航空戦力を持つことが出来ない勢力はテロに走るのか……。
いろいろ納得でした。
#1763[2015/04/03 14:50]  椿  URL 

Re: 椿様 COありがとうございます^^

> なるほど、今は航空戦の時代なのですね。
> だから、航空戦力を持つことが出来ない勢力はテロに走るのか……。
> いろいろ納得でした。

核戦争においては、大国はどこも制空権を握ってる様なもの…後は数と命中率の勝負です。
通常戦では、制空権を握れない途上国やテロ集団は、必ず最期に負けます…儚い抵抗(笑)
ただ今度、随筆に書きますが、これらの集団が将来、別の意味での航空戦力をテロの手段に使って来る可能性は大いにあります。
ISなどは、すでに中国・ロシアから手に入れたその航空兵器をテスト中だと聞いています。
#1764[2015/04/03 16:59]  sado jo  URL 

船は飛行機ほど早く動けません。
飛行機を撃ち落とすのは蝿を箸でつかむより難しいですよね。
#1765[2015/04/03 20:37]  マウントエレファント  URL  [Edit]

Re: マウントエレファント様 COありがとうございます^^

> 船は飛行機ほど早く動けません。
> 飛行機を撃ち落とすのは蝿を箸でつかむより難しいですよね。

昔はそうでした。米艦隊は上空に弾幕を張って「神風」の特攻を防いでましたね^^
今はイージス防空システムがありますが、ミサイルの様に直線的な飛行物ならともかく、航空機に複雑な動きをされたらどうなんでしょうか?
機密にしてる部分がある所をみると、難しさがあるのかも知れませんね。
#1766[2015/04/03 22:33]  sado jo  URL 

今も昔も制空権は大切ですね。
それを握ることこそが戦略において重要なことですからね。

されど、同時に人は陸で生きているということも忘れてはいけない。。。
とも思います。
#1767[2015/04/04 11:03]  LandM  URL 

Re: LandM様 COありがとうございます^^

> 今も昔も制空権は大切ですね。
> それを握ることこそが戦略において重要なことですからね。
> されど、同時に人は陸で生きているということも忘れてはいけない。。。

おっしゃる通り、近代戦は空を制した者が戦いを制します。米国最強の由縁ですね^^
人間は奇妙な動物で、陸上に棲息しているのに、覇権を主張して海と空で戦います。
欲深いと言うか?他の命の生存権を認めないと言うか?悪魔の様な生物ですね(笑)
#1768[2015/04/04 14:15]  sado jo  URL 

どんな敵でも立て籠もられたら厄介極まりないですが、
出て来ざるを得ない状況に持ち込めれば、
また戦いようもありますもんね~(´∀`)
#1769[2015/04/04 23:03]  ツバサ  URL 

Re: ツバサ様 COありがとうございます^^

> どんな敵でも立て籠もられたら厄介極まりないですが、
> 出て来ざるを得ない状況に持ち込めれば、
> また戦いようもありますもんね~(´∀`)

スポーツでもホームなら地の利がありますが、アウェイの戦いは辛いですよね。
戦争はなおさら…よほど確たる補給線が無いと、兵力だけを頼みには勝てません。
敵を地元から引きずり出し、その補給線を絶てばほとんどの戦いには勝てます。
ただ、米軍の様に世界中に補給線を築いている場合は、何処でもホームになります(笑)
#1770[2015/04/05 00:46]  sado jo  URL 














管理者にだけ表示を許可する

~ Trackback ~


  ↑記事冒頭へ  
←砂漠のゼロ戦 - Desert of ZERO -(18)    →砂漠のゼロ戦 - Desert of ZERO -(16)