シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

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シムーン第二章 ~乙女達の祈り~ 小説本編

乙女達の祈り 第7話 【異郷】 その4

Simoun 彼女達の肖像02

 パライエッタは、ソロルの街に住んでいるカイムとアルティの姉妹を訪ねた。
 姉妹は、かってのコール・テンペストのメンバーで、パライエッタのパルだったカイムは、年上の彼女を慕っていた。
 あの頃の姉妹は二人とも勝気な少女で、いつも喧嘩ばかりしていたが、意外やアルティは姉思いで、聖なる泉で性別を選んだ時、姉の世話をするために女になった。
 一方のカイムは、てっきり男になるものと思っていたが、アルティと同じ女になることを選んだ。
 多分、カイムにしてみれば、パライエッタが男になる事を選ぶと思って、自分は女になってずっと側にいようと思ったのだろう。
 けれども、当てが外れてパライエッタは女になった…だが、何が幸いするか分からないもので、その後、姉妹は仲良く暮らしだしたのだった。

「ようこそ、パラ様ぁ~!」
 大きな屋敷の門をくぐって入ってきたパライエッタの姿を見たカイムが、うれしそうに駆け寄ってきて言った。
「孤児院の手伝いに来てくれて以来ね…二人とも元気にしてた?」
 パライエッタは、姉の後を追ってきて二人仲良く並んだ姉妹を見て言った。
「えぇ、元気ですよ。カイムなんか元気すぎて小言ばっかり言ってます」アルティは冗談交じりに答えた。
「バカッ!余計な事を言うな。アルティ」たちまちカイムが目を吊り上げた。
「相変わらず変らないわね。でも、二人とも元気そうで良かった」
「パラ様もお元気そうで何よりです。さぁ、どうぞどうぞ、一緒にお茶を飲みましょう」
 カイムは、パライエッタの手を取って庭のテーブルに案内した。
 彼女が席に付くと、アルティが甲斐甲斐しく紅茶をたててくれた。
「三人でお茶を飲むのって久しぶりね~」パライエッタは感慨深そうに言った。
「そうですね。あれ以来みんなバラバラになっちゃいましたから…ロードレも事業が忙しそうでなかなか会えないし」
「そうね…他のみんなはどうしてるのかしらね。宮国が二つに分けられてから、北部の事情は全然伝わってこないし」
 パライエッタとカイムがそんな話をしていると、アルティが口を挟んできた。
「男を選んだヴューラ…いや、ヴュラフは徴兵されたらしいですよ」
「そう言えば、フロエ…いや、フロフは出身地の北部にいるのよね。ワポーリフと結婚したモリナスも」
「アルクス・プリーマの艦長だったアヌビトゥフは礁国に徴兵されて、飛空母艦の艦長になったそうです」
「でも、北部にはデュクスだったグラギエフがいるんでしょ…あの二人って、シュヴィラ時代は恋人同士だったって聞いたけど」
「ひどい話でしょ…仲の良かった者同士や、親子や兄弟が敵と味方に分かれて戦わなきゃならないなんて」
(戦争はいつもそうだ。人と人を理不尽に引き裂き、人の心を奪い、人間同士の絆を壊してしまう)パライエッタは思った。
 司政院の副院主であるネヴィリルの父、ハルコンフが強引に通した法案によって、家門のない少女でもシムーン・シュヴィラに採用されるようになった。
 だがそれは神のためでなく、国防のために戦うシムーン・シュヴィラ欲しさからで、庶民の少女たちを戦争に駈り出すためのものだった。

~続く~

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~ Comment ~


戦争なんて、庶民のために、行われるのでは、ないのですよね。
一部の人のために、行われて。
それを、誤魔化すので、大義名分をでっち上げて。

それで、親しい人が、お互い争い合うなんて、悲劇です。
親しくなれるのなら、争い合うことなんて、ないのに・・・

かしこ
#4713[2016/08/27 00:27]  みかんゼリー  URL 

徴兵のために男を選んだわけではないのに、選んだ結果がこれとは。
戦場じゃどんな綺麗事を言っても兵士なんてまるで消耗品扱いですからね。
国のために敵機に突っ込んでこい。そんなことが繰り返されていいわけがない。
今の一部の過激な日本人はそれでもいいと思っていると考えると恐ろしいものです。
#4714[2016/08/27 08:22]  西條すみれ  URL 

Re: みかんゼリー様COありがとうございます^^

> 戦争なんて、庶民のために、行われるのでは、ないのですよね。
> 一部の人のために、行われて。
> それを、誤魔化すので、大義名分をでっち上げて。

国家の戦争は誰の為にするのか?…を、深く考えると恐ろしいものがあります。
戦争をして得するのは、資本企業・政治家・軍人です。但し、勝ったらの話(笑)
力のある者だけが戦争で利益を得る。逆に庶民は、税金を捧げ、血肉を捧げて枯れる。
彼らが言う「国防の為」「平和の為」「国の為」などの大義名分に耳を貸してはダメ!
庶民が動かなきゃ戦争は出来ない…だから、右翼シンパを作って国民を煽ってるんです。
#4715[2016/08/27 10:53]  sado jo  URL 

Re: すみれ様COありがとうございます^^

> 戦場じゃどんな綺麗事を言っても兵士なんてまるで消耗品扱いですからね。
> 国のために敵機に突っ込んでこい。そんなことが繰り返されていいわけがない。
> 今の一部の過激な日本人はそれでもいいと思っていると考えると恐ろしいものです。

一般の兵士は「国家の為に戦う(死ぬ)」のが前提ですから、間違いなく消耗品です。
但し、高級将校は名家・名門の出ですから最前線には出ません。後ろで指揮するだけです。
父は、実際の戦場でそれをイヤと言うほど味あわされ、たくさんの兄弟や戦友を失いました。
阪神大震災や、東日本大震災(福島原発)の現場に、飛び込んで来た政治家は一人もいない。
名家・名門・富裕層の差別はいつの世も同じ…過激な日本人は現場に身を置けばよく分かる(笑)
#4716[2016/08/27 11:13]  sado jo  URL 

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#4717[2016/08/27 16:31]     

Re: m様COありがとうございます^^

ははは…阿部首相には手厳しいですね。
ブッシュ前アメリカ大統領も、ソルトレイクで、9.11同時多発テロの遺物をモニュメントにし、オリンピック精神を台無しにして、世界の批判を浴びました。
自ら道化をやって、日本の平和的ゲーム文化をアピールした阿部氏の方がマシかと(笑)
ま、本人には日本は文化国家を目指すのか?軍事国家を目指すのか?はっきりして欲しい。
憲法を変えて軍事国家を目指すんじゃぁ、せっかくのスーパーマリオも泣くでしょう(笑)
#4718[2016/08/27 17:17]  sado jo  URL 

戦争に限らず、企業でも同じような構図がありますよね

ゾンビが放つ弾丸飛び交う最前線にほっぽり出されるのは、傭兵社員
その現場で指揮をとらされるのは、若手プロパー社員や中途社員、傭兵上がりの専任社員

その後ろであぐらをかいてる社員は、たまたま時代のタイミングでそれを逃れられてるだけ

そういう連中がかなりの数いるので、有能な連中が上がれない状態

特に組織の大きな企業ほど、その構図になるかと

これからもっとIT化/AI化が進むと、さらに人が要らなくなるので、ゾンビがさらに増えますね(汗)
#4720[2016/08/27 19:29]  blackout  URL 

Re: blackout様COありがとうございます^^

> 戦争に限らず、企業でも同じような構図がありますよね
> ゾンビが放つ弾丸飛び交う最前線にほっぽり出されるのは、傭兵社員

人間社会はどんな体制(例え共産主義)でも、平等では無く、上が得する様に出来てます。
だから、皆が出世しようとして足掻き、人間性を無くした挙句にゾンビになってしまう><
で、上に立っているこれまた人間性を無くしたゾンビにこき使われる事になります(笑)
自由人を希望する私は、こいつらに食われない様に、ず~っと逃げ回って暮らしてました。
組織人間が多い日本と言うゾンビ社会で、自由人が生き延びるのは大変でしたよ(大笑)
#4722[2016/08/27 22:22]  sado jo  URL 














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