シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

随想/論文集

スティーヴン・ホーキング博士追悼④ 博士が開いた真理への扉

ホーキング博士追悼④

自らも思索し探求するが、惜しみなく提示もする…まるで教師の様なホーキング博士の姿勢は、他人の助けを借りなければ生きられない不自由な身体から培われたのだろう…確かに一人が進歩するよりも100人が揃って進歩した方がずっと良いに決まっている。
多くの科学者が、ホーキング博士の提示した問い掛けに挑戦した。そして、それまで見捨てられていた南部博士のアイディアから「ホーキング放射」の謎がやっと解明されるに至った。
万物を構成する最小要素は粒(点)ではなく、絶えず伸縮して波打つ紐状のエネルギーであり、たくさんの紐が繊維の様に折り重なって「カラビヤウ空間」というものを形成している。それは異なった多くの次元を持ち、決して留まる事なく常に運動し続けている。
こうして「超弦理論=スーパーストリング理論」は、万物の謎を解明する神の方程式として、物理学者達の脚光を浴びる事となった。

さて我々は、朝起きて時間を気にしながら電車や車などの交通機関を使って空間を移動し、会社のエレベーターに乗ってオフィスに着く。つまり、縦横高さ+時間の四次元世界を行き来している訳である…では、超弦理論の異次元は一体どこにあるのだろうか?
机の上の書類に目を落としてみよう…あなたには平面(二次元)に見える紙を顕微鏡で覗くと、表面はケバだっている事が分かる。
二次元に見えた紙は実は三次元空間だったのだ…同様にこの世界には普段は隠れて見えない次元がたくさん潜んでおり、それは物を見る座標や視点によって異なってくるのである。
例えるならば、我々は幾つにも折り畳まれた絨毯を見ている様なもので、普段は中の模様は見えない…しかし、絨毯を次々に開いたならば、模様(真実)の実態が見えてくるのである…この世界には、そんな隠れて見えない異次元が10以上ある事が判明している。

しかし、超弦理論の多次元の概念は分かるとしても、万物全てが振動する紐の様なエネルギーで構成されているならば、なぜ物質には重さ(質量)があるのだろうか?全てがエネルギーでできているなら重量などはないはずである。
この難問に挑んだピーター・ヒッグスは、エネルギーである弦に作用して重さを与えるヒッグス粒子の存在を予測した…しかし、その仮説もこれまた南部陽一郎博士がすでにアイディアを提唱していた。
万物がそれぞれ異なる性質を持つエネルギー波だとして、これにヒッグス粒子の波がぶつかったとする…するとどうなるだろうか?
分かりやすい様に実際の物質を使って試してみよう…まずヒッグス粒子に見立てた釘を用意して、水と木と鉄に打ち込んでみる事とする。
水は難なく釘を通す…木はやや抵抗はあるものの打ち込める…だが、鉄には歯が立たない…つまり、ヒッグス粒子の波がどれだけ抵抗を受けるかによって質量…物の重さが決まるのである。何だか子供騙しの様な話だが、実際にスイスの欧州原子核研究機構(CERNのハドロン衝突型素粒子加速器によってヒッグス粒子が発見され、超弦理論から出た仮説の正しさが証明されている。

しかし、そこからはもはや科学を超越したある真実が見えてくる…もし、ヒッグス粒子の波がまったく抵抗を受けないものがあるとしたら一体それはどんな存在なのか?きっと、質量もなく姿も見えないがゼロ(無)ではなく、我々が日常的に感じているものに違いない。
そして、それにピッタリと当てはまるあるものを、我々は漠然と「魂」とも「心」とも、或いは「意識」とも呼んでいるのである。
さて、我々は重力を見る事はできないが、物の重さを通して重力の存在を知る。それはヒッグス粒子の波が作用しているからである。
同様に、魂を見る事はできないが、脳を通して魂が存在している事を知る。それは未だに未発見の粒子の波の働きだと考えてよかろう。
つまり、理論上では物質に見えるものも見えないものも、紐の振動によって生じたエネルギーの波であり、肉体と魂…意識は異なる性質を持ってはいても等質の存在だと言う事になる訳である。
そうなると、後は魂…意識を定義づける素粒子の発見を待つだけとなる。多分それが見つかれば、人間のみならず全生物の肉体と魂…意識がどの様に結びついているか?生命の起源を初めとする全ての謎が解き明かされる事になるだろうと思う。
スティーヴン・ホーキング博士が開いてくれた真理への扉は、今や命の全貌を捕らえて解剖する一歩手前まできているのである。

但し、人が魂の実在とその要素を知り、命の全貌を知る事が果たして幸せなのかどうか?…自分の魂や人の魂が見え、死後の魂の行き先が分かってしまったら人はどうなるだろうか?見たいと思う反面大変恐ろしい事でもあろう…きっと人類史上かってなかった個人と社会の大変革が起きるに違いない。我々はまだ物理学の急速な進歩に着いて行けるほど心の準備はできていないのだが。

~続く~

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~ Comment ~


心霊番組でよく映る、いわゆるオーブという肉眼では見えない発光体
魂と呼ばれるものが科学的に説明できるようになればこの正体もわかるかも。
目で捉えられなくとも写真なら捉えられる=確かにそこに存在している。
元が人だったものとなら、ひょっとしたらいつかは魂と会話できる時代も来るのかな。
#7086[2018/04/10 10:24]  西條すみれ  URL 

Re: すみれ様COありがとうございます^^

> 心霊番組でよく映る、いわゆるオーブという肉眼では見えない発光体
> 魂と呼ばれるものが科学的に説明できるようになればこの正体もわかるかも。

まぁ、オカルトやスピリチュアルの話はいったん除外するとして。
脳波は電波信号(エネルギー波)として科学的に確認されていますね。
また我々は、映像や音声や文字記号を電波信号に変えてスマホなどを使います。
同じ粒子の波であるにも関らず、一方は中身が解析できて一方は中身を解析できない。
それは、脳の信号に関与して意識を構成している粒子の存在が確認されてないからです。
ヒッグス粒子が質量(重さ)を与えて物質を形作る様に、未知の粒子が物質に意識を与えて魂…或いは生命そのものを作り出しているのだとしたら…
いずれ、生命(魂)を構成する粒子は科学的に存在が確認されるでしょうが、人が自身の生命(魂)の中身を知った時、どう変わるか?…希望を見出すか?絶望に打ちひしがれるか?
恐い気もしますが、見てみたくもあり見たくない様な…でも、将来現実に起り得る話です(笑)
#7088[2018/04/10 13:32]  sado jo  URL 

ヒッグスと重力の関係も難解だし、量子が人間が
意識しないと粒じゃなく波(エネルギー)の状態と
なっていて人が意識すると初めて物質化するという
理論も理解が難しいです、私には。(笑)
#7089[2018/04/10 13:45]  エリアンダー  URL 

Re: エリアンダー様COありがとうございます^^

う~ん…量子論に関しては、自分も数式以前に感覚的に理解できていません。
まず、宇宙の万物を構成する粒子が、時も場所も持たないと言う時点でアウトです(笑)
時間停止ではなく、時そのものがないから過去・現在・未来を自在に往来し、場所も次元もないから至る所に同じ粒子が存在し、観測すると波に見えたり点に見えたり…まるで掴み所がない。
でも、それが宇宙の真実であり、我々が実体があると思っているものは、実は粒子のエネルギー波が描き出すホログラフィの残像であると言う事です。
だが、粒子を研究する事によって我々には、空間とは何か?重力とは何か?生命とは何か?未来はどうなってるか?人は死後どうなるのか?等…諸々の謎を解き明かせる可能性があります。
#7090[2018/04/10 20:18]  sado jo  URL 

こんにちは!いつも、ありがとうございます。

わたしには、とても難しいお話ですが、

>机の上の書類に目を落としてみよう…あなたには平面(二次元)に見える紙を顕微鏡で覗くと、表面はケバだっている事が分かる。
二次元に見えた紙は実は三次元空間だったのだ

この説明で、想像をすることができたように思います。
確かに、薄い紙一枚だって、表面を拡大すると、大きくけば立っているのですよね。
#7091[2018/04/11 11:17]  窓  URL  [Edit]

Re: 窓様COありがとうございます^^

> 確かに薄い紙一枚だって、表面を拡大すると、大きくけば立っているのですよね。

超弦物理学では、宇宙を常に振動する紐で編まれた立体的な織物に例えます。
人には鮮かな織物に見えるが、実は細い糸で出来ていて糸の中から織物の模様は見えない。
人の腸には100兆個の微生物がいますが、彼らには腸の外にある人間の実態は見えない。
同様に、人間には今見ている宇宙の外にあるさらに大きな宇宙の存在は見えません。
ものを見る視点や座標が異なれば、まったく違った階層の次元が見えてくるのです。
現在、重力の作用の及ぶ10の次元の存在が確認されてますが、その上にはさらに「M」と言う次元が存在するのではないかと言われています。
#7092[2018/04/11 13:14]  sado jo  URL 

自分は見てみたいですね
自身の生命というか魂の中身やどこに向かうかをw

案外、ああやっぱり、って思いそうですねw

なので、希望も持たなければ、絶望もしないかと
#7093[2018/04/11 18:28]  blackout  URL 

Re: blackout様COありがとうございます^^

> 自分は見てみたいですね
> 自身の生命というか魂の中身やどこに向かうかをw

ゲノム(遺伝子)を編集してどんな生物でも作り出せる段階にまで来てますからね。
宇宙に進出するには、環境に合わせた生体が必要なので人体の改造もあるでしょう。
人は肉体と意識(魂)を分けて考えますが、基本的にどちらも素粒子の現れ方の違いです。
今後200年以内に、生命を形作る素粒子が発見されると、世界の状況は大きく変わります。
素粒子を介して自分の魂を見てしまった人間がどうなるか?神の存在が否定された時人類がそれを受け入れられるかどうか?見てみたくもあり、見てみたくもなし…ですね(笑)
#7094[2018/04/11 20:30]  sado jo  URL 

こんにちは~♪
いつもありがとうございます(*^^)
昨日はブログにお邪魔しても何故かアクセスできませんでした。
今日は気温が上がり自動車の中は暑いくらいでした。
でもまたお天気が崩れるようですね(*^^*ゞ
明日は病院に行きますので、お邪魔できるのが夕方近くになるかと思います。
よろしくで~す(^_-)-☆
応援ポチ
#7095[2018/04/12 15:08]  まり姫  URL  [Edit]

Re: まり姫様COありがとうございます^^

> 昨日はブログにお邪魔しても何故かアクセスできませんでした。
> 今日は気温が上がり自動車の中は暑いくらいでした。
> でもまたお天気が崩れるようですね(*^^*ゞ

Fc.2のサーバーが原因か?プロバイダーの回線が原因か?不明ですが、
もし、リンクから入っているのなら、一度リンクを張り直してみて下さい。
この所、寒いのか暑いのか?さっぱり分からない空模様が続いてますね。
輪を掛けて政府の不祥事が続出していて、国会の天気も崩れていますが(笑)
#7096[2018/04/12 17:04]  sado jo  URL 

現在の宇宙は雑然と在るわけではなく、そこには叡智が見られます。
人間の構造にもDNAや脳の機能にも叡智が見られます。
人間は英知を持っている葦であると言われています。
そんなことを考えると、創世の初めにはとてつもない叡智があったと考えられます。
それは意識であるとも魂(spirit)であるとも(神であるとも)言えるわけですが、
意識がエネルギーを持っていると思うには、かなりの飛躍が必要のようです。
しかしそう思わなければ、物体が存在するようになったことを説明しがたいわけで、
意識でありエネルギーであるものが、ただ充満している状態が宇宙の原始であると言えそうです。
魂や意識を定義づける素粒子は、発見されますかね。
粒子と言う時点で最小単位の物質のようなものを想定していますが、
意識は物質ではないのでしょうから、物理的な検知機械で発見できる日がきますか。
#7097[2018/04/13 15:36]    URL  [Edit]

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#7098[2018/04/14 15:09]     

Re: COありがとうございます^^

> 現在の宇宙は雑然と在るわけではなく、そこには叡智が見られます。
> 人間の構造にもDNAや脳の機能にも叡智が見られます。
> そんなことを考えると、創世の初めにはとてつもない叡智があったと考えられます。

宗教や哲学は人の感性を基準にしており、宇宙の全てを解明するには無理があります。
重力・電磁気力・核力・物質・生命意識などの宇宙の全ては、素粒子で成り立っています。
元は単一の素粒子がビッグバンによって展開し、異なる現象として現れて見えてるのです。
宇宙の誕生に神の叡智は介在しておらず、宇宙は偶然によって生まれたと解釈されてます。
宇宙を構成する素粒子は、正確には粒でもエネルギーでもなく、一種の力(フォース)の波であり、時間もなければ場所もありません。
従って、同じ粒子が過去にも現在にも未来にも、ここにも宇宙の彼方にも自在に現れます。
そんな存在は人は見えませんが、信心深い人が「神の存在を感じる」と言い、物理学者が「観測した時に確定する」と言う言い方をするのは面白いです。
もしや、両者は同じ宇宙の力を覚知してるのではないでしょうか?…違うのは前者はそれを神として崇め、後者はその力を解剖しようとしているだけなのかも知れません。
つまり、宇宙の一部である我々は神?なる存在の力を感じ取る能力を備えていると言う事です。
#7099[2018/04/14 16:51]  sado jo  URL 

Re: m様COありがとうございます^^

病気を抱えながら生きているのはお互い様ですよ(笑)
まぁ、身体に無理を掛けない様にボチボチやっていくしかないですね。
関西は午後から集中豪雨に見舞われるそうで、病院に行く際は気をつけて下さい^^
#7100[2018/04/14 16:57]  sado jo  URL 














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