シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

「▼未来戦艦大和」
未来戦艦大和 小説本編

未来戦艦大和 第4章 「激闘!坊の岬沖海戦」(6)

「草薙さん…お気持ちは分かりますが、敵は上からだけでじゃないですよ」
「しかし…」草薙は、納得のいかないような顔で言った。
「確かに煙幕を張れば上からの攻撃は防げます。けれど、同時にこちらも対空戦闘が不可能になります…視界も悪くなるし、低空からやってくる雷撃機を見落としかねません」
「では、どうすれば…」
「天の恵みを生かしながら、後の対空防御は壱岐少佐に任せましょう…ね、駒之助さん」
 羽生は、そう言って草薙をなだめながら駒之助に目をやった。
「もう用意はできてるっすよ…小ちゃくってすばしっこいのを上から来る爆撃機用に、大きくて足の長いのを雷撃機用に配置しときましたっす」
「さすが駒之助さんだ…頼みましたよ」
「はいっ!敵機を撃ち落す方は任せて下さいっす」
 羽生に信頼されるのは、駒之助にとって何よりもうれしいとみえて、彼女はがぜん張り切っていた。
「おいっ!おめぇら、てぇ抜くんじゃねぇぞ。雲の中から出てきた瞬間が勝負だかんな」
「はいっ!」駒之助の檄を受けた砲術士たちが一斉に返事をした

「よ~っし!全艦隊、雲の中心に向かって前進しつつ、対空回避運動開始」
 羽生が発した号令に、即座に有馬艦長が応じた。
「と~りか~じ30度っ!…剛羅機関長。機関最大出力っ!」
「了解しやした!貯めといた分を目一杯放出いたしやす」機関長の声がスピーカーを通じて伝わってきた。
「成海航海長。水中に対物防御シールドを展開。物理的密度差を敵の雷撃に合わせっ!」
「了解っ!量子航行密度差最大っ!雷撃防御体制を取ります」
「能本副長。戦闘データの収集と戦況報告を頼む」
「はっ!了解いたしました。有馬艦長」
 有馬艦長の一糸乱れぬ見事な采配で、大和は大きく左に蛇行しながら対空回避運動を始めた。

 素粒子を介して、周囲の物質との密度差を作りながら航行する量子機関は、その密度差を拡大すればバリアにもなる。
 遼と亮は大和の周りの海面で、小さな浮遊物が対物シールドに触れて、閃光を発しながら蒸発するのを見ていた。
 とその時、濃いゴーグルを通して目もくらむような閃光が降り注いだかと思うと、突然海面が爆発した。
 はっ!と驚いた瞬間、バリバリッ!と稲妻が大気を裂くような音が聞こえてきて、空の上で何かが破裂した。
 美しい閃光を放ちながら上空で何かが飛び散ったかと思うと、少し遅れてド~ン!と言う爆発音が聞こえてきた。
 それはまるで祭りの花火のようだった…戦争と言うには余りにも美しすぎる光景に、遼と亮は呆気に取られた。
 しかし、それはまぎれもない戦争だった。花火のように空に散ったのは撃ち落された敵機だったのだ。

~続く~

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いよいよ攻撃が始まりましたね。
出来事は過去に似ていても未来を思わせるシールドを展開できたり
今の我々には当たり前のスマホがなかったり
パラレルワールドとは興味深いものですね。
#4468[2016/07/03 11:26]  西條すみれ  URL 

Re: すみれ様COありがとうございます^^

> 出来事は過去に似ていても未来を思わせるシールドを展開できたり
> 今の我々には当たり前のスマホがなかったり
> パラレルワールドとは興味深いものですね。

環境破壊によって電離層が壊れ、通信事情が悪いからパーソナルな通信機はない。
原爆開発に失敗した教訓から、原子構造の研究が進み、先進的な量子力学が発達した。
人は環境によって物事の考え方や生活様式が変る…これは一つの可能性の世界の物語。
けれど、住む世界が異なっても人はなぜか争い合う…これは人の本質の問題提起です^^
#4469[2016/07/03 13:37]  sado jo  URL 

こんにちは~♪
今日も暑いですね(*^^)
記事へのコメントありがとうございました。
的を射たコメント内容だと思います(*^^)
今日はエアコンのききが悪いのでフィルターの掃除をして余計に汗をかきました(・。・;ダクダク
楽しい日曜日をお過ごしくださいね(^_-)-☆
#4470[2016/07/03 16:53]  まり姫  URL  [Edit]

Re: まり姫様COありがとうございます^^

> 記事へのコメントありがとうございました。
> 的を射たコメント内容だと思います(*^^)

犠牲になった人々の命を、自分の主張に利用する政治家などの魂には恐ろしさがあります。
「だから、我々は強くならなければならない」「軍備を増強し、国民を守らなければならない」
はて?亡くなった方々はそんな事を願ってたのでしょうか?命を政治に利用する(される)事を願ってたでしょうか?テロや紛争の度に、政治家は国民に「富国強兵思想」を焚き付けます。
銃撃事件が起きる度に、銃の売り上げが増えるアメリカ…それで安全が確保出来るのかな?
#4471[2016/07/03 17:16]  sado jo  URL 

煙幕を使う利点はあっても、
それで他の敵を見つけにくくすると本末転倒ですしね。
まずは一機敵を落としたようですが無事切り抜けられるか気になります。
#4472[2016/07/03 18:48]  ツバサ  URL 

Re: ツバサ様COありがとうございます^^

> 煙幕を使う利点はあっても、それで他の敵を見つけにくくすると本末転倒ですしね。
> まずは一機敵を落としたようですが無事切り抜けられるか気になります。

いよいよ、我々の世界の「戦艦大和」が沈んだ坊の岬沖で戦闘が開始されました。
遮光眼鏡は、目を閃光から守る為だった様です…と言う事は、この異世界の兵器は?
いよいよ面白くなって来ました♪…羽生は400機の敵を相手にどう戦うんでしょうか?
#4473[2016/07/03 19:04]  sado jo  URL 

こんばんは^^

戦争の始まりなのに花火のような~とは
日常でもせっぱつまった時なのに
何故だかそんな風に感じていない自分がいて
ダメよ。この状況なのよ!何落ち着いているの。て心で叫んでいる時の事を
思い出しました(笑)

実際、敵機が散ったらどんな風な光が見えるんだろう。
#4474[2016/07/04 21:07]  ミノリ  URL  [Edit]

Re: ミノリ様COありがとうございます^^

> 戦争の始まりなのに花火のような~とは
> 日常でもせっぱつまった時なのに、何故だかそんな風に感じていない自分がいて
> ダメよ。この状況なのよ!何落ち着いているの。て心で叫んでいる時の事を
> 思い出しました(笑)

多分、生まれて初めてそんな光景を見た人は「わっ!キレイ~♪」と思うでしょうね。
爆弾が落ちて来て、実感が湧いて慌てる「大変だ!逃げなきゃ死んじゃう」ってね(笑)
でも、艦の中の遼と亮には逃げ場がない…でも、周りの人は普通に戦争をやってるんです。
戦争が普通?…妙な気分でしょうね。何でもない日常から、いきなりテロに襲われて犠牲になったダッカの日本人の心境が分かる気がします。人間は一瞬の間は実感が湧かないですよ(合掌)
#4475[2016/07/04 21:29]  sado jo  URL 














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