シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

随想/論文集

クリントン=民主党はなぜ負けたのか?

トランプ大統領

半年前に英国で起きたブクレジットが再現されてしまったアメリカ大統領選挙。
なぜそうなってしまったのでしょうか?…自分は英国のEU離脱投票の時と同じ流れを今回の大統領選挙に見出していました。
それは、俗に言う高学歴のエリート=インテリによって構成された国家の指導層が「貧困」の解釈を読み違えていたからです。
彼らが東西冷戦崩壊後に世界の秩序を再構築し、よく世界の経済を立て直して今日まで導いて来た事は大いに評価しています。
国境を取り払い、関税を取り払い、人と金と物の流れを円滑にして世界を繋ぐグローバルな経済を推進した功績も認めます。
お陰で、それまで貧しかった庶民は安い物品が手に入り、暮らしも良くなって、先進国では中間層が飛躍的に増大しました。
けれども、エリート=インテリで構成された国家の指導層は、グローバル化の中に潜む両刃の刃を見落としてしまいました。
グローバリズムによって自国に流入する膨大な外国の資金、外国の製品、何よりも文化の異なる外国の人々=労働者の数々。
これらがエリート=インテリ指導層が、せっかく中間層に押し上げてやった自国の国民を再び貧しい境遇にしてしまう事を。
つまり、エリート=インテリの言う貧困とは、家もなく明日の生活に困る様な貧しい人々や、外国から来た人を指すのですが、
庶民の言う貧困とは、今は生活出来ていても明日は所得が下がり、困窮しそうな危機に立たされている貧困予備軍の事を言う。
先進国に赤貧洗う人など極少数しかいない…その認識の違いが、英国や米国でのエリート=インテリ指導層の敗北に繋がった。
先進国の労働者はエリート=インテリ指導層より学歴も低く所得も少ない…だが、一番多数でありこぼれ墜ちる危機感も強い。
性的少数者などのマイノリティの保護や、国内外の貧困層の救済に拘りすぎて、尤も多数を占める肝心の中間層に冷たすぎた。
そこにしっかり目を向けて、中間層の没落を防ぐ政策を取り、中間層に厚く利益を配分してやればこんな事にはならなかった。

反面、国家保護主義を掲げた強硬派を選んだ尤も多数派の庶民労働者も、自分達の今後が見えておらず軽率でした。
多分、労働者は選挙公約通りの減税に預かり、外国人排除や保護貿易の恩恵を受けて一時的は得をする事になるでしょう。
けれども、外国製品に高い関税を掛ける保護貿易は、巡り巡って労働者自身の生活を圧迫する結果になるのが目に見えています。
さらに、安い外国人労働者を排除すれば、企業は国内の労働者を雇用せざるを得なくなり、自国の失業者が減る様にも見えます。
しかし、経営者が高い国内労働力に頼らざるを得なくなれば、自ずとその賃金分は製品に転化されて消費者物価は上昇します。
長い目で見れば、自国の国際競争力を低下させてインフレを招き、却って中間層である庶民労働者の生活は苦しくなります。
悲しいかな…低学歴もあってか経済的知識に乏しく、右派候補の扇動=ポピュリズムに乗ってしまったのが残念でなりません。
没落の危機感や不満から一時的な損得勘定に囚われ、台所の足元を見すぎる余り、窓の外が見えなかったのが後の祭りでした。
実は将来を見据えるならば、国家のエリート=インテリ指導層が行なって来た政策はとても正しかったのです。

これで大国の指導者は全員が強硬右派となって、リベラルな穏健派の国家元首は一人もいなくなってしまいました。
しばらくの間は、ロシアや中国の国家元首も同類を歓迎して仲良しゴッコに興じ、雪解けムードになったかに見えるでしょう。
けれども、彼らの本質が自国中心の国家主義にある事を忘れてはならない…早晩、必ず軍事・外交において対立を来たします。
今度のアメリカ大統領は、前任のオバマ大統領なら我慢しただろう事を、とても我慢してくれそうもないのが不気味なのです。
さらにエリート=インテリ指導層が掲げて来た人権の擁護、差別の撤廃、平等な教育、銃なき社会の理想は大きく後退します。
世界はここ数年以内に経済的にも、軍事的にも危機的な状況を迎えるだろう…と予言しておきます。

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<考えられうるシナリオ>
最初に考えられるのが、保護貿易主義による弊害です。これは日本も必然的に巻き込まれるので経済はかなり厳しくなりそうです。
次に移民排除の弊害です。中南米諸国やヨーロッパ諸国との関係は確実に悪化し…または冷え込みます。アジア諸国もどうなるか。
逆にイスラム教徒は排除しても中東への軍事介入は今より強くなり、反発した中東においてIS以上のテロ組織が新たに生まれます。
悪化している中・露関係は、最初は幾つか改善されます。しかし、両国が米国の了承を得たと誤解して出て来た時が尤も危険です。
誤解を生み易い大統領独特の軽率な発言が、相手を増長させて取り返しの付かない事態を招くかも知れません。これが一番恐い><

アメリカなきTPPは意味がない…と言う考え方は間違いです。逆にアメリカがTPPから脱退してくれた方が日本には都合がよい。
市場はだいぶん小さくなるが、経済大国の影響を受けずに日本が主導権を握れます…なので、この際TPP賛成派に転向します(笑)
アメリカが相手なら損するが、オーストラリア、ニュージーランド、メキシコその他が相手なら、日本は随分利益を得られます。
ドイツが、他の加盟国の規模が小さかったので、EU=欧州経済共同体でたくさんの利益を得て経済成長したのと同じ原理が働く♪

 
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~ Comment ~


ええ、TPPはある意味アメリカのご機嫌伺い的なものかなと思ってました
一説によると、日本がいなければなんの意味もない連合だったとかw

あとは、環境破壊と太陽の減退期によって引き起こされる異常気象も、各国の暴力的な傾向に拍車をかけるでしょうね(汗)

温暖化が進みまくって破壊と殺戮の嵐が吹き荒れるか、寒冷化が進みまくって全てが死に絶えていくか…
現時点ではどっちに転んでもおかしくないですけど(汗)

そうですね
EUはドイツの一人勝ちって言われてますねw

ただ、実際は色々と不満のある国は多そうで、ついにイギリスが抜けるって言い出して、本当に脱退すると、他にも抜ける国がどんどん出てくるでしょうね

EUもいずれは分裂すると言われてて、ドイツもその辺りを多少は意識してか、移民を大量に入れて、国力を維持しようとしてるんでしょうね

なんだかんだで、ドイツも人口動態が日本と同じで、かなり歪なせいか少子高齢化に悩んでるみたいですし
#5003[2016/11/11 22:50]  blackout  URL 

Re: blackout様COありがとうございます^^

> ええ、TPPはある意味アメリカのご機嫌伺い的なものかなと思ってました
> あとは、環境破壊と太陽の減退期によって引き起こされる異常気象も、各国の暴力的な傾向に拍車をかけるでしょうね(汗)

異常気象が人の脳に作用して短絡思考・暴力志向になってるのは間違いないでしょうね><
なにせ、どちらかと言うと温厚な自分でも、不快に感じるし先行き不安になってます(笑)

アメリカが抜けてくれると、日本は戦後初めて多国籍国家連合の盟主になる訳です…TPP。
この意義は大きいですよ…環太平洋地域での発言力は飛躍的に増大します。責任もですが。
EU=ドイツと同じく、TPP=日本と言う強力な立場…このイニシアチブは捨てがたいです♪
ただ日本は、同盟国に配慮して利益配分を平等にしないとアメリカの様に嫌われますよ(笑)
#5004[2016/11/11 23:27]  sado jo  URL 

候補の時点からかなり危なっかしいやつでしたね、トランプは。
これがこのまま大統領になったら最悪第3次世界大戦か、中東と戦争になると思ってました。
どこぞの首相も戦争をしたがってるようですし、現実にならないことを祈るばかりです。
それにしても大国が全員右派というのはなんともバランスが悪いですね。
#5005[2016/11/12 11:11]  西條すみれ  URL 

こんにちわ
トランプさんが大統領になり日本に影響がでないか心配です
#5006[2016/11/12 12:39]  ネリム  URL  [Edit]

Re: すみれ様COありがとうございます^^

> 候補の時点からかなり危なっかしいやつでしたね、トランプは。
> それにしても大国が全員右派というのはなんともバランスが悪いですね。

右派の欠点は、短気で暴力的、人の話を聞かず独断的、気分次第で何をするか不明><
早い話が、これで世界全体が「北朝鮮=金正恩」的状況になったと考えてもらえばいいです。
いつ頭の上から核ミサイルが降って来るか分からない…世界の人々はハラハラドキドキ(笑)
いかにもジェットコースター・ムービー好きのアメリカ人らしい…スリル満点の世界です。
#5007[2016/11/12 13:14]  sado jo  URL 

Re: ネリム様COありがとうございます^^

> トランプさんが大統領になり日本に影響がでないか心配です

当面は保護主義によってアメリカの景気は良くなる…現実に米国の株価は上がってる。
けれど減税や保護貿易による景気効果は一時的でしかなく、逆にそれが両刃の刃になる。
物価は上昇し、経済は冷えて国家経営が破綻し、アメリカ人は増税に苦しむ事になる。
そのあおりを喰らうのが、対米追随べったりの日本だと思ってもらえばいいです。
#5008[2016/11/12 13:28]  sado jo  URL 

こんにちは~♪
大統領選の分析は一見正しそうに見えますが、ドナルド・トランプがペンシルベニアやオハイオ・ミシガンでクリントンに勝ったのは騙された白人中間層(低所得層ではない)の人種差別主義思想が蔓延していたことが原因です。
彼らは家の前にトランプ支持者のプラカードを設置し、民主党の運動員を寄せ付けず、レストランやカフェでマスメディアに貧困層に冷たい民主党だと主張し、ほかの住民を巻き込みました。
トランプに支持を変更した一部の白人労働者は元々多かった黒人労働者の上でいい思いをしてきて高卒であっても定年後も優雅な生活を謳歌しているのが実態です。
騙されたと知ったときは後の祭りで、GMがすでに大規模リストラを敢行すると宣言しています。
ヒラリー・クリントンが当選していればGMも逃げ出さなかったでしょう。
何故逃げるのかといえば人種差別の強い地域では工業は成り立たないからです。
自動車産業が衰退したのも海外移転が問題ではなく、低賃金で雇えない環境を白人だけが要求し、黒人やヒスパニック、アイルランド系(白人最下層)を蔑視してきたツケが回ったのは民主党のせいではないと気づくのが遅すぎたということですね。
トランプの象徴となっている全米各地にあるトランプタワーの建設に携わったのは、彼が攻撃した不法移民や黒人・ヒスパニック系の低所得層ばかりです(白人は3Kを嫌がる)
#5009[2016/11/12 16:54]  まり姫  URL  [Edit]

Re: まり姫様COありがとうございます^^

デマゴーグとポピュリズムがまかり通る様になった世界でトランプ当選はありえた事です。
現在の世界状況は、1920年~30年代の民主主義が退廃した風土に余りにもよく似ています。
この時期、不満を持つ大衆に迎合したあの「ナチス党」が台頭し、ヒトラーを生みました。
確かに自由貿易は民主党が推進したものだが、白人を阻害する為にやったのではないです。
多人種・多民族の平等と言うアメリカの理念に従って、国民全員を公平に扱っただけです。
決して白人虐めではない…だが、黒人大統領が誕生して白人達は誤解していじけてしまった。
民主党は白人の敵だとね…アメリカの人種・民族差別の根がいかに深いかの証明ですよ。
#5010[2016/11/12 17:24]  sado jo  URL 

ТPP推進派は日本政府だけです。
オーストラリアやベトナムも米国だけが得をするようなiSDS条項は絶対反対だとしています。
米国の企業だけ保護するようなものを無理やり押し付ける二国間FТAも絶対にいれない貿易協定ならいざ知らず、日本の多国籍企業だけ儲かるようなものを条約であろうが協定であろうがすべて阻止するのが唯一の道でしょう。
安倍自公政権はまさに売国奴政権そのものですよ。
こんなものを認めて得をするなどというのは冗談でも言うべきではないと思いますね。
#5011[2016/11/13 17:00]  まり姫  URL  [Edit]

Re: まり姫様COありがとうございます^^

そうおっしゃるだろうと思ってました(笑)
米国だけが利益を得るTTPなら自分も反対です…だが、米国を排除したTPPなら賛成します。
幸いトランプ新大統領がTPPやNAFTAなど自由貿易協定に反対する今が千歳一遇の機会です。
日本の経済力と地位は飛躍的に向上し、環太平洋の盟主…EUのドイツと同様TOPに立てる。
やはり自分は日本人なので、日本の国益を優先するし子孫の将来の地位を築いてやりたい。
戦後初めて多国籍連合の盟主になるチャンス!…日本人のエゴですがいけませんか?(笑)
#5012[2016/11/13 17:49]  sado jo  URL 














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