シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

「▼未来戦艦大和」
未来戦艦大和 小説本編

未来戦艦大和 第3章 「沖縄水上特攻作戦」(9)

大和03

坊の岬に吹く風は ただひゅうひゅうと泣いて吹く
坊の岬に降る雨は 流れ落ちる悲しい涙の味がする
坊の岬に寄せる波は 失われた男たちの魂を運んでくる
お国のために死んでくれ と告げられた多くの者たちの
無念の思いと未練が 坊の岬にはただよっている
 

「戦闘司令室においで下さい。面白いものが見られますよ」
 羽生からの突然の連絡を受けて、遼と亮は船室を出た。
 二人の世話係を命じられた内田伍長と言う少年兵が着せてくれた、耐熱防護服なるスーツは驚くほど快適だった。
 外は蒸せるほど湿気が多く、身体に密着したスーツは汗をかくのではないか?と思っていたが意外に汗をかかないのだ。
 どんな繊維でできているのか?どんな構造になっているのか?なぜ耐熱防護服なのか?二人にはさっぱり分からなかった。
 頭に、階級章が付いている戦闘帽を被ったが、その帽子には、なぜかサングラスの様な色の濃いゴーグルが付いていた。
 二人は内田伍長に付けてもらった腰のフックをぶら下げ、腕に特務機関を表す腕章を巻いて、戦闘司令室に向かった。
 すると、船内の通路を歩く道すがら、遼と亮の姿を見た乗組員たちが…それも、上級将校までが、直立して敬礼をして来た。
 軽く敬礼を返し、乗組員たちの様子を見ながら遼は思った(あの少年の言う通り、我々はかなり尊敬されているらしい)
 確かに、敵地に潜入して情報を探り、破壊工作をする特務機関は、どの軍にあっても階級を越えて尊敬される立場ではある。
 しかも、味方の陣内のどこでも出入りの自由が許される。羽生は、遼と亮が取材に困らないように取り計らったのだった。
 だが遼には、羽生の粋な取り計らいが何となく重く感じられた。特務機関員らしく振舞うのは、なかなか難しそうな気がした。

 戦艦大和の戦闘司令室は、ピリピリと緊張した空気が漂っていた。
「まもなく坊の岬の合流地点に差し掛かります」
 フォログラフに映し出された海図を見ながら、成海航海長が言った。
「了解しました。ゆっくり速度を落として下さい」それを聞いた羽生は、有馬艦長に告げた。
「両舷微速。ようそろ~…周囲を警戒しろ」有馬艦長が命じた。
 大和以下の艦隊は、徐々に速度を落としながら、何かを待つように洋上に停止した。
「信号を確認っ!友軍です」しばらくの緊張の後に通信士が艦長に告げた。
「そうか…予定通り来たか」有馬艦長がつぶやくように言った。
「お二人とも海上をごらん下さい」
 羽生が大和の横の海面を指差しながら、遼と亮にささやくように言った。

~続く~

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~ Comment ~


お国のためにとは違いますが、失うものが何もない所謂「無敵の人」というのがいて
職も愛する人も何もない人がテロに加担するって話を聞きますね。まさに生きる爆弾です。
当時の愛国心とは真逆の社会が生んだ闇と言えるでしょう。
もっと前から個人も組織も国も命と向き合うべきでした。
#4237[2016/05/18 09:41]  西條すみれ  URL 

Re: すみれ様COありがとうございます^^

> お国のためにとは違いますが、失うものが何もない所謂「無敵の人」というのがいて
> 職も愛する人も何もない人がテロに加担するって話を聞きますね。まさに生きる爆弾です。
> 当時の愛国心とは真逆の社会が生んだ闇と言えるでしょう。

「恐いもの知らず」「ヤケのやんぱち」「死にたがり」…ヤクザなんかがそうですね(笑)
そんな人間の困った所は、一人で死ねない事…誰かを道連れにしなきゃ死ねない弱さです。
結局、心の奥底では何かの繋がりを求めてる…本性は寂しすぎる人って事になるんですよ。
戦争したがりのどこかの総理大臣さん…国民を道連れにせずに、一人で死んで下さい(笑)
#4238[2016/05/18 13:43]  sado jo  URL 

こんにちは~♪
いつもありがとうございます^^
今日は雲一つない快晴の日で気温がぐんぐん上がっています。
屋内でも23度で、外だと直射日光がつよくもっと暑いかもしれません。
いよいよ熱中症に気を付ける時期が来たようですーε-(o´_`o)ハァ・・

>戦争したがりのどこかの総理大臣さん…国民を道連れにせずに、一人で死んで下さい・・・
大賛成ですねヾ(@^(∞)^@)ノ
#4239[2016/05/18 16:20]  まり姫  URL  [Edit]

Re: まり姫様COありがとうございます^^

> >戦争したがりのどこかの総理大臣さん…国民を道連れにせずに、一人で死んで下さい・・・
> 大賛成ですねヾ(@^(∞)^@)ノ

ははは…やっぱりそこですか(笑)
前から不条理に思うんですが、国に限らず組織の指導者って、何で人を道連れにしたがるのか?
戦争にしろ何にしろ、好きな者だけ集めてやりゃぁいいじゃないか?嫌いな者だっているんだ。
個人の意思と、国の意思がバラバラなのが先の戦争の悲劇を生む…人の世は理不尽ですよ><
#4240[2016/05/18 17:06]  sado jo  URL 

元はジャーナリストなので、
特務機関の人間らしく振る舞うのも大変ですね。
演技するのも一苦労です^^;
#4241[2016/05/18 20:09]  ツバサ  URL 

Re: ツバサ様COありがとうございます^^

> 元はジャーナリストなので、
> 特務機関の人間らしく振る舞うのも大変ですね。

まぁ、二人は我々の世界から来た人間で、この異世界の事情は余り知りませんからね。
ただ、同時に水兵達も特務機関の事を知りませんから、上手く化けるしかなさそうです。
二人の秘密を知ってるのは、羽生だけって所が小説のミソでもあります(笑)
#4242[2016/05/18 20:22]  sado jo  URL 

こんばんは!

耐熱防護服って着心地も良さそうで
わたしも欲しいです(笑)
最近の湿気の多さで体調も落ち気味・・・・(>。<;)

2人はこの後何をみるのでしょうか?^^
#4243[2016/05/18 22:17]  ミノリ  URL  [Edit]

Re: ミノリ様COありがとうございます^^

> 耐熱防護服って着心地も良さそうでわたしも欲しいです(笑)
> 2人はこの後何をみるのでしょうか?^^

ははは…耐熱防護服って、多分戦闘に必要だからそうなってると思います。
でも、船上で闘う水兵がなぜ耐熱防護なのか?それはミラー状の銀の船体とも関係ありそうです。
普通、戦闘艦ならカモフラージュの為、そんな目立つ色をしてないですよね?…その辺りからこの未来の異世界の主力兵器を推理してみて下さい^^
さて、二人の目の前には何が現れるのでしょうか?
#4244[2016/05/18 22:48]  sado jo  URL 














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