シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

「▼未来戦艦大和」
未来戦艦大和 小説本編

未来戦艦大和 第4章 「激闘!坊の岬沖海戦」(12)

実はある意味、どちらも囮であり、どちらもが本隊だった。
羽生は、陸海軍合同の航空攻撃隊に、前もってある物を積ませて指示を与えていた。
『敵艦隊のレーダー圏内に入ったら、標的用の吹流しを展開せよ』と。
それをレーダーで補足した敵は、197機の日本の攻撃隊を300機だと誤って認識したのだった。
一見、無防備に見える大和以下の連合艦隊に注意を惹き付けて、敵の艦載機を引きずり出し、手薄になった敵の攻撃に当たる航空隊を実数以上に見せ掛ける。
想像以上の数にあわてた敵は、連合艦隊を攻撃するのもそこそこに、自軍を守るために引き返さざるをえなくなる。
それは、単に敵を混乱させるだけのものではない…まるで、自軍を動かすように敵を動かすトリックだった。

羽生は戦争と言うものを、科学の目で捉えていた。
個々の戦いは、空間と時間の中で起きる現象のプロセスであり、そこには必ず科学の法則が働く。
だから、あちらで起きた事はこちらに影響を与え、こちらで起きた事は、あちらに影響を与える。
一つ一つの出来事は、決して孤立している訳ではなく、お互いに関連性があり、連動し合っているものだ。
無意味な出来事は何一つなく、例え目にとまらない些細な事でも、それはやがては目に見える現象となって現れる。
バタフライ・エフェクト…小さな国で一匹の蝶が羽ばたけば、やがて世界中が猛嵐に見舞われる事になる。
元は科学者の卵だった羽生は、並の人間なら見落とすだろう関連性の無い出来事の因果関係をよく知っていた。
いついつどこで何が起きればどうなり、それがどのように全体に波及するのか?それを考察して読み解いてゆく。
そして、限られた空間の中で、時間軸に沿って起こりうる現象のプロセスをどうコントロールしていくか?
羽生は、科学者の為すべき事をよく自覚した上で行動していた。

とは言え、現実には400機に上る圧倒的な数の敵機を引き受けた大和以下の連合艦隊は、さすがに苦戦していた。
羽生が降らせた人工降雨の中に艦隊が逃げ込めるまで、後わずかだったが、敵の攻撃は一層の苛烈さを増していた。
先頭をゆく軽巡洋艦矢矧は、スコールの中に入るまでほんの200メートルほどの距離にまで近づいていた。
だが、敵はその矢矧に集中攻撃を浴びせはじめた。
「長官。敵の攻撃が矢矧に集中しています」能本副長が羽生に報告した。
「何だとっ!こちらが手に負えないとみて、沈められそうな船を狙ったか」来島は言った。
「いや、違うな…殲滅戦をやるつもりだ。敵は一艦も逃す気がないと見える」羽生はそう答えた。
「くそっ!何てやつらだ」草薙が怒りをあらわにした。
「艦長。回避行動を中止して、ただちに矢矧の救援に向かって下さい」
「了解しました。長官」

~続く~

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~ Comment ~


これをこうしたらああなる。
ただなんとなく生きてるだけであまり考えない人が増えたように思いますね。
短絡的というか事件に発展するケースが若者を中心に増えている気が。
自衛隊を海外へ戦いのために送ったら日本も狙われる上に自国の守りがそれだけ手薄になる
っていう考えも持ってないのかね、どこぞの首相も。あ、日本って言っちゃったか(笑)。
#4787[2016/09/17 08:41]  西條すみれ  URL 

Re: すみれ様COありがとうございます^^

> これをこうしたらああなる。
> ただなんとなく生きてるだけであまり考えない人が増えたように思いますね。
> 短絡的というか事件に発展するケースが若者を中心に増えている気が。

多分、今の人は時間の流れが速くて情報量が多いので、ゆっくり考える暇がないのでしょう。
「起承転結」「因果応報」のプロセスが抜けている。又は自分だけはそうならないと思ってる。
「始まりのあるものには終わりがある。ネオ」…映画マトリックスの有名な言葉があります。
何かをする時は、終わりまでの過程を考察しないと、とんでもない結果を招くんですがね。
東京都の「豊洲市場移転」がいい例です。焦りまくってやってバカですよね(笑)
#4788[2016/09/17 10:53]  sado jo  URL 

こんにちは~♪
いつもありがとうございます(*^^)
秋雨前線の影響かスッキリしない土曜日になりました。
素敵な三連休をお過ごしくださいね(^_-)-☆

妖怪の孫はやっぱり妖怪、自分が一番上にいないと気に入らない坊ちゃん独裁かと思いきや、ドジョウがまたまたこんにちはって出てきます。
世の中狂ってる!!
#4789[2016/09/17 16:32]  まり姫  URL  [Edit]

Re: まり姫様COありがとうございます^^

> 世の中狂ってる!!

「未来戦艦大和」は、ある小説サイトで一万アクセス以上を超える人気なんですが、実は執筆している自分としては、好きなジャンルの小説ではありません。
近年になって、戦記物や、やたら花火を打ち上げるバトル小説に読者の人気が集まって、人間的で良質な小説が日の目を見ないのは、作者にとってかなり気掛かりです。
北朝鮮がミサイルを打ち上げる度に、保守を名乗る人達が鬼の首を取ったみたいに騒いでますが、本当に心配しているのならお祭りの様な騒ぎ方はしないと思います。
穿った見方をすれば、現状に不満を持つ人達が刺激を求めている…何かが起きる事を期待している様にさえ見えます。それが人々に好まれる小説の傾向に現れているのが残念です。
保守派とは、人間の視点に立って今の平和を、今生きている人々の暮らしを守る人であり、故 加藤さん。山崎さん。小泉さんは本当の保守であろうと思う…僭越ながら自分も保守です。
保ち守るには、変えてよいものと、変えてはならんものがあります…そこを勘違いすると、自分ばかりか大勢の人に塗炭の苦しみを味遭わせる事になる。それを分かってる人が何人いるか?です。
#4790[2016/09/17 18:33]  sado jo  URL 

最近は、直接的ではなくても、間接的に物事は繋がってるんではないか?まるで地下水脈のように

って思うようになりましたね

人の繋がりも然りかなと

今書いている小説も、その辺を意識してたりします
#4791[2016/09/17 21:55]  blackout  URL 

Re: blackout様COありがとうございます^^

> 最近は、直接的ではなくても、間接的に物事は繋がってるんではないか?まるで地下水脈のようにって思うようになりましたね
> 人の繋がりも然りかなと 今書いている小説も、その辺を意識してたりします

豊洲市場みたいに…ですか?確かに、東京都民の胃袋とは繋がってますよね~(笑)
どころか福島の海は全国と繋がってます…それを思うと原発は怖いものがありますね。
いつも不思議に思うんですが、アメリカの原潜や原空はどこに汚染水を捨ててるのかな?
「風が吹けば桶屋が儲かる」って落語がありますが、物事の因果関係をよく現してます^^
#4792[2016/09/17 22:11]  sado jo  URL 














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