シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

随想/論文集

元映画のプロが選ぶ「珠玉の別れのシーン」

ジバゴ ひまわり
(←)ドクトル・ジバゴの雪原の別れ (→)ひまわりのミラノ駅の別れ

およそ映画で「死に別れのシーン」を上手く撮れる監督は多い。だが「生き別れのシーン」を見事に描く監督は僅かしかいない。
観客から見ると「な~んだ、生きてるじゃないか」で終ってしまう。それを永遠の別れ以上に見せるのだから神様と言う他は無い。
その神様のベスト創作物を「幼い生き別れ」 「若い生き別れ」 「中年の生き別れ」の順にみなさんにご紹介いたします。
(▼)以下の動画は、名場面を集めた短いカット集です。お優しい女性の方は、ぜひ全部見て涙して下さい^^

【禁じられた遊び】 ~幼い二人の別れ~ ルネ・クレマン監督(1952年アカデミー賞受賞作品)
第二次大戦下のフランス。避難中にドイツ軍に親を殺され、孤児になってしまったポーレットは、ミシェルと言う少年に救われる。
ポーレットは、ミシェルの家に匿われるが、彼の家も食うのがやっとこさで、親は二人を騙してポーレットを孤児院に送る事にする。
孤児院に連れて行かれる幼いポーレットが、付添人の手を振り切って、懸命にミシェルの姿を探すラストシーンは涙を誘われます。


【ドクトル・ジバゴ】 ~若い二人の別れ~ デヴィッド・リーン監督(1965年アカデミー賞受賞作品)
ロシア革命戦争を背景にした映画。医学生で詩人のジバゴは、ふとした事から事件を起した町娘ララを自宅に匿う事になる。
二人は惹かれ合う仲になるが、革命戦争に巻き込まれた二人は離れ離れになり、再会した時は二人とも追われる身となっていた。
山小屋で身をひそめて暮らす二人の前に、母の元情夫で、ララも狙っていたコマロフスキーが現れ、危機が迫っている事を告げる。
ジバゴは身篭ったララを救う為、彼女をコマロフスキーに委ねる事にする。ソリに乗せられて去って行くララを一人で見送るジバゴ。
雪の中の切ない別れ…ララを演じたジュリー・クリスティの演技は見事でした。美人女優でもないのに世界一の美人に見えました♪


【ひまわり】 ~中年の二人の別れ~ ヴィットリオ・デ・シーカ監督(1972年アカデミー賞受賞作品)
第二次大戦が終って何年も経つのに、ミラノ駅のホームに立って戦場に行ったアントニオの帰りを待ち続けるジョバンナと言う女。
やがて彼女は、アントニオが消息を絶ったウクライナへと夫を探しに旅立つ。降りた駅の周りに広がる一面のひまわり畑が美しい。
しかし、彼女が見たものは、すでにソ連の女性と家庭を持ち、子供までいるアントニオだった。衝撃を受けて帰国するジョバンナ。
そんな彼女の元に、ソ連からアントニオが訪ねて来る。何を今更だが…愛し合いながらもミラノ駅で別れなければならない二人。
有名なミラノ駅の別れのシーン…映画史に残る珠玉の離別シーンでした。あの大柄なソフィア・ローレンが何と可愛く見えた事か♪


小さい頃、父に連れられて農協の公民館で観た有料巡回映画に(題名と監督は覚えていませんが)似た様なシーンがありました。
妻の妊娠を喜んでる夫婦の元に、一枚の召集令状が届き、夫は戦場へ出征して行く。それから三月も経たない内に戦死広報が届く。
帰って来たのは何も入ってない白木の箱だけ…悲嘆に暮れる間もなく、産まれて来る子供の為に、妻は戦死した夫の弟と再婚する。
ところが、戦争が終ってから戦死したはずの夫が復員して来る。だが、妻はすでに自分の弟と家庭を持ち、子供まで産まれていた。
あの別れのシーンには、子供ながら涙が出ました…こんな嘘みたいな事が、戦後の村でも…いや、全国各地で起きていたそうです。

上の映画監督は、いずれも巨匠中の巨匠ですが、これほど「生き別れ」を鮮やかに描くのは、もはや神業としか言い様がありません。
そう思ってよく考えたら、背景には全部戦争が絡んでるんですね~…つまり、巨匠と謳われる映画監督はこう言ってるんです。

「戦争は国家が行なう最悪の犯罪である。何十万、何百万の人を殺すだけで無く、その何十倍もの人々を不幸にする」…と。

戦争って、そこから派生する事も含めて、いい映画が撮れるネタの宝庫ですが、現実に巻き込まれた人は惨い事になってしまう。
その犯罪に手を貸そうとする議員や、一部の右傾市民は、果たして人としてのマトモな神経や、人間性を持っているのだろうか?
念の為、ネット右翼なる人達のブログを見たら、戦争を正当化する屁理屈ばかりで、人間らしい事は何一つ書かれてませんでした。
はて?人間は生きて、喜びや悲しみがあり、恋をして人を愛する。それが全然無く、ただ自分の主義主張を人に押し付けるだけ><
道理で国家が行なう犯罪に手を貸す訳です(嘲笑) 私は右でも左でも無いので、どちらが企む戦争も断固断罪いたします。

にほんブログ村 小説ブログへ
クリック応援よろしくお願いします
 


<戦後生まれの戦時第二世代の教育>
今思えば、太平洋戦争を実際に戦った世代は、とても荒い人達だったと思います。
現代なら暴力になりますが、自分の子や孫に体罰を加えたり、折檻するのは当たり前の常識でした。
親に告げ口したら「学校で先生に殴られるのは、お前が悪いからだ」 と、逆に親に怒られた記憶があります。
自分達が戦争でひどい目に遭っておきながら、何で我が子や孫、教え子にそんなひどい事をするかなァ~?
その訳が分かったのは大人になってからでした 「戦場で一歩間違えば死を招く!だから今の内に鍛えておく」
子供の頃は悪ガキだったので生傷が絶えませんでしたが、戦場で死なない様に私を殴ってくれてたんですね。
ありがたいやら、悲しいやら…どう言えばいいのか?(笑)
 
関連記事
スポンサーサイト
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼シムーン第二章 ~乙女達の祈り~
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼未来戦艦大和
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼ビーストハンター
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼クロニクル ~カルマ~
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼まぼろし
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼やさしい刑事
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼幻影の艦隊
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼その他の小説
もくじ  3kaku_s_L.png オリジナル詩集
もくじ  3kaku_s_L.png 随想/論文集
もくじ  3kaku_s_L.png 死とは何か?
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  ↑記事冒頭へ  
←日米安保条約は役に立たなかった ~米軍の後方支援をした日本人の悲劇~(1)    →未来戦艦大和 第1章 「可能性の未来へ」 (5)

~ Comment ~


こんにちは^^

どんなに正当化したところで結局は気に入らないやつは殺せの完全利己主義。
歴史は残すべきだけど繰り返すべきではありませんね。
せっかく戦争反対で戦争がテーマの作品を作ったのにこれじゃあ報われない。
犬ですら道徳を理解できるのに、犬畜生にも劣るとはまさにこのことですね(笑)。
#2594[2015/09/04 10:10]  西條すみれ  URL  [Edit]

「シェーン」は入らないですか?
#2595[2015/09/04 12:32]  しのぶもじずり  URL  [Edit]

Re: すみれ様COありがとうございます^^

> どんなに正当化したところで結局は気に入らないやつは殺せの完全利己主義。
> 歴史は残すべきだけど繰り返すべきではありませんね。
> せっかく戦争反対で戦争がテーマの作品を作ったのにこれじゃあ報われない。

「鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス」←右翼は、信長タイプの野心家が多いです。
自分が利己主義の癖に「戦争に行かないヤツは、利己的な非国民」←武藤貴也議員><
だが、戦国武将:加藤清正はこう言いました 「鳴くなら聞こう 我が領分の ホトトギス」
清正は、民の声に耳を傾ける名君だったんですね~♪ 阿部首相も見習ったら(笑)
#2596[2015/09/04 13:06]  sado jo  URL 

Re: しのぶもじずり様COありがとうございます^^

> 「シェーン」は入らないですか?

ジョーイ坊やの「シェーン カムバック!」は良かったですね~♪
でも、今回は「男女の別れ」と言うテーマで選びましたので悪しからず(陳謝)
#2597[2015/09/04 13:14]  sado jo  URL 

こんばんは
大切な人との別れは辛いものがあるなと思います。
#2598[2015/09/04 17:10]  ネリム  URL  [Edit]

Re: ネリム様COありがとうございます^^

> 大切な人との別れは辛いものがあるなと思います。

ある日、突然赤紙=召集令状が来て、家族や恋人と引裂かれるんですよね~><
それが、どれほど辛いか分かってないから「戦争に行きたくないと言う者は利己的」
なんて言えるんです…小さい頃、村の戦争体験者からたくさん話をお聞きしました。
だから、私は口が裂けてもそんな事は言えない。戦地に行く人を見送ったが今生の別れ…
二度と帰って来なかった…そんな話を山程聞きました。人間らしくありたいと思います^^
#2600[2015/09/04 18:23]  sado jo  URL 

こんばんは~♪
映画には別れのシーンで涙を誘うものが結構ありますが、紹介された映画はいずれも有名ですね(*^^)
私の印象に残ったのはドクトル・ジバコですが、女優さんの中でとてもいいなと思ったのはジェラルディン・チャップリンです。
すごく魅力的に感じましたね(*^^)

ちなみに最高傑作だと思っているのはチャールズ・チャプリンの「キッド」です(^_-)-☆
日本映画の最高傑作だと思うのは黒沢作品じゃなく山本薩夫監督の超大作「戦争と人間」ですね。
#2601[2015/09/04 19:56]  まり姫  URL  [Edit]

Re: まり姫様COありがとうございます^^

> 映画には別れのシーンで涙を誘うものが結構ありますが、紹介された映画はいずれも有名ですね(*^^)
> 日本映画の最高傑作だと思うのは黒沢作品じゃなく山本薩夫監督の超大作「戦争と人間」ですね。

「戦争と人間」は「人間の条件」と並ぶ超大作の戦争文学映画ですよね~
原作者の五味川純平さんは、実際に満州でソ連軍の猛攻に晒され、九死に一生を得た方です。
人間目線で、正確に戦争の悲惨さを捕えてらっしゃいますね…そこがいいんじゃないですか?
戦争をしている国で、正常な人間でいられるのは、現実には難しいと思います^^
#2603[2015/09/04 20:15]  sado jo  URL 

ひまわり、いいですね。
音楽もグッときます。
名作中の名作ですね。
#2604[2015/09/04 22:15]  マウントエレファント  URL  [Edit]

>「鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス」

これは20代の自分の思想でもありました(汗)

ただ、野心家というよりは自暴自棄だったが故ですね(汗)

そして自己破壊をして、病院送りになって、寝たきりで一生を過ごしたい

っていう病的なヤツでした(汗)

今は以下です

「鳴くかどうか観察してみよう。鳴きそうだと思ったら鳴かせてみよう。ダメだと思ったら、見て見ぬ振りをしよう」
#2605[2015/09/04 22:35]  blackout  URL 

Re: マウントエレファント様COありがとうございます^^

> ひまわり、いいですね。
> 音楽もグッときます。名作中の名作ですね。

ミラノ駅の別れのシーンに被るヘンリー・マンシーニの名曲が何とも言えませんね~♪
列車に乗って遠ざかるマストロヤンニを見送るソフィア・ローレンの表情…上手すぎる演技。
映画史の中で忘れる事の出来ないラストシーンでした^^
#2606[2015/09/04 22:36]  sado jo  URL 

Re: blackout様COありがとうございます^^

> >「鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス」
> これは20代の自分の思想でもありました(汗)
> ただ、野心家というよりは自暴自棄だったが故ですね(汗)

まァ、殺人衝動とか破壊衝動って、信長だけで無く誰にもありますからね~
でも、それで政治信条に凝り固まると、ヒトラーやナチスの様になってしまいます><
それを防ぐには、政治書や論文だけで無く、芸術や文藝を愛し、人を愛する事に尽きます。
面白い事に、古今東西の名君は、皆芸術や文藝を愛した。陣中でも文学書を読んでいた。
戦争の最中でも人間を失わなかった所が凄い!だから、後の世に名君と謳われたんですね。
アドルフ君が芸術を捨てなかったら、中央ヨーロッパの名君になってたんでは無いかな?
#2607[2015/09/05 00:07]  sado jo  URL 

死んで別れてしまうというのは単純に分かりやすい伝え方ですもんね。
でも、生き別れを上手く撮るというのは本当に難しいですもんね。
また会えるとか、機会があるなんて思えるようなラストだと、
悲恋の悲しさも伝わりづらいですしね(´∀`;)
#2608[2015/09/05 22:29]  ツバサ  URL 

Re: ツバサ様COありがとうございます^^

> 死んで別れてしまうというのは単純に分かりやすい伝え方ですもんね。
> でも、生き別れを上手く撮るというのは本当に難しいですもんね。

元業界のプロに言わせますとね「生き別れ」のラストシーンは難しいんです。
相当腕のいい監督で無いと、悲壮感や絶望感が、上手く出て来ないんですね。
だから「ひまわり」のデシーカ監督は凄いと思います。圧巻のラストですよ♪
あれだけで、戦争がどれほど惨いかを、ジーンと観客の胸に焼き付けましたね。
#2610[2015/09/06 00:08]  sado jo  URL 

「禁じられた遊び」、「ドクトル・ジバゴ」、「ひまわり」の
別れのシーンは忘れがたいです。
私もちょっと思い浮かべてみました。男女の別れの切ないシーン。
「蝉しぐれ(TV版)」、「(500)日のサマー」、「細雪(1983年版)、
「駅」、「荒野の決闘」・・・いま思い浮かぶのはこれだけ、
まだまだありそう。
#2707[2015/09/22 09:14]  エリアンダー  URL 

Re: エリアンダー様COありがとうございます^^

> 「禁じられた遊び」、「ドクトル・ジバゴ」、「ひまわり」の
> 別れのシーンは忘れがたいです。

愛し合う男女の別れのシーンは、なぜか心惹かれますよね。
名作と言われる映画(小説も)を輝かせているのは、そんな珠玉のシーンだと思います。
でも、観る方は感動に胸躍らせても、作る方は結構汗だくになって撮ってるんですよ(笑)
#2709[2015/09/22 14:22]  sado jo  URL 

映画を作る側は大変でしょうね。
見る側の私はここをこうしたらもっとインパクトや
感動があるのに、と脳内で自分の作ったシーンを
楽しんでいたりしますね。
#2718[2015/09/24 07:55]  エリアンダー  URL 

Re: エリアンダー様COありがとうございます^^

> 映画を作る側は大変でしょうね。

おっしゃる通りなんですよ…監督さんやプロデューサーには理想のイメージがある。
でも、実写の場合現実にはそうは行かない…で、スタッフが理想の為に奔走している。
自分の頃はそうでした…今はC.Gがあるから、さぞ楽になっただろうと思います(笑)
#2720[2015/09/24 12:48]  sado jo  URL 














管理者にだけ表示を許可する

~ Trackback ~


  ↑記事冒頭へ  
←日米安保条約は役に立たなかった ~米軍の後方支援をした日本人の悲劇~(1)    →未来戦艦大和 第1章 「可能性の未来へ」 (5)