シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

▼ゴジラの子守歌

ゴジラの子守歌 第4夜

ゴジラ04

 それは数十億年経った今も、シェル(核)とミトコンドリアが形作る細胞として我々の体内に存在している。
 ミトコンドリアは身体中の血管を放浪し、増殖するために必要な栄養素をシェルの元に運ぶ。
 シェルはミトコンドリアが運んできた栄養素を得て、自分自身とミトコンドリアをコピーする。
 こうして我々の身体細胞は維持されている。しかも、これが雌雄の起源ではないかと言う説もある。
 一方が繁殖の役割を担い、一方は繁殖のための環境や様々な物資や条件を提供する役割を担う。
 もし、男と女の共生が数十億年前の奇跡に端を発するなら、これはもう腐れ縁…いゃ、何と素晴らしい事だろうか。
 男も女も、お互いを切っても切れないパートナーとして大切にしなければならないだろう。
 それにしても、何十億年経っても有酸素生物=男の性質が何一つ変わっていないのは驚くべき事である。
 落ち着きがなくて、じっとしておらず、活発に動き回って、疲れた時だけ女の側に帰ってきて休もうとする。
 あちこち放浪し、時折つまみ食いもする面倒臭い生き物だが、女性は地球が終わるまで共にいてやって欲しい。

 ただし、こうした雌雄=男女の関係が存在するのは、もしかしたら地球に限ってだけの事なのかも知れない。
 他の星では、原初のシェルとミトコンドリアの奇跡的な出会いはなく、生物は別の方向に進化した可能性もある。
 他の星には地球のような雌雄はなく、個体分裂や単性生殖、或いはまったく思いもよらぬ繁殖方法があるかも知れない。
 従って、人類が宇宙の出てゆくのなら、生物には雌雄があると言う固定観念は捨てて掛かる必要もあるだろう。
 人間が、地球の概念がまったく通用しない宇宙生命に出会った時、生物の進化の歴史は書き換えられるに違いない。

 ともあれ、酸素と言う抜群のエネルギー変換媒体を利用するようになった生物は、爆発的な進化を遂げた。
 カンブリア期に始まった生命爆発は、酸素とそれをエネルギー変換媒体とする真核細胞なしには考えられない。
 この時期は、様々な棲息環境に合わせた多種多様な生物が誕生し、海の中に多様性にあふれた生態系が出来上がった。
 実に、真核細胞誕生以前の地球生命と、それ以降の地球生命の間には桁違いの進化速度の差が見られる。
 最初の生命が地球に現れてからの進化は緩やかだが、真核細胞が誕生してからの進化速度はまさにマッハなのだ。
 その陰には、地球を酸素に満ちあふれる惑星に変えたストロマトライトを作るシアノバクテリアの活動があった。
 そして、酸素をエネルギー変換媒体とする生物と、シェルの出会いがなかったら、我々は今ここにこうして存在していない。
 すべては奇跡だったのだ。多様性に満ちあふれた地球の生命系…そのすべての生きとし生けるものは奇跡の産物だった。
 命とはなんとすごい奇跡から生まれたのだろう。ここにこうして生きていると言う事は何とすごい奇跡なのだろうか。
 我々の身体の中には、数十億年に及ぶ生命の歴史が刻まれた生物が、今もなお息づいているのだ。
 だから、他者の命を無碍に扱う者は、生命が歩んできた歴史を否定し、己自身の存在すら否定している。
 ポール・ブリッグス博士は、感慨深げにストロマトライを眺めながら、地球で起きた生命の奇跡に想いを馳せた。
 シャーク湾から望む黄昏の空は、太古の地球の空のように赤みを帯びていた。

~続く~

にほんブログ村 小説ブログへ
クリックをお願いします
 
関連記事
スポンサーサイト
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼シムーン第二章 ~乙女達の祈り~
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼未来戦艦大和
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼ビーストハンター
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼地球年代記 ~カルマ~
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼まぼろし
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼やさしい刑事
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼幻影の艦隊
総もくじ 3kaku_s_L.png ▼その他の小説
もくじ  3kaku_s_L.png オリジナル詩集
もくじ  3kaku_s_L.png 随想/論文集
もくじ  3kaku_s_L.png 死とは何か?
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  ↑記事冒頭へ  
←遠き道    →ゴジラの子守歌 第3夜

~ Comment ~


おはようございます

広大な宇宙の中の極小の地球の小さな町に住む、偶然のように知り合った男女のおなかに
奇跡的に生命が宿ったおかげで、今の自分が居るというのは本当に凄い奇跡だと思います。
これをよく認識していれば、他の人の生命をもっと大切に考えるでしょうに、おかしなことが多いですね。

「酸素をエネルギー変換媒体とする」ですか、炭素があっても酸素がなければ地球に生命はなかったのですね。
金星人はアストラル体で生存していて、宇宙の気のようなエネルギーを利用しているのだとか。
宇宙には、目に見えないエネルギーもあるようで、これを利用できれば争いはなくなりそうです。

ポール・ブリッグスとストロマトライで検索しても、博士の名が見つからなかったですが。
#5960[2017/05/20 10:00]  ☆バーソ☆  URL  [Edit]

特にトランプ君や金君を見てると思うけど、男性は古来から変わってないね。
これだけ進歩した文化や文明を戦いへ費やしている。もはや化石じゃなかろうか(笑)。
その一方で最近はあまり耳にしなくなったような気がしますが
草食系男子というのもいて、なんというか両極端で、ちょうどいいのが少ない。
だから女子が相対的に強くなったのか、強くならざるを得なくなったのか
自分でもどっちなのかわかりません(笑)。
#5961[2017/05/20 11:06]  西條すみれ  URL 

Re: パーソ様COありがとうございます^^

> 広大な宇宙の中の極小の地球の小さな町に住む、偶然のように知り合った男女のおなかに
> 奇跡的に生命が宿ったおかげで、今の自分が居るというのは本当に凄い奇跡だと思います。
> これをよく認識していれば、他の人の生命をもっと大切に考えるでしょうに、おかしなことが多いですね。

まさに生命は無数の偶然が重なって生まれた奇跡の産物です。しかも数十億年の歴史があります。
一つの命はそれほど重く、命を養う場合を除き、無碍に奪ったり雑に虐げるものではありません。
生命は青酸や硫酸の中で生まれたので、酸素が無くても生きられますが、微生物に留まりますね。
宇宙に我々の目に見えないダークマターが存在する以上、物質以外の形を纏った命も存在します。
ダークマターで形成されたりダークエネルギーで生存し、思考する知的生命もいるかも知れない。
もしいたとしても我々の目には見えず、思考形態が異なるので感知できません…もしや神か?(笑)
ポール・ブリッグス博士はモデルとなる実在者はいますが、一応小説の架空のキャラクターです。
海洋生物の進化を研究してる彼が、今後どの様な過程でゴジラと関わりを持つのか?お楽しみに^^
#5962[2017/05/20 13:18]  sado jo  URL 

Re: すみれ様COありがとうございます^^

> 特にトランプ君や金君を見てると思うけど、男性は古来から変わってないね。
> これだけ進歩した文化や文明を戦いへ費やしている。もはや化石じゃなかろうか(笑)

トランプや金正恩に限らず、野蛮な原始生物の遺伝子が色濃く残った人間は多数存在します。
言わば進化の輪から取り残された生きた化石(笑)…ただ、彼らを研究する事で、いかに人類が高度な知的生命体に進化したか?ミッシングリングの謎が解き明かせるかも知れません。
文化人類学者にとっては貴重な研究材料です…最も、世界を滅ぼさなければの話ですが(笑)
うちの首相も短気で戦闘的な所がありますが、或いはネアンデルタールのDNAが残ってるかも?
一辺、解剖してみたい気もします(笑)…草食系男子なるものは、天敵となる生物がいない人類が、最終的に美しい鳥類の様な存在になる進化の前触れだと思います。
男のY染色体が大幅に減少してる今日、雌雄同体の様な形で子孫を残すのがベターな方法です(笑)
#5963[2017/05/20 13:43]  sado jo  URL 

一説によると、種の危機には、オスが減り、メスが増えるんだとかw

Y染色体が減ってるのも、実はこの現象である可能性がありそうですなw

極論すれば、オスは1体で充分で、その1体が残りのメス全てに自らの遺伝子をコピーさせる、ってことになるかと思いますが、それだと人類は確実に滅ぶでしょうね

まぁ、最期のあがきぐらいにはなるかもですが
#5964[2017/05/20 16:47]  blackout  URL 

Re: blackout様COありがとうございます^^

> 一説によると、種の危機には、オスが減り、メスが増えるんだとかw
> Y染色体が減ってるのも、実はこの現象である可能性がありそうですなw

一般的に自然界では♂の方が多く産まれます…種をつけるだけの使い捨てですから、♀に比べて非常に免疫力が弱く早死にします。
ところが人間の場合、医療の発達で新生児が死ななくなった…実はY染色体を持つ♂は、♀がいないと凶暴化する性質を持ってます。
ペルム期の大量絶滅後、多くの♀を失った魚の中で♂の共食いが起きた…陸に逃げた弱い魚が我々の祖になったそうです。その、後魚類は中性化して繁殖に必要な時だけ雌雄に分かれる様になった。
現在、人類の男女比は6:4で、ひどい国になると7:3の割合です…そりゃ男が凶暴化して暴力的になって当たり前でしょう。なので、DNAが絶滅を回避する為にY染色体を削って男を中性化させてる。
現に同性愛が増えてるでしょ…実を言うと、野蛮なY染色体がなくても真核細胞は繁殖可能な構造になってます。細胞自体が雌雄同体に作られてますからね。
人間の天敵となる生物が存在しない今、弱肉強食・生存闘争の為のY染色体は必要ないとDNAが判断したのかな?…ま、野蛮人の悪あがきも限界に来てます。所詮、DNAには逆らえませんから(笑)
#5965[2017/05/20 20:31]  sado jo  URL 

うーん、普通に生物ものな感じですね…

三話を読んだときは、

戦争で多くの同類(監督)達を失いながらも生き抜き
ゴジラという爆発的なエネルギーを手に入れた人間がいた
それは死にかけていた映画界というコロニーに力を与え
映画界は彼のコピーを作ることに協力した。
そして、ゴジラを内包したスタッフを拡散してしまった…
かくして、ゴジラは何度となく世界の脅威となることになった…

しかし、多くのコピーを生み出したコロニーは理解していなかった。
一つの種の繁栄には限界があるということを。
周りは全て薄くではあるが血を引く者達であふれた結果、その進化に陰りがでてきた
コロニーは新たな可能性を模索しだした。
始祖の血をひかぬ存在を探し海を渡った…
しかし、その相手もまたかつてゴジラを見て自分も作ることを望んだゴジラの血を引く者だった…
結局、元いた場所に戻ってきた、そして今度は神を食した者と交わることにしてみた。
しかし、変化を得ることは出来なかった…

今日もゴジラは探し続ける
一族に変化をもたらす存在を…
目の前に迫る滅びに抗うために。

次の相手は…
消失をエネルギーへと変えることに成功した種。
ゴジラという種の消失をもって新たな自分達を作り出すエネルギーに変換できるかもしれない相手。


ということなのかな、と思いましたけどただゴジラの細胞とはってとこに行く話だったんですね
#5966[2017/05/21 18:26]  野良猫  URL  [Edit]

Re: 野良猫様COありがとうございます^^

物語りは始まったばかりですよ。まだまだ先は長いです(笑)
最初に言いましたが、円谷ゴジラの伝統を踏襲しながらまったく違った角度から話を進めます。
多分、怪獣に焦点を当てるより人間に焦点を当てた小説になります。なので特撮物とは違います。
寧ろ冒頭に登場した安住吾郎を取り巻く人間模様の方が大事です…いきなり出現したゴジラが派手に暴れまわる事を期待して特撮マニアに不向きかも知れません(笑)
それでは、ゴジラがどこで生まれどこから来たか?なせ現れたのか?近代兵器が通用しないのはなぜか?派手なアクションだけで物語性が全然ありません><
それらの謎を順を追って解き明かしてこそ小説になります…大丈夫!ゴジラには主役としてそれなりの役割をちゃんと設定しています(笑)
#5967[2017/05/21 23:12]  sado jo  URL 

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
#5968[2017/05/22 16:52]     

Re: m様COありがとうございます^^

また自民党の大西議員が「受動喫煙で癌になる者は働かなくていい」
などと癌患者や女性OLをバカにする発言をしたそうです。
先日の「巫女のくせに生意気」発言もですが、一体自分を何様だと思ってるのか?(怒)
よくこんな傲慢な態度で政治家をやってられると思います。叱らない首相もどうかしてる><
#5969[2017/05/22 17:45]  sado jo  URL 














管理者にだけ表示を許可する

~ Trackback ~


  ↑記事冒頭へ  
←遠き道    →ゴジラの子守歌 第3夜