シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

随想/論文集

来るべき世界(5) ~地域や集団の自立を促したインターネット~

フィレンツェ
イタリアルネサンスの華「美の街:フィレンツェ」

人類が国家と言う組織を作った頃は、世界は未だ弱肉強食の暴力がまかり通る時代でした。
そこでは、何が何でも我が身を守る事が優先されました…だから、人々は集まって国家組織を作り上げたのです。
例えお互いの意見が違っても、リーダー(王)が横暴でも、重い税金を取られても、ともかく生き延びる事が先決だったのです。
ところが、世界的なインターネットが普及した現代の世界は、まったく様相が異なってしまいました。

あるネトウヨさんがこんな事を言いました「自分が国に納めた税金が(嫌いな)外国人学校の補助に使われるのは我慢出来ない」と。
自分は「それはわががまますぎる」と非難しました…だが、今思えばこのネトウヨさんの意見は、尤もな正論を含んでると思えます。
確かに、原発の被害に遭った福島の人々を救う為に税金が使われるのなら、ネトウヨであろうが誰であろうが、納得出来るでしょう。
逆に、その福島の人達から見れば、東京に住む人々の電気を賄う為に、自分達が犠牲になったのは、納得出来ない事と思います。
危険な狼と同居しなければならない沖縄の人も「なぜ自分達だけが、日本人の犠牲になっているのか?」そう思ってる事でしょう。
本来はこれらの矛盾を解決する為にこそ国家組織があるのですが、政府は矛盾を解決しようとはしません…いや、出来ないのです。
東京の電気は東京都で賄うべきだし、日本を守る為の米軍基地は、日本人全体で公平に分担して各都道府県に配置すべきなのです。
誰かに犠牲を強いるなら、まず自分自身が犠牲になるのが道理です…ところが国家組織と言う集団ではそれが不可能な事なのです。

何も日本だけに限った事ではありません。こんな矛盾は世界のどの国にも存在しています。そしてそれこそが国家の限界なのです。
世界的なインターネットが普及した現代社会…人々はもはやこの様な矛盾に我慢出来なくなった。だから世界が荒れ始めたのです。
インターネット以前なら、人々は辛抱してでも国家に頼らなければ生きていけなかった…だが、それが天と地ほども変化して来た。
世界的なインターネットが作り上げたグローバル経済は、国家がなくても、人々が充分生きていける環境を作ってしまったのです。
個人、集団、地域それぞれは、国家よりもグローバル経済によって繋がれ、もはや切っても切れない関係になってしまっています。
極論を言えば、国家がなくても人々は食っていけますが、グローバル経済が齎す生活必需品がなくては、明日の生活はないのです。

インターネットなどなかったその昔、小さな地域集団でありながら、どこよりも繁栄を極めた二つの都市国家が存在していました。
アテネとフィレンチェです…何と彼らはインターネットのない時代に、自らの努力でグローバルな経済環境をを作り上げたのです。
二つの都市国家の商人達は、ありとあらゆる地域と交易を行い、両国の市民は、当時としては破格の豊かさを享受していました。
あの時代に現代の大学と同じ教育機関を作り、哲学や芸術の華を絢爛と咲かせました。現代の民主主義もここから始まっています。
人々が同じ考えを共有するコンパクトな地域で、大きな争いがなかった事。グローバルな経済があった事が両国を成功させました。
不思議なのは、それほどの繁栄を築いた商人達は、なぜ自らが権力者にならずに市民と共に民主主義政治を行ったのでしょうか?
それは、両国の人々が商人達にとって大事な働き手(労働者)であり、出資者でもあり、大切なお客様(消費者)だったからです。
そして奇しくも、現代の世界ではインターネットが作り上げたグローバル経済によって、完全にこれらの環境が整っているのです。
残念ながら、時代を先取りした二つの都市国家は、周辺の国家が野蛮であった為、あらぬ戦争に巻き込まれて滅んでしまいました。
けれども今は、世界的なグローバル経済システムがあります。野蛮な侵略国家に対しては、厳しい経済封鎖の制裁が加えられます。
例えどんな大国であってもおいそれと小国を侵す事は出来ません。国内の経済状況が悪化し、政権が倒れるリスクを伴うからです。

国家に代って人々を支えるグローバル経済システムが世界に構築された以上、既存の大国家システムは人々には不要な存在です。
異なる人々を無理やり領域内に縛り付け、様々な矛盾を生んでしまった国家は、もう構造的に古すぎて限界を迎えてしまっています。
自分達が直接納得のいく政治を行い、自分達が働いて稼いだお金は、自分達の為に有効に使う…もうそんな時代が来ているのです。
今の世界が荒れているのは、人々が国家組織の構造の矛盾に気付き、自分達の新たな有り方を求めているからだろうと思います。

~続く~

 
映画“ロミオとジュリエット”より「A Time for Us」 作曲:ニーノ・ロータ 歌:Barratt Waugh

ルネサンスを扱った映画と言えば、ベロナを舞台にした若い男女の悲恋物語「ロミオとジュリエット」を置いて他にないでしょう。
巨匠フランコ・ゼフィレッリ監督が、主人公の年齢まで忠実に再現した名作…16歳のオリヴィア・ハッセーの何と可愛かった事か。
映画が公開された当時、映画人だった自分も鑑賞しに行きましたが、何と、映画館から出て来た女の子達の目が真っ赤っかでした。
大人達の争いに巻き込まれて引裂かれ、死を選らばなけばならなかったロミオとジュリエットに深い共感を覚えて泣いたのですね。
自分達の都合で人種や民族、国家や宗教の違いで争い合う大人達には、果たしてロミオとジュリエットの悲劇が分かるでしょうか?


にほんブログ村 小説ブログへ
クリックをお願いします
 
関連記事
スポンサーサイト
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼シムーン第二章 ~乙女達の祈り~
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼未来戦艦大和
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼ビーストハンター
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼クロニクル ~カルマ~
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼まぼろし
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼やさしい刑事
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼幻影の艦隊
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼その他の小説
もくじ  3kaku_s_L.png オリジナル詩集
もくじ  3kaku_s_L.png 随想/論文集
もくじ  3kaku_s_L.png 死とは何か?
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  ↑記事冒頭へ  
←乙女達の祈り 第7話 【異郷】その9    →乙女達の祈り 第7話 【異郷】その8

~ Comment ~


くだらないと切り捨てるのもかわいそうかもしれないけど
いつまでも大人達が争い合っていると息が詰まりそうになりますね。
中には子供まで洗脳されて盲目的に銃を持つようになる現状。
嫌いなら関わらなければいいのに、滅ぶまで、子々孫々に渡って争い続ける。
これまで争い続けた人類の責任といえばそうですが、やはり戦争が最善策とは思えませんね。
#4819[2016/09/26 10:21]  西條すみれ  URL 

Re: すみれ様COありがとうございます^^

> いつまでも大人達が争い合っていると息が詰まりそうになりますね。
> 中には子供まで洗脳されて盲目的に銃を持つようになる現状。
> 嫌いなら関わらなければいいのに、滅ぶまで、子々孫々に渡って争い続ける。

とある町で小学生が 「一死報国」 と言う横断幕を掲げて運動会に参加したそうです。
親に教えられたのでしょうが、本人達は意味を知らない。学校側も気付いてない(笑)
「次の世代は確実に戦争するな~」と思いました…誰も誤りを正そうとする気がない!
最期は力で解決するのが猿の掟…はて?ここは「人間の惑星」か?「猿の惑星」か?(笑)
#4820[2016/09/26 10:50]  sado jo  URL 

こんにちは~♪
大きな誤解がありますね。
米軍は日本を守ってなどいませんよ。
半ば植民地のように扱っていることを理解しないと間違いのもとになるでしょう。
ネトウヨは福島の被災者救済にカネを使うなと侮辱し続けていますしねー。
#4821[2016/09/26 16:36]  まり姫  URL  [Edit]

Re: まり姫様COありがとうございます^^

> 米軍は日本を守ってなどいませんよ。
> 半ば植民地のように扱っていることを理解しないと間違いのもとになるでしょう。
> ネトウヨは福島の被災者救済にカネを使うなと侮辱し続けていますしねー。

ははは…ネトウヨや日本会議など右翼系の人は、福祉や弱者に税金を使う事を嫌います。
彼らの思想を一々聞いてたら、国が運営できない。しかし例えわがままな言い分でも、自分が納めた税金は自分達の為に使われるべき…と言うのも、また民主主義の原則です。
アメリカ人が納めた税金は日本を守る為ではなく、日本人が納めた税金もまたしかり。
国民国家と言う大規模な政治形態だから矛盾が生じるのです。コンパクトな都市国家的政治形態ならば、本来の民主主義は見事に機能します。
本物の民主主義を行うならば、一度国家を解体して都市国家連合体にするのが一番です。
#4822[2016/09/26 17:55]  sado jo  URL 

後世から、振り返った時。
今が、平和な世界を作れる時代だった、てならないと、良いのですけど。
これだけ、情報網が発達しているのですから。
少なくても、飢えから、無縁の世界は、作れそうなのに。
それだけでも、争いは、少なくなると思うのです。

かしこ
#4823[2016/09/27 00:32]  みかんゼリー  URL 

Re: みかんゼリー様COありがとうございます^^

> 後世から、振り返った時。
> 今が、平和な世界を作れる時代だった、てならないと、良いのですけど。
> これだけ、情報網が発達しているのですから。

未来人から見たら「21世紀初頭はもったいなかった」と言うかも知れないですね。
今、電子機器を駆使する人類の第二文明は黎明期=幼稚園の時期にあたります。
つまり人類は、今大人になる未来に向かって人格を作る時代に差し掛かってます。
考え方一つで、個人の自由と人権、飢餓の一掃やオバマ大統領の言う核兵器の廃絶。
事によると戦争なき世界連邦の結成…それらが、電子情報の力で達成可能なんです。
インターネットを生かして幼児から脱し成長するか否か?全て人の考え方次第です^^
#4824[2016/09/27 11:10]  sado jo  URL 

こんにちは〜♪
いつもありがとうございます(*^^)
今日は病院行きだったのでお邪魔するのが遅くなりました。
訪問のご挨拶だけで失礼させていただきますね(^_−)−☆
#4825[2016/09/27 17:46]  まり姫  URL  [Edit]

Re: まり姫様COありがとうございます^^

お互いに医者通いは日課?みたいなもんですね(苦笑)
元気が有り余りすぎて、戦争したがる議員や右派の日本人がうらやましいです。
せっかく健康なんだからもっとマシな事を考えたらいいのに…精神が病んでる(笑)
#4826[2016/09/27 19:13]  sado jo  URL 

確か、チェコスロバキアとユーゴスラビアは、この「なんでオレの納めた分が貧しい連中のために使われるんだ?許せねぇ…」っていうのが原因で、分離独立してますよね

特にユーゴスラビアは、民族も宗教もバラバラだったので、共産主義の名目で統制するのはそもそも無理だったのを、表面上統制してたので、その反動で戦争が起きた気がします

ちなみに、チェコスロバキアはスロバキアが、ユーゴスラビアはスロベニア・クロアチア・セルビアが独立を切望してたみたいです

その結果、あの界隈は人口が1000万未満の国が多くできましたね

まぁ、同じことは日本にそのまま当てはめることはできないので、現実的にはドイツのような連邦制にしていくのが、多くの問題を解決できるような気がします
#4827[2016/09/27 19:52]  blackout  URL 

Re: blackout様COありがとうございます^^

> 確か、チェコスロバキアとユーゴスラビアは、この「なんでオレの納めた分が貧しい連中のために使われるんだ?許せねぇ…」っていうのが原因で、分離独立してますよね
> その結果、あの界隈は人口が1000万未満の国が多くできましたね

日本の場合は世襲大名の代りに首長が立つ「幕藩的民主主義制」がベストでしょうね。
各藩は直接民主制で政治を行い、国際的な懸案は首長が集まって取り決めればいいです。
最近、地域通貨制と言うのが話題になってますが、アレ経済の大きな起爆剤になります。
もし各藩によって通貨の価値が違うとしたら?…金儲けの幅が無限に膨れ上がります。
アベノミクスが霞むくらい日本経済は活気付く…大判・小判がザックザクってね(笑)
#4828[2016/09/27 20:13]  sado jo  URL 

おはようございます
ネットは便利ですが扱いには気を付けたいなと思いました。
#4829[2016/09/29 08:32]  ネリム  URL  [Edit]

Re: ネリム様COありがとうございます^^

> ネットは便利ですが扱いには気を付けたいなと思いました。

そうですね…ネット詐欺も恐いですが、それ以上に怖いのはネット洗脳です。
いつの間にか「某外国人が憎い!」とか「某国は敵だ!」とか洗脳されてしまいます。
人としての感覚を失うと、気付いた時はケダモノになってたりします。以前の日本と同じに><
#4831[2016/09/29 10:09]  sado jo  URL 














管理者にだけ表示を許可する

~ Trackback ~


  ↑記事冒頭へ  
←乙女達の祈り 第7話 【異郷】その9    →乙女達の祈り 第7話 【異郷】その8