シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

「▼未来戦艦大和」
未来戦艦大和 小説本編

未来戦艦大和 第2章 「若き連合艦隊司令長官」(11)

大和CIC
まるで宇宙船のような未来戦艦大和のCIC(戦闘司令室)

「う~ん…確かに羽生長官のおっしゃる通りです」
「それなら、いっそ戦闘を避けられる場所にある艦内の船室にいて、万が一の事態になったら水上滑空艇で脱出していただくのがよろしいかと…」
「お言葉はありがたいのですが、私も亮もジャーナリストの端くれです。私たちの世界では、ジャーナリストは真実を報道する義務があります。例えそれが戦場でも…」
(この青年の言う通りなら、元の世界には帰れそうもない。それならいっそ、とことんこの世界の出来事を取材してやろうじゃないか)
「亮ちゃんはどうするんだ?安全な船室に隠れとくか?」腹を括った遼は、隣にいる亮に尋ねた。
「嫌だよ。一人で船室の中でビクビクしなきゃならないなんて…」
「じゃ、決まりだな!…羽生長官、せひ戦いを取材させて下さい」
「う~ん…困りましたねぇ、どうしても取材なさりたいのですか?」
「はい」
「それがあなた方の世界のしきたりなら仕方ないか…でも、一つ約束していただけますか?僕が「退艦」と命令…いや、指示を出したら即座に艦から脱出する事。そうして下さいますか?」
「承知しました。羽生さん…いぇ、長官のご指示に従います」

 遼と亮との話を終えた羽生は、憲兵詰め所のドアを開けて、外に立っていた警備の憲兵に声を掛けた。
「あァ、君…済まないが、みんなを呼んで来てくれないかな」
「はっ!了解いたしました。司令長官」
 しばらくして、墺賀憲兵大尉が四人の部下を連れて入って来た。
 その後には、羽生と一緒に来ていた将官らしき三人の軍人たちが続いていた。
 墺賀憲兵大尉は、自由になっている遼と亮を見るなり、とっさに腰の拳銃らしき物を抜いた。部下の憲兵もそれに倣った。
「動くなっ!貴様らっ、長官に何をしたっ!」
 墺賀憲兵大尉は血相を変えて拳銃らしき物を構えると、大きな怒鳴り声を上げた。
「長官、すぐお助けいたします…おいっ!お前らヤツらを取り押さえろ」
 だが、慌てふためいている墺賀憲兵大尉やその部下たちを尻目に、羽生は涼しい顔をして言った。
「何を慌てているんですか?憲兵大尉。このお二人は友軍ですよ」
「はァ…?」一瞬、墺賀憲兵大尉は、鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をしてキョトンとした。
「沖縄の敵地に潜入して機密情報を探っておられた海軍特務機関の方です。米軍の機密情報を掴んで脱出する途中で、水上滑空艇が敵の戦闘機の攻撃に遭って、海に投げ出されたんですよ」
「でもそれなら、なぜ今まで本当の事を言わなかった…んですか?もしや、長官。脅されているのでは?」
「ははは…脅されてなんかいませんよ。敵の機密情報は最高司令官にしか伝えてはならない…と命令を受けておられたんです。そうですよね、天雲少佐。陣内大尉」
「はっ!そうであります」
(何と上手い機転だっ!)一瞬、顔を見合わせた遼と亮は、即座に羽生の芝居に便乗して敬礼をした。

~続く~

にほんブログ村 小説ブログへ
クリック応援よろしくお願いします
 
関連記事
スポンサーサイト
 関連カテゴリ一覧 ▼ 
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼シムーン第二章 ~乙女達の祈り~
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼未来戦艦大和
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼ビーストハンター
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼地球年代記 ~カルマ~
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼まぼろし
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼やさしい刑事
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼幻影の艦隊
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼その他の小説
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼シムーン第二章 ~乙女達の祈り~
もくじ  3kaku_s_L.png ▼ゴジラ奇譚
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼未来戦艦大和
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼ビーストハンター
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼地球年代記 ~カルマ~
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼まぼろし
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼やさしい刑事
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼幻影の艦隊
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼その他の小説
もくじ  3kaku_s_L.png オリジナル詩集
もくじ  3kaku_s_L.png 随想/論文集
もくじ  3kaku_s_L.png 死とは何か?
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  ↑記事冒頭へ  
←未来戦艦大和 第2章  「若き連合艦隊司令長官」(12)    →都市攻城戦で必ず虐殺が起る理由
*Edit TB(0) | CO(8)

~ Comment ~


覚悟を決めましたね。
ジャーナリストの魂が燃えましたね。
#2953[2015/11/01 14:13]  マウントエレファント  URL  [Edit]

Re: マウントエレファント様COありがとうございます^^

> 覚悟を決めましたね。
> ジャーナリストの魂が燃えましたね。

ジャーナリストですね~…歴史に残る様な記事を書き、写真を撮りたい。
狙うのはピューリッツアー賞…あのロバート・キャパも戦場で死にました。
一歩間違えば、沢田さんとか、後藤さんみたいになってしまうんですがね。
いよいよ、遼と亮が、大和と共に世紀の戦いに乗り出しますよ~^^
#2954[2015/11/01 14:31]  sado jo  URL 

こんばんは~♪
タイムスリップしたとはいえ、そこでもジャーナリズムの精神を活かそうというのはいいことですね。
でも戦争によいとか悪いとか区別できる色はなく、正義などありません。
武器を持っていないのならそれこそ人間の尊厳を冒すなと仲裁に入ってほしいくらいですね。
#2955[2015/11/01 19:37]  まり姫  URL  [Edit]

Re: まり姫様COありがとうございます^^

> でも戦争によいとか悪いとか区別できる色はなく、正義などありません。
> 武器を持っていないのならそれこそ人間の尊厳を冒すなと仲裁に入ってほしいくらいですね。

「見てるより、助けろ」…と、人はよく言いますね。
でも、ジャーナリストには、代りに真実を取材して人々に提示するしか力が無い。
命の奪い合いを止めるか?高みの見物で済ますか?は受け取った人々の責任だと思います。
見て見ぬふりをする人が多いから、戦争は止まらない!…その気になって大勢の民衆が声を挙げれば、国家も軍も、あらゆる暴力は止められますよ^^
#2956[2015/11/01 20:17]  sado jo  URL 

帰れる保証があれば安全な場所に移るという選択肢もあったかもしれませんが、
帰れないかもしれないとなると、
どうせなら帰れないかしれないなら、
世紀の写真を撮りたいと思ってもおかしくないですしね。
無事に取材ができるといいですが……(´・ω・`)
#2957[2015/11/01 22:53]  ツバサ  URL 

Re: ツバサ様COありがとうございます^^

> 帰れないかもしれないとなると、
> 世紀の写真を撮りたいと思ってもおかしくないですしね。
> 無事に取材ができるといいですが……(´・ω・`)

岡に上がっても、憲兵に捕まって拷問されるなら、戦場の方がマシかも…ですね。
さて、歴史に残る大和の最期…あ!撃沈されたら二人とも死んでしまうのか?(笑)
若き連合艦隊司令長官、羽生大二郎を信じて地獄に飛び込むしか無いですね^^
#2959[2015/11/02 00:47]  sado jo  URL 

進むも地獄退くも地獄の場面。
ともに進むことを決断しましたか。
どうやって脱出し、どうやって元の
世界に戻れるのか。正念場ですね。
#2961[2015/11/02 07:17]    URL 

Re: COありがとうございます^^

> どうやって脱出し、どうやって元の
> 世界に戻れるのか。正念場ですね。

どうやら、遼と亮はこの戦いに明け暮れる大変な世界で生きるしかなさそうですね。
理解者は羽生ただ一人…厳しいサバイバルになりそうですね^^
#2962[2015/11/02 16:48]  sado jo  URL 














管理者にだけ表示を許可する

~ Trackback ~


  ↑記事冒頭へ  
←未来戦艦大和 第2章  「若き連合艦隊司令長官」(12)    →都市攻城戦で必ず虐殺が起る理由