シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

▼ゴジラの子守歌

ゴジラの子守歌 第11夜

ゴジラ11
ポナペ島遺跡。人間と比べるとその大きさと規模がよく分かる

 ポール・ブリッグス博士は、マオリ族の友人に誘われてニュージーランドのクライストチャーチに来ていた。
 そこでは、この街で生まれたロンドン在住の歌姫「ヘイリー・ウェステンラ」の里帰りコンサートが開かれようとしていた。
 歌姫のファンである博士は、彼女が歌う「ポ・カレ・カレ・アナ」と言う海洋民族マオリの唄が大好きだった。
 博士が海にあこがれて海洋生物学者になったのは、幼い頃にマオリ族を始めとする様々な海の民と交流したからだった。
 一緒にカヌーを作ったり、祭りに参加したりしている内にすっかり海と海洋民族のとりこになった。
 ポリネシア、メラネシア、ミクロネシア…オセアニア地域と呼ばれる南太平洋には、大小数万の島々が点在している。
 そして、それらの島々には言語も慣習も風俗も異なる実に様々な海洋民族が住んでいる。
 彼らの正確な起源がどこにあるのかは定かではないが、多くのアジア人を生んだスンダランドから移住したと言う説もあれば、
 南米に住んでいたインディオの先祖が、大航海をしてオセアニア地域に住み着いたと言う説もある。
 とても興味深いのは、彼らの言い伝えた伝承に旧約聖書にある創世記そっくりの物語がある事だ。
 はるかな昔、大きな陸地で文明を築いた者たちは自らの力に驕り、贅沢や放逸の限りを尽くして神を省みなくなった。
 怒られた神は大洪水を起こして、悔い改めぬ人々もろとも陸地を海の中に沈められた。
 けれども、信心深い善良な人々にはカヌーを与え、災いから救ってやって、残った島の頂に移したと言う。
 確かに南洋のいくつかの島には、そこに住む島民だけでは作る事のできない巨石建造物が残っていたりもする。
 ジェームズ・チャーチワードは、そんな海洋民族の伝承や巨石建造物の遺跡を手がかりに「ムー大陸伝説」を書いたらしい。
 けれども現在のところ、太平洋にムー大陸なる巨大な陸地が存在した証拠はない。

 ポール・ブリッグス博士は、マオリ族の友人と一緒にコンサートの楽屋裏に行った。
 そこではマオリの出演者たちが、顔や身体にダミーのタトゥを描き合いながらメーキャップを施していた。
 そうして、何やら誰かが海竜を見たとか言う話に花が咲いていた。
 海竜は海洋民族にとっては海の守り神であり、それが姿を現すのは吉兆の印だ。
 その正体が何なのかは不明だが、彼らはその姿をタトゥの図柄や、様々な装飾品に描いて表わす。
 背中に剣の様なたくさんの背びれを生やした大きな身体の生き物で、一見すると太古の海棲恐竜のようにさえ見える。
 古生代の恐竜が今も生き残っているとは信じられないが、海には地球上の全生物の90%が棲息しているのも事実だ。
 我々が未だに知らない未知の生物もたくさんいる事を思えば、あながち彼らの空想の産物だと一笑に付す事もできまい。

 海洋民族の古い言い伝えによると、海竜は島の娘を花嫁に娶るためにやってくるらしい。
 その時、選ばれて海竜に捧げられた娘は海に豊穣を齎し、人々から海の女神として崇められたそうだ
 そう言えば古代インカ帝国でも、太陽神ヴィラコチャの花嫁として若い娘が捧げられたと聞く。
 そんな話を聞くとつい我々現代人は、若い娘を生贄や人柱にする原住民の野蛮な儀式を連想してしまう。
 けれども案に相違して、神の花嫁に選ばれるのは身分の低い娘ではなく、高貴な身分の娘が多かったそうだ。
 彼女たちは自分自身の魂の不滅を望み、一族の繁栄を願って自ら志願したと言う。

~続く~

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~ Comment ~


海にはシーラカンスやカブトガニ、ラブカなど古生物が生息していますね。
時折流れ着く巨大な肉塊(グロブスター)も未知の生物のものかもしれません。
ネッシーのような生物の腐った死骸が引き上げられたこともありましたし
海から生物が始まったことも考えればもっと古い生き物がいるかもしれませんね。
#6114[2017/06/22 10:21]  西條すみれ  URL 

Re: すみれ様COありがとうございます^^

> 海にはシーラカンスやカブトガニ、ラブカなど古生物が生息していますね。
> 海から生物が始まったことも考えればもっと古い生き物がいるかもしれませんね。

海は陸地の様に頻繁に環境が変化しないので、数億年前の生物が今も生きてたりします。
現在の海もジュラ紀の海とほとんど変わらない…但し、生物種の数が多くて生存競争は陸とは比較にならないほど激しく、天敵に食い尽くされて滅んだ生物も数多います。
小学生の頃、カブトガニを見つけて「宇宙生物を捕まえた」と喜んで先生に見せに行きました…「古代生物の生き残りだ」と言われてガッカリした思い出があります(笑)
そのカブトガニは自分が捕えた為に、理科室の標本にされて亡くなりました(南無~)
#6115[2017/06/22 13:35]  sado jo  URL 

納得です!笑)

仰るように、女性性を意識するのとしないのでは、
かなりの差があるように思います。

まず、着る、装う、太らないようにする、身なりを整える、云々。
最近は、自己満足かと感慨深く思ってしまった自分ですが、
若く見えることを意識すると、その奥にある、心が見えます。^^ヾ

いつも、鋭いご指摘をありがとうございます♪
#6116[2017/06/22 14:30]  窓  URL  [Edit]

Re: 窓様COありがとうございます^^

> 仰るように、女性性を意識するのとしないのでは、
> かなりの差があるように思います。
> 若く見えることを意識すると、その奥にある、心が見えます。^^ヾ

とかく日本の女性は子育てを終えると…男性は定年退職すると性を忘れてしまう様です><
例え人生の一仕事を終えても、女性は女性であり、男性は男性である事に変りはありません。
高齢化社会を迎えて、人生の1/3を性別などどうでもいい様な生き方をするのは勿体ない(笑)
やはり女性は美しくあって欲しいし、男性は頼れる紳士である様努力すべきだと思いますね。
でないと何の為に女に生まれ男に生まれたか意味がない…若さを保つ秘訣は性を意識する事。
変な意味ではなく、自分自身の性を自覚してその良さを生活に生かして欲しいですね^^
#6117[2017/06/22 20:03]  sado jo  URL 

こんばんは~

大洪水伝説と救われた人間の話は世界中にあるようですね。
高い山々に住む民族にも、こういう小さな島々に住む民族にも、
洪水があって人々が流されたが少数の敬虔な人たちが救われた話がある。
みんな共通点があるので、ノアの洪水もあったのだと言われます。
「船」という漢字は、舟に口が八つと書きます。
口は「人口調査」といわれる通り、人間の数の意。
よってノアの大洪水では8人の人が救われたことを言っている、
などとも言われますが、これは信憑性がないそうです。
世界に同じような伝承があるのは、それが実際にあったからで、
人類に共通する無意識の中にあるのだとか言われますが、
ともあれエヴェレストの頂上に貝殻があったそうで、
かつてはあの山脈もインド洋の海底にあったと言われていて、
地球のマントルの中には無数の太古の遺跡が溶けていそうですね。
#6118[2017/06/22 21:33]  ☆バーソ☆  URL  [Edit]

Re: パーソ様COありがとうございます^^

> 大洪水伝説と救われた人間の話は世界中にあるようですね。
> 洪水があって人々が流されたが少数の敬虔な人たちが救われた話がある。
> みんな共通点があるので、ノアの洪水もあったのだと言われます。

ムー大陸があったかどうかは別にして「大洪水伝説」は世界中いたる所にありますね。
それは別に神様のせいではなく、氷河期の終わりに氷床が溶けて世界中が水に浸かった。
その記憶が神話化されたのだろうと思えます…我々アジア人の祖先は、その頃水に浸かった生まれ故郷の「スンダランド」を捨てて長い旅に出ました。言わば「楽園追放」です(笑)
現在のヒマラヤ山脈は、恐竜が生きていた時代はテチス海(今の地中海の母体)の底でした…海底にあった大地が何千メートルも隆起してエベレストが出来たんですね~
地殻変動(地震)や火山活動(噴火)。気候変動や造山活動と言った地球規模のうねりはいつの時代もあります…今でこそ科学で説明できますが、昔の人には神の仕業に見えたでしょうね(笑)
#6119[2017/06/22 22:40]  sado jo  URL 

そういえば、かつてのその手の遺跡には、現代の技術を持ってしても作り得ないほどの高度な技術で作られたものがあったりなかったりするみたいですね

実は、昔の人類は現代人よりも高度な文明やら精神性を持っていた可能性がありそうですなw

所詮現代の技術も、その時代のマネでしかないという説もありますし
#6122[2017/06/24 15:30]  blackout  URL 

Re: blackout様COありがとうございます^^

歴史書では4千年ほど前に、突如としていわゆる四大文明が姿を現すんですよ。
いずれも大規模な灌漑農業をやり、土器を作って農作物を貯蔵し、パンを焼いて食べた。
巨石やレンガを使って、神殿や塔を建て、集団で都市生活を営んだ跡が残っています。
おかしいはと思いませんか?…いずれの文明も母体となる先行文明がなきゃ変でしょ?
氷河期で絶滅の危機に瀕した人類は、1万2千年前の終了と同時に文明を開いたんですよ。
彼らは知恵を出し合って生き残る工夫をした…我々が考える石器人じゃなかったんです。
ストーンヘンジもスフィンクスも、四大文明が出来る以前に、すでに作られていました。
中には進んだ技術を開発した者達もいたと思う…オーパーツなる物は彼らの遺産です。
SFで言う超文明ではないが、四大文明の元になる古代文明は確かに存在したはずです。
砂漠の下。海の底。溶岩の下に必ず古代文明の遺構はある…現に幾つか発見されてます。
人類は1万年ほど前には、すでに立派な文明を開いていたと思いますね。
#6123[2017/06/24 17:28]  sado jo  URL 

こんにちは~♪
ラインを引くと古代遺跡には共通点があると聞きました。
4000年以上前に地球外生命体から人類が学んだという古代史家も存在るくらいだから、存在が疑われているムー大陸も全否定することはできないかもしれませんね(*^^*ゞ
まだまだ現代人が知らないことはいっぱいあると指摘する学者もいるくらいだから、海に生きる生物も人類の想像を超えるようなものがひっそりと生きているかもしれませんね(笑)
#6134[2017/06/27 15:44]  まり姫  URL  [Edit]

Re: まり姫様COありがとうございます^^

> ラインを引くと古代遺跡には共通点があると聞きました。

確かに四大文明が突然出現した…と言う歴史書の記述には大きな矛盾があります。
宇宙人の超古代文明は荒唐無稽ですが、やはり4千年以前のプレ文明の存在を考えるべきです。
世界各地で四大文明以前の都市遺構や神殿跡も発見されてるし、文明の起源はずっと古いはず。
人はおかしな事に、石油の為なら千メートル掘るが、考古学となると十数メートしか掘らない。
有名なトロイ遺跡も、何層もの都市遺構が堆積してました…もっと深く掘って調査すれば、ムー文明やアトランティス文明の遺構が出て来るかも知れません。
1万年前の人類は決して石器人ではないはず…神殿を建てて、死者を弔う文明人だったのです。
#6135[2017/06/27 17:33]  sado jo  URL 














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