シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

随想/論文集

セーラー服の歌人

鳥居

生き辛さを抱えたあなたに寄り添う…拾った新聞で字を覚えたホームレス少女「鳥居さん」が編んだ歌集。

目を伏せて 空へのびゆく キリンの子 月の光は かあさんのいろ
 ~自分を捨てて死んだ母とは言え、母…そんな母を恋い慕う気持ちが、痛いほど表れています~

花柄の 籐籠いっぱい 詰められた カラフルな薬 飲みほした母

揃えられ 主人の帰り 待っている 飛び降りたこと 知らぬ革靴
 ~視点が凄い!自殺の心象風景が、これほど鮮やかに描かれた歌を、目にした事がありません~

刃は肉を 切るものだった 肌色の 手に刺さった 刺身包丁
 ~刺身包丁は、料理の為にあるので、手首を切る為にあるのでは無いですが、気持ちは解ります~

慰めに 「勉強など」 と人は言ふ その勉強が したかったのです

先生に 蹴り飛ばされて 伏す床に トイレスリッパ 散らばっていく

全裸にて 踊れと囃す 先輩に 囲まれながら 遠く窓見る
 ~鳥居さんは小学校を出ていません。貧乏で給食費も払えず、虐めに遭って学ぶ事が出来なかったのです~

心とは どこにあるかも 知らぬまま 名前をもらう  「心的外傷」

路線図の いつか滅びる 町の名へ 漂白剤のように 雪が降る

これからも 生きる予定の ある人が 三か月後の 定期券買う

あたたかく 見える言葉に 手を伸ばす 真暗な部屋 光るPC

先頃 【キリンの子】と言う歌集を出版された セーラー服の歌人「鳥居さん」の短歌 の一部をご紹介しました。
自分の人生経験に照らし合わせて、これは間違いなく、人の痛みを知り、死を知る者だけが持っている感性です。
情の深い人なのでしょう…だけに、一つ一つの歌から人一倍傷付いてる心が読み取れます。胸に突き刺さって来ます。

貧困家庭に生まれ、父の顔も知らずに育ち、各地を転々とし、精神を病んでいた母は、小学5年生の時、目の前で薬物自殺をした。
幼い鳥居さんは「騒ぎを起すと、アパートを追い出されるから」と言う母の言い付けを守って、黙って死んで行く母を見守ったそうです。
貧しいからと学校で虐められ、保護された養護施設でも虐めに遭い、拾われた里親にも追い出されて、ついにホームレスとなった。
どの様に生きて来たのだろう?小学校すら出ていない少女は、貧しい中で、拾った新聞で文字を覚え、拙い短歌を詠む様になった。
さぞ壮絶な生き様だったに違いない…彼女が未だセーラー服を着るのは、失った少女時代への強い憧れがあるのだろうと思えます。
自分も、15で半ば追い出される様に家を出て、映画界にいた叔父に拾われ、やっと学ぶ事を覚えた矢先、病に倒れて青春を失った。
いい歳なのに、未だにカジュアルに拘るのは、失った青春時代への憧れからだろう…だから、彼女の気持ちが痛いほど分かります。
自分は男だし、結構ズルく生きて小さな成功もしたが、学も何も無い一人の少女が生きるのは、どれほど辛く厳しかった事だろうか。
きっと、何度も傷付き死の淵を彷徨ったに違いない…自分も、人生で最近の大手術を含めて、5~6回死に掛けたくらいだったから。
自分は「汚れちまった悲しみに 今日も風さへ吹きすぎる~(中原中也:詩)」になってしまったので、到底、彼女には及ばないです。
でも、天涯孤独で生きて来た鳥居さんと、妻を失い天涯孤独となった自分は、感性や心象風景に似通った部分がある様に感じます。
皆様も、鳥居さんの歌から何か汲み取っていただければ幸いです…歌集 【キリンの子】 は、書店や通信販売でお求めいただけます。
セーラー服の歌人「鳥居さん」は(▼)私達と同じ目線の場所=アメーバブログにいますので、ぜひ訪ねて差しあげて下さい^_^

鳥居さんの アメーバブログへのリンク

歌集「キリンの子」 ~KADOKAW出版社へのリンク~



祈り~ A Prayer~ 歌:Hayley Westenra&三宅由佳莉
「どんなに暗くて長い闇でも、必ず希望の光は差して来る」 東日本大震災に際して、被災者の為に歌った海上自衛隊の歌姫
「三宅由佳莉」が、世界の歌姫「ヘイリー・ウェステンラ」と共に祈りを込めて歌う…なかなか見られない貴重なデュエットです。


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<若者は、痛みや憎しみを超えて未来への扉を開け!>
昨年の安保反対闘争の中で「SEALDs」などに代表される若者の連帯感が生まれたのは、何かが変わりつつある事を示します。
今まで「お前はお前、俺は俺」で、社会と向き合わず、自己中心的に生きて来た若者達が、自身を変革しようとしている様です。
嫌な事を避け、傷付く事を避け、大人や社会に甘えて生きて来た彼らが、自らを変え、社会を変えようとする姿がそこにあります。


NHK クローズアップ現代より 「未来への風~”痛み”を超える若者たち~」 (この番組の中に鳥居さんが登場します)

冷戦時代を生きて来た大人は、物事を分別する事しか知りません。つまり、右か左か?味方か敵か?の狭い了見に留まります。
だが、子供の頃からインターネットに親しんだ若者は、分別では無く、我と彼を繋いで結び付ける新しい概念を身に着けています。
現在ネット上では、大人達に古い観念を植え付けられた者達と、未来へ向かう新しい概念が衝突している様相が見受けられます。
私は、新しい概念に未来への一抹の希望を抱いてます…なので、陳腐な古い観念を振り回していがみ合う輩は来なくてよろしい!
と、常々言ってます…只でさえ訪問者が多くて大変なので、右だ!左だ!韓国だ!中国だ!と言う小者の相手をしてる暇は無い。
今は、未来へ向けて共生の道を模索する事こそが最も大切なのです…やれやれ、これで立腹した連中の訪問が減るだろう(笑)
 
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~ Comment ~


自分を捨てた母をそこまで慕うのは今の私にはできませんね。
まあ、感性は人それぞれですが、家出の件をきっかけに愛を感じたのでしょう。
私が家出した頃の母なんて「戻ってきて」「心配だから連絡くらい入れて」とメールするくせに
戻ってきた頃にはのん気に録画したバラエティ番組を見ながら待ってましたからね。
もう一度家を出たとしてもそんなやつには慕う気持ちが湧いてきません。
#4078[2016/04/25 10:23]  西條すみれ  URL 

Re: すみれ様COありがとうございます^^

> 自分を捨てた母をそこまで慕うのは今の私にはできませんね。

まぁ、精神病を患いながら鳥居さんを育てたのだから、良い母だったのかも知れません。
でも、無理が限界に来て目の前で自殺した…幼い彼女は「追い出されると住む場所が無くなるから」と言う母の言い付けを守って救急車を呼ばなかったそうです。
母の死を無視したのでは無く、逆に母に深い愛情を感じていた…のだろうと思います。
よくあるじゃないですか…寝たきりで苦しんでる人を、介護してる人が殺すと言う事件。
あれは、これ以上苦しませたくないと言う愛情です…人間の心情と行動は不条理ですよね。
#4079[2016/04/25 15:48]  sado jo  URL 

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このコメントは管理人のみ閲覧できます
#4080[2016/04/25 17:08]     

Re: m様COありがとうございます^^

何よりも無事退院出来た事をお喜びします。ご苦労様でした^^
自分はどちらかと言うと、日本人の心象風景や風土を大切にするトラディショナルです。
彼女と立場は違いますが、争いを好み、それを壊す者(政権?)は共通の敵になります。
また、激論する事になると思いますが、人々が穏やかに暮らせる日本を望んでいます^^
#4081[2016/04/25 17:33]  sado jo  URL 

大変な人生を過ごしてきたからこそ、
人の心を打つ短歌を書けるんでしょうね。
痛みを知っている人だからこその短歌ですね^^
#4083[2016/04/25 20:23]  ツバサ  URL 

Re: ツバサ様COありがとうございます^^

> 大変な人生を過ごしてきたからこそ、人の心を打つ短歌を書けるんでしょうね。
> 痛みを知っている人だからこその短歌ですね^^

痛みや、悲しみや、死を体験して、それを身に付けた人は、人に優しく出来ます。
鳥居さんの短歌に見えるのは、痛みや、悲しみ、死を知る者の優しさだと思います。
それは、何よりも価値のある「人生の心のダイヤモンド」になるでしょうね^^
#4085[2016/04/25 21:07]  sado jo  URL 

こんにちわ
壮絶な人生を送ってきたなと読んでいて
思いました。
#4087[2016/04/26 12:09]  ネリム  URL  [Edit]

Re: ネリム様COありがとうございます^^

> 壮絶な人生を送ってきたなと読んでいて思いました。

鳥居さんは短い間に人の何倍も生きた…それが人を感動させるんだと思います。
自分も、天涯孤独で精一杯生きて来て、無理した分、人より早く体を壊しました><
でも、無理した事に後悔はしてません…人生はどう生きたかと言う中身の問題です。
無為徒食でダラダラ生きるより、短くても密度の濃い人生を生きた方がいいです^^
#4088[2016/04/26 13:32]  sado jo  URL 

こんばんは!

素晴らしい感性ですね。
痛みを経験した方は
人の痛みもわかる気がします。

ここまでツライ経験をした方が
こんな風に本を出版されて素晴らしいと思います。

是非購入して読みたいと思います!

その一言、一言が辛いと言う言葉が描かれていないのに
胸に突き刺さりますね。。
#4089[2016/04/26 19:11]  ミノリ  URL  [Edit]

Re: ミノリ様COありがとうございます^^

> 素晴らしい感性ですね。
> 痛みを経験した方は、人の痛みもわかる気がします。
> その一言、一言が辛いと言う言葉が描かれていないのに胸に突き刺さりますね。

鳥居さんは、小学校も出てないんですけどね…感性だけで人の胸を打つ歌が詠める。
死ぬより辛い人生を歩んで来た証拠です…普通なら自殺する所を、短歌のお陰で踏ん張れた。
本物の痛みや悲しみを体験して来た人は、人に優しいです…痛みや悲しみは人を磨きます^^
#4090[2016/04/26 19:54]  sado jo  URL 

定期券の詩は、痛いです。
そんな風に、感じてしまう、境遇て、どれだけ傷付いたのでしょう?
絶望、どれも、それが詰まっていますね、読むと、痛いです。

かしこ
#4091[2016/04/26 23:57]  みかんゼリー  URL 

Re: みかんゼリー様COありがとうございます^^

> 定期券の詩は、痛いです。
> そんな風に、感じてしまう、境遇て、どれだけ傷付いたのでしょう?

三か月後は生きてるかどうか分からない…そんな境遇に置かれた人はいないでしょう。
自分は、少なからずそんな日々を体験しましたが、絶望しながらでも生きてました(笑)
うん…鳥居さんの痛みが心に染みる人は、人間として一皮むけてると思いますよ^^
#4092[2016/04/27 00:28]  sado jo  URL 

この詩、読んでてキツいですね(汗)

スペースや行間の使い方がなんとも独特な気がします

この中に、いろいろな想いが込められている…

そんな気がします

ズルさやセコさは、生きるために必要となるときが、少なからずあると思います

ただ、それを私利私欲のために使うと、ただの腹黒い下衆野郎になってしまうわけで(汗)

自分も謀略や策略を企てて誰かを利用してしまったときは、必ず恩返しをするようにしてます

もちろん下衆野郎には可能な限り近づきませんが
#4095[2016/04/27 19:41]  blackout  URL 

Re: blackout様COありがとうございます^^

> ズルさやセコさは、生きるために必要となるときが、少なからずあると思います
> ただ、それを私利私欲のために使うと、ただの腹黒い下衆野郎になってしまうわけで(汗)
> 自分も謀略や策略を企てて誰かを利用してしまったときは、必ず恩返しをするようにしてます

人の世は、いつも正攻法では生きていけない現実がありますからね。
裏切りもあったりするし、人を出し抜く事が必要になる場合もあります。
自分の様に力の無い者は、深く潜行して相手の様子を窺いながら、だまし討ちするUボートの手を使わざるを得ない時もあったりしますよ(笑)
#4099[2016/04/27 21:13]  sado jo  URL 














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