シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

随想/論文集

ロンメル元帥(1)~TOPに立つ者の姿勢~

ロンメル

エルヴィン・ロンメル元帥。神出鬼没の戦略を駆使して、連合軍から「砂漠の狐」と恐れられながら、民間人には全く被害を与えず、
敵側の捕虜を丁寧に扱って、死後の未だなお、敵味方を越えて「真の英雄」「騎士の鏡」と讃えられる彼にはこんな逸話があります。

連合軍の攻撃に晒されて、窮地に陥った味方を救援する為に、ロンメル元帥は戦車隊を率いてナイル川?を渡ろうとしたそうだ。
ところが、増水期にあった川は水嵩が増し、川底はぬかるんで工兵隊の架橋工事は難航した。無理をすれば兵士も流されてしまう。
それを見たロンメルは、いきなり軍服を脱ぎシャツ一枚になって、部下の制止を無視して川の中に入り、工兵隊の手伝いを始めた。
戦車に乗っていた兵士達も、そんなロンメルの姿を見て、次々と軍服を脱いで架橋工事を手伝い、戦車隊は無事に渡川を完了した。
一刻を争う戦場での将としてのロンメルの行動…後で「なぜあんな危険な事をしたのか?」と部下に問われたロンメルはこう答えた。
兵と言うものは、楽をさせてくれる将よりも、苦楽を共にしてくれる将を慕うものだ。覚えておきたまえ」と言ったそうである。

実はロンメルの素顔は、極端な反共右翼主義者であり、熱狂的なヒトラーの信奉者だった…今ではその事実を知る者は少ない。
事実、彼は平民出身でありながらも、ヒトラー政権下で異例の出世を遂げて、元帥にまで昇進した唯一のナチスドイツ軍人だった。
当時の北アフリカの住民達は、ナチスの鬼将軍が来ると聞いて震え上がった…ところが実際のロンメル元帥を見て安堵したと言う。
アフリカ入りしたロンメルは、アラブ人は元よりユダヤ人すら差別しない紳士だった。なので、行く先々でお茶を振舞われたそうだ。
つまり、彼は自分の目的の為には、現場の空気を読んで、本性を隠しおおせる…あだ名通りの本物の「砂漠の狐」だった訳である。
彼が毒殺されたのは、余りの国民的人気を恐れたヒトラーの嫉妬であり、ロンメル自身は、ヒトラー暗殺計画には加担していない。
この事は、戦後にロンメルの妻だったヘレナの証言でも明らかで、彼はヒトラーに忠誠を誓い、恩義すら感じていたそうである。

英雄は死後に美化される…ロンメルの様に人心掌握に長けていた英雄の代表例を、シーザーとナポレオンにも見る事が出来る。
「ガリア戦記」によると、ガリア人の砦を囲んだローマ軍は、逆に敵将、ウェルキンゲトリックス率いるガリア軍に囲まれてしまった。
この時、救援に駆けつけたシーザーは、とっさに馬を捨て、歩兵達の中に入って、傷だらけになりながら共に戦って敵を撃退した。
マレンゴの戦いでフランス軍が窮地に陥った時、ナポレオンは敵の的になるのも構わず、丘の上に白馬で駆け上がってこう言った。
「フランス兵の諸君!ひるむ事なかれ」と…ナポレオンの勇気を見たフランス兵は、俄然勢いを盛り返して敵を撃退したそうである。
シーザーは戦いの後、天幕の中で治療を受けながら「やれやれ下手くそな戦をしおって、お陰で酷い目に遭った」と言ったそうだ。
フランス人民の自由と平等を掲げて戦ったはずのナポレオンは、結果的にフランス皇帝の地位に付いて、人民を裏切ってしまった。

彼らの本性は野心家だった…でも、兵士や民衆の前では決して本性を表す事無く、常に部下を思い、民衆思いのTOPを演じ続けた。
シーザーは巧みに民衆を味方に付け、後一歩でローマの民主制を覆して独裁者になれた所を、ブルータスなどの共和派に殺された。
だが、面白い事にその後のローマ人は、正義であるはずのブルータスら共和派を悪と見なして討伐し、真逆の事をやらかしたのだ。
いかにシーザーが人心を掌握していたか窺い知れる…彼の後を継いで初代ローマ皇帝になったアウグストスはこんな名言を残した。
「私はローマの皇帝を上手に演じられただろうか?」…TOPにとって民衆はだましやすく、民衆はTOPにだまされやすいものだ。
TOPにとってみれば、民衆はそこいらにゴロゴロ転がっている砂利の様なものだが、その砂利は常にTOPの行動を見ている。
口先だけで民衆の操作を図ったヒトラーは悪名を残し、行動したロンメルの悪い部分は消えて、伝説の英雄として歴史に残った。
本当の所は、ロンメル元帥も、シーザーやナポレオン、ヒトラーと同様の野心家であり、その本性は悪人なのだろうと思えます。
だが、民衆から見ればTOPの素性はどうでもいいのだ。いかに自分達を思ってくれているか…その行動ぶりを見たいだけである。
民衆とは恋をしている女性の様なものなのだ…歌の文句では無いが、どうせだまされるなら、一生だまされてみたいと思っている。
惜しかったな~…即座に現場に駆け付ければ、国民思いのTOPだと讃えられ、野心を遂げられたものを…ん、誰の事かって?(笑)
何だかマキャベリの「君主論」の様になってしまったが、国のTOPには「国民思いの役」を演じていただきたいと思っているだけです。
(支配階級の)武士が城にいるのは火急の時の為であり、民百姓はいざと言う時に助けてもらう為に年貢米を支払っているのです。
なら、いざと言う時には城を出て、真っ先に火の中に飛び込んでもらわねば、何の為の年貢米だかさっぱり意味が分からなくなる。


砂漠の狐 「ロンメル将軍」
ロンメル元帥は、いつも一般兵士と共に最前線で戦った最期の英雄だった。こんな男らしいリーダーはもういない。

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<人の上に立つ者は、もっと演技力を磨け!>
人の上に立つ者は、僅かな例外を除いて、人を踏み台にし、蹴落としてのし上った野心家であり、その本性は悪党なのです。
だが、人々は彼の本性などは見ていません…いかに「自分達に良く尽くしてくれるか」それだけしか関心が無いのが事実です。
ならば、人の上に立つ者は、見事にその役柄を演じ切って見せる必要があります。それが出来た人物だけが歴史に残るのです。
人は誰もが自分の為に生きているのであり、聖人君子を別にして、他人の為に生きている人間などは唯の一人もいやしません。
素性を隠して「人に慕われるリーダー役」を演じ切れるかどうかが、人の上に立つ者に求められる資質である事は間違い無い。
現在の世界のリーダー達を見渡す限りでは、「役者やのぉ~」と及第点を上げられるのは、オバマ米大統領くらいのものです。
ウラジミール・プーチン。習近平。安部晋三…この人達は、自分の素性や野心を観客の前に晒してしまう下手な大根役者です。
素性が悪党である事はとうにお見通しです…それは問いません。見事な名優となって政治劇を演ずる事を期待してるだけです。
ミハイル・ゴルバチョフとロナルド・レーガンは名優だった…ビル・クリントンは女癖の悪さでボロが出たが、まずは合格点(笑)
各国の観客は金(税金)を払って芝居を見に来てるのだから、役者に三文芝居を演じられると腹が立つのは当たり前なのです。
 
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~ Comment ~


日本のTOPは下手な役者が多いですね(笑)。
それも一時期コロコロと変わってましたし
これじゃ芝居(政治)に関心が湧かなくなるのもわかります。
あれ? 確か安倍君から交代ラッシュ(笑)が始まったんだっけ?
その前の小泉さんは長かったね。
#4093[2016/04/27 09:58]  西條すみれ  URL 

Re: すみれ様COありがとうございます^^

> 日本のTOPは下手な役者が多いですね(笑)。
> これじゃ芝居(政治)に関心が湧かなくなるのもわかります。
> あれ? 確か安倍君から交代ラッシュ(笑)が始まったんだっけ?

一旦は、観客のブーイングを浴びて、顔を洗ってから芸を磨き直して来たのか?
と期待してたら、余計に変な色に染まって大根役者になっていた…ガッカリ~><
地も野心も丸見えなんだよね~…何で、国民思いの主役を上手く演じられないかなぁ(笑)
#4094[2016/04/27 10:48]  sado jo  URL 

まぁ、A首相もP大統領も、S国家主席もですが、「あんた誰?」っていうよりはいんじゃないかとw

特に今のフランスやイタリアのTOPは、あまり印象がない

まだ、ベルルスコーニやサルコジの方が印象に残りますからねw

あと個人的に注目しているのは、ハッサン・ロウハニ・ナレンドラ・モディ・ベンヤミン・ネタニヤフですかね
#4096[2016/04/27 20:07]  blackout  URL 

ロンメル将軍も行動が伴ったものだからこそ、
本当に人気を集めましたしね。
まずは自分で動いてみる人間というのはどこか魅力的なものですね^^
#4097[2016/04/27 20:23]  ツバサ  URL 

大根役者の安倍さんは、英雄になりえないでしょうね。
#4098[2016/04/27 20:24]  マウントエレファント  URL  [Edit]

Re: blackout様COありがとうございます^^

> まぁ、A首相もP大統領も、S国家主席もですが、「あんた誰?」っていうよりはいんじゃないかとw

私が映画監督なら「誰だっ!こいつらをオーディションで主役に抜擢したのは?…野心丸出しの地のままじゃねぇか?」」って、配役担当を怒鳴りますけどね(笑)
主役を演じようと思ったらね…本性とはまるっきし別人になり切る演技力が必要なんですよ(笑)
#4100[2016/04/27 21:22]  sado jo  URL 

Re: ツバサ様COありがとうございます^^

> ロンメル将軍も行動が伴ったものだからこそ、本当に人気を集めましたしね。
> まずは自分で動いてみる人間というのはどこか魅力的なものですね^^

ロンメルも、ナチス政権下で結構ズルく立ち回って、あそこまで出世したんですけどね。
ただ、アフリカの戦車戦では、露ほどもそんな匂いを感じさせない騎士道精神を発揮した。
常に率先垂範…部下と労苦を共にする人物に化けたからこそ英雄に成れたんじゃないかな~^^
#4101[2016/04/27 21:31]  sado jo  URL 

Re: マウントエレファント様COありがとうございます^^

> 大根役者の安倍さんは、英雄になりえないでしょうね。

まぁ、あれでも本人は歴史に名を残したくて、あれこれ謀を巡らしてるつもりなんですよ(笑)
でもね…映画界にいた頃よく言われました「口より先に体を動かせ!そしたら結果が付いて来る」
現場に行き、自分の目で見て耳で聞いて、それから判断する…あの人はまだまだ修行不足ですよ。
観客=国民に好かれる主演俳優になるにはどうしたらいいか?を知らないもの(笑)
#4102[2016/04/27 21:42]  sado jo  URL 

こんにちは~♪
いつもご訪問ありがとうございます(*^^)
入院中はご心配のメッセージを寄せていただきありがとうございました。
お陰さまで26日に無事退院してきましたので、またよろしくお願いします(^_-)-☆
今年のGWの予定はなーんもなしです(。_゚)〃ドテッ!
そもそも民主国家に上下があってはダメですね。
上下関係があるというのは民主主義とは言えません。
民主国家とは文字通り人民が主人公です(^_^)☆*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*
要するに階級そのものが存在してはならないのです(*^^)
とりあえずお礼のご挨拶だけ(^_-)-☆
#4103[2016/04/28 14:16]  まり姫  URL  [Edit]

Re: まり姫様COありがとうございます^^

> そもそも民主国家に上下があってはダメですね。
> 上下関係があるというのは民主主義とは言えません。
> 民主国家とは文字通り人民が主人公です(^_^)☆*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'

人は産まれるのに、親を選べず家門も選べない…最初から階級の不公平はあります。
古代ギリシャや共和制時代のローマ人は、その差別を平等にする為、地位や金のある人間には、社会への重い義務と責任を課しました。決して富裕層に楽をさせたりはしなかった。
今でも英国では、災害や事故の際は貴族が真っ先に駆けつけ、戦争が起きれば王室の者が真っ先に徴兵される…それは、階級があればあるほど責任を負う「ノブレス・オブリージュ」の概念に基づいています。
世界の富裕層や地位のある者、有名人は、もっと社会に対して責任を負う必要があります。
#4104[2016/04/28 15:12]  sado jo  URL 

こんばんは!

上に立つ立場の方は下から憎まれる役目だと
前から思っていたので
自分には向いていないと即座に思いました(笑)
引っ張る力もないのでそんな事、考える必要はないのですが(笑)

民衆と恋してる女性のようなものだ・・・て面白いですね。
騙されるなら一生騙すのがいいのか騙され続けたいのか
自分なら・・・そうね騙されたままがいいかな。




#4105[2016/04/28 19:55]  ミノリ  URL  [Edit]

Re: ミノリ様COありがとうございます^^

> 上に立つ立場の方は下から憎まれる役目だと前から思っていたので
> 自分には向いていないと即座に思いました(笑)
> 騙されるなら一生騙すのがいいのか騙され続けたいのか
> 自分なら・・・そうね騙されたままがいいかな。

いや、上に立つ者は人に憎まれちゃいけないんです…憎まれたら下克上が起きて組織が瓦解します。なので、側近の誰かが憎まれ役を買って出る必要があります。鬼軍曹って奴ですね(笑)
正直な女心ですね^^…男=権力者は、利用価値がある時だけ、女=民衆を利用して、価値が無くなったらぞんざいに扱います。それが世の習いと言うのが何とも哀しいですね(笑)
#4106[2016/04/28 20:21]  sado jo  URL 














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