シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

「▼未来戦艦大和」
未来戦艦大和 小説本編

未来戦艦大和 第3章 「沖縄水上特攻作戦」(8)

「あの…雨雲少佐と陣内大尉の着替えを持ってまいりましたので、艦内ではこちらに着替えて下さい」
 そう言って、少年は持って来た着替えを遼と亮に差し出した。
「あァ、ありがとう」遼は少年に礼を言って、着替えを受け取った。
 二人が少年に手渡された着替えは、彼や乗組員たちが着ているダイバースーツのような服と同じものだった。
 だが遼と亮には、どう着たらいいのか?着用の仕方が分からなかった。まごまごしている二人を見て少年は言った。
「よろしければお手伝いさせていただきます」
「あァ、頼むよ…余り着慣れてないもんでね」遼はそう言ってごまかした。
「そうですよね。特務機関の方はあんまり耐熱防護服なんて着る機会はないですもんね」
「あァ、そうだな…軍人らしくない格好ばっかりだからね」
「いぇ、そんな事はありませんよ。自分にとっては特務機関の方はすごく尊敬する軍人さんなんです」
「ほう、どうして?」
「だって、真っ先に敵地に潜入して、命懸けで敵の情報を探るんでしょ…普通の兵隊にはできない仕事ですから」
「そんなカッコいいもんじゃないけどね」
「いぇ、カッコいいです。危険を冒して味方を勝利に導く任務なんて、軍人なら誰でもあこがれますよ」
「そうかね~…命懸けの仕事ってそんなにカッコいいもんかな」
「ねぇ、どこで活躍されてたんですか?ソロモン諸島ですか?それともマレー半島とかジャワ方面とかですか?」
「う~ん」少年にそう問われた遼は、さすがに困ってしまった。
「あ、申し訳ありません。つい特務機関の方に会って興奮してしまって…軍事機密を聞いちゃいけないんでしたよね」
 二人の困っている様子を察した少年は、深々と頭を下げて謝った。
「いやいや、そう恐縮して謝らなくてもいいよ」
「お許し下さい。もう二度と軍規違反を犯すような事はいたしませんから」
 そう言うと、少年は黙りこくって遼と亮の着替えを手伝い始めた。

 遼は何となく自分の少年時代を思い起こした。戦闘機や軍艦や戦車などの兵器にあこがれて、よくプラモデルをこしらえた。
 軍事物の漫画を見たり小説を読んでる内に、いつしか軍事に関る仕事をしたいと思うようになり、軍事雑誌の記者になった。
 写真を撮るのが好きだった亮は報道カメラマンになりたかったそうだ。子供の頃は、カメラマンのカッコよさに随分あこがれた。
 どうせなるなら、戦場を駆け巡るカメラマンになってピューリッツァー賞を取りたい…なんて夢を抱いていたと聞いた事もある。
 だが、現実はそうは行かない…大人になってたくさんの戦場カメラマンの死を見て、さすがに亮もビビッてしまったらしい。
 男の子って、世の中の現実を知らない子供の頃は、何となくカッコいいものや、勇ましいものにあこがれたりするものだ。
 そうして、大人になってから夢と現実の折り合いを付ける…まァ、二人とも軍事に携われるほどほどの場所に落ち着いた訳だ。
 そんな自分たちが違う世界とは言え、まさか本物の戦争に関る運命になろうとは、今日の今日まで想像だにしなかった。

~続く~

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~ Comment ~


死力を尽くすことと死ぬことは別ですからね。
常に死と隣り合わせの世界にいるとその緊張感からかっこいいと思う余裕はないでしょう。
命を張ってまで殺し合う意味があるのか。
辛いことですが、戦争をしないためにも死と真剣に向き合わないといけない時期かな。
#4214[2016/05/13 09:22]  西條すみれ  URL 

Re: すみれ様COありがとうございます^^

> 常に死と隣り合わせの世界にいるとその緊張感からかっこいいと思う余裕はないでしょう。
> 命を張ってまで殺し合う意味があるのか。
> 辛いことですが、戦争をしないためにも死と真剣に向き合わないといけない時期かな。

軍隊は行軍してる時や、兵器を見せびらかしてる時は、カッコよく見えるものです。
でも、いざ兵器を使う戦場に身を置くと、カッコ良くも何も無い…生きるか!死ぬか!
さっきまで生きてた戦友達が、血を噴出してバタバタ死ぬ…父に聞いた戦場とはそんな場所。
ま…訳も分からず勇ましい事を言うネトウヨには、その体験をさせた方がいいかもね(笑)
#4215[2016/05/13 12:03]  sado jo  URL 

子供の頃に憧れていたからといって、
まさか異世界の戦争に巻き込まれるなんて夢にも思わなかったでしょうしね^^;
異世界という場所で巻き込まれた二人ですがちゃんと帰れるか気になります。
#4219[2016/05/14 19:39]  ツバサ  URL 

Re: ツバサ様COありがとうございます^^

> まさか異世界の戦争に巻き込まれるなんて夢にも思わなかったでしょうしね^^;
> 異世界という場所で巻き込まれた二人ですがちゃんと帰れるか気になります。

量子論では、素粒子の運動を利用して、物体を瞬間移動させる事は理論上可能だそうです。
映画「スタートレック」などがそうです。だだ、現実的には時空の座標が観測不能な以上、
どこに飛んで行くか分からない(笑)…元の世界(座標)が観測出来れば、帰れるかもです。
#4220[2016/05/14 20:54]  sado jo  URL 

男の人て、なぜ、勇ましいことに、憧れるのでしょう?
狩りとか、外敵から守るとか、そんな本能なのでしょうか?
小さい頃だけでなくって、大人になっても、求めているような、気がします。

勇ましい男性を見て、恰好良い、て感じる女性、いるみたいですけど。
今の日本では、本当の、勇ましい姿、見せる機会て、そんなにない、ので。
無謀と、勇猛は、違う、て思ってしまうのですよ~

かしこ
#4221[2016/05/15 00:36]  みかんゼリー  URL 

Re: みかんゼリー様COありがとうございます^^

> 男の人て、なぜ、勇ましいことに、憧れるのでしょう?
> 狩りとか、外敵から守るとか、そんな本能なのでしょうか?
> 小さい頃だけでなくって、大人になっても、求めているような、気がします。

男の狩りの本能と、良き配偶相手を獲得する為の闘争本能は、人間が獣だった時代から受け継がれたものです。これだけはどうしようも無いのです><…嫌ぁね~(笑)
ま、本性は知性を持つ野獣…でも、大人になっても野獣癖が抜けないのは困ったものです。
爪や牙ならまだしも、殺戮兵器を振り回す野獣では、大勢の人を犠牲にしてしまいますよ><
狩りをしたいなら、食べる分だけ狩れ!それと配偶者は一人だけにしておけ…ゲス男君(笑)
#4222[2016/05/15 01:26]  sado jo  URL 














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