シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

▼ゴジラの子守歌

ゴジラの子守歌 第7夜

ゴジラ07
アンコールワット遺跡の列柱に描かれたステゴザウルス

(ありえないっ! ありえるはずがない)
 チャン・ミンチャオ教授は、発掘された殷代の壺に描かれている生物にじっと目を凝らした。
 中国の宝と言われるチャン教授は、国学院考古学科の首席を勤める権威であり世界きっての古生物学者だった。
 新種の古生物の化石を数多く発掘して名前を付け、海外ではレイモンド・チャンとしてその名を知られていた。
 その老学者が、病を押してまでわざわざ南京を訪れたのには深い訳があった。

 彼は、二年前にタクラマカン砂漠にある白亜紀の地層からとある古生物の化石を発見した。
 化石から全身を復元してみると、ニワトリくらいの大きさの小型恐竜の一種であるように見えた。
 さらにその生物は剣竜のような背びれを持ち、五本の指がある手があって、二足歩行をしていたらしい事が判明した。
 恐竜の中でステゴザウルスに代表される竜脚類は四足歩行で、ティラノザウルスに代表される獣脚類は二足歩行をする。
 けれども、二足歩行をする恐竜の場合は手が小さく退化していて、指の数が減っているのが普通だった。
 なのにこの生物は五本の指が付いたしっかりした手を持ち、顔の正面には前方を見据えるような目が付いていた。
 多くの動物の目は顔の横に付いている。それは身を守るために周囲を見渡せるようにする必要があったからだ。
 人間やサルなどの霊長類の目が顔の正面に付いているのは、対象との距離を測り、物を掴むために進化した結果なのだ。
 もしやこの生物は進化の初期からそれを身に付け、昆虫などを捕らえて五本の指で器用に掴んで食べていたのかも知れない。
 けれどそうならば、これはどの恐竜とも違う事になる…いゃ、恐竜の範疇にさえ入らない新種の生物である可能性すらある。

 そう考えて類似した古生物がいないか検索していたら、南京で発掘された殷代の壺に瓜二つ生物が描かれていたのだった。
 しかも、何とそれは古代の人間たちがこの生物を追って狩り出している図柄だった。
 確かに、古代の揚子江以南は楚の国と呼ばれ、先進的な中国文明からは隔絶された原始的な地域だった。
 文字すらなく、人々は自分たちの有様を絵にして表した。おそらく殷代の壺の図柄は古い絵を模写したものなのだろう。
 けれども、人間にとっての僅かの時代の隔たりがあろうがなかろうが、白亜紀の生物が人間と共に生きているはずがない。
 もちろん、中国の陶器には竜や麒麟などの空想上の生物が描かれたりもする。だがこの壺の絵は余りにも写実的すぎた。
 学識のあるチャン教授にとっては、その壺の絵はまるで荒唐無稽なSFかオカルトの世界のように見えた。

 ※小説まではないにしても、人間と恐竜が共に生きていた証拠を示す図柄の壺が、中国には現実に存在しています。
 どころか、メソポタミアや地中海、北アフリカや南米の古代遺跡の彫刻やレリーフにはリアルな恐竜が描かれていたりします。
 おそらく、絶滅を免れた数種類の恐竜がその時代まで生きていたと思えます。ただ、人間が食用に乱獲して絶滅した可能性もある。
 1940年頃までのアフリカのマダガスカル島には、エピオルニスと言う体長3メートルを超える巨鳥が現実に存在していました。
 ヨーロッパからやってきた白人が食用に乱獲したために絶滅してしまい、もう二度とその姿を見る事ができなくなりました。
 オーストラリアやアメリカでも入植した白人が多くの生物を絶滅させました。或いは人間が最も恐ろしい生物かも知れません。
 せめて小型恐竜だけでも残して置いてくれたら、街の中で恐竜をペットに連れて散歩する女性が見られたかも知れません。
 もったいない事です…餌をやって飼えば、ニワトリより美味しい恐竜の卵の目玉焼きが食べられたのにね。


~続く~

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~ Comment ~


どんな鳥さんだったんでしょうね?

>エピオルニス
フライドチキンはヘルシー&大好きなので食べてみたかったです
食い尽くされるとはよっぽど旨かったんでしょう^^
#6034[2017/06/04 07:07]  xvi02mk2  URL  [Edit]

創世記の1:21では「海の巨獣」が造られたと書かれています。
ヘブル語では「タンニーム」。イザヤ書27:1の「レビヤタン」と
同類のものとされ、「竜」とか「ワニ」とも訳されていますが、
河に棲む「ワニ」は海にも遊びに行くようです。
地中海では「鯨」はいないと言われますが、いた可能性はあります。
絵が各地で残されており、恐竜と人類が共存した可能性は大いにありそうです。
人間は武器を作って立ち向かったか。逃げ回ったか。
彗星探検家で臨死体験をした木内鶴彦さんは、
彗星の地球激突をきっかけに、恐竜が絶滅したと言ってますね。
#6035[2017/06/04 10:03]  ☆バーソ☆  URL  [Edit]

Re: xvi02mk2様COありがとうございます^^

> 食い尽くされるとはよっぽど旨かったんでしょう^^

アフリカのエピオルニスや、オセアニアのトードーの様な恐竜の直系に当たる巨鳥に最も近いのはダチョウだと言われています。暑い気候を好み、棲息地も同じ赤道付近です。
ダチョウの肉はとても美味で、鶏肉を牛肉で味付けした感じですね。ヘルシーでステーキ(焼肉)やフライドチキン(から揚げ)?にするとすごく美味しいです^^
きっと恐竜も似た様な味でしょう…飼っておいて養殖恐竜の肉食いたかったなぁ(笑)
#6036[2017/06/04 10:16]  sado jo  URL 

Re: パーソ様COありがとうございます^^

> 地中海では「鯨」はいないと言われますが、いた可能性はあります。
> 絵が各地で残されており、恐竜と人類が共存した可能性は大いにありそうです。
> 人間は武器を作って立ち向かったか。逃げ回ったか。

海は陸地と比べて環境(気候)の変動が小さく、今の海もほぼジュラ紀の海と同じです。
シーラカンスや深海鮫は数億年の昔から生きてますから、ネッシーがいても不思議ではない。
仮に生きてたとしたら鯨ほどの大きさですから、人間の食料になって滅んだのは間違いない。
自分より巨大な生き物を食うのは、ティラノサウルスくらいのもんですが、人間はその上を行きますから、よっぽど獰猛な生物だと思います。それで飽き足らず戦争やテロまでやる><
恐竜は彗星ではなく、人の手によって絶滅させられた…その内、新説が証明されますよ(笑)
#6037[2017/06/04 10:35]  sado jo  URL 

恐竜に限らず人間はいろんな生き物を絶滅させていますし
最終的には人間自身を絶滅させるような気がします。
存在する限り、滅びは避けられないのは間違いないことですが
人類の代わりに進化した生き物か、別の惑星から来た研究者に
「地球人は争いによって自ら滅んだ」と結論付けられるのはなんとも恥ずかしいことですね。
#6038[2017/06/04 11:07]  西條すみれ  URL 

Re: すみれ様COありがとうございます^^

> 恐竜に限らず人間はいろんな生き物を絶滅させていますし
> 最終的には人間自身を絶滅させるような気がします。

早速アメリカの阿呆大統領が「地球環境がどうなろうが、米国が儲かりゃいい」とばかり、
環境保護のパリ協定を蹴飛ばして脱退しましたから…まぁ、人間のやる事はそんなもの。
全ての生物を滅ぼした挙句、それでも飽き足らず同族で殺しあって絶滅するのが関の山><
好んで滅ぶのを鼻で笑いながら見てやりたいが、自分も滅ぶので鑑賞できないのが残念。
後に地球で栄える生物に化石を掘り出されたら、さぞ恥さらしになる事でしょう(笑)
#6039[2017/06/04 13:36]  sado jo  URL 

人類は自然界との共生をすべきなのに破壊者になっていますね。
絶滅危惧種の多さはすべて人間の仕業てあると思います。
あとどのくらいの年数で人類が破滅するか、それとも自然界のバランスを尊重してまともに生きようとするかによって結論が出るでしょうね(*^^*ゞ
#6040[2017/06/04 17:40]  まり姫  URL  [Edit]

Re: まり姫様COありがとうございます^^

> 人類は自然界との共生をすべきなのに破壊者になっていますね。

遠い昔、はるか彼方の銀河系で(スターウォーズO.P)…じゃぁなかった(笑)
21世紀の今、世界の常識に逆らって地球環境を破壊しようとする悪の帝国があった。
「俺が大統領だ!俺の帝国が儲かれば人類や世界の将来などどうでもよい。文句があるか!」
金髪ヘッドに不気味な仮面をかぶったベイダーは、G.7の首脳達を睨みつけながら言った。
「シュバ~…シュバ~…」あんた息苦しそうにしてるけど、二酸化炭素のせいで呼吸困難なんじゃネ?バカ言ってないでちゃんと対策しないと全人類が窒息死するよ(笑)
#6041[2017/06/04 18:55]  sado jo  URL 

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
#6042[2017/06/05 01:55]     

Re: M様COありがとうございます^^

二本足でヒョコヒョコと飼い主の後をついて回る小型のティラノサウルス。
主人に抱かれて、首を伸ばして顔を舐める小型の首長竜…なんていいですよね~♪
犬と違ってバリェーションも豊富だし、食べないで残しておいて欲しかったなぁ(笑)
食べるなら、恐竜の直系にあたるダチョウ肉は、鶏肉と牛肉を掛け合わせた様な味です。
兵庫県の社町に「大月」と言う私の友人がやっているダチョウ専門の料理店があります。
「ダチョウ料理」で検索すると他にも出るから、日本で恐竜の子孫の肉が食べられます。一度美味を味わって下さい♪…私は胃を手術してから美味しいものが食べられませんが(笑)
#6043[2017/06/05 15:27]  sado jo  URL 

こんにちは~♪
いつもありがとうございます(*^^)
今日もよく晴れましたが、明日からこちらは崩れそうです(^^ゞ
今週もよろしくお願いします(^_-)-☆
#6044[2017/06/05 17:10]  まり姫  URL  [Edit]

Re: まり姫様COありがとうございます^^

> 今日もよく晴れましたが、明日からこちらは崩れそうです(^^ゞ

イギリスの天気はすでに荒れ模様だそうです(笑)
某筋によると、テロが連続したのは「保守党の自作自演ではないか」と言われてます。
保守党は日本の自民党と同じく議会では圧倒的多数…ところがEU離脱問題の失策で、総選挙を前にして労働党に負けそうになっているのが現状です。
で、裏からテロリストに手を回して国民の危機を煽り、保守党に歓心を集めようとした。
権力に執着する連中は何を仕出かすか分らん><…日本でも自民vs小池戦争が起きそうです。
#6045[2017/06/05 18:12]  sado jo  URL 

こんにちわ
人間はつくづく恐ろしい生き物だなと思いました。
#6048[2017/06/06 12:20]  ネリム  URL  [Edit]

Re: ネリム様COありがとうございます^^

> 人間はつくづく恐ろしい生き物だなと思いました。

人間ほど、手当たりしだい何でも食える食性を持つ生物は他にはいません。
だからこそ今日まで生き延びたとも言えるし、貪欲で獰猛な生物だとも言えます。
人間同士で殺し合いもするし、つい最近まで人肉を食ってた部族もいましたから。
もしや自分を抑制する為に知性を備えたかも知れない…でも最近は野蛮人が多い(笑)
#6049[2017/06/06 14:04]  sado jo  URL 

>小説まではないにしても、人間と恐竜が共に生きていた証拠を示す図柄の壺が、中国には現実に存在しています

つまり、円谷プロは超人保護課ならぬ怪獣保護課だったと(笑)

漫画図書館Zというサイトに「モンスターキネマトグラフ」という漫画があります。

その世界には怪獣に変身する人間が出てきます。
そして、制御できない変身能力に戦後は職を転々としいた。
そんな女性に目をつけたとある映画監督は怪獣映画への出演を求めた。

作り物を本物に見せる技術で作り物の中に本物を隠した。

ゴジラは人と怪獣が共生した時代のフィルム。
でも、なら怪獣達はどこへ?。
孫と映画館からでてくる女性。
怪獣は人間につかまってしまった…

怪獣は幸せな人生を送りました、めでたしめでたし。

少女と安住は車の中でそんな物語を聞かされる。
助手席に座る黒服の老人は自身の指輪を見つめながらそんな話をする。
そして安住はそんな怪獣映画の真実へと触れることになっていく。

そんなオチもありかなと思いました。
#6050[2017/06/06 14:08]  野良猫  URL  [Edit]

Re: 野良猫様COありがとうございます^^

よくご存知で…実は円谷プロは国連の「希少生物保存プロジェクト」の一環として作られました。
まぁ、使徒に狙われる人類の補完計画を推進するエヴァンの「ネルフ」みたいなもんです(笑)
なので、英二社長の素性はネルフの司令「碇ゲンドウ」と同じく円谷プロの総司令官なのです。
ここまで言うとゴジラの正体は分かりますね…そうあれは「希少怪獣初号機」に当たるのです。
以下「モスラ1号機」「キングギドラ2号機」と続きます…はて、操縦する綾波レイはどこに?
ま、円谷司令に代わって総司令となった庵野司令が探し出してきてくれる事を期待しましょう。
と言う訳で「シンゴジラ」より、庵野司令が希少生物保存プロジェクトの指揮を執る事になりました(笑)
#6052[2017/06/06 23:34]  sado jo  URL 

世界の未開の地には、まだ人知の及ばない生命体がいそうですね

深海とか高山とか砂漠とかw

そういえば、確か東京湾の近くに500キロぐらいの深さの場所があって、なんでこんなのが!?っていう生き物がいたみたいです

あと、房総半島の近くにレアメタルが眠ってる場所があったとか
#6057[2017/06/07 21:02]  blackout  URL 

Re: blackout様COありがとうございます^^

> 世界の未開の地には、まだ人知の及ばない生命体がいそうですね
> そういえば、確か東京湾の近くに500キロぐらいの深さの場所があって、なんでこんなのが!?っていう生き物がいたみたいです

東京湾の深くにも、マグマの熱で温められた熱水が沸く場所があります。
その周辺に生きる嫌気性生物が、餌になる工業排水や生活汚染物を求めて這い出してきます。
えぇ、彼らは人には有害な物質が好物なんですね…豊洲市場で問題になってるベンゼン、硫酸、砒素、硫黄その他もろもろの毒物を食べて生きてます。
なので、ゴジラが放射性物質を好物にしていても現実的にまったく問題はありません。
もし飼えるなら、核燃料や核廃棄物を処理してくれるので、国家予算が大幅に助かる(笑)
#6059[2017/06/07 22:43]  sado jo  URL 














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