シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

「▼ビーストハンター」
ビーストハンター 小説本編

ビーストハンター 第4話 「誰がために銃声は鳴る」(4)

ハンター4-4

「ソルジャー、お前はどうする」ツクモはジョーに聞いた。
「俺はあんまり気が乗らないが、みんながやるって言うなら着いていくよ」

 ビーストだった父親をイェーガーに射殺された幼いジョーは、母親にも見捨てられて孤児院に入れられた。
 その後、孤児院の待遇にたまりかねて脱走し、東京租界の窃盗団に加わって盗みを働いていた。
 そこを渡りのイェーガーだった達摩玄に拾われて、玄の仕事先である海外を転々としながら暮らした。
 玄の仕事は、主に無法地帯での警備業務や戦場での傭兵などで、荒っぽくて金になるものが多かった。
 そんな血生臭い現場でイヤというほど地獄を見てきたジョーは、無益な殺しは避けたいのが本音だった。
 だが、修羅場で鍛えられた肉体と技量はあまりにも殺しに向いていた…それはジョーにとっての皮肉だった。

 街の中心にそびえ立つ巨大なドームは、現代の格差社会の象徴とも言える。
 世界規模の天変地異に見舞われて国土の25%を失い、首都が海の中に没した日本は奥地に新たな首都・ネオ東京を築いた。
 いかなる気候変動や異変にも耐えられるドームの中には国家の施設や高級住宅が設けられ、要人やセレブはそこで暮らした。
 だが、ドームの周囲にへばり付くように暮らす庶民は、すっかり変ってしまった厳しい気候環境にさらされる事となった。
 当然、すべてから安全に守られるドームの中でぬくぬくと暮らす要人やセレブと庶民の間には大きな差ができてしまった。
 生活に不満を持つ者たちは犯罪に走り、テロや凶悪犯罪が日常茶飯事となって首都の治安は悪化の一途をたどった。
 そこで警察の手に負えなくなった犯罪に対処するため、政府はビースト法を制定して犯罪者の人権を剥奪する事にした。
 さらに、民間警備会社に武装を促し、警察の管轄下に入れてその補助をさせ、犯罪者の取締りと処分を委託したのだった。
 中でも狩猟免許と言う名の犯罪者射殺許可証を持つ狩人=イェーガーは、犯罪者の検挙と処分の最前線に立つ事となった。
 そして、いつの間にかシャルクと言う猟犬を連れた狩人たちは、警察に代って社会の治安を守る存在となったのだった。
 だが、犯罪者を狩り出して処分する役目を負うイェーガーは、一歩間違えばビーストになりかねない危険な人間たちだった。

 世界規模の気候変動によって四季を失った人々の暮らしは厳しいものになった。
 それでも、乾季の訪れとともに冷たい北風が吹き荒ぶネオ東京の下町にもジングルベルの音は鳴り響く。
 庶民たちが暮らす街のあちこちにクリスマスツリーのイルミネーションがまたたくようになったある日。
 ここ、音羽警備の事務所でも沙羅たちが、珍しくクリスマスツリーの飾り付けに精を出していた。
 いつものクリスマスなら、沙羅のデスクに小さなツリーを飾るだけなのだが、なぜか今年は気合が入っていた。
「ヒナちゃ~ん。モールを掛けてくれるかな~…見栄えよくね」
「はい、分かりました。社長」
 沙羅に指示された事務員のヒナが、モミの木にモールを掛けていく。
「ウィルちゃん…そこのお星さま持ってきてくれる~」
「は~ぃ」ウィルはうれしそうに箱の中から星を取り出した。
 そうだった…今年のクリスマスはウィルがいるのだった。

~続く~

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<世界は1%の富裕層と、99%の庶民で成り立っている>
アメリカの格差は世界に類を見ないほど激しく、多国籍企業=富裕層が世界の富の60%を所有しているのは事実です。
だからあんな選挙結果になった…では、どうすれば格差を解消できるか?答えはマッカサーGHQ司令官の政策にあります。
「財閥=多国籍企業の解体」…つまり「他国に展開する企業は別の会社を作らねばならない」と言う国際規約を設ける事。
仮に=アメリカの大手鉄鋼「USスチール」が日本に工場を作る場合なら、経営者を日本人とし、利益も日本のものとする。
勿論、別会社とします…それなら多国籍企業に富は集まらず、富裕層の富は米国内だけに留まり各国に利益分散される。
但し、トヨタのアメリカ工場の利益も日本のものにならなくなる(笑)…これがマッカーサー式の「財閥=多国籍企業解体」
これだと、間違いなく富裕層と庶民の格差は大幅に縮まります…でも先進国の財界と政界の猛反対に遭うでしょうね(笑)
 
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~ Comment ~


自分達だけ守られた環境にいたら不満が爆発して当然なのに
それを狩らせるのは理不尽というか、いかにも人間社会が招いた闇ですね。
こっちの世界だって嘘でも本当でも生活保護が溢れかえって崩壊状態ですし
これでトランプの言動次第で消費税がまた上がるんだろうな。
物価の高騰も止まらないし、庶民がビーストになる率も高まるでしょうね。
#5019[2016/11/16 10:20]  西條すみれ  URL 

Re: すみれ様COありがとうございます^^

> 自分達だけ守られた環境にいたら不満が爆発して当然なのに
> それを狩らせるのは理不尽というか、いかにも人間社会が招いた闇ですね。
> 物価の高騰も止まらないし、庶民がビーストになる率も高まるでしょうね。

「ビーストハンター」の近未来の日本=他の国も…富裕層だけが裕福な暮らしをしてます。
不満が鬱積した民衆の一部は、ある者はマフィア化し、極右テロ組織に加わり、海外からは
イスラム過激派が流れ込み、社会の治安が悪化してる状態で…今の欧米の延長線上なのです。
政財界は賄賂が蔓延って上層部は腐敗し、天変地異と異常気象で世界は崩壊に向かってます。
つまり人間のエゴが極まった世界…この小説は、未来を見据えた「予見書」でもあります(笑)
#5020[2016/11/16 10:57]  sado jo  URL 

1%の富裕層が富を独占しているような社会は決して長続きしません。
彼らはいずれ必ず自壊します。
何故なら99%の人たちから収奪できるものが必然的になくなるからです。
これは世界の歴史が証明しています。
99%のその他大勢が英知を集めれば必ず世界は劇的に変化するでしょう。
#5021[2016/11/16 16:14]  まり姫  URL  [Edit]

Re: まり姫様COありがとうございます^^

> 1%の富裕層が富を独占しているような社会は決して長続きしません。
> 彼らはいずれ必ず自壊します。
> 99%のその他大勢が英知を集めれば必ず世界は劇的に変化するでしょう。

富裕層はなぜ強いのか?「金」と「権力」と「軍隊」と「メディア」を一手に握ってるから。
これに勝つのは容易ではない…軍隊に反乱を促せば「軍事政権」になるし、メディアを使えば、必ずトランプの様な野心家が現れて大衆迎合=「ポピュリズム政権」になってしまいます><
民衆に権力を背負うだけの良識があるかと言えば、英国と米国の結果を見ても分かる通り、自分自身のエゴの為に団結しても、他者に尽くす為に団結はしません。それが民衆と言うもの(笑)
最も優れた民主主義をやるなら、世界を数千の都市国家に分割して民衆自ら自治を行なう事。
それなら、自然と富も権力も軍隊も分割されて、一極集中も起らず、大国も生まれない(笑)
#5022[2016/11/16 17:09]  sado jo  URL 














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