シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

▼ゴジラの子守歌

ゴジラの子守歌 第12夜

ゴジラ12

 思えば人の一生は短い…ほとんどの人は寿命が尽きれば、やがて誰からも忘れられた存在になる。
 しかし神の花嫁になれば、人々に豊穣を齎す女神として永遠に崇められる存在になれる訳なのだ。
 してみると、これは死生観の違いであり、一概に野蛮な生贄のだと決め付ける訳にもいかないところがある。
 最も、野蛮だと決め付けているキリスト教徒にしてからが、近世まで人道に外れた行為を行った歴史を持っている。
 自然災害や伝染病などの災いが起きると、魔女のせいだと言う迷信に踊らされ、大勢の無実の女性を火刑に処した。
 あちらは不死の命を望んで志願したのだが、こちらは無理矢理生贄にしたのだから、どちらが野蛮か言うまでもなかろう。

 コンサートが終わってブリッグス博士が会場を出ると、携帯電話の点滅が着信があった事を告げていた。
 携帯電話を開けると、発信元は国立海洋研究所だった。博士はすぐに折り返し電話を掛けた。
 すると、電話に出た研究所の職員が興奮した口調でブリッグス博士に異常事態を告げてきた。
 ケアンズの海岸にクジラの大群が打ち上げられたと…しかもその数は、何と1200頭にも達するそうだ。
 オーストラリアに限らず、オセアニア地域の海岸では、数頭から数10頭のクジラの座礁はよくある事だった。
 原因は海流の乱れや、地磁気の異常。船舶が発する電磁波など色々な学説があるが、未だに正確な原因は掴めていない。
 しかし原因はともかく、今回のクジラの座礁は前代未聞の規模だった…ブリッグス博士は取り急ぎオーストラリアに戻った。

 風光明媚な観光地であるケアンズの海岸は、おびただしい数のクジラの屍骸で埋め尽くされていた。
 余りにも無残な光景に、ブリッグス博士は吐き気すら覚えた。 
 ひとまず、海洋研究所のスタッフとともに調査に乗り出したが、さすがに数が多すぎて調査するよりも屍骸が腐る方が早い。
 案の定、たいして調査も進まない内に、環境省の依頼を受けた連中がやってきてクジラの屍骸を片付け始めた。
 無理もない…ケアンズは有数の観光地だ。国が学術研究よりも観光資源を守る事を優先するのは当たり前の事だった。
 ブリッグス博士たちの努力も虚しく、何が原因でクジラの大量死が起きたのかは分からずじまいに終わってしまった。
 けれども、ブリッグス博士の頭の中にはある一つの仮説が渦巻いていた。
 ブリッグス博士はその仮説を論文にまとめて、思い切ってネットに掲載してみた。
 仲間内には笑い者になるだけだからやめるように言われたが、博士はマオリたちの言った事が気になって仕方がなかった。
 曰く「クジラたちは、未知の海棲生物に追われてパニック状態になったに違いない」と。
 一般的に魚は、自分より大きい生物に狙われると、相手が追ってこられない浅瀬に避難する習性がある。
 予想通り学会の反応は冷ややかだった。代わりにオカルトマニアや冒険マニアからのコメントが山のように殺到した。
 ただ、その中に一人だけ真摯で丁寧なコメントを寄せてきた医師を名乗るある日本人がいた。
 コメントを読んでみると、まるで本物の海竜を間近で見た事があるかのような内容だった。
 ブリッグス博士は、その日本人にとても興味を持った。

~続く~

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~ Comment ~


海洋生物は条件次第で際限なく巨大化していきますし
海竜やクラーケンも単なる伝説とは言い切れませんね。
そうした海では植物プランクトンが豊富で海が緑っぽく染まったりしてますし
エネルギーを効率よく消費、吸収できるよう生物も進化しているかもしれません。
いないと一笑する前に、いないという証拠を出したほうが説得力がありますが
いるという証拠を捜すよりも難しいでしょう(笑)。
#6124[2017/06/24 21:05]  西條すみれ  URL 

Re: すみれ様COありがとうございます^^

> 海洋生物は条件次第で際限なく巨大化していきますし
> 海竜やクラーケンも単なる伝説とは言い切れませんね。

生物には群体と言う概念があって、個々の細胞が別々の役割を担って一つの身体を作ります。
だから生物は巨大化できる…その意味では人間も細胞が集まって作られた群体には違いない。
陸上の重力で50mは難しいが、浮力のある巨大化しやすい海では30mに達するイカもいますね。
現に陸上では犬ほどの大きさだった鯨の祖先は、海棲生物になってから超巨大化しました(笑)
カツオノエボシと言う群体クラゲがいますが、古代にはもっと巨大なクラゲが存在しました。
海底のエネルギー溜り=熱水噴出孔には、ゴジラの様に巨大化した生物がいるかも知れない(笑)
#6125[2017/06/24 22:37]  sado jo  URL 

鯨が砂浜に打ち上げられるのは、
大地震前の地殻変動のせいではないかと言われます。
そうならヨーロッパには少なくて、太平洋沿岸に多そうです。
漁船の電磁波のせいではないかとも言われます。
『古事記』に、砂浜に打ち上げられて死んでいるイルカが集まっていて、
ある皇太子が「神より食料の魚を賜った」と言ったという記述があり、
その神の名を御食津(みけつ)大神(現在は気比大神)と名付けたそうです。
案外昔からあったのでしょうか。この何十年かに増えたような気がしますが。
ただ音波に反応する動物だけが打ち上げられるような気がします。
いや、彼らは大きいので浅瀬から抜け出られないだけですか。
海は広くな大きいな。なので海竜のようなものはどこかにいそうですね。(笑)
#6126[2017/06/25 13:38]  ☆バーソ☆  URL  [Edit]

Re: パーソ様COありがとうございます^^

> 鯨が砂浜に打ち上げられるのは、
> 大地震前の地殻変動のせいではないかと言われます。

鯨やイルカが打ち上げられるのは、カナダ~オセアニアを経て日本までの太平洋地域です。
太平洋に接する陸地は環状火山帯に取り巻かれ、地震や噴火など地殻変動がよく起きます。
加えて視覚が役に立たない暗い海中では、生物は音や磁気の状態を頼りに行動しています。
船舶や地殻が発する音波や磁気波を感じ取って、危険を感じ、あわてて避難しようとパニックを起こしたのかも知れませんね…習性とは言え気の毒な話です。
最近頻繁に起きてるのは、太平洋を航行する船舶の数が増えただけでなく、東日本大震災に代表される様に、太平洋で大規模な地殻変動が起きてるからだと思います。
今後も日本で大きな地震が起きる可能性は大です…みなさんもどうかお気を付け下さい^^
#6127[2017/06/25 18:42]  sado jo  URL 

こんにちは~♪
いつもありがとうございます(*^^)
入院していてご無沙汰してしまいましたm(o´・ω・`o)mペコリン
体調も戻り今日から活動開始しました(*^.^*)エヘヘッ
またよろしくお付き合いくださいませ(^_-)-☆
後日ゆっくり読ませていただき今日はご挨拶だけで失礼しますね(*^^*ゞ
#6128[2017/06/26 15:00]  まり姫  URL  [Edit]

長野で震度5強でしたね!!

こんにちは~~~♪

クジラの大量死骸。

クジラより巨大な海に棲む生物を思うと、昨日の長野の地震とも、
結びつきを考えてしまいます。

>あちらは不死の命を望んで志願したのだが、こちらは無理矢理生贄にしたのだから、どちらが野蛮か言うまでもなかろう。

この言葉に尽きますね。
#6129[2017/06/26 15:51]  窓  URL  [Edit]

Re: まり姫様COありがとうございます^^

> 入院していてご無沙汰してしまいましたm(o´・ω・`o)mペコリン
> 体調も戻り今日から活動開始しました(*^.^*)エヘヘッ

無事に退院できて何よりでした^^
梅雨時は…特に持病のある人は体調を崩しやすいですからね~
自分も先月末頃から、体調がすぐれなくて小説がなかなか前に進みません(苦笑)
#6130[2017/06/26 17:12]  sado jo  URL 

Re: 窓様COありがとうございます^^

> クジラより巨大な海に棲む生物を思うと、昨日の長野の地震とも、
> 結びつきを考えてしまいます。

太平洋プレートの活動が活発化しているそうで、地震が頻発していますね。
今後、日本で大きな地震が起きる可能性があります…普段からイザと言う時の避難経路などをチェックして、備えを怠らない様気をつけて下さい。

そうですね…人のやる事は、自然災害と違って人の意思で未然に防ぐ事ができます。
23日の「沖縄戦終結の日」のニュースを見て、もう二度と子供達を、若者達を無理やり国家の生贄に捧げてはならない。国家の野蛮な行為を止める責任が大人にはある…そう決意を新たにしました^^
#6131[2017/06/26 17:26]  sado jo  URL 

>まるで本物の海竜を間近で見た事があるかのような内容

「遠い海から来たCoo」でしょうか。
核実験の場所として揉めていた場所が実は海竜の群れの住処だったお話が確か昔にありました。

核実験、災害ネタの物語を回収して行く感じなんでしょうか。

そして、「コング」は回収していくのでしょうか。
洞窟に描かれた、恐竜、三つ首の蛇、蛾をもって「王はコングだけではない」として
キングコング対ゴジラを予告している作品の回収を。
それとも、あれの相手は「怪獣惑星」に任せるのでしょうか。
#6132[2017/06/27 03:37]  野良猫  URL  [Edit]

Re: 野良猫様COありがとうございます^^

ははは…「ゴジラの子守歌」はバラエティ番組ではありません(笑)
そもそも、自然界で異種生物が捕食以外の為にバトルをやる事はまずありません。
円谷ゴジラの原点はB29の「東京大空襲」に端を発します…と言う事は、英二社長は人間世界の不条理を糾弾したかったのだと思えます。
その辺は、シンゴジラの庵野監督も、怪獣惑星の虚淵さんも映画人としてよく理解してらしゃる…原作のテーマを壊さずに作ってますね。
とは言え映画には娯楽性も大切で、観客がキングコングとの格闘を期待するなら一辺やってみましょう…的なノリで作る場合もあります。
観客が望むなら「魂も地獄に流します」「一辺死んでみる」(地獄少女・閻魔愛)となる…映画人とは何とも掴みどころのない人種です(笑)
#6133[2017/06/27 11:24]  sado jo  URL 

そういえば、ここ最近は、日本よりも南米のあたりでデカイ地震が多いですね
今回もグアテマラでありましたし

きっと、あの付近でデカイ地殻変動が起きてるんでしょうね
そのきっかけが、あの東日本大震災になるのかもですが

そのせいか、どうもオーストラリアやニュージーランドで、人間がサーフォンやるような浅瀬に、どう猛なサメがウロウロするようになって、何人かサメの餌になるような事件が増えてます(汗)

それと、南海トラフ辺りにあるプレートが、今年はどうも静かに動いてるみたいですね
海側のが大陸側へか、その逆かは忘れましたが(汗)

長野の地震もそれが影響してる可能性がありそうですな

あと、自分も近日中に小説の続きをアップ予定です
というか次回のアップが最終回です

ええ、あの世界に神はいません
なので、刺し違えることもありません
あるのは、受動的ニヒリズムのみ

そんな感じになります
#6143[2017/06/28 17:00]  blackout  URL 

Re: blackout様COありがとうございます^^

> そういえば、ここ最近は、日本よりも南米のあたりでデカイ地震が多いですね
> 今回もグアテマラでありましたし
> きっと、あの付近でデカイ地殻変動が起きてるんでしょうね

近年、太平洋プレートの活動が活発化してますが、場所によって周期的な差が出てますね。
去年辺りはオセアニア方面で、今年は南米近辺が騒がしいのはそのせいなのかも知れない。
いずれにしても、プレートの周囲は全て火山帯で覆われてマグマ溜りになってますから、その内、時計の針が回る様に日本にもフィードバックして来るでしょう。
すでに長野辺りで予告編をやってます…えぇ、我々の世界にも神は存在してない様です(笑)
#6145[2017/06/28 19:04]  sado jo  URL 














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