シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

随想/論文集

スティーヴン・ホーキング博士追悼③ 博士が開いた未知への扉

ホーキング博士追悼③

当たり前の事を当たり前だと思っていては科学は進歩しない。なぜそうなのか?と、疑問を持ってこそ科学も人間も進歩してゆく。
数十年前の日本の男の子は「大きくなったら兵隊さんになる」と胸を張った。だが、誰も…親も社会もそれを疑問に思わなかった。
異常な事でもそれが常態化すれば人には当たり前に見える…だから当然の如く思ってる事は、必ずしも当然ではないかも知れない。
不自由な身体で宇宙の真理を探究し続けたスティーヴン・ホーキング博士にとって、宇宙は当然の如くそこにあるのではなかった。

138億年以前には宇宙は存在せず無があるだけだった。そして突如ビッグバンと言う大爆発が起きて今の宇宙が誕生したと言われている。
ホーキング博士は宇宙誕生の謎を解く為にブラックホールの探求に乗り出した…ブラックホールとは、巨大な恒星が自身の重さに耐え切れずに爆発した後にできる超重力場の穴である。それは周囲の全てを…光さえも飲み込んで決して外に逃がす事はなく、その中心=特異点ゼロでは、巨大な重力の作用で全ての物質は押しつぶされて無に帰する。
さらに、全てを飲み込んでゆくブラックホールは次第に巨大化し、やがて全宇宙を覆い尽くして無の闇にするだろうと思われていた。つまり、宇宙はビッグバン以前の無の状態に戻るはずだった。
ところが、ホーキング博士が幾ら計算しても特異点ゼロには運動エネルギーが存在した…特異点は決してゼロでも無でもなかったのだ。
この「ホーキング放射」と呼ばれる作用によって、ブラックホールは物質や熱を宇宙に放出し、やがて蒸発する事が判明したのだった。
現実に宇宙空間には500以上のブラックホールが存在するが、どれ一つとして、宇宙を覆い尽くすほど巨大な物は観測されていない。

「ホーキング放射」は何十年にも渡って科学者達を悩ませ続けた…特異点ゼロが無でないなら、一体そこには何が存在するのか?
何が運動エネルギーを放っているのか?多くの科学者が謎に挑んでは挫折した。中には精神に異常をきたす者まで現れる始末だった。
ジョン・シュワルツとマイケル・グリーンの二人の物理学者が、苦闘の末にようやく核心に辿り付いたのは、ずっと後の事であった。
「もしかしたら我々は最初っから間違えていたのではなかろうか?もし、全ての物質を構成する素粒子が粒(点)ではなく、波の様に振動する紐だとしたら…それならば、弦の様に震えながら常に運動エネルギーを放っている事になり、ゼロでも無でもなくなる」
だが、それは物理学の常識を根底から覆す概念だった…質量を持つ物質の正体は、実はエネルギー波の集まりと言う事になってしまうのだ。
質量保存の法則であるE=mc2のmc(質量)は最初から存在せず、E(エネルギー)だけがこの世の全てとなり、アインシュタインの方程式は意味が無くなる…元々Eだった存在が形態を変えた別のEになるだけの事で、辻褄は合っていても容易には理解されなかった。
実は、この画期的なアイディアを最初に提唱したのは、日本人物理学者の南部陽一郎博士(2008年ノーベル物理学賞受賞)であった。
「そこにあると思える物は絶えずうつろう波の様な存在である。有るでもなく無いでもない。ただ色即是空・空即是色に他ならない」
西洋の思考概念に囚われない日本人の独特な発想は、アインシュタインの理論を基本とする多くの物理学者には本気にされなかった。
もし、我々の肉体を含む全ての物質が波の様に絶えず揺らめくエネルギー波が映し出す残像なら、その一瞬を見た人はそれを存在すると思い込む。だが、実は次の瞬間にはもう存在しないのである…我々は絶え間なくうねる波の波長の一瞬一瞬を見て、そこに波と言う実体が有ると思っているに過ぎない事になる。
この南部博士の画期的なアイディアは長い間埋もれたままで、ホーキング博士がブラックホールの矛盾を指摘するまでは誰からも省みられる事はなかった。

~続く~



スティーヴン・ホーキング博士 「宇宙の起源論」

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~ Comment ~


精神を病む、わかります

こんにちは!いつも、ありがとうございます。
わたしは、算数のころから、論理的に物事を考えるのが苦手、嫌い、苦痛でした。
いつも、自分は馬鹿ではないだろうかと落ち込んでいました。

そんなわたしは、今も、宇宙には神様が棲み、この全宇宙を統合し、
そして、わたしたちの地球は、神様のお孫さんのドッジーボールじゃないかなと、
小さなころは考えていました。
もちろん、お月にはウサギが住むとも信じていましたし。(;^_^

それは、いまもあまり変わらないのです。
深く、宇宙に思いを馳せすぎてしまうと、頭を抱えて蹲りそうになるのです。
いまも、数字や記号を見ると、眩暈を起こしそうになります。

おかしいですよね。(^^♪
#7075[2018/04/05 13:16]  窓  URL  [Edit]

Re: 窓様COありがとうございます^^

> わたしは、算数のころから、論理的に物事を考えるのが苦手、嫌い、苦痛でした。
> いつも、自分は馬鹿ではないだろうかと落ち込んでいました。

頭脳明晰に見える物理学達者は、本当はとても子供っぽい人達なのです。
「なぜリンゴは木から落ちるのか?=ニュートン」「なぜ暖炉の焚き木は燃えるのか?=アインシュタイン」…なぜ?なぜ?なぜ?こんな事は子供でなければ考えませんよ(笑)
でも、目の前の当たり前の事に疑問を持って追求していったから「万有引力の法則」や「相対性理論」などの偉大な科学の真実を導き出す事ができたのです。
ホーキング博士が追求した「なぜ宇宙は存在するのか?」…から始まった疑問は画期的な「超弦理論」を生み出し、次々と新事実を明らかにして物理学の概念を書き換えました。
我々が見ている宇宙は(自分自身も含め)物質ではなくエネルギーの波動であり、無数の紐状の素粒子の波が互いに干渉し合って構成されていると言う新事実が発見されました。
我々には物質に見える物が物質ではないなら、魂なるものも紐状のエネルギーの波動である事になります…生命の全貌が物理学で解き明かされるまで後一歩ですね^^
#7076[2018/04/05 14:10]  sado jo  URL 

こんにちは~♪
CS放送でよく見ますがいまも宇宙のことは頭ではわかっていても理論的なことはさっぱりです。
複雑怪奇ですね(^_-)-☆
#7077[2018/04/05 16:33]  まり姫  URL  [Edit]

Re: まり姫様COありがとうございます^^

> CS放送でよく見ますがいまも宇宙のことは頭ではわかっていても理論的なことはさっぱりです。

人が当たり前だと考えている現象と、物理学で解析された真実は異なると言う事です。
(自分の肉体を含め)物質だと思ってる物は、実は素粒子の波動が作り出す実体のない残像(フォログラム)であり、刻々と変化してやがて消滅(人の目で見たら死)します。
しかし(肉体などの)物質は見えなくなっても、素粒子のエネルギー波(意識)は存続し続けます…それが周囲にどんな影響を与えるか?は、未だ研究段階にあります。
現実に我々は祖先が考案した伝統文化や民族性を受け継ぎ、時には差別や憎悪などの負の思想も受け継ぎます…或いは、死者の意識は波動として現実世界に影響を与えているかも知れません。
#7078[2018/04/05 17:12]  sado jo  URL 

こんな

Sado joさんのブラックホールの解説で何となく
分かったような気になってきました。(笑)
理論が出始めたときは、光も閉じ込められる、
そこに入ったものは破壊され抜け出せない・・・とか
物理の素養がない私には取り付く島のない理論でした。
今ではそんなこともあるんだと何となく納得している自分が
怖いです。(笑)
相対性理論が発表されたとき、これを理解できるのは世界で
数人と言われてました。
#7079[2018/04/05 20:23]  エリアンダー  URL 

Re: エリアンダー様COありがとうございます^^

> Sado joさんのブラックホールの解説で何となく
> 分かったような気になってきました。(笑)

宇宙の始まり(特異点)は無(ゼロ)からではなかった…と言う事を発見したのは、ホーキング博士の大きな功績だろうと思います。
そこから超弦理論が生まれ、宇宙は濃密な紐粒子の塊が弾けて、物質に見えるエネルギーと、重力・磁力・電力などの見えないエネルギーに分散し、作られた事になってます。
従って人間(生命)も、見えるエネルギー体である炭素と、見えざるエネルギーである意識(魂)の複合体として構成された訳です。
なので、片方が消滅するともう一方も消滅します…それが死です。
不思議なのは、生命が星と塵と重力・磁力・電力+ダークマターの複合物である星雲(銀河)と同じ構成要素でできている事です。すると、もしや銀河も我々と異なる別の命を宿してるかも知れませんね(笑)
#7080[2018/04/05 22:54]  sado jo  URL 

こういう話は好きですが、よく分からない素人です。じつはビッグバンには疑問があります。
星団群の秩序正しい泡構造を見ると、単に勝手に爆発したのではなさそうです。
赤方偏移現象については、宇宙膨張説の根拠だとする説明以外の解釈もあります。

無から有が生じるはずがないですから、宇宙の「始まり」はあったでしょうが、
その始まり以前には、まだ空間とか時間、次元というものがなかったのですから、
そこは一点とも全体とも言えない茫洋とした状態があり、ただエネルギーだけがあったはずです。
エネルギーは静止しておらず、常に振動しているもので、それを「弦」と言えそうです。

ブラックホールが宇宙を埋め尽くすというのは、今の宇宙の膨張説と合わない気がしますね。
そうだとしても、エネルギーの総量は常に変わらないはずですから、蒸発するのはおかしい気がします。
有が無になることもあり得ません。つまりはエネルギー不滅、魂不滅の考えです。(^_-)
#7081[2018/04/07 12:41]  ☆バーソ☆  URL  [Edit]

Re: パーソ様COありがとうございます^^

> こういう話は好きですが、よく分からない素人です。じつはビッグバンには疑問があります。
> その始まり以前には、まだ空間とか時間、次元というものがなかったのですから、
> そこは一点とも全体とも言えない茫洋とした状態があり、ただエネルギーだけがあったはずです。
> エネルギーは静止しておらず、常に振動しているもので、それを「弦」と言えそうです。

縦横高さ+時間がある世界にいる我々は、場所も時間もない世界と言うのは想像できません。
だが、素粒子は場所も時間も持ちません…至る所に同時に出現し、時間に囚われずに瞬時に移動します。なので、観測した時しか見られ(確定し)ません。
人に例えれば、同じ人が日本にもアメリカにも火星にもいて、その人は光より速くどの場所にでも瞬間移動する…いゃ、場所とか瞬間とか言う時点で時間と空間に囚われてますが(笑)
言うなれば、人が語るビッグバン宇宙論には必ず場所と時間の尺度があるが、本当のビッグバンは場所と時間が特定できず、どこからでも、いつでもと言うのが真実です。
さて、そこから面白い解釈が生じます…生命(魂)はいつ、どこから来たのか?今どこにあるか?を正確に指差せる人は一人もいません。脳?心臓?…いいぇ、それはただの臓器です。
実は、我々が感じていながら実態が掴めない生命(魂)こそがビッグバンの名残りになります。
生命(魂)は場所と時を持っていません…至る所にあり、時を超えて受け継がれる。その素粒子?の実在を補足できれば、この宇宙の謎は全て解明される事になると思います。
#7082[2018/04/07 16:02]  sado jo  URL 

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#7083[2018/04/07 16:27]     

Re: m様COありがとうございます^^

お寒い政治に比べれば、初春の寒さなどたいした事はないですよ。
どここまで続く「改ざん」「隠蔽」の寒冷前線…おぉ~寒ぅ~~(笑)
#7084[2018/04/07 18:31]  sado jo  URL 

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#7085[2018/04/09 16:54]     

Re: m様COありがとうございます^^

異常気象は今に始まった事ではないですが、近年は激しいですね。
自然災害も頻発してるし、やはり何かがおかしくなってる感じがします。
#7087[2018/04/10 11:12]  sado jo  URL 














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