シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

「▼未来戦艦大和」
未来戦艦大和 小説本編

未来戦艦大和 第2章 「若き連合艦隊司令長官」(5)

赤色偏移
赤色偏移した空と海(この世界で一体何が起きたのか?)

 美青年はテーブルの上にある遼と亮の持ち物を興味深そうに見渡して、やおら亮の一眼レフカメラを手に取った。
「長官っ!捕虜の持ち物に触れるのは危険です」途端に後ろに立っていた男装の女性軍人が警告を発した。
「大丈夫だよ。綾乃丞…爆発したりはしないから…」彼は後ろを振り向いて、平然と笑って言った。
 カメラを調べる彼の動作は、墺賀憲兵大尉と違ってよどみがなく、まるで機械を熟知しているような手付きだった。
 一通り、カメラを操作した彼は、隣に置いてあるカメラバッグから、亮が航空機の撮影に使う超長尺望遠レンズを取り出した。
 それがカメラのパーツである事は理解してるようだったが、どうも取り付け方が分からなくて迷っている様子だった。
「ねぇ、君…これはどうやって取り付けたらいいのかな?」青年は、ふいに顔を上げて亮に尋ねて来た。
「あ、あァ。それはまず横のボタ…いぇ、突起を押して、取り付けてあるレンズをネジって外して、それから…」
「ありがとう…ふむ、ふむ、こうすればいいんだね」
 美青年は、亮が教えた通りに超長尺望遠レンズをカメラに取り付けて、ファインダーをのぞき込んだ。
 それからカメラを構えて、部屋の中をあちらこちら見回し始めた。
 美青年がぐるぐるカメラを回すたびに、それを向けられた者たちは、全員慌てて身体を交して避けた。
 彼らには、砲身のような超長尺望遠レンズが、恐ろしい兵器にでも見えたのだろう…その様子は滑稽だった。
「ふ~ん…これはすごいな。これなら二万メートル先の艦船でも識別できそうだ」美青年は感心したように言った。
「米軍の新兵器でしょうか?」墺賀憲兵大尉が、恐る恐る青年に聞いた。
「いや、望遠鏡は兵器の内には入らないでしょう」青年はあっさりそれを否定した。
「はァ…」墺賀憲兵大尉は、キツネに抓まれたような顔をしていた。
 次に美青年は、横に置いてある遼のノートパソコンを調べ始めた。
 持ち上げて裏返したり、横に取り付けられたUSBポートに触れてみたり、興味深々のようだった。
 そして、誰にも開けられなかったカバーを苦もなく開いて、キーボードをのぞき込み、ディスプレイに目をやった。
「へぇ~…こんなに薄い文書作成機は初めて見るなァ」
「いぇ、それは文書作成機じゃなくて、パソ…いや、電子計算機です」
 遼は美青年にそう言った。英語で言うのはもう懲りていたから、あえて日本語に訳して言ったつもりだった。
「えっ!これはコンピューターなのかい?こんなに小型で薄い機械が…」
 意外な事に、彼は英語を使って驚いたようにそう言った。
「はい、そうです」遼は答えた。
「S・O・N・Y…ソニーかァ?アメリカにそんなコンピューター製作所ってあったっけ?」
「長官は英語がおできになるのですか?」墺賀憲兵大尉が怪訝そうな顔をして聞いた。
「えぇ、アメリカのマサチューセッツ工科大学に留学してましたからね…でも、ソニーなんて電子会社は聞かなかったなァ」
「あの、ソニーは日本の会社ですが…」
「貴様は黙っとれっ!捕虜のくせしてなれなれしい!」墺賀憲兵大尉が遼を怒鳴り付けた。
「まァ、いいや…これは後でゆっくり見せてもらう事にしよう」そう言って、美青年は遼のノートパソコンを閉じた。
 彼には墺賀憲兵大尉の横槍が不満だったのか?少し不機嫌そうな顔をして、隣に置いてあった遼のスマホを取り上げた。

~続く~

にほんブログ村 小説ブログへ
クリック応援よろしくお願いします
 
関連記事
スポンサーサイト
 関連カテゴリ一覧 ▼ 
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼シムーン第二章 ~乙女達の祈り~
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼未来戦艦大和
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼ビーストハンター
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼地球年代記 ~カルマ~
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼まぼろし
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼やさしい刑事
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼幻影の艦隊
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼その他の小説
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼シムーン第二章 ~乙女達の祈り~
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼未来戦艦大和
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼ビーストハンター
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼地球年代記 ~カルマ~
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼まぼろし
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼やさしい刑事
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼幻影の艦隊
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼その他の小説
もくじ  3kaku_s_L.png オリジナル詩集
もくじ  3kaku_s_L.png 随想/論文集
もくじ  3kaku_s_L.png 死とは何か?
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  ↑記事冒頭へ  
←未来戦艦大和 第2章  「若き連合艦隊司令長官」(6)    →アメリカン・フリーダム・スピリッツ
*Edit TB(0) | CO(4)

~ Comment ~


話のわかる青年の登場で、ますます話がおもしろくなってきました。
#2800[2015/10/08 20:31]  マウントエレファント  URL  [Edit]

この時代にない電化製品に触れたら、
色々な驚きがあるのでしょうね~。
恐れずに色々と触っていますが、次はスマホですね(´∀`)
#2802[2015/10/08 20:40]  ツバサ  URL 

Re: マウントエレファント様COありがとうございます^^

> 話のわかる青年の登場で、ますます話がおもしろくなってきました。

NASAの科学者も輩出している米国の一流大学に留学の経験を持つ謎めいた青年。
一桁も二桁も違う英才に見えますよね^^ 彼は何者なのでしょうか?
#2803[2015/10/08 21:33]  sado jo  URL 

Re: ツバサ様COありがとうございます^^

> この時代にない電化製品に触れたら、
> 色々な驚きがあるのでしょうね~。

一見、進歩しているかに見える千年後の異世界。タネを明かしますとね…
この世界にはパーソナルと言う概念がありません。個人は携帯すら持っていないんです。
一方、国家や企業はスーパーコンピューターを持ち、大和などの高度な戦闘艦を持ってます。
つまり、国益や企業益が第一に優先される社会…そして、彼らはある物を巡って延々と争いを続けています。そのある物とは何でしょうか?と言うのが物語のキーです^^
#2804[2015/10/08 21:55]  sado jo  URL 














管理者にだけ表示を許可する

~ Trackback ~


  ↑記事冒頭へ  
←未来戦艦大和 第2章  「若き連合艦隊司令長官」(6)    →アメリカン・フリーダム・スピリッツ