シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

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もうひとつのプラスティック・メモリーズ

もうひとつのプラスティック・メモリーズ (6)

もうひとつの07

 回収されたアイラがいなくなって、一月が経ったある日の事…
 ターミナルサービス課のドアを開けて入って来た山野辺課長は、スタッフ全員にこう言った。
「今日から、みんなと一緒に働いてもらう事になった新人を紹介しよう…こっちへおいで」
 ドアの陰から、一人の少女がおずおずと出て来て、お辞儀をしながら言った。
「こんにちは、みなさん…今日からこちらの部署でお世話になりますアイラです」
「えぇ~っ!」スタッフは全員その少女を見て驚いた。それは何から何まで在りし日のアイラそのままだった。
 手を軽く上げてツカサが立ち上がったのを見て、山野辺課長はアイラに彼を紹介した。
「あそこにいるのが君のパートナーのツカサ君ね。君よりちょっと前に入った同じ新人さんだ」
「やァ、お帰りアイラ」ツカサはアイラに近寄って行って、そう声を掛けた。
「お帰り…って?初めましてじゃァ…私はあなたと会った事はないので」
「いいや、会ってるよ。アイラ…ほら、これが何よりの証拠だ。君も持ってるだろ」
 そう言ってツカサは、ポケットからオバケのキーホルダーを取り出してアイラに見せた。
「あっ!私のと同じ…私おんなじキーホルダーを持って産まれて来ました」
 そう言いながら、キーホルダーを取り出して来たアイラの手をツカサは取った。
「さァ、席に案内するよ。こっちへおいで」
「はっ…はい」

 アイラの手を引いて、自分の正面の席に座らせると、ツカサは早速持って来たアルバムを開いた。
 それは三週間分のあのアイラの思い出が、ぎっしりと詰まったアルバムだった。
 それからツカサは、いつもアイラにあのアイラとの思い出を語り、思い出の写真を見せ、撮り溜めた動画を見せ続けた。
 ツカサが作ったマニュアル通り、アイラは、あのアイラと同じようにハーブを育て、ハーブティをたてるようになった。

 ガッチャ~ン!
 と、ティカップの割れた音にみんなが振り返ると、そこには慌てふためいているアイラがいた。
「ごめんなさい。また割っちゃった」ドジな所まですっかりあのアイラに似て来た。
「あ~ぁ…これじゃ、あのアイラと瓜二つだなァ」ヤスタカがそれを見て、皮肉混じりに言った。
「ツカサァ~、何もそんなとこまで同じように教えなくていいのに~」ザックもそう言って笑った
「いや、これでいいんだよ…アイラはアイラだから」ツカサは平然として言った。
「怪我するわよ。アイラ」ミチルは席を立って、アイラの後片付けを手伝い始めた。
「さァ、シャッターチャンス!今度は九年分だ…一杯撮るぞ~」
 早速ツカサは、お尻を突き出して割れたティカップの後片付けをしているアイラを撮り始めた。
「何で、こんな格好悪い姿を撮るのよ~…ツカサ」アイラはそう言って、不満そうにツカサに言った。
「思い出を作るためだよ…いつまでも君と一緒にいるためにね」ツカサは、そう言ってむくれているアイラに微笑んだ。

~続く~

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~ Comment ~


こんにちは!

ギフティアって それぞれ生まれてきても
性格など、やっぱり人と同じで
環境などで 作られていていくのでしょうか。

それともある程度、工程途中で 組み込まれているのですか?
ドジなアイラを見て、わたしも環境からなのか?
遺伝子によるものか?と考えてしまいました 笑

アルバムを残していたツカサの気持ちが
ようやくわかりました。(遅い(汗))
#2027[2015/05/29 07:08]  yume-mi  URL  [Edit]

Re: yume-mi様 COありがとうございます^^

> ギフティアって それぞれ生まれてきても
> 性格など、やっぱり人と同じで環境などで 作られていていくのでしょうか。

人間もギフティアも、両方の要素からだと思います。
そう言えばパソコンも、同じOSでもマシンによって、或いはカスタマイズによって、動きが違って来るから不思議ですね…機械も個性を持つと言う事でしょうか?。
自分は、結構カスタマイズしますので、パソコンが自分流になってます(笑)
天然…と言うのは遺伝子よりも、大らかな環境で育ったのが大ではないかな?
#2028[2015/05/29 14:30]  sado jo  URL 

こんばんわ

外見も見た目も全く同じなら、もうテンションあがりますよね。
向こうはわけわからないでしょうが。
ここからまたスタートですね。
#2029[2015/05/29 21:48]  マウントエレファント  URL  [Edit]

Re: マウントエレファント様 COありがとうございます^^

> 外見も見た目も全く同じなら、もうテンションあがりますよね。
> 向こうはわけわからないでしょうが。ここからまたスタートですね。

そうですね。記憶を喪失する事を前提に、アルバムを準備したんですね。
思い出を教えてやる事によって、アイラは、又記憶や人格を取り戻せます。
それを辛抱強く出来るのは、やはり愛の力あっての事ですよね。
愛って素晴らしいものだと思います^^
#2030[2015/05/29 22:08]  sado jo  URL 

記憶は消えてしまいましたが、再びツカサの前にアイラが現れましたね~。
アイラ本人からしたら、色々と聞かされたり見せられたりして、
最初は驚いたりすると思いますが、徐々にまた関係を深めていければいいですね(´∀`)
#2031[2015/05/30 23:29]  ツバサ  URL 

Re: ツバサ様 COありがとうございます^^

> 記憶は消えてしまいましたが、再びツカサの前にアイラが現れましたね~。
> アイラ本人からしたら、色々と聞かされたり見せられたりして、
> 最初は驚いたりすると思いますが、徐々にまた関係を深めていければいいですね(´∀`)

好きな人が記憶喪失になったら、それでも愛さずにはいられないでしょうね。
例え、抜け殻の器にでも、苦労を承知で一生懸命語り掛けるのが人間だと思います。
愛は、記憶を失くしても消えない…それを描いてみたかったのです^^
#2032[2015/05/31 00:19]  sado jo  URL 














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