シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

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砂漠のゼロ戦 - Desert of ZERO -(23)

迫撃砲
PCを操作して正確な電子射撃を行なう近代軍

<第五節:ゼロファイター砂漠に舞う>

 ゼロ戦隊のオペレーターたちは、交代で仮眠を取りながら徹夜で敵の城塞を攻め立てた。
 昨日のラマダン以降、まともに食事を採っていない敵兵に休息すら与えず、眠らせない作戦だった。
 その間に、バーディヤの街を陥落させた第一空挺団とクルド軍は、城塞を囲んで周囲に攻城陣地を築き上げた。
 第一空挺団が持って来たL16-81mm迫撃砲と、ペシュメルガが運び込んだM224-60mm迫撃砲が陣地に据え付けられた。
「てぇ~っ!」
 高く築かれた敵の城壁を越えて、第一空挺団とクルド軍の放った迫撃砲弾が城内の敵兵に襲い掛かった。。
「弾着修正、Lx=0.06、Ly=0.02」
 上空に陣取って、弾着を観測するやたがらすからは、すぐさま砲撃目標に対する修正情報が送られて来た。

 1:200…これが何の数字だかみなさんにはお分かりだろうか?
 同等の威力を持つ兵器を装備した近代軍と途上国(テロリスト)の軍隊が交戦した場合に生じる戦死者数の割合である。
 つまり、同じ火力であるにも拘らず、戦闘において近代軍1人に対して、相手の軍隊は200人の戦死者を出してしまう訳である。
 なぜ、そんな結果が出るのだろうか?それは近代軍がG.P.Sやレーダーを駆使した正確な射撃をするからに他ならない。
 近代軍は、地平線の彼方から狙った目標に対して誤差なしに、ミサイルや砲弾を命中させるだけの技術を持っている。
 対して、途上国(テロリスト)の軍隊はG.P.Sやレーダーを使った電子射撃ができない。その結果がマトモに表れてしまう。
 そして、その正確な射撃を誘導しているのが、電子機器を装備した観測車や、特に偵察・観測機、ヘリなどの航空機である。
 しかも、これらの観測車や航空機は通常でも音が小さく、ましてや銃声の鳴り響く戦場ではどこにいるかすら分からない。
 米軍が対テロリスト戦に使用するMQ-1 プレデターと言う無人機は、すぐ近くに接近するまで気付かれないと言われる。
 敵が気付いた時には、もうすでに死んでいるのだ。故にコードネームが姿の見えない殺し屋「プレデター」なのである。
 近代戦における航空力の重要性を認識させると共に、もし、これがテロリストの手に渡ったら、いかに恐ろしい武器になるか。
 みなさんにも充分お分かりいただけるかと思う。願わくば、各国は無人機テロを避ける努力を惜しまないでいただきたい。
 いずれにせよ、途上国やテロリストの兵士は、どんなに足掻いても電子装備で固めた近代軍には勝てないのである。
「アラブ人の命は安物」と言った某アメリカ人の言葉は、傲慢と言うより、無意味な抵抗をするアラブ人を皮肉ったものだろう。
 もしかしたら、太平洋戦争末期の日本人も同じに思われていたかも知れない。装備や兵力において格段の差があったからだ。
 戦争は実務である。卓上の思想や信念は何の役にも立たない。感情のままに戦う指導者は人の命を無駄にする愚者でしかない。

 城塞の周囲から迫撃砲の砲撃を受けた敵の指揮官は、相手の位置を掴もうと観測員を城壁に登らせようとした。
 だが、その観測員は城塞の周りを旋廻するゼロ戦の機銃攻撃を浴びて、あっと言う間に地面に叩き落とされてしまった。
 何度、やっても上空を舞うゼロ戦に阻止されるだけである。こうなると、城壁に囲まれて有利なはずの環境が逆に災いになる。
 城塞を囲んだ第一空挺団とクルド軍には、やたがらすを通じて敵の位置が分かるが、向こうには相手の位置すら分からない。
 仕方なく盲滅法に撃ち返す敵の砲弾は、あらぬ場所で炸裂し、第一空挺団とクルド軍には何の損害も与えなかった。
 近代戦において、航空力のあるとなし、精密な偵察や観測のできるとできないは、これほどの差を齎すものなのだ。

~続く~

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<NATO弾について>
アニメや映画などでよく耳にする「NATO弾」とは、西欧加盟国の、火器の互換規約として定められた基準を言います。
ベトナム戦争で、米国の12.7ミリの大型火器は、軽くて機動性の高い旧ソ連製7.62ミリAK-47 カラシニコフに翻弄されました。
そこで、軽くて機動性の良い武器の研究に取り組んだ米国は、火器を改良して小口径でも破壊力の大きい弾頭を開発しました
突き破ると言う発想の旧ソ連製の弾頭に対して、えぐりながら突き破ると言う高性能を持つ火器の弾頭を作り上げたのです。
小型で反動が無く、強力なNATO弾は、現在の世界の戦場で、旧ソ連製の火器に対して70%以上の勝率を納めています。
最近米国は、曲がりながら敵を追い掛けて命中させるセンサー付自動追尾弾を開発しました。野球で言えば変化球になります。
下手な射撃でも100発100中で、簡単にストライクが取れてしまう。狙われたが最期、どんなに足掻いても逃げられない訳です。
こんなのは反則でしょう…誰でもゴルゴ13級のスナイパーになれてしまう(笑)でも、コレで狙撃をやってみたい気もします。
ロシアがウクライナに、中国が台湾に米国が武器を供与する事を恐れるのは、両国が不利な戦いを強いられてしまうからです。
つまり、マトモにやっても勝ち目が無い。そこで両国とも政治的神経戦に持ち込んで、揺さぶりを掛けている訳なのです。


弾丸が自動的に曲がって目標を捕える様子(米軍提供)
 
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~ Comment ~


こんにちは^^

NATO弾の映像を見ると、動いている相手に
合わせて きちんと命中するのを見ると、
やっぱりゲーム感覚で
やってみたい気が確かにしました(>。<;)
今は、スマホアプリのゲームも凄い数があり、電車の中でもみんな
ゲームをされています(☍﹏⁰)
こういうゲームも探せばありそうですね(汗)自分の勘や感覚で当たるのが
すっきりするのでしょうね。

#1922[2015/05/07 07:26]  yume-mi  URL  [Edit]

Re: yume-mi様 COありがとうございます^^

> NATO弾の映像を見ると、動いている相手に
> 合わせて きちんと命中するのを見ると、
> やっぱりゲーム感覚でやってみたい気が確かにしました(>。<;)

ゲームならまだしも、実際の戦場で、逃げても逃げても追い掛けて来る弾丸って、
撃たれる側からすれば、たまったモンじゃ無いです。狙われた途端死ぬ事が決定!
追尾センサーを仕込んだ弾丸で、女性や子供が撃っても確実に命中するそうです。
女も男と互角に戦えますね…と言うか、もう面倒臭いだけの男の兵隊はいらない(笑)
#1923[2015/05/07 11:02]  sado jo  URL 

こんにちはー♪

これは怖いですね…υ
ピンポイントで狙えるというのは、巻き添えが減っていいんでしょうけど…。

覇王になろうとするお偉いさんがアチコチに現れるから
戦死者を減らすためにも
そんな技術が必要なのかな。
いつも矛盾は拭えませんね…υ
#1924[2015/05/07 20:04]  小奈鳩ユウ  URL  [Edit]

下手な鉄砲も数打ちゃ当たるじゃ、弾の無駄づかい。
勝ち目はありませんね。
#1925[2015/05/07 20:14]  マウントエレファント  URL  [Edit]

正確無比な射撃は機材さえあれば、
誰でも出来てしまうというのが恐ろしいところですね(><)
軍が使って厳重に管理しているとしても、
テロリストや犯罪者の手に渡る可能性もありますし、
拡散防止に努めて欲しいところですね~。
#1926[2015/05/07 20:53]  ツバサ  URL 

Re: 小奈鳩様 COありがとうございます^^

> ピンポイントで狙えるというのは、巻き添えが減っていいんでしょうけど…。
> 戦死者を減らすためにもそんな技術が必要なのかな。
> いつも矛盾は拭えませんね…υ

いや、逆に戦死者を増やしてしまう事になるでしょう。
小説を書く為に兵器の研究をしてますが、米軍や自衛隊が普通に装備している機関砲
(バルカン砲)でも、一分間で1000人、ラーメンが出来る間に3000人の人間が殺せます。
二門なら6000人…近代兵器は生身の人間に対して、破壊力が巨大すぎるんですよ><
簡単に一つの街の住人が消せる…これはもはや戦争とは言えない。虐殺でしか無いです。
#1927[2015/05/07 22:03]  sado jo  URL 

Re: マウントエレファント様 COありがとうございます^^

> 下手な鉄砲も数打ちゃ当たるじゃ、弾の無駄づかい。
> 勝ち目はありませんね。

誰が撃っても命中する、誘導ミサイルをミニ化した銃弾と言う事になるんでしょうね。
無人機と言い、原爆と言い、アメリカ人は作ってはならない物を平気で作ってしまいます。
理念を疑いますね>< 前段でも書いた通り、人類はもう戦争すべき段階では無いと思います。
#1928[2015/05/07 22:14]  sado jo  URL 

Re: ツバサ様 COありがとうございます^^

> 軍が使って厳重に管理しているとしても、
> テロリストや犯罪者の手に渡る可能性もありますし、
> 拡散防止に努めて欲しいところですね~。

ドローンも、この銃弾も、一般に普及したら見えない所からの殺人が可能になります。
誰に殺られたのかすら分からない…コンピューターのお陰で兵器は急速に進化してます。
瞬間的大量殺戮が可能な現代、日・中・韓は間違っても絶対に戦火を交えるべきでは無い。
辺り一面が血の海になります、どころか、人間の原型すら残らないのは確実でしょう。
肉体は進化しないが、兵器は幾らでも進化する。お互いにむやみな挑発はやめるべきです。
#1929[2015/05/07 22:30]  sado jo  URL 














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