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シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

アニメ /コミック

不平等と差別と戦争 「86-エイティシックス-」

21-06-20

「少女は“涙”と共に。少年は“死”と共に」「“その戦場に戦死者はいない。そう表向きは…だが彼らは確かにあそこで散った”」

『不平等と差別と戦争』…見るに耐えない人間悪の集大成が描かれたアニメだが、実は自分は若い頃に似た様なSF小説を読んだ事がある。
それは戦前に同じテーマで書かれたカレル・チャペック(チェコ)の『山椒魚戦争』だった…当時のヨーロッパはナチスのアドルフ・ヒトラーが勢いを増して不平等なアーリア人優性思想が蔓延り、ユダヤ人などの弱者が差別され、戦争の匂いが立ち込めていた時代だった。
あれから100年、21世紀にはなくなるはずだった『不平等と差別と(専制政治による)戦争』は衰えるどころか、余計に勢いを増している。
いったい人類は100年もの間何をやっていたのだろうか?…格差による不平等は解消されず、人種・民族差別は100年前よりひどくなり、軍事兵器はより高度になって破壊力を増し、たくさんの悲劇を齎しているのに、肝心の人類そのものは一向に進歩していないではないか。
アニメ『86-エイティシックス-』は、現代世界で起きている救いようのない不条理や人間悪を異世界に置き換えて映し出した作品である。

最先端技術を有する軍事独裁大国ギアーデ帝国(中国の写し)は自立型AIを搭載した無人戦闘ドローン「レギオン」を開発して世界の覇権を握ろうとする…一方、帝国に対抗するサンマグノリア共和国は、つい最近王政を倒して市民革命を成功させた民主主義国家である。だが実際は、白人富裕層が特権階級を作って格差や不平等が横行している(アメリカの写し)…そんな国に帝国に迫害されて難民として逃れてきた有色人種エイティシックスが収容されていた。そしてその後、ギアーデ帝国でも市民革命が勃発して独裁政治体制は崩壊する。
誰しも戦争は終わったと思った…が、自立型AIにはAIである故に停戦と言う概念がなく戦闘を続ける。無理やり止めようとした新生ギアーデ連邦はAIに敗北し、危機に陥ったサンマグノリア共和国はレギオンに対抗する為に無人ドローン「ジャガーノート」を開発する。
だが共和国が言う「戦死者を出さない人道的な無人兵器」とは名ばかりで、現実には85区の白人居住区の外…彼らが86区の「人型の豚」と蔑む有色人種を強制的に徴兵して搭乗させていた。そして性能が違いすぎる無人兵器を相手に戦うエイティシックスは次々と戦死する。
そんな最中、特権階級には珍しく「人は平等」の信念を抱いて戦死した父の後を継いだヴラディレーナ・ミリーゼ少佐は、最前線で戦うエイティシックスの「スピアヘッド戦隊」を安全な共和国軍本部からパラレイドを使ってリモート指揮する「ハンドラー」に任命される。
※パラレイドとは接続した相手と視覚や聴覚を共有する装置で、離れていても戦っている兵士とリアルタイムで戦闘の状態を共有できる。

はりきるミリーゼは同僚から「スピアヘッド戦隊の隊長アンダーテイカ(シンエイ・ノウゼン大尉)は死神と呼ばれ、今まで何人ものハンドラーを発狂させて廃人にした」と告げられる…だが本人と挨拶を交わすと、他の隊員が冷ややかなのに比べてとても優しい男だった。
そしていつしかアンダーテイカに好意を寄せる様になったミリーゼは、ある戦闘の最中に彼の重大な秘密を知る事になる…耐えられないほどのエイティシックスの戦死者達の断末魔の声がパラレイドを通して聞こえてきたのだ…彼は死者の声を聞く特殊な能力を持っていた。
ハンドラーを発狂させる死神の由来はそれだった…そして彼の機体には今まで戦死した500余名の仲間の名前と死神の紋章が掘られていた。
動揺するミリーゼにさらにアンダーテイカは言う「共和国は戦争に負けます」と…なぜならレギオンはただの無人ドローンではなく、戦死者の脳を喰らって無限に増殖するゾンビAIだからである。つまり幾ら破壊してもエイティシックスが戦死する度に数が増えるのだった。
※もしや原作者の「安里アサト」は、中国の悪のコロナウィルスを、無限に増殖するゾンビAI「レギオン」に移し替えたのではなかろうか?
だから敵のレギオンが接近してくると大勢のエイティシックス戦死者の声がアンダーテイカに聞こえ、それがミリーゼにも伝わったのだ。
こちらが死ねば死ぬほど増えてゆく敵…実は勝ち目のない戦争の最前線に投入されたスピアヘッド戦隊は、幾ら戦っても戦死しないエイティシックスばかりを纏めて殺す為に編成された処刑部隊だった…多くの仲間が戦死して残り5人となった彼らに最期の死の命令が下った。
真実を知ったミリーゼは何とか彼らを助けようと奔走するが、多くのアメリカ市民が「黒人奴隷」を当たり前に考えていた時代に「奴隷解放」を叫ぶに等しい虚しい足掻きだった。そしてアンダーテイカら最後の5人は真実を見過ごす市民の犠牲となって死地に赴くのだった。

「悪事を働く者が世の中を悪くするのではない。悪を悪だと自覚せずに見過ごす大衆が世の中を悪くするのだ」 (アインシュタイン)
ご立派な事をおっしゃる本人が、核分裂理論をアメリカ政府に渡して原爆の悲劇を招いたんじゃ世話ぁないが…言ってる事は真実である。


86-エイティシックス 「戦野に紅くひなげしの咲く」

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自分はどうしようもなく救えない物語が好きである…それはウルトラセブンシリーズの一作『ノンマルトの使者』の原作を書いた時から変わらない。不幸な事に幼少の頃から人間の愚かさに触れ、人族がどうしようもなく救いがたい生き物である事を知ってしまったからだ。
自分は物心付いた時は様々な動物に囲まれていた…そして彼らと遊んでいる内にある事に気が付いた。彼らは「一度痛い目に遭ったら二度と同じ過ちを繰り返さない」例えば一度火傷をすると二度と火に近づかないとても賢い生き物だった…だが人間はそうではなかった。
人は何度も何度も同じ過ちを繰り返す…同じ痛い目も、同じ悲劇も…もしヤギや牛なら、不平等や差別を行って仲間割れが起きたら二度としないだろう。戦争をして大勢の仲間を失ったら二度と戦争はしないだろう…それが自分が気が付いた動物と人との大きな違いだった。
人は動物より賢いはずだ…なのになぜ性懲りもなく過ちを繰り返すのか?それは人間には学習能力が欠如していて欲望が野放しだからだ。
その事実を知った時「人間と言う種族は長くはないな」と正直思った…そして自分の僅かな人生の間にそれは現実のものとなりつつある。
後、数十年で地球の表面は摂氏40℃以上の灼熱地獄と化すだろう。山火事で燃えた森林は砂漠地帯になるだろう。溶けた氷河は海に溢れて陸地の1/3はなくなるだろう…だが人間は相変わらず車に乗り、飛行機を飛ばし、欲望を満たす為に大量工業生産をやめる事はなかろう。
この宇宙には不動の法則がある。それが「自業自得」だ…行った事の因果は巡り巡って自分に返ってくる「俺は悪い事をしたけど何ともないぞ」とうそぶいている者に言っておく!自分自身が何もなくとも時間差があるだけで、やがて子供や子孫がその因果の報いを受ける。
故に「平家にあらずば人にあらず」と驕った平清盛の息子は三条河原で斬首され、大勢の人間を殺したナチスドイツもソビエト連邦も時間差が生じただけで世界から滅び去った。なのでウィグル人やチベット人、香港人に暴虐を働いた中国共産党に無事な未来の繁栄はない。
例え習近平は天寿を全うしても、因果は次世代に降り掛かり、後継者の誰かが絞首台で吊され「中華人民共和国」は必ず滅びるのである。
人も一族も、国家も民族も、何ぴとたりとも因果応報の法則から逃れる事はできない…人はまずそれを知った上で物事を行うべきなのだ。
 
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~ Comment ~


ちょっと驚きました。

 「『ノンマルトの使者』の原作を書いた」って本当ですか。凄いですね。
 で、早速、検索しましたよ。「ノンマルト」はWikipediaにもピクシブ百科にも出てきて、シナリオは金城哲夫とあったのですが、「原作」で検索しても出てこなかったですね。1968年の7月放送。海の底編は1968年の9月連載開始でした。
 私は『ウルトラマン』は見たことがないのですが、「ノンマルト」は評価がすごかったですよ。「ウルトラシリーズでも最大の問題作の一つ」「セブンの中でも屈指の名作として知られ、後世に残すべきものであろう」「ウルトラ警備隊が悪魔に見える。胸が張り裂ける傑作」
 人間のエゴが海に住む人を駆逐するというアウトライン。じつは我々地球人もまた先住民であるノンマルトを海底に追いやって栄えた「侵略者」だった。しかしウルトラ警備隊隊長は「今さら、そんなことを公表するわけにいかない。こうなればノンマルトたちを全て滅ぼして、『人類は元から地球に住んでいた』ということにして、もう一件落着でいいんじゃないか」という政治的な判断をする(これを『シン・ウルトラマン』として実写化するとなると、間違いなくアカデミーが狙えるという評価がありました)。
 私は『猿の惑星』と『家畜人ヤプー』を連想しましたが、ストーリーが面白そうで読んでみたくなりましたよ。

 joさんが人間の心の奥を見つめていることがよく分かりました。がしかし人間は同じ過ちを繰り返してきたものの、あと数十年で地球が滅ぶことはないと思っています。
 なぜなら地球は陰と陽との両極性の中で、人間がいろんな体験をしていく二元的な惑星なので、地球人は正と邪を繰り返す定めになっているのではないか、そしていろいろ問題があるとしても結局は少しずつ良い方向に行くのではないか、と楽観的な見方を持っているからです。自動車にしても石油燃料をやめて電動にしようと世界的な流れになっていますから、地球人が海底や火星に移住しなくてはいけないまでにはならないと思っています。

 むろん、問題は問題視する人がいないとさらに問題は大きくなっていくので、静かに座して待つという姿勢は良くないでしょうし、問題は多少でも誇大に言わないとひとが聞いてくれないという一面もあると思います。
 因果応報の法則はまったく正しいものですが、問題は、自分の行なった結果が自分には及ばないように思えることがあるので、悪い人間はそれをいいことにして、ますます悪いことをするのでしょう。
 しかし良い人間もいるので、それが救いになればいいですね。
#8322[2021/06/20 10:56]  ☆バーソ☆  URL  [Edit]

Re: バーソ様COありがとうございます^^

> 「『ノンマルトの使者』の原作を書いた」って本当ですか。凄いですね。
> で、早速、検索しましたよ。「ノンマルト」はWikipediaにもピクシブ百科にも出てきて、シナリオは金城哲夫とあったのですが、「原作」で検索しても出てこなかったですね。
> 私は『ウルトラマン』は見たことがないのですが、「ノンマルト」は評価がすごかったですよ。

過分な評価をいただきありがとうございます…視聴者から「セブンとウルトラ警備隊には幻滅した」と多くの抗議がきました。正義の側を悪役にした反響は大きかったですね(笑)
叔父は円谷プロの隣にあった『松竹衣装』の所長で、アルバイトしていた自分は大の特撮ファン。
次回作が気になって勝手に円谷の企画室に出入りし、脚本家さんたちのマスコットになりました。
「面白い発想をする少年だ。何か書いてみなさい」と言われて、小説もどきを幾つかノートに殴り書きして見せたら、その一つを見た金城先生の顔色が変わったのです。
少年の純粋な心から見た醜悪な人間悪…それは金城先生が体験した『沖縄戦』を彷彿とさせたのでしょう。沖縄人にとって、日本軍もアメリカ軍もどちらも同じ侵略者でした。
「部外者の少年の作なのでテロップ(名前)は出せないが脚本にしていいか」と言われ「テレビになるならとても嬉しいです」…それが『ノンマルトの使者』誕生のゆえんです。
あれは自分のトラウマの呪い+沖縄戦の犠牲者の鎮魂を込めた金城先生の渾身の作だと思います。
その他の作品も脚色されて脚本になって放映された様に記憶しています…それが縁で円谷プロに入り、監督になる事を目指して色んなセクションで修行をする事になりました。
けれども身体が弱かったので僅か2年で倒れて映画界から退く事になり、その3年後に金城先生も事故で亡くなってしまいました…存命だったら庵野監督と肩を並べる様な人でした。
テレビ画面には名前は出ませんでしたが、金城先生が「うちには天才少年がいる」と自分を紹介してくれた記事が『少年マガジン』に載った様に記憶しています。
『滅びに至る道』…絶望的で救い難い人間悪を描く事は、金城先生と約束した自分のテーマです。
#8323[2021/06/20 13:34]  sado jo  URL 

私も驚いた

私も驚いてググりましたよ。
joさんの本名は実は金城さんだったんだと思ったりして。
そういう事情でしたか、早熟の天才だったんだ。
今回の記事はjoさんらしく(笑)、悲観的な未来です、読むのが辛いほどの。
私は世界の今後については楽観的に捉えています。
世界は少しずつ、少しずつではあっても過去よりは現在が、
昨日よりは今日の方がいい社会になっていると思っています。
戦後75年たっても核兵器は使われず、大きな戦争もなく、
私自身にとって自由で住みやすい社会だと実感しています。
これで独裁国の2国が瓦解してくれれば・・・。(笑)


#8324[2021/06/20 22:11]  エリアンダー  URL 

Re: エリアンダー様COありがとうございます^^

> そういう事情でしたか、早熟の天才だったんだ。
> 今回の記事はjoさんらしく(笑)、悲観的な未来です、読むのが辛いほどの。
> 私は世界の今後については楽観的に捉えています。

才能があって将来を嘱望されながら病に倒れて消えていった…夭逝型の典型ですかね(苦笑)
幸い一命は取り留めましたが、今でも病弱で、ヒラメキ(発想)は出てくるのに身体が動かない。
平和な日本にいると危機感は薄いが、ネットやTVで見る世界の状況はどんどん悪くなっています。
多分、後数世代で人類は大幅に生息地を失って衰退するでしょう…人口は1/3ほどに減少します。
その前に、少なくなった土地争いで大国同士が戦争し、余計に人類の数を減少させる事でしょう。
人類の未来はドン詰まり…だって、格差の不平等や、大義名分で飾った差別、金欲主義・大量消費の資本主義など、人類悪の根源を失くそうとしないしその気もない。
完全に滅亡はしないが衰退は避けられません。低酸素・高温多湿な環境や水中生息に適した他の種族…昆虫や魚類、或いは鳥類(移動が速く雌雄共同で子育てする強み)が未来の主役です。
#8326[2021/06/21 13:40]  sado jo  URL 

読み流しちゃったぜ

はじめはうっかり読み流しちゃいました。だって暗いんだもの。

☆バーソ☆さんのコメントで気がつきました。
「ノンマルトの使者」覚えています。
「ええーーっ!!!」と思った視聴者です。

30分の子ども番組でやるネタじゃないわあ。と思いました。
小さい子のファンも多かったと思います。
見終わった時、げっそりしました。

犯人はjoさんだったのかいな。
#8328[2021/06/21 18:17]  しのぶもじずり  URL  [Edit]

Re: しのぶもじずり様COありがとうございます^^

> (ノンマルトの使者は)30分の子ども番組でやるネタじゃないわあ…と思いました。
> 小さい子のファンも多かったと思います…見終わった時、げっそりしました。

最初はTV局も反対しました「子供向けの内容じゃない…ヒーローを悪にしたら番組が壊れる」と。
それを押し切ったのは、日本とアメリカの両方に侵略された沖縄の悲劇を見せたい…と言う金城先生の思いを知るTBSのプロデューサー:円谷一さん(円谷英二の子息)でした。
『ノンマルトの使者』の反響は賛否両論すごかった…専門家は「円谷プロはただの特撮物を作る撮影所ではない。正義を隠れ蓑にした大人の悪の姿を子供に教えた」と喝采しました。
何で自分はそんな暗い物語を書いたのか?…猟師だった父は身体の弱い私を鍛えようと雪山に連れ出して狩りをした。目の前でタヌキを撃って、雪の中を引きずるんですよ。
すると死んだ母タヌキを慕って子供が後を追ってくる。けれども無慈悲な父は知らん顔…「あぁ、母を亡くしたこの子らは雪山で餓死するんだろうな」って幼心に思いました。
害獣だから駆除したと言う側は正義でも、神が与えた命を奪えば悪!そんな環境で育ったら誰でもネクラになりますよ…だから今でも不公平や不条理、権力悪には激しい拒絶反応を起す。
こんな自分が中国やロシア、ミャンマーや北朝鮮にいたら、すぐに処刑されてしまうでしょうね。
#8329[2021/06/21 22:38]  sado jo  URL 














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