シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

「▼ビーストハンター」
ビーストハンター 小説本編

ビーストハンター 第5話 「手折られし花に捧ぐ鎮魂歌」(1)

ハンター5-1

※ この章の物語は1部に過激なバイオレンスを含みます。嫌いな方は読む事を避けるようお奨めいたします。

「この人でなしが~っ!貴様はそれでも人間か~っ!」
 ジョーの胸倉を掴んだツクモは顔面を激しく殴った。
 前の座席に座っていたシュンとヒジリが驚いて後ろを振り返った。
 切れたジョーの口からは鮮血がほとばしったが、それでも彼は殴られるままでいた。
 怒りに駈られているツクモは、そんなジョーを掴んで車の外に引きずり出そうとした。
「ちょっとおよしよっ!こんな所で」隣に座っていたウズメがあわてて止めに入った。
「いやっ!許せねぇ…こいつは事件の犠牲者まで射殺しやがった」
「何があったか知らないが、ジョーがむやみに人を殺す人間じゃない事くらいあんたも知ってるだろ…何か理由があったんだよ」
 そう言って二人を引き離したウズメは、ハンカチで血に染まったジョーの口をぬぐった。
 ジョーは、ただ黙ったまま悲しそうな顔をしていた。
「話してごらんよ、ジョー…何か訳があったんだろ?」
「訳もへちまもあるか~っ!」
 ウズメに止められて、いったんはジョーから手を離したもののツクモの怒りは収まらなかった。
「ほら…夜行さんが随分怒っているみたいだからさぁ」
 ジョーは、ふぅ~っと深いため息を付くとぼそぼそと喋り出した。
「あれは死んだ親父と一緒に、アラブで傭兵をやっていた時の事だった」
 みんながジョーの話に聞き耳をそばだてた。
「親父は傭兵隊を率いてイスラム過激派の隠れ家を急襲した…ヤツらの大半はあわてて逃げ出し、残ったヤツを射殺して隠れ家に突入してみると、そこには一人の少女が取り残されていた」
「それで?」
「その女の子には膝から下と手首の先がなかった。逃げる事も抵抗する事もできないように、ヤツらに切り落とされて性奴隷として飼われていたんだろうな…目の前には犬の食器があったから、手足が使えない女の子は四つん這いになってメシ食ってたんだろう」
「ひどぅおまんな~…それ、人間のやるこってっか?吐き気がしま」ヒジリは言った。
「イスラム過激派は動けない足手まといの女の子を放っといて逃げた…ところが助かったはずの女の子は、今度は傭兵たちの慰み物にされてしまった」
「ま、兵隊っちゅうのは女に飢えとりますさかいな~」
「あんな時は止める事もできない…親父は傭兵たちが女の子を輪姦していたぶるのをじ~っと見ているだけだった」
「俺ならそいつらカラシニコフで皆殺しにするけどな~」シュンが口を挟んだ。
「あれっ?…ネトゲはんもたまには正義の味方みたいな事を言いまんねんな」

~続く~

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~ Comment ~


「一日で大人に」

いつもコメントありがとうございます。
「一日で大人に」
昔の日本では、武家でなくとも「什 (じゅう)の掟」の
ような教育が社会一般に行われていたのでしょうね。
そのために白虎隊や西郷頼母親族自死事件とか
暗い側面もありましたが。
#5126[2016/12/06 09:25]  エリアンダー  URL 

これじゃ救いに来たというより奪いに来たですね。
このまま死ぬまで男のおもちゃにされるなら早く死んでしまいたいって私も思います。
仮に誰かに助けられても一生抱えていくんだと思うと
やはりジョーさんの判断は正しかったと思いますね。
#5127[2016/12/06 10:26]  西條すみれ  URL 

Re: エリアンダー様COありがとうございます^^

> 昔の日本では、武家でなくとも「什 (じゅう)の掟」の
> ような教育が社会一般に行われていたのでしょうね。

「什の掟」…昔の社会には、現代の様な細かい法律はありませんでした。
けれども「道」と言う掟があって、人々の生活を律していた優れた社会でした。
武家には「武士道」…社会からはみ出したならず者でも「仁侠道」に従ってました。
現代社会は、そうした根本的な規範を失って「人の道」が廃れてしまってるんでしょうね。
#5128[2016/12/06 11:19]  sado jo  URL 

Re: すみれ様COありがとうございます^^

> これじゃ救いに来たというより奪いに来たですね。
> このまま死ぬまで男のおもちゃにされるなら早く死んでしまいたいって私も思います。

「10万円もらったら友達を裏切る」…と正直に言ったヤツがいましたが(笑)
目の前にある欲望を果たす為なら、何でもござれ…それが今の人々のホンネでしょうね。
道理で世の中が荒れている訳です。だって、欲望を積み重ねてのし上ったヤツが偉くなってる。
「カネさえあれば大統領になれます」ってんだから…正直者には生きにくい世の中です(笑)
#5129[2016/12/06 11:32]  sado jo  URL 

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#5130[2016/12/07 17:41]     

Re: m様COありがとうございます^^

無事に病院から帰宅できましたか…それは良かった^^
思うに近年は、温暖化していると言いながら、年々冬の到来が早くなっています。
これは太陽の活動と、人間の活動の間のアンバランスが招いている事ではないか?
そんな風に危惧しています…そんな訳で体調には充分お気を付け下さい。
#5131[2016/12/07 19:05]  sado jo  URL 

このシーンで一番重要なのは被害者まで殺したことでしょうか。

ドリフターズというアニメでは
汚れ仕事を自ら引き受けた信長を主人公がぶん殴るシーンがあります。
そして他のキャラが、「ケンカですか、怖~い」というと
主人公は「ケンカではない」と言います。
信長も「あぁ、違う」と。
そして心の中では
ぶん殴られて「叱られる」なんて親父殿以来か…
と。
この世界では必ず誰かが貧乏くじを引くことになっている。
でも、それを自分から引くことはしてはいけない、許してはいけないのだと思います。
それはバカのすることで正しいことなどではありえないのだ、とわからせなければならないのだと思います。

一人ぼっちで守ることを決めた神様に弓引いた天使同様に。

それは誰もが責任を負うことであって誰かが責任を負うことではないのだ、と。

そんな二匹の猿を見た、猿たちが遺伝子に刻みつけたなにかから生まれたのが国であり法なのだと思います。


自衛隊が外で活動するための法律をちゃんとしなければならないのはそのため。
現実に現れるかもしれないゲートの伊丹をただのバカにしてしまわないように。

執行官を殺人鬼にしないためにシヴィラがいるように。
その行いは「正しい」と保証するために。

でも、征服王が感じたように。
選択肢はいくらでもある、それをわざわざ痛ましい道を選ぶ必要などないと。

その姿に心の痛む人間がいること。
最善=正しい、ではないのだ
とそれがこのシーンに必要なことではないでしょうか。

そして、この世界の創造主にお聞きします。
今の貴方はどちらなのでしょうか。

仕事人の行く末は、始末されるか、逃げ続けるか、それとも殺し続けるか。
そうならないためにビースト法を作った誰か。
客を悦ばせるために客を煽るピエロ。

少女をダルマにしたの何故ですか。
ジョーの魂をこの世界に呼んだのは何故ですか。
知っていましたよね。
引き金を引く人間であることは。
この世界へ呼び、そう育て、引き金を引かせたとき何を思いましたか。

シチュエーションや設定へのこだわりは感じられるのに
キャラへの愛が感じられない
そんな風に感じました
#5134[2016/12/08 13:45]  野良猫  URL  [Edit]

Re: 野良猫様COありがとうございます^^

> シチュエーションや設定へのこだわりは感じられるのに
> キャラへの愛が感じられない
> そんな風に感じました

キャラへの愛がない…当たらずとも遠からずかな(笑)
神は特定の人間を愛さない…「アインシュタイン・パラドックス」と言うものがあります。
「ユダヤ人を捨てて全人類を愛す」と言ったベルリン大学のアインシュタイン教授は、ユダヤ人・ホロコーストの最中にアメリカに亡命しました。
原爆開発はドイツが先か?アメリカか?…彼はドイツの禍を絶つ為にアメリカに協力した。
「おいっ!言う事が違うじゃないか?」彼は全人類ではなく、やはりユダヤ人を愛していた。
そして彼が協力した原爆は、ドイツ人を殺す為ではなく、日本人を殺す為に使用されました。
「広島・長崎の惨禍はドイツ人にも責任がある」と言ったのは単なる責任逃れだったのか?
それとも、ドイツ人がヒトラーを選びさえしなかったら、そんな事にはならなかったのか?
全てのキャラを愛すか?それとも特定のキャラを愛すか?作家のパラドックスなのかな(笑)
そう言いながら密かに誰かを愛してたりします…ちなみに、アインシュタインは二度とドイツの土を踏む事はありませんでした。神を目指して、神になり損ねた天才だった(笑)
#5135[2016/12/08 15:36]  sado jo  URL 














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