シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

随想/論文集

来るべき世界(1) ~世界を分裂させたインターネット~

パリサイ人
処刑所に行くイエスを追い立てる当時の右翼「パリサイ派」

数十年前、インターネットを開発した人達はユートピアの夢を見ました。
「これで世界が繋がった。人類はインターネットを通じてあらゆる情報を共有して、やがて一つになるだろう」
ところが実際には、世界的なインターネット通信網の発達は世界を統一するのではなく、逆に世界を分裂させています。
イスラム過激派は、インターネットを通じてムスリムの若者に呼び掛け、テロを誘発して世界中で多数の犠牲者を出しています。
その一方で英国のEU離脱を主導した政治家や、米国のドナルド・トランプ氏など強硬的なナショナリストが世界で台頭しています。
これはなぜなのでしょうか?これらの出来事はインターネット以前はなかった事であり、あっても世界の片隅に留まっていました。

紀元0年、イスラエルに一人の男が生まれました。この時期ローマ帝国は地中海世界を纏め、彼らは世界は一つと考えていました。
ナザレのイエスが説いた自由、平等、博愛の思想は、多分にローマの影響を受けており、当時としてはグローバルだったと思います。
その一方、ユダヤ人はパリサイ派のラビ達が説くユダヤ教の影響下にあり、諸外国からは多くの外国人が流れ込んで来ていました。
幾つもの思想や文化が入り混じって混乱するイスラエルで、イエスは寧ろローマ人に近いグローバルな思想を説いた人だったのです。
だが、それはユダヤ人から見れば伝統的なユダヤ教を冒涜し、祖国を売る裏切り者だった。確かに彼の弟子には外国人もいました。
ユダヤ人の観念から見れば、人は平等ではなく序列があり、女は男に従うのが当たり前で、同性愛は堕落した者のする事である(*)
さらに、外国人にイスラエルの地を穢させてはならず、ましてや、異教徒と親しくして、民族や国家の伝統を破ってはならないのです。
現代世界で似た様な主張をする人々とよく似た所があります。ちなみに、パリサイ派と言う言葉の語源は「分離」から来ています。
つまり、考え方の異なる者の意見は聞けない。外国人と一緒には暮らせない。この地に住む者は、民族や国家の伝統に従うべきだ。
余りに面白い…そこで、この様な主張をする人々を「パリサイ派」と呼ぶ事にしました。その方が「右翼」と言うより的を射ています。
決してからかっている訳ではありません。なぜなら「パリサイ=分離派」と言う言葉には、ある重要な意味が含まれているからです。

しかし、何故に21世紀にパリサイ派が復活?…疑問に思うのも無理からぬ話ですが、それこそがインターネットが原因してるのです。
インターネットは世界の人々に情報の共有化を齎しました。平均化される世界の中で、国家は伝統や価値観を失っていったのです。
若者達はインターネットで見た事を真似し、リアルに外国の企業や品物が入り、ついには見ず知らずの外国人達が入って来ました。
この地域はこんなはずではなかった…違和感、異質感、嫌悪感、恐怖感に駆られた人々は、次第にパリサイ派化していったのです。
反面、大部分の国家はインターネットを通じて国際的な流れに乗り、どんどんグローバル化していく市場経済の恩恵に預かりました。
今や、国際的な市場経済なくしては国家は運営出来ず、パリサイ派の意見を聞いていたら完全に世界から取り残されてしまいます。

事ここに来て、世界の主要国のリーダー達は、皆イエスの時代のイスラエル王「ヘロデ」の様な立場に立たされてしまったのです。
大規模なローマ帝国の経済がなければ国は成り立たず、かと言って国内には多数のパリサイ派を抱え、貧富の格差は開く一方です。
一方を立てれば一方が立たず、それではと、広く薄く国民に恩恵を施せば、国民それぞれの不満が募るばかりになってしまいます。
聖書でのヘロデは、暗愚で無力な国王に描かれていますが、実際は違うと思います。彼には状況をどうする事も出来なかったのです。
そこで現代英国のヘロデ王=キャメロン首相は国民に判断を委ねました。ところが、何とパリサイ派が勝利する結果となってしまった。
これはイエスの処刑と同じなのです…ローマ人から見ればグローバルな思考を持つイエスには何の罪もない。寧ろ、ローマ帝国の
ピラト総督は止めようとさえしました。だが、伝統的なユダヤ教の観念を持つパリサイ派から見ればイエスは大罪人だったのです。
EUから分離独立する。イエスを斬り捨て異教徒的グローバリズムを排除する…パリサイ派のユダヤ人はローマに一矢報いたのです。
イエスの死後、ユダヤ人達はローマからの分離独立運動を加速させ、ついに国家は分裂して、世界を彷徨う放浪の民となりました。
お解りですか?…現代の「右翼」と呼ばれる人達は、かって力ずくで国家を纏めようとした愛国主義ファシストとは異なる存在です。
彼らはグローバリズム経済に染まってしまった国家を否定し、地域の伝統的価値観を重視するパリサイ派=分離独立派なのです。

続いて、イエスの時代にあって、ローマ帝国によってグローバル化するユダヤ世界に存在したもう一つの勢力を紹介いたします。
多分、この勢力を語る事によって、現代世界と古代ユダヤ世界の接点がより一層鮮明に見えて来るだろうと思います(謎笑)

~続く~


キリストの処刑を描いた映画“パッション”の挿入歌 歌:ジンガー・シャンカー

イエスの処刑をリアルに描いたメル・ギブソン監督の「パッション」は、ショック死や失神する観客が出るほど凄惨なものでした。
劇の台詞は全て当時のアラム語とラテン語で、日本語吹替版は無く、拷問や処刑も当時を忠実に再現する徹底ぶりだったそうです。
右翼と言う人達は、人に対してこれほど惨い暴力をふるえるのか?…もはや人間の域を超え、ケダモノの本性が露わになってました。
けれど、この映画は虚構ではなく現実なのです。未だに世界の右翼は、キリストの時代と同じ暴力を世界中で平然とふるっています。

※右翼=広義の解釈では「国家主義」「人種・民族主義」「宗教主義」など特定の思想・主義を暴力で広める暴力主義者の総称です。
但し、国家や宗教などの権力・権威をバックにした 「虎の威を借る狐」 (嘲笑)以外の暴力主義者は、右翼の範疇には入りません。


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<トランプ氏、「クイーン」の楽曲またも無断使用(リンク)> 同性愛を嫌悪して、なぜ同性愛者「フレディ・マーキュリー」の曲を?

(*) 『クイーン』の名ギタリスト「ブライアン・メイ」が、トランプ氏が彼らの曲を選挙運動に使用した事に対して激怒したと聞いた。
メイは、アパルトヘイトが元で国連の制裁を受けている南アフリカで、コンサートを開いて、マスコミに非難された時にこう反論した。
「自分達は政治家とは違う。曲を聞きたい人がいれば、例え戦争をしている敵国に行ってでも聞かせる。それが芸術家の義務だ」
しかし、メイが怒ったのは政治的理由ではない…トランプ氏が、1991年にHIVで亡くなった大切な友人を侮辱したのが理由なのだ。
クイーンのボーカリスト「フレディ・マーキュリー」は同性愛者だった。だが、彼ほどすごいロックシンガーは未だかって存在していない。
人間を色分けしたがる者に芸術を鑑賞する資格はない!どうせ奴には自宅に飾っている名だたる名画の本当の価値すら分かるまい。
そんな猿にフレディ・マーキュリーの曲を使われては、芸術が穢れてしまう…ブライアン・メイが言いたいのはその事なのだろう。
 
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~ Comment ~


こんにちは~♪
グローバリズムと極右勢力の台頭には直接関係はないと思います。
インターネットで情報がすぐに世界に広がることは確かにありますが、それと極右勢力の台頭が同時ではありません。
米国型金融市場主義経済がもたらした実体経済を伴わない博奕資本主義の浸透で国内はもとより世界中に貧困と格差を拡大させたことが、暴力を伴う排外主義や差別主義を増長させたもので、これはインターネットが発達する前から存在しています。
ことの本質は米国の覇権を世界中に拡げる野望によって左右されていることでしょう。
現代は新たな覇権争いが出てきており、米国一国が超大国ではありません。
様々な国内問題を抱えながら海外に覇権を求める国々が出てきており、これを止めない限り紛争の種は尽きないでしょう。
宗教は所詮宗教で人間が都合よく考え出したものですから、どんなふうにでも勝手に解釈するでしょうね。
現にキリスト教、ユダヤ教、イスラム教、仏教、ヒンズー教など主だったものは分派がいっぱいあります。
真理が一つであれば分派ができるはずかありませんが、所詮は人間が都合よく解釈するから宗派間の争いが起きるのでしょう。
これに民族問題や人種問題がからんだら誰もお手上げです。
口出ししないことが唯一の解決方法ですね。
#4549[2016/07/20 17:54]  まり姫  URL  [Edit]

Re: まり姫様COありがとうございます^^

> グローバリズムと極右勢力の台頭には直接関係はないと思います。
> インターネットで情報がすぐに世界に広がることは確かにありますが、それと極右勢力の台頭が同時ではありません。

物事には因と果があります…インターネットなくして世界的な極右の台頭はないです。
まず、インターネットが世界をグローバル化した。それで世界的な経済市場が出来ました。
各国家は経済市場に依存し始めた。民族・宗教・地域の危機を感じた人々が声を上げ始めた。
「このままではグローバル化の波に飲まれて、我々はアンデンティティを失ってしまう」とね。
今や経済取引で1分間にネット上を動く金は、アメリカの国家予算を遥かに凌ぐ額になってます。
つまり、世界には金が余ってる…インターネット経済が引き起こした格差も原因してるかもです。
#4551[2016/07/20 23:00]  sado jo  URL 

人間を色分けしたがる……というかどうしても色に分けられちゃうんじゃないかな。
誰しも気の合う友人もいれば逆に嫌いなやつだっている。この時点で既に色分けが。
それで赤組、青組、黄組に別れたとして、赤と黄色は合っても赤と青は合わないかもしれない。
何かこう、同じ(近い)色同士引き合うような先天的な何かがヒトには組み込まれているのでは?
最近はそう思うことがありますね。私だって嫌いな色の人とは関わりたくないですし。
もちろんトランプやヒトラーと違って宗教や人種で色分けしてませんよ(笑)。
#4552[2016/07/20 23:16]  西條すみれ  URL 

インターネットが、広まり出した時、情報化社会が~、て言われましたけど。
多くの人は、多過ぎる情報は、負担になるだけで。
他の人が、選んだ情報しか、見ようとしなくなって。
却って、情報を、知ろうとしなくなる、と思っていました。

インターネットには、人の歴史を、加速させることが、出来たはずですけど。
それを、使いこなすまで、人は、進歩していなかった、のでしょうね。
便利にする道具のはずが、今は、おっしゃる通り、不幸を作る道具にも、なっているのですから。

かしこ
#4554[2016/07/21 01:44]  みかんゼリー  URL 

Re: すみれ様COありがとうございます^^

> 人間を色分けしたがる……というかどうしても色に分けられちゃうんじゃないかな。
> 何かこう、同じ(近い)色同士引き合うような先天的な何かがヒトには組み込まれているのでは?

色とか、顔とか、体系とか、声とか、生理的に嫌う遺伝子が人にはあるんじゃないかな?
ブルンジから来た黒人男性が「白人は気持ちが悪い。あんな白いのは人間じゃない!」って、
マジ顔で言ってました…だとすると、白人も黒人をキモイと思っているんじゃないのかな?
生理的にイヤと言うのは、女性の方が強い様に考えがちですが、意外や男の方が強いです!
だから、生理的にイヤな男同士は憎悪が湧いて、殺し合うのかな?と思ったりします(笑)
#4555[2016/07/21 07:08]  sado jo  URL 

Re: みかんゼリー様COありがとうございます^^

> インターネットが広まり出した時…多くの人は、多過ぎる情報は、負担になるだけで。
> 却って、情報を、知ろうとしなくなる、と思っていました。
> インターネットには、人の歴史を、加速させることが、出来たはずですけど。
> それを、使いこなすまで、人は、進歩していなかった、のでしょうね。

ジェット機が初めてマッハで飛んだ時、人間の感覚が付いて行かなくなったそうです。
それでITを導入して補助させたとか…今のインターネット社会は同じ事態が起きてますね。
膨大な情報は却って脳の負担になり、異質な人や物に嫌悪感が湧いて拒絶する様になった。
結果、脳の許容範囲が狭くなり、生理的に嫌だと本能的に排除しようと争い合っています。
目の前に、百科事典があり、コンサートホールがあり、映画館があり、ショッピングモールがあると考えれば、こんなにありがたい機械はないんですけどね。
残念ながら人は争いの道具(武器)に使ってます。人間は闘争本能が強すぎるのかな?(笑)
#4556[2016/07/21 07:40]  sado jo  URL 

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#4557[2016/07/21 23:12]     

Re: m様COありがとうございます^^

あらまぁ…ネットは匿名性を利用すれば、どんな悪い事でも出来ますからね~><
でも、その実害を防ぐ為にハンドルネームを使う訳だから、上手く利用して防いで下さい。
最悪の場合でも、ネット上の自分は本物の自分ではない…と、言うくらいの開き直りでね^^
自分など、円谷プロ時代の本名を出したら、バレバレになるから完全に別人を装ってます(笑)
お腹…特に胃は気を付けて大事にして下さい。内臓の中で一番手術の多い箇所ですからね^^
#4558[2016/07/22 00:01]  sado jo  URL 














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