シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

「▼未来戦艦大和」
未来戦艦大和 小説本編

未来戦艦大和 第1章 「可能性の未来へ」 (3)

「お~い、遼ちゃん。こっち来なよ~…ここからだとよく見えるよ~、海」
「いずも」の飛行甲板の先端に立って、カメラを構えながら亮は遼を呼んだ。
「おい、おい…そんな甲板の先に立ってたら危ないぞ~!亮ちゃん」
「平気、平気って…このアングルからだと迫力ある写真も撮れそうだし…」
「も~ぅ…海に落ちても知らないぞ~!」
 遼は、そう言って笑いながら亮の側に行った。確かに舳先に立つと、船のスピード感をもの凄く感じる。
 切り立った船首が、白波を蹴立てながら海を切り裂いて、風がビュンビュン後ろに流れて行く。
「あれっ?前方の海…何だか光ってないか?」カメラのファインダーを覗いていた亮が、ふいにそう言った。
「そう言やァ、何か光ってるな?…何だろう?真っ昼間に海蛍なんて聞いた事もないし…」遼も不可解に思った。
 よく見ると、波を蹴立てて前進する「いずも」の前方の海面が、ぼんやりとした光を放っている。
 遼と亮が呆気に取られて見ていると、海面が一気に盛り上がって来て、うねりながら渦を巻き始めた。
「見て見て、遼ちゃん。渦潮だよっ!」亮が、珍しいものを見つけた子供の様にはしゃいだ。
「あっ?ホントだ!」遼も思わず身を乗り出した。
「凄いなァ、どんどんデカくなって行くっ!」
「あァ…でも日向灘って、こんな大きな渦潮が発生する海流の潮目ってあったっけ?」
 遼が考えている間もなく、巨大化した渦潮は、まるで「いずも」を飲み込むかのように急速に近づいて来た。
 途端に「いずも」は、難を避けるために大きく舵を切った。
「あっ!」
「ああ~っ!」

 それは一瞬の出来事だった。
 ハッ!と気が付いた時には、遼と亮の二人の体は「いずも」の飛行甲板から放り出されていた。
 ドボンッ!…と、海の中に落ちた二人は、体制を立て直す暇もなく渦の中に引き込まれて行った。
 泳ごうとしても体がぐるぐる回ってしまって、遼も亮も、ただもがくばかりでどうする事もできない。
「おいっ!亮ちゃ~ん…」遼は声にならない声をあげた。
 横に目をやると、すぐ側に体を丸めて懸命にカメラバッグを抱えている亮がいた。
(何やってんだ?アイツ…こんな時に)
 そういう自分も、いつの間にか取材用のノートパソコンの入ったバッグを抱えている事に気がついた。
(あァ、防水仕様でよかった~)そんな思いがふっと遼の頭をかすめた。
(…って、何考えてんだ~俺もっ!死ぬかも知れないって時に~!)
 人は死がさし迫って来ると何を考えるのだろうか?何とかして死と言う現実から目をそらそうとするだろう。
(人は死ぬ前には頭がおかしくなるのかなァ…まァ、そりゃ死ぬ訳だし…)
 遼がそんな事を考えている間もなく、二人は渦潮の真っ只中にどんどん飲み込まれて行った。
(あァ、とうとう俺たちは死ぬんだ…何でだよ~!)
 あきらめようにも、あきらめ切れない思いが胸をよぎった…幼い子供と妻の顔が遼の脳裏に浮かんだ。
(アイツ、俺がいなくなったらどうするんだろうな?)
 しかし、意識が遠のくにつれて、もうそんな事はどうでもよくなった。

~続く~

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~ Comment ~


こんにちは~♪
昨日お邪魔してなかったようですね・゚・(PД`q。)・゚・
病院行き疲れというのもあるようです^^;
ブログ訪問中に眠ってしまいましたーm(o´・ω・`o)mペコリン

私って時々ドジをやらかすんですよ(笑)
大目に見てやってくださいね(^_-)-☆
#2488[2015/08/19 13:59]  まり姫  URL  [Edit]

Re: まり姫様 COありがとうございます^^

> 昨日お邪魔してなかったようですね・゚・(PД`q。)・゚・
> 病院行き疲れというのもあるようです^^;

病院通いって大変ですよね~
自分も、大手術をした後の病人だからよ~く分かります。
お互いに無理をしない様にがんばりましょうね^^
#2490[2015/08/19 15:09]  sado jo  URL 

いきなりピンチですね。
非常事態にあっても、パソコンのことを考えたりする。
人間の心理をうまくとらえていますね。
#2491[2015/08/19 19:35]  マウントエレファント  URL  [Edit]

Re: マウントエレファント様 COありがとうございます^^

> 非常事態にあっても、パソコンのことを考えたりする。
> 人間の心理をうまくとらえていますね。

自分が震災に見舞われた時も、不思議にそうだったんですよ~
人間って…死を目前にすると、あらぬ事が頭の中を巡るもんですね。
やっぱり、死と言う現実を、素直に受け入れられないんでしょうか?
年老いて老衰で死ぬのなら、死を受け入れられると思うんですが(笑)
#2492[2015/08/19 19:44]  sado jo  URL 

飛行甲板の先端に立っていて、
急に舵を切られると落ちるしかないですもんね(><)
水の中で意識が遠のいてしまいましたが、
目覚めた先ではどんな光景が待っているのでしょうね。
#2493[2015/08/19 20:16]  ツバサ  URL 

Re: ツバサ様 COありがとうございます^^

> 水の中で意識が遠のいてしまいましたが、
> 目覚めた先ではどんな光景が待っているのでしょうね。

天雲遼と陣内亮は死なない…と言う前提ですね^^まァ、死ねば物語になりませんね(笑)
目覚めた先に、どんな世界が待っているのか?ついに未来戦艦大和とご対面するのか?

実は「未来戦艦大和」3話分を某小説サイトにUPしたら、読者が来るわ来るわ!大賑わい。
日本人って好きですね~♪「戦艦大和」…外国じゃァ日本軍国主義の象徴ですけどね(笑)
#2494[2015/08/19 21:02]  sado jo  URL 














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