シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

「▼未来戦艦大和」
未来戦艦大和 小説本編

未来戦艦大和 第2章 「若き連合艦隊司令長官」(12)

「なぁんだ…それで、敵に怪しまれないように英語の入った道具を持っていたんですね」
 飲み込みの早い草薙作戦参謀は、羽生の話を聞いて、さっそく事情を理解したようだった。
「でも、なぜ日本人なのに肌の色が黒いんでしょうか?」情報参謀の春日綾之丞が怪訝そうに羽生に尋ねた。
「あァ、それはね…お二人は長らく南方での任務に付いていて日焼けしたんだ。間違いなく日本人だよ。綾之丞」
「なるほど、そうだったんですか~」
 そのやり取りを聞いていた墺賀憲兵大尉の顔が見る見る内に青ざめていった。
 彼は、あわてて遼と亮の前に出ると、帽子を取って深々とお辞儀をした。
「申し訳ありませんでしたっ!海軍特務機関の方とはつい知らず数々のご無礼を…」
 それまでの横柄な態度が一変…ひたすら平謝りする墺賀憲兵大尉が、遼と亮にはおかしく見えた。
「この墺賀、一生の不覚…司令長官、この上は、いかような処罰でも甘んじて受けさせていただきます」
「大げさだなァ、頭を上げて下さい。墺賀憲兵大尉…貴官は忠実に任務を果たされただけですよ」
「しかし、それでは…」
「お二人の任務の性質上、行き違いがあったのは不可抗力です。憲兵大尉のせいではありませんよ…そうですよね。天雲少佐。陣内大尉」
「はい」遼と亮はそう言って墺賀憲兵大尉を許した。
「あ、そうそう…憲兵大尉。お二人が特務機関から支給された道具は返してあげて下さい。その中には今後の作戦に必要な重大な敵の機密情報が入っていますからね」
「はい、承知いたしました」
 墺賀憲兵大尉は部下たちに命じて、テーブルの上に並べてあった取材用具を、丁寧に纏めて遼と亮に返した。
「さてっと…それじゃ、艦橋の方に戻りましょうか。天雲少佐、陣内大尉、一緒に来て下さい」
「はっ、了解いたしました」

 古風な造りの憲兵隊詰め所から出ると、辺りの風景は一変した。
 連行される途中は余裕がなかった遼と亮の目には、銀色に光る艦内の壁や通路がひどく斬新に見えた。
(まるで、SF映画に出て来る宇宙船の中みたいだなァ…31世紀の未来だと言うのは本当かも知れない)
 一行は円筒状に突き出た区画の前で立ち止まった。
 女性軍人の春日情報参謀が軽く壁に手を翳すと、ドアが音もなく開いた。
「さァ、お二人とも中に入って下さい」
 遼と亮は、羽生に言われるままに円筒の中に入った。途端に一行を乗せた円盤状の床がすっ~と浮いた。
(これはエレベーターなのか?でも、天井がない…いったいどんな仕組みで動いているのだろうか?)
 最上階の司令塔に着くと、円盤状の床は自動的に停止した。ドアが開くとそこには信じられないような光景が広がっていた。
 軍事雑誌記者の遼と亮は、海上自衛隊のイージス艦の艦橋にあるCIC(戦闘指揮所)を取材させてもらった事があった。
 もちろんCICの内部は多くの軍事機密のベールに包まれており、当然のごとく、取材も写真撮影も限定的に制限されている。
 だが、多くの軍事情報に携わって来た二人には、どれがレーダーで、どれが火器管制システムなのかはおおよその見当が付く。
 ところが、この艦の広い司令塔にズラリと並んでいるCICシステムは、彼らにはどれもこれも見た事のないものばかりだった。
(何だ、これは?…イージス艦のCICとはまったく違う!まるで、SF映画に出て来る宇宙船「エンタープライズ号」のデッキみたいじゃないか?)
 しかし、遼と亮が驚いたのは未知のCICシステムばかりではなかった。さらに驚くべき光景が目の前に広がっていたのだった。

~続く~

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<未来戦艦大和 第2章:激闘 坊の岬沖海戦!予告>
「天一号特攻作戦」の発動により、沖縄に向けて南下する「未来戦艦大和」以下、連合艦隊の生き残り9隻から成る艦隊。
これを迎え撃つアメリカ海軍機動部隊のスプルバンス司令官は、400機からなる攻撃隊を放って日本艦隊を葬ろうとする。
圧倒的な物量に勝るアメリカ軍!…敵艦載機の大編隊を、若き連合艦隊司令長官・羽生は如何なる策をもって防ぐのか?
待った無しの危機に晒される「未来戦艦大和」と現代の日本から来た遼と亮…早くも前半の見せ場となる「坊の岬沖海戦」
凄まじいまでの米軍艦載機の猛攻の前に、この異世界の戦艦大和も、海の藻屑と消え去ってしまうのだろうか?
 
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態度急転ですね。
忠誠心の強い人は、ある意味純粋なのかも。
#2963[2015/11/03 15:17]  マウントエレファント  URL  [Edit]

Re: マウントエレファント様COありがとうございます^^

> 態度急転ですね。
> 忠誠心の強い人は、ある意味純粋なのかも。

忠誠心と言うより、ただ権力におもねって生きてる単純な人間かも知れませんよ。
最近、墺賀憲兵大尉みたいなのが増えて来ましたね…純粋と言うか?バカと言うか?
寄らば大樹。お上に従う自分本位。正邪の判別不能…日本は大丈夫かな~?(笑)
#2964[2015/11/03 15:40]  sado jo  URL 

こんばんは~♪
どうも軍隊にはなじめません。
所詮軍隊は自国民をまもっ来なかったという厳然たる歴史的事実がありますから、どんなに美化しても私は軍隊の存在自体を否定したいですね。
ストーリーとしては面白いかもしれませんが、未来社会でも同様、いっさいの武器を認めたくないです。
#2965[2015/11/03 19:15]  まり姫  URL  [Edit]

Re: まり姫様COありがとうございます^^

> どうも軍隊にはなじめません。
> 所詮軍隊は自国民をまもっ来なかったという厳然たる歴史的事実があります

軍を掌握する者が、国民を支配して来た…と言うのが歴史の真実ですからね^^
しかし反面、国民が強い軍を持つ権力者を支持した…と言う事実もあります。
それで権力者に好きな様にされたならば、国民の自業自得と言う事になります。
この構図を止めない限り、第二第三のヒトラーや東條英機が出て来るでしょう。
#2966[2015/11/03 19:43]  sado jo  URL 

艦名が同じ大和であっても、艦内の設備などは、
まったくと言っていい程違うようですね~。
こちらの世界から飛ばされた二人としては驚きの連続でしょうね(´∀`;)
#2967[2015/11/03 21:28]  ツバサ  URL 

Re: ツバサ様COありがとうございます^^

> 艦名が同じ大和であっても、艦内の設備などは、
> まったくと言っていい程違うようですね~。

異世界の日本人も日本人ですから「大和」と言う名を付けるのは理解できますね。
さて、この大和…実は量子エンジンで動いてます(ありゃ、ネタバレだったかな)笑
そうなると、まだ見ぬ機能も備えてそうですね。事によると主砲も違うのかな?^^
#2968[2015/11/03 21:42]  sado jo  URL 














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