シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

「▼未来戦艦大和」
未来戦艦大和 小説本編

未来戦艦大和 第3章 「沖縄水上特攻作戦」(10)

 二人が海上に目をやると、ざわめき立つ海面を割って、ゆっくりと巨大な影が現れた。
 一隻、二隻…次々と浮かび上がって来た真っ黒い影は、全部で九隻…しかもそれぞれに大きさが違っていた。
(もしや潜水艦?…あれは潜水艦なのか?けれども、我々の世界の歴史では、天一号作戦に潜水艦が…それも、こんなにたくさん参戦した記録はどこにもない。やはり、我々の世界とこの世界では、何かが少し違っているのだろうか?…それに羽生は、今は3016年だと言っていた。なぜ、そんな未来に潜水艦と言う旧時代の兵器が存在しているのだろうか?)
 遼は不思議に思いながら、海上に目を凝らした。

 それは、遼と亮がいた世界の潜水艦とは少しばかり形状が異っていた。
 大和以下の水上艦隊の船体が銀色なのは、いかにも未来的だったが、この潜水艦の船体は遼と亮の世界と同様に漆黒だった。
 その点では確かに潜水艦らしい…だが、水面に出ている船首は尖がっていて、船体全体が大和と同じ様にズングリしている。
 一番大きな潜水艦は、重巡洋艦ほどの大きさがあり、戦車の砲塔のような司令塔からは、二門の大きな砲が突き出していた。
 司令塔の前後にも砲塔があり、甲板には、魚雷を思わせるような小型の潜水艇を四隻搭載し、最後部には尾ひれが付いていた。
 駆逐艦よりも一回り大きな潜水艦もあり、戦車砲のような砲を付けた司令塔と、二隻の魚雷型潜水艇を積んでいるのが見えた。
 フリゲート艦クラスの小さな潜水艦からは、カヌーの様な腕が横に二本伸びていて、同じ魚雷型潜水艇が取り付けられていた。
 遼と亮には、その潜水艦隊がまるで武装した巨大なシャチの群れのように見えた。そう…群れで獲物を襲うシャチのような。
 だが、普通の潜水艦は単独で隠密行動を取り、獲物を見つけては狙って仕留める。それが潜水艦の常識的な戦法のはずなのだ。
 遼と亮がいた世界では、潜水艦が艦隊を組むなどと言う事はほとんどあり得ない。やはり、その点でもこの世界は違っていた。
 後に二人は、潜水艦に艦隊行動を取らせる戦法は、実は羽生自身がある目的のために考案したものである事を知る事になる。
 羽生は、潜水艦を集めてそれぞれの役割を与え、この戦いで水中における一種の機動部隊として運用しようとしていたのだ。
 追い詰められた日本に現れた若き連合艦隊司令長官、羽生大二郎…その天才ぶりを、遼と亮はまもなく目の当りにする事になるのだった。

 イ-58と書かれた大きな潜水艦の司令塔に数人の男たちが現れた。
 司令官らしい小柄な人物が、部下に命じて探照灯を大和に向けさせ、何か発光信号を送り始めた。

「橋本中佐から信号です。本艦隊を追跡していた敵潜水艦を沈めたと…」通信士がそう報告した。
「それはありがたい。金魚の糞みたいにくっ付かれて、一々艦隊の位置を敵に報告されてはたまらんからな」
「えぇ、まずは邪魔者を排除できて一安心ではありますが…敵はすでに我々の行動を察知してますからね」
「そうですね…敵の偵察機が何度も様子をうかがいに来てますし、進路を偽装するのも限界かと」
 来島参謀長と草薙作戦参謀、それに春日情報参謀のやりとりを聞いていた羽生は言った。
「そうだな。橋本中佐との作戦打ち合わせを終えたら洋上に出る事にしよう」
 三人の参謀にそう答えた羽生の顔には決意がみなぎっていた。

~続く~

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<面白いコメントがあったので解説します>
およそ軍需産業と言うのは、単に兵器だけで無く、基地の設備から兵士の消耗品に至るまで、たくさんの企業が関っています。
それは国民の税金=国防費で、国が企業に支払ってくれる美味しい商売…ある意味、軍需企業は国に巣食う蛆の様なものです。
ところが、あるIT企業のCEOはこう言います「軍からの受注は、却って企業にとって足枷になり兼ねない」その意味が解りますか?
軍のITシステムの受注を受けて、それを艦船や戦闘機に組み込みます。ところが、僅かの間にそのITは旧式になってしまいます。
民間は進化が早いから、急速に更新される…けれども、軍はそれを維持する必要がある。勢い、旧式部門を残さなきゃならない。
戦争は科学の進歩を促した…と言うのは幻想に過ぎず、逆に、軍事は科学の進歩を妨げていた…と言うのが真実らしいのです。
これは、企業にとって無駄以外の何ものでも無く…つまり、最新鋭イージス艦のITシステムは、あなたのスマホより古いんです。
どこが最新鋭なんだか?いっそ、スマホを数百台集めて連結した方が遥かに優れたイージスシステムになるかも知れません(笑)
 
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~ Comment ~


潜水艦は艦隊を組まないのが相手の常識なら確実に潰せますもんね。
単独で向かうとやられた場合のバックアップに時間がかかる。
潜水艦に限らずやはり今でこそ新しい発想は大事だと思いますね。
#4245[2016/05/20 09:21]  西條すみれ  URL 

Re: すみれ様COありがとうございます^^

実は、潜水艦は膨大な開発費を掛けなくとも、それ自体がステルスなんです。
衛星もレーダーにも捕まらない…なら、無人機や弾道ミサイル、巡航ミサイルなど、ありとあらゆる空中兵器を射出出来る潜水空母を開発し、対空イージス潜水艦を周囲に配置して潜水機動部隊を編成する。
仮に、こんな潜水艦隊があれば、アメリカ御自慢の水上機動部隊は何の役にも立たない。
世界の7割以上は海です…空では無く、海を制する者が世界を制するなら、無意味な戦闘機開発に血道を上げるアメリカの軍事的方向性は間違っている…と思う事がしばしばあります(笑)
#4246[2016/05/20 13:44]  sado jo  URL 

こんにちは~♪
漫画チックですねー(笑)
所詮絵に描いた餅程度のものにしか思えません。
仮にできたとしても人間が考えるものですからエスカレートするだけで、いずれは破たんするでしょうね。
#4247[2016/05/20 16:36]  まり姫  URL  [Edit]

Re: まり姫様COありがとうございます^^

> 漫画チックですねー(笑)
> 所詮絵に描いた餅程度のものにしか思えません。
> 仮にできたとしても人間が考えるものですからエスカレートするだけで、いずれは破たんするでしょうね。

そうですね…所詮、人間のやる軍拡競争は絵に描いた餅です。自分はそれを知って言ってます。
ちなみに、20世紀初頭と現代と比較して、兵器の価格がどれだけ上昇してるかご存知ですか?
何と平均600倍です…核ミサイルや空母一隻作るだけで、小国の国民を一年間養う事が出来る。
その兵器を使って戦争すると、どんな大国でも国家が破綻して国民は乞食になる…馬鹿げてる><
#4248[2016/05/20 17:32]  sado jo  URL 

イギリスの、M級潜水艦、思い出しました。
空母、一隻、建造して、維持するよりも。
潜水艦の、艦隊の方が、コストは、安く済みそうですね。
兵装次第では、高い抑止力、持つし。

かしこ
#4249[2016/05/21 00:01]  みかんゼリー  URL 

Re: みかんゼリー様COありがとうございます^^

懐かしい♪…大戦前、戦艦級の主砲を備えた特異型。日本ではイ-400型と言う特異型もあった。
潜水艦は工夫次第では、海の最強の兵器になる可能性があります…何せ見えないんだから(笑)
実際米空母群は、他国の多数の潜水艦に取り囲まれて、対艦ミサイルを撃たれたら終わりです。
だから自衛隊を駆出し、対潜哨戒にやっきになってます。艦隊規模で来られたら厄介な相手です。
ただ、潜水艦は見せびらかす事が出来ないのが欠点…抑止力として見えませんからね~(笑)
#4250[2016/05/21 00:27]  sado jo  URL 

世界の7割が海…

言われてみればその通りですね

中国が太平洋に出たがっているのは、そこを制すれば世界を制することができる、って考えてるからかもしれませんね

ある意味先見の明があるってことかもですねw

あと、オーストラリアが潜水艦開発でフランスと組みましたね

将来的には原子力潜水艦を作りたいんだと思いますが、まずは周辺海域の警備強化が目的でしょうね
#4251[2016/05/21 19:36]  blackout  URL 

潜水艦も指揮艦を伴って複数隻で攻撃した例はありますが、
実際に艦隊規模で攻撃した事はありませんしね。
今回は艦隊を組ませたようですがどんな効果をもたらすか気になります^^
#4252[2016/05/21 21:24]  ツバサ  URL 

Re: blackout様COありがとうございます^^

> 世界の7割が海…言われてみればその通りですね
> 中国が太平洋に出たがっているのは、そこを制すれば世界を制することができる、って考えてるからかもしれませんね
> ある意味先見の明があるってことかもですねw

よくご存知で…尖閣問題も、南沙問題も本質はそこです。領土が欲しいんじゃ無い。
中国は通商路を確保したいんです。旧シルクロードを確保する為に、中央アジアでロシアとも揉めてるらしいですよ。NEWSには出ないが、小規模な衝突が何度も起きてるらしい。
国同士だと国益がらみでややこしくなる…国を排除して、各国の企業代表同士で話し合った方がいい様な気がします。互いに利益が欲しい訳だから、案外すんなり解決する様な気がする。
#4253[2016/05/21 22:27]  sado jo  URL 

Re: ツバサ様COありがとうございます^^

> 潜水艦も指揮艦を伴って複数隻で攻撃した例はありますが、
> 実際に艦隊規模で攻撃した事はありませんしね。
> 今回は艦隊を組ませたようですがどんな効果をもたらすか気になります^^

何方かのコメントでも答えましたが、ナマのステルス性を備える潜水艦が「潜水空母」「潜水イージス」「ミサイル潜水駆逐艦」で機動部隊を組んだら、大変な脅威になります。
衛星にもレーダーにも捕まらず、無音エンジンだったら、ソナーすらすり抜けてしまう。
現代の軍事用探査機器では手の打ち様が無いです…未来ではそうなるかも知れませんね^^
#4254[2016/05/21 22:41]  sado jo  URL 

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#4255[2016/05/21 23:14]     

Re: m様COありがとうございます^^

少年の頃、軍事マニアっ子だったですからね(笑)…戦死した父の兄が潜水艦乗りでした。
太平洋で消息を絶ってそのまま…アメリカ軍に撃沈されたらしく、遺骨は無しだったとか。
市販のスマホや新型PCのチップは、イージス艦のものより、高性能で優れてますが、さすがに敵のミサイルは撃ち落せないですよね。まぁ、用途が違いますから(笑)
#4256[2016/05/22 00:24]  sado jo  URL 














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