シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

「▼未来戦艦大和」
未来戦艦大和 小説本編

未来戦艦大和 第4章 「激闘!坊の岬沖海戦」(8)

 目立ってはいけないはずの軍艦が、なぜわざわざ派手に輝く銀色なのか?自分たちの着ているスーツが、なぜ耐熱防護服なのか?
 遼は一瞬で理解した…すべては、レーザー兵器が放つ超高熱から船体を防護し、身を守るためのものだったのだ。
 この未来戦艦大和は、飛行船のように膨らんだ胴体部分が燃料タンクになっていて、その外部隔壁は瞬間温度で1万度以上、6千度の熱線を数秒間浴びても破壊されない何重ものスペクトロン鏡面タイルで、厳重に覆われている。
 上部艦橋の構造物は、熱線防止のためか丸みを帯びた形状で、やはりスペクトロン鏡面タイルが全体に張り巡らされている。
 ただ、司令塔や砲台などの突出した部分があるため、耐熱防御力は胴体に比べるとどうしても劣ってしまう。
 そこでこの異世界では、いかに防御力の薄い相手の船の上部をレーザーの熱線で破壊するかが、勝敗の決め手になるのだ。
 ところが、この世界にはもう一つ、昔から続く艦船にとっては恐ろしい兵器が存在していた。

「右舷2時の方向、アベンジャーの編隊が降下してきます。距離、約1万2千」対空監視員がそう報告してきた。
「ふんっ、対空砲の圏外からやってきたか」来島参謀長がいまいましそうに言った、
「壱岐少佐。敵の雷撃前に撃ち落せ」有馬艦長が駒之助に命じた。
「了解っす…2時方向熱線粒子高射砲水平射、有効射程に入り次第撃てっ」駒之助は、高射砲術士に指示を出した。
 亮がカメラの望遠レンズで見た機影の群れは、まるで低空を飛ぶ銀色のカモメのように見えた。
 ただ、低空での安定性を保つためなのか、翼をたたんではいたが奇妙に平べったいカモメだった。
 バリバリバリッ!と、一段と大きな閃光を発するプラズマの束が大和の右舷から放たれた。
 熱線粒子高射砲のビームは、まさに雷撃体制に入ろうとしていた数キロ先の敵機の編隊を一瞬の内に砕いた。
 小雨の降りしきる海の彼方に、色とりどりの光が明々ときらめいて見えた。
 ドド~ン!と空気を震わせる爆発音が響いてきた後、見張りに立っていた甲板員が叫んだ。
「2時の方向、雷跡確認っ!1本、2本…全部で3本やってきます」
 熱線粒子高射砲の一撃をかろうじてまぬがれた残りの敵機は、魚雷を放っていた。
「取りか~じいっぱ~いっ!かわせ~」即座に有馬艦長の命令が飛んだ。
「了解っ!取りか~じいっぱ~いっ」成海航海長が素早く舵を切った。
 レーザー兵器の速さに慣れている異世界の人々にとって、魚雷などと言う旧式の物理兵器は、亀の歩みほどにしか見えないだろう。
 だけに、ジリジリと迫ってくる死の恐怖感はひときわ恐ろしいのだろうか?…4000度と言う高熱のレーザー光線にも動揺しなかった来島参謀長でさえ顔がこわばっているように見えた。
 感覚の相違と言うものは奇妙なものだ。置かれた環境によって人の感性には天と地ほどの開きがある。

 やってきた2本の魚雷は、大きく舵を切った大和の右舷をすり抜けていった。
 だが、3本目の魚雷が張ってあった対物シールドに当たって破裂した。
 ドッカ~ン!と大きな爆発音とともに水柱が立ち昇った。

~続く~

にほんブログ村 小説ブログへ
クリックをお願いします
 
関連記事
スポンサーサイト
 関連カテゴリ一覧 ▼ 
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼シムーン第二章 ~乙女達の祈り~
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼未来戦艦大和
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼ビーストハンター
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼クロニクル ~カルマ~
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼まぼろし
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼やさしい刑事
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼幻影の艦隊
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼その他の小説
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼シムーン第二章 ~乙女達の祈り~
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼未来戦艦大和
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼ビーストハンター
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼クロニクル ~カルマ~
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼まぼろし
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼やさしい刑事
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼幻影の艦隊
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼その他の小説
もくじ  3kaku_s_L.png オリジナル詩集
もくじ  3kaku_s_L.png 随想/論文集
もくじ  3kaku_s_L.png 死とは何か?
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  ↑記事冒頭へ  
←未来戦艦大和 ~補足説明~    →未来戦艦大和 第4章 「激闘!坊の岬沖海戦」(7)
*Edit TB(0) | CO(4)

~ Comment ~


全てを対策するって難しいですからね。どこかしら穴ができてしまう。
その点どうしても即死級の高熱対策を優先しないといけないのはよくわかります。
まあ、フィクションにおいては完璧なキャラや装備はかわいげがないけど(笑)。
#4526[2016/07/14 10:49]  西條すみれ  URL 

Re: すみれ様COありがとうございます^^

> 全てを対策するって難しいですからね。どこかしら穴ができてしまう。
> まあ、フィクションにおいては完璧なキャラや装備はかわいげがないけど(笑)。

幾ら警官や兵士が防弾チョッキとヘルメットで体を防御しても、落し穴はあります。
もし、アソコ(自主規制)に弾を食らったら、それだけでショック死しますから(笑)
麻酔をして手術するとは言え、人間はペットに平気でそんな事をしているんですよ。
麻酔が覚めたらイテェだろうなぁ~><…うぅ~、寒気がして鳥肌が立って来た(笑)
#4527[2016/07/14 11:25]  sado jo  URL 

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
#4528[2016/07/15 20:18]     

Re: m様COありがとうございます^^

はぁ?冗談にしてもそれキツイ!…煙草の火は、人を火葬するのと同じ800度の高熱です。
根性ゲームと称して、中高生がよくやりますが…実は自分も参加した事があります(笑)
瞬間だとアツッ!で済むが、我慢比べをやると確実に火傷をします。人体は脆いものですよ。
原爆やレーザー砲の超高熱の直撃を浴びると、体組織は瞬間的に炭になりますからね(笑)
#4529[2016/07/15 20:41]  sado jo  URL 














管理者にだけ表示を許可する

~ Trackback ~


  ↑記事冒頭へ  
←未来戦艦大和 ~補足説明~    →未来戦艦大和 第4章 「激闘!坊の岬沖海戦」(7)