シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

「▼未来戦艦大和」
未来戦艦大和 小説本編

未来戦艦大和 第4章 「激闘!坊の岬沖海戦」(3)

大和04

「何だ、お前恐いのか?」
「そりゃぁ恐いに決まってるよ。だって、俺たちこれから敵機の攻撃の的にされるんだろ…遼ちゃんは恐くないのか?」
「まぁ、恐くないと言えば嘘になるな…俺たちの世界の歴史から言えば、この戦いで戦艦大和は撃沈される事になるんだから」
「じゃぁ、俺たちも一緒に死ぬって事じゃないか…こんな訳の分からない異世界で誰にも知られずに死ぬのは嫌だよ」
「死ぬって決まった訳じゃないよ…確かに起きている事はよく似てるけど、俺たちのいた世界とは何かが違っている。それに、あの羽生が何の策もなしに無謀な戦いをするとも思えんしな…彼を信じるしかなかろう」
(そうだ…羽生は液体炭酸ガスを雲の上から撒けと命じていた。もし、俺の予測が当たっていたら面白い事になるかも知れん)
 そう考えた遼は一人でほくそ笑んだが、亮はまだオドオドと不安げにしていた。
「しっかりしろよ。正体がバレてしまうぞ」そう言って、遼は相棒のお尻を軽く叩いた。
「あぁ…うん」亮は精一杯のやせ我慢をして見せた。

「どうやら、天一号作戦の初期段階としては、成功したようですな…あんまり、ありがたくはないが」
 敵機の大編隊が接近しつつあると言う報を聞いて、来島参謀長はつぶやいた。
「えぇ、これで敵艦隊上空の護衛はだいぶん手薄になるでしょう…けれど、今度はこっちが大変です」
 それを聞いた草薙作戦参謀が、ぼやき気味に答えた。
「本艦隊は作戦の初期段階では、鹿屋と知覧から出撃する友軍の航空攻撃隊のための囮でもありますからね」
 けれども、羽生は予定通りだとでも言うように平然としていた。
「どのくらい来ますかな~?」来島が、敵機の数を気にして言った。
「雨雲少佐と陣内大尉の情報から推測すると、約400機が2波に分かれてやって来るものと思われます」
 遼のノートパソコンから、あらかじめ別世界で起きた戦闘の情報を得ていた羽生は、そう答えた。
「敵空母、約5隻分ですね…資料にある敵空母が7隻だから、敵艦隊上空の防空支援は、60機から80機ほどになりますか?」
「その通りだよ。綾之丞…対して我が方の航空攻撃隊は197機。数の上では敵を上回る事になる」
 即座に、戦力比を分析した春日情報参謀の問いに、羽生は答えた。
「友軍の攻撃隊の戦果は期待できますが、400もの敵機を引き受けるこっちは圧倒的に不利になりますね~」
「しかも、天候条件が悪すぎる。せめてもう少し雲が高かったら」
「空に文句を言っても仕方がないと思いますよ…現状でどうにかするしかないでしょう」
 羽生は、少し悲観的になっている草薙と来島をそう言ってなだめた。
「今は、友軍が敵艦隊を攻撃している間、できるだけ敵を引き付けて時間を稼ぎながら、かつ、こちらの損害を軽微に留める事に努力しましょう」
「そうですな…友軍の攻撃隊のための時間稼ぎをしながら、敵機の攻撃を交わす事が我々の任務ですからな」
「取りあえず、そのための手は打っておきました…後は、駒之助さんがどれだけ持ちこたえてくれるかに懸ってます」
 気を取り直した来島にそう答えた羽生は、砲術長を務める駒之助を見てニッコリと笑った。

~続く~

にほんブログ村 小説ブログへ
クリックをお願いします
 
関連記事
スポンサーサイト
 関連カテゴリ一覧 ▼ 
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼シムーン第二章 ~乙女達の祈り~
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼未来戦艦大和
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼ビーストハンター
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼クロニクル ~カルマ~
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼まぼろし
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼やさしい刑事
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼幻影の艦隊
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼その他の小説
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼シムーン第二章 ~乙女達の祈り~
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼未来戦艦大和
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼ビーストハンター
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼クロニクル ~カルマ~
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼まぼろし
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼やさしい刑事
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼幻影の艦隊
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼その他の小説
もくじ  3kaku_s_L.png オリジナル詩集
もくじ  3kaku_s_L.png 随想/論文集
もくじ  3kaku_s_L.png 死とは何か?
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  ↑記事冒頭へ  
←未来戦艦大和 第4章 「激闘!坊の岬沖海戦」(4)    →大地に愛された女 ~再掲載~
*Edit TB(0) | CO(4)

~ Comment ~


この世界からすれば未来のことだけど
それと同じ過去の情報がわかっていれば動きやすいですね。
ある意味歴史を変える戦い。かっこいいです。
我々も戦争して間もないので戦時中の世代が語れるうちは耳を傾け
次の世代、次の世代と伝えていき、戦争をしない世界にしなければ。
#4396[2016/06/17 09:26]  西條すみれ  URL 

Re: すみれ様COありがとうございます^^

> ある意味歴史を変える戦い。かっこいいです。
> 我々も戦争して間もないので戦時中の世代が語れるうちは耳を傾け
> 次の世代、次の世代と伝えていき、戦争をしない世界にしなければ。

時は前にしか進まず、歴史にもし…と、たら…は無いので過去は絶対に変りません。
なので一部の人々がやっている、日本に不利な過去の歪曲解釈も無駄骨です(笑)
戦争は人のエゴが起こすもの…エゴを美名で飾って、人をそそのかす者。自らの利益でエゴに同調する者。それらの人々がいる限り、戦争を失くす事は出来ません><
確実なのは人は必ず死ぬと言う事…死から人生を考えれば見えて来るものがあります^^
#4399[2016/06/17 13:55]  sado jo  URL 

いくら策があるといっても、
ただのジャーナリストからしたらやっぱり不安になりますもんね^^;
さて、上手く切り抜けられるか気になります。
#4400[2016/06/18 21:53]  ツバサ  URL 

Re: ツバサ様COありがとうございます^^

> いくら策があるといっても、
> ただのジャーナリストからしたらやっぱり不安になりますもんね^^;
> さて、上手く切り抜けられるか気になります。

前の下りで、偵察機を飛ばして液体炭酸ガスを雲の上に撒かせましたね。
その辺りが、この異世界の兵器との兼ね合わせのポイントになると思います。
さて、何が起きるでしょうか?(笑)
#4401[2016/06/18 22:14]  sado jo  URL 














管理者にだけ表示を許可する

~ Trackback ~


  ↑記事冒頭へ  
←未来戦艦大和 第4章 「激闘!坊の岬沖海戦」(4)    →大地に愛された女 ~再掲載~