シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

「▼ビーストハンター」
ビーストハンター 小説本編

ビーストハンター 第4話 「誰がために銃声は鳴る」 (3)

ハンター4-3

 ところが、ツクモの話を聞いたイェーガーたちの反応は意外なものだった。
「無理やり女の子をオモチャにするようなヤツらは、指定があろうがなかろうがケダモノ以下だろうがっ!」
 娼婦だった頃にさんざん男に泣かされてきたウズメは吐き捨てるように言った。
「…ったって、お前さんも昔はオモチャになっていた口じゃねぇのかい?」
「まぁ、そう言われりゃそうだけどさ…あたいのは食うためだったんだから仕方ないだろ」

 ウズメはかなり色気のある美人で、さぞ男が寄ってきそうな女なのに男には興味がなく女の子の方が可愛いらしい。
 客とトラブルになった女の子を助けようとして事件を起し、危うくビーストになるところだった。
 そこを通り掛かった沙羅に救われ、強い相手に立ち向かう男気…いや、女気を見込まれてイェーガーとなった。
 それからは、命の恩人である沙羅に密かに恋心を寄せているビアンっ気のある女だった。

 さらに、シュンに至ってはむしろ面白がる有様だった。
「それって面白くね…殺っていいんだよね。偉いさん連中を並べてさぁ」
「お前は相変わらず物騒だなぁ…ネトゲ」
「だってさぁ、普段えばってる連中が恐怖に怯えて泣き出すところを見てみたいじゃん」
「まったくサイコパスか?お前は…イェーガーにならなきゃぁ間違いなくビーストだったな」

 シュンは、合法的に人が殺せると言う仕事に惹かれてイェーガーになった元ゲーマーだ。
 確かに犯罪を犯した者は、ビースト法によって人権を剥奪されて獣になる…とは言え中身は人間なのだ。
 けれども、シュンにとっては射殺ゲームであり、モンスターを倒すのと同じ事…相手が大物であればあるほど楽しいらしい。
 歪んだ時代が生み出した若者の一人なのだろうか?生命に対する人間的な感情がまったく欠けていた。
 多かれ少なかれ、イェーガーになる者はどこか欠陥のある人間が多く、一歩間違えばビーストとたいして変らなかった。

「ハッカー、お前はどうだ」ツクモはヒジリに尋ねた。
「まぁ、わても公安局には恨みがありますさかいな…鼻を開かせるもんならやってもいいとは思ってま」
「そうか。お前が加わってくれたら心強い…何せ大掛かりな狩りになりそうだからな」
「そうでんな。会社に内緒で情報も集められますし、獲物(武器)の調達もできますさかいな」
「まぁ、情報の方は吉野が提供してくれるから心配には及ばんよ。狩りの手はずもな」
「ほなら、こっちが使う獲物の手配だけでっしゃん…ちょろいもんでっせ」

 ヒジリは、元は公安局の情報部に在籍していた情報管理官だった。
 天才肌の情報処理技術者であり彼にハッキングできないシステムはない…その上、武器全般にも通じている男だった。
 その彼が、同僚との待遇の差を疑問に思い、密かに人事機密文書をハッキングしていた事がバレて公安局を首になった。
 本来なら犯罪行為でありビーストにされるところだったが、部署から縄付きを出したくない上司の計らいで免職で済んだ。
 けれども、菅原道真を祖先に持つプライドの高いヒジリは、未だに自分を追い出した公安局を恨んでいた。

~続く~

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~ Comment ~


同じく元ネトゲ廃人としては対人戦のほうが面白かったりしますね。
ただそれはゲームだからであって実際の人相手はなあ(笑)。
みんなそれぞれに戦う理由があるのはいいことです。
それに比べて日本人はアメリカのトランプデモと似たようなことをする勇気もないですね。
安倍君も自衛隊、米軍問題をこれからどうしていくのやら。
#5013[2016/11/14 10:10]  西條すみれ  URL 

Re: すみれ様COありがとうございます^^

> みんなそれぞれに戦う理由があるのはいいことです。
> それに比べて日本人はアメリカのトランプデモと似たようなことをする勇気もないですね。
> 安倍君も自衛隊、米軍問題をこれからどうしていくのやら。

国際社会…とかけて何と説く。ヤクザの集まりと説く(笑)
優しかった山口組のオバマ大親分が引退し、業突張りのトランプ親分が跡目を継いだ。
「用心棒代をもっと出せ!」と脅されて、「へいへい、仰せの通り出しますとも」とヘコヘコしてる弱小な『大和組』の安部親分は如何なもんか?(笑)
「あぁそうかい。そんならロシア組に鞍替えする。プーチン親分に北方四島を軍事基地付きで還してくれればいいよ…と言えば交渉もすんなり纏まるしな」
「あっちの方が用心棒代も安いし、石油やガス、鉱石の天然資源もお前より持ってる…出てってくれた方が沖縄も揉めずに済む。南の国防基地が北に変わるだけの話だ」と逆に脅す度胸が欲しい。
日本人のアカアレルギーには困ったもんで、ロシアはもう共産主義ではなく資本主義国だよ。
オマケに阿部家は、親子代々ロシアファンだそうで、渡りに舟で丁度いいと思うが(笑)
#5014[2016/11/14 13:49]  sado jo  URL 

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#5015[2016/11/14 16:30]     

Re: m様COありがとうございます^^

奄美大島から南って事は、丁度米軍基地のある沖縄になる訳ですか?
ウルトラスーパー満月ならいいけど、ウルトラスーパー満額になりそうだな><
国会で話が出てましたよ…幾らトランプが要求してくるか?米軍駐留経費(笑)
#5016[2016/11/14 17:10]  sado jo  URL 

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#5017[2016/11/15 13:27]     

Re: m様COありがとうございます^^

日本人には綺麗に生きて欲しい…と言うお気持ちは良く分かる。自分もそう思います。
だが、商売をして生きてきた自分に言わせるなら、外交は形を変えた戦争なのです。
なぜエラーを犯したヤツに塩(米軍経費)を贈って助けにゃならん?相手のミスには畳み掛けて付込む!それが戦略の常道です…外交に綺麗も汚いもない。
確かにロシアも米国同様覇権国家です…だがアメリカにあってロシアにはないものがある。
アメリカは資源と技術と軍事力を持っていた。だから諸国を牛耳る事が出来た…だがロシアには資源はあっても技術がない。それを日本は持っている。
ならロシアの懐に入り込み、日本の技術力で資源開発をしてロシアの経済を牛耳ればいい。
その際、ロシア軍を良い用心棒に使う…何てったって金を持ってるヤツが一番強いのです。
おまけに北朝鮮、北方四島、沖縄…日本を悩ませている問題が日露同盟で一挙に解決する。
アメリカに義理立てして、こんな千歳一隅の商売を逃すなら日本人はバカ丸出し…ドゥテルテに先を越されて泣きを見るのがオチですよ(笑)
#5018[2016/11/15 15:57]  sado jo  URL 

なるほど
同僚のイエーガーたちは結構協力するみたいですね

まぁ、協力する理由は各々違うみたいですが、そんなもんでしょうね

みんなみんな、「そんなの許せねぇ!」っていう感じだと、それはそれでまた怖いですし(汗)

ちなみに自分が同じ立場だったら、協力すると思います
理由は、多分ないですねw

仮に自分がイエーガーになるとしたら、他に選択肢がないときだと思うので、何が降ってきても仕事として、もっと言うなら、生きるためにこなちゃうわけです

変な話、それで死んでも別にいいかなって思うわけです
かといって、別に死にたがりってわけでもないですけどね

多分、死ぬ可能性があるっていうことを、どこかで受け入れてるんでしょうね
#5023[2016/11/16 19:37]  blackout  URL 

Re: blackout様COありがとうございます^^

> 同僚のイエーガーたちは結構協力するみたいですね
> まぁ、協力する理由は各々違うみたいですが、そんなもんでしょうね
> ちなみに自分が同じ立場だったら協力すると思います 理由は、多分ないですねw

自分は、多分加わる理由がありますね~…一生に一度、小脇にマシンガンを抱えて、
「ランボー」のシルベスタ・スタローンばりにカッコよくバリバリやってみたい願望がある♪
ただ天使と悪魔の両面性は持ってるが、シュンの様な殺人狂ではないので、いざとなったら、生身の人間を撃てるかどうか?自信がないですね。
父親が猟師だったので、銃の扱いは慣れてますが、標的が獣ではなく人間の場合はね~(笑)
でも、アメリカの乱射犯の心境が解ってしまう辺りは、心理を読む小説家向きなんでしょうか?ま、血の流れない小説で満足しておきます(笑)
#5024[2016/11/16 20:25]  sado jo  URL 

>でも、アメリカの乱射犯の心境が解ってしまう辺りは、心理を読む小説家向きなんでしょうか?

そうでしょうね、多分w
あとsado joさんがマスターだったというのもある気がします
相手と正対すれば、ほぼ100%、相手の本質を見抜けるんじゃ?って思ってます

ちなみに、自分は基本我愛羅なところがあるので、いざとなったら生身の人間も撃っちゃうと思いますw

ただ、狂ったような高笑いとともにマシンガンをぶっ放すよりは、フィンランドのシモ・ヘイへみたいに、そのゾーンに入ったら確実に殺られる、みたいなヤツになるでしょうね(汗)

なので、自分がイエーガーだったら、誰かと組んで、ホシをおびき出してもらって遠距離用のライフルや近中距離のハンドガンで狙い撃ちするような任務が多くなると思いますw

多分、誰とでも組める気がします
そして、確実に実績を作るでしょうねw

それである程度名が知れて、ホシが警戒するようになったら、実はスナイパーとしてではなくて、実はホシの近くにいて、一瞬の隙をついて仕留めるみたいなこともやるかもですねw
#5025[2016/11/17 22:12]  blackout  URL 

Re: blackout様COありがとうございます^^

おぉ!「シモ・ヘイへ」いいですね~…自分の親父はそのシモ・ヘイへみたいなタイプでした。
狙った獲物は冷徹に仕留める…普段は人間の顔をするのに、狩猟となったら殺戮マシンになる。
生命の感覚がなく、獣はただの標的で、猟犬は道具。ライフルは氷の刃と言う人間でした(笑)
詳しくは語らなかったが、戦地で何人かの米兵を天国に送ったそうで、部隊でも腕利きだった。
わが親ながらゾッとしますよね(笑)…まぁ、そんな時代に生れて兵隊向きだったんでしょう。
それでも、死んだ戦友の寄書きの入った日ノ丸の旗を大事に持ってました。やはり人間だった^^
#5026[2016/11/17 23:53]  sado jo  URL 














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