シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

「▼未来戦艦大和」
未来戦艦大和 小説本編

未来戦艦大和 第3章 「沖縄水上特攻作戦」(2)

「と、言いますと?」
「来島参謀長。6時57分に駆逐艦の朝霜から機関の故障で遅れる…と言う連絡が入りましたよね」
「はァ、現在、後方から我が艦隊の後を追って来ているものと思われますが…」
「まもなく坊の岬を過ぎて洋上に出ます。もし、単艦でいる所を敵の艦載機に狙われたらどうなるか?」
「水雷戦を主目的に建造された駆逐艦には、充分な防空戦闘能力はありませんね」
「そう言う事です…よろしいですね。艦長」
「はっ!承知いたしました。司令長官」
 羽生は有馬艦長の了解を得ると、さっそく通信士の傍らに行って命じた。
「君、次の電文を駆逐艦の朝霜に打ってくれないか」
「はっ!了解いたしました。司令長官」
「宛:第21駆逐司令 小滝大佐 ただちに本艦隊への追尾を中止して佐世保に帰到せよ 附:連合艦隊司令長官 羽生大二郎」
 通信士はすぐに羽生に言われた通りの電文を打ち出した。だが、その送信方法は何とモールス信号だった。
(これほどのすごいテクノロジーを持ちながら、なぜモールス信号なんか使うのだろうか?データ通信はできないのか?この世界の仕組みがよく分からない)
 遼は不思議に思った。彼が抱いた素朴な疑問は、後にこの世界の通信事情を羽生から聞いて解ける事になった。
 ともあれ、羽生の取った行動は、遼と亮にとって彼を信頼のおけるよい指揮官だと思わせるに充分だった。
 羽生は、遼が見せた資料を生かして人命を救おうとしているのだ。二人は人の命を大事にする彼にいたく好感を感じた。

 無事に通信文を送った羽生は、遼と亮を成海航海長に紹介した。
「ご紹介します。成海中佐…海軍特務機関の雨雲少佐と陣内大尉です」
「よろしくお願いします」
 遼と亮が敬礼すると、成海航海長は耳に着けていたレシーバーを外し、屈託なく手を差し出して握手を求めて来た。
「やァ、こちらこそよろしく。少し、海がシケてるので乗り心地はよくないかもしれませんが…戦艦は初めてですか?」
「えぇ、空母…かな?には乗った事がありますが、こんなに大きな戦艦に乗るのは初めてです」
「あァ、空母か~…あれの戦闘司令室は狭っ苦しいからな~、ここは広いでしょう」
「えぇ、随分…それにすごい機器が揃ってますね~」
 確かに、遼と亮が取材で乗ったDDH護衛艦「いずも」のCICとは比べものにならないくらい大和のCICは広かった。
 それに、ずらりと並んだ未知の機器は、どれもこれもまるで未来の宇宙船が備えている設備のように見える。
「あァ、全部量子システムで構成されてますからね。演算速度は速いです。でも、それを扱うのが人間ですからね。神経の方が追っつかない」
「へぇ~…やっぱり勝負を決めるのは人次第って事ですか?」
 亮がいかにもカメラマンらしい事を言った。どんなにカメラが進歩しても、いい写真が撮れるか?撮れないか?は人の腕次第だからだ。
「こればっかりはね~…今も昔も、最後に決めるのは人間だって事ですよ」
 遼と亮は、何だか成海航海長の言葉に妙に納得した。どんなに科学が進歩しても、最終的には人間なのだ。

~続く~

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~ Comment ~


こんにちは^^

石油から衣類を作ったり石や鉄から人殺しの道具を作ったり
何をどうするかは昔から人次第ですね。
ダイナマイトももともとは殺人の道具ではなかったのに
こんな使われ方をされるなんてノーベルもさぞ悲しんだことでしょう。
#3052[2015/11/21 09:21]  西條すみれ  URL 

Re: すみれ様COありがとうございます^^

> 石油から衣類を作ったり石や鉄から人殺しの道具を作ったり
> 何をどうするかは昔から人次第ですね。

確かに、何をどうするか?決めるのは人次第です。
けれど、人は自分の為だけに生きているのでは無い…人は常に周囲と繋がっています。
自分本位な事をして周囲に害を及ぼせば、自身が滅ぶのみならず、種の滅亡に及びます。
人は自分だけで生きてるのでは無く、周囲と繋がって初めて生きられる端末機器なんです。
#3053[2015/11/21 11:52]  sado jo  URL 

通信事情がどうのようなものなのか。
この世界の仕組みに大きく関わっているような感じですね。
#3054[2015/11/21 16:03]  マウントエレファント  URL  [Edit]

フライングかもしれませんが(汗)

おそらく、この世界の通信技術は相当に高度な気がします

それゆえ、その暗号解読技術や傍受技術なんかもイタチごっこ状態なのかなと

なので、その盲点を突く形でモールス信号を採用しているんではないかと推測しましたw

アナログなもの、人間の感覚なんかもこれにあたると思いますが、これを機械で完璧に再現するのは、実質不可能と思う今日この頃
#3055[2015/11/21 16:22]  blackout  URL 

Re: マウントエレファント様COありがとうございます^^

> 通信事情がどうのようなものなのか。
> この世界の仕組みに大きく関わっているような感じですね。

艦内の設備を見る限り、高度な科学的進歩を遂げた世界の様に見えます。
しかしその実、古いものがそのまま残っていますね。なぜなのでしょうか?
その驚くべき事情は、小説の中で徐々に明かして行く予定でいます^^
#3056[2015/11/21 16:30]  sado jo  URL 

Re: blackout様COありがとうございます^^

> アナログなもの、人間の感覚なんかもこれにあたると思いますが、これを機械で完璧に再現するのは、実質不可能と思う今日この頃

アナログとはいい所に気付かれましたね^^
もしや、この世界は科学の極限まで行って、それが何かの事情で完全に崩壊して、アナログを必要とする様になったのでは無いか?
例えば、空や海の色が赤く、大気も濃密で湿度が高い…そんな話が以前に出て来ました。
過去と未来が入り混じってしまったその事情とは何か?…続きをお楽しみ下さい^^
#3057[2015/11/21 16:39]  sado jo  URL 

こんばんは~♪
科学技術は所詮人間が作り出し、発達したものですから自然界の力を超えることはできません。
現に原子力エネルギーの暴走が一度始まったら人類はそれをコントロールする術を70年以上も持ち合わせていません。
どんなに突破しようと試みてもできないものがあることを未来社会の人類が気が付いているのか知りたいものです。
それ何かを知ればバカな武力行使も地球上からなくせるでしょう。
#3058[2015/11/21 18:07]  まり姫  URL  [Edit]

Re: まり姫様COありがとうございます^^

> 科学技術は所詮人間が作り出し、発達したものですから自然界の力を超えることはできません。
> 現に原子力エネルギーの暴走が一度始まったら人類はそれをコントロールする術を70年以上も持ち合わせていません。

科学技術は、自然を自分達の都合のいい様に使う(改造する)試みから始まります。
そうやって出来た技術品は、どう足掻いても自然から得た自然の一部に過ぎません。
人は自然から一歩たりとも出られるものでは無い…それを過信すると災いになります。
機械は鉄と言う自然物の加工品。スマホやPCも自然物の加工品。ウランもそうです。
原発が暴走したら、人が自然物の取り扱いを誤った自業自得になりますね(笑)
#3059[2015/11/21 18:26]  sado jo  URL 

モールス信号で通信というのは確かに気になるところですね。
技術的には進んでいるように見えても、
古い技術も使っている理由が気になりますね(´・ω・`)
#3060[2015/11/21 23:44]  ツバサ  URL 

Re: ツバサ様COありがとうございます^^

> 技術的には進んでいるように見えても、
> 古い技術も使っている理由が気になりますね(´・ω・`)

この世界は、ある時期に科学力がピークに達して、そこからなぜか衰退しています。
古い技術が復活して、過去と未来が混在した複雑怪奇な世界になってるんですね。
その理由は複合的なものですが、ある時期を境に何かが起こった事は確かです。
もちろん、日本にもね…それは小説の中で徐々に解き明かしていく予定でいます^^
#3061[2015/11/22 00:42]  sado jo  URL 

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#3086[2015/11/26 20:57]     

Re: s様COありがとうございます^^

う~ん…衝撃的な異世界の日本の様相を描く!その段で下書きが止まってます。
ネタもストーリーもあるのに、どう表現したら一番効果的か?悩んでしまってます><
特にそれが、序盤、中盤、終盤の大きなカギになりますのでね。心臓部と言っていい。
作り方次第で、せっかくの話がつまらないものになるんです。困りましたね~(笑)
#3087[2015/11/26 22:14]  sado jo  URL 














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