シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

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保安官ワイアットアープ外伝

保安官ワイアット・アープ外伝 「クリミア砦の決闘」(後編)

保安官02

 馬を走らせたワイアット・アープとドク・ホリディは、ロシア人の拠点、クリミア砦にやって来た
 砦の柵の上から、それを見ていたロシア人の手下が言った。
「兄貴、誰かやって来ましたぜ!」
「何だ~?あいつは…この前の腰抜け保安官じゃねぇか」
「何の用だ?ここは田舎町の保安官風情の来る所じゃねぇ」
 手下たちは、アープとホリディを見下ろしながら、威嚇するように言った。
「お前らのボスに用があって来た」アープは答えた。
「ボスは忙しい。お前らにやぁ~お会いにならねぇ」
 その時、額が禿げ上がって、陰険な窪んだ目をした、毛皮商人のボスらしいロシア人が姿を現した。
「何だ!騒々しい…ありゃあ、いったい誰だ?」ボスは手下に尋ねた。
「アラモーサの町の腰抜け保安官でさぁ、ボス」
「何の用かね?保安官。ここは連邦政府の管轄地域だ。許可を受けて来たのかね?」
「いや、毛皮商人を連れて来たんだ」
 ボスにそう聞かれたアープは、隣にいるホリディを指差しながら言った。
「そうか。俺んとこの毛皮は高いぞ~…何せ、極上のバッファローだからな」
「構わんよ。高値で引き取るそうだ」
「そうか。そんなら入れ」
 ロシア人のボスは、アープとホリディを砦の中に招き入れた。
 砦の中にはバッファローの毛皮を積んだ馬車と、覆いを掛けたコンテナを乗せた馬車が置いてあった。
 長年の保安官生活をして来たアープは、一目見るなり、その場違いのコンテナを不自然に思った。
「あの馬車の上に乗ってるのは何だ?檻の様に見えるが…」アープは、ボスに尋ねた。
「あぁ、バッファローの檻さ。ロシアに連れて帰って繁殖させるんだ」ボスはそう答えた。
「バッファローの檻にしちゃあ小さいな~…?ちょっと見せてくれ」
 アープはそのコンテナを乗せた馬車の側まで行って、掛けてある覆いをめくって中を覗こうとした。
「勝手に見るなっ!」ボスが、アープを威嚇するように怒鳴った。
「ほぅ~…何か都合の悪い事でもあるのか?」
 威嚇されて臆するようなアープでは無い。ボスは彼に問い詰められて、答えに窮してしまった。
「やはりな…どうやら、俺の思った通りか」
 アープに真相を見破られて、陰険な顔つきのボスの顔が余計に険しくなって来た。
「人身売買か!ロシアに連れ帰るのはバッファローじゃ無くって、インディアンの奴隷娘ってぇ訳だ」
 たちまちボスの手下たちが、アープとホリディを取り囲んだ。彼らの手は腰に下げた拳銃のホルスターに掛かっていた。
「貴様ら~!この保安官たちを殺っちまえっ!」ボスが怒鳴り声を上げた。
 とたんに、ボスが言い終わるより早く、馬を翻したアープの長尺拳銃バントラインとホリディのライフル銃が火を噴いた
 ズドン!ズド~ン!…バン!バァ~ン!スバッ!ズバ~ン!
 たちまち10人ほどの荒くれ男たちが、次々に血しぶきを吹き上げながら、バタバタと倒れた。
 騒ぎを聞いて、部屋を跳び出して来た手下とロシア人たちも、銃を抜くより、もんどり打って地べたに転がる方が早かった。
 西部にその名を知られる早撃ちの名手、ワイアット・アープとドク・ホリディが相手では、しょせん彼らに勝ち目は無い。
 黙って手を上げて降参するか、逃げ出すかしていれば、悪党共は命を落とさずに済んだだろう。
 だが、コンテナ馬車によじ登ったボスは、ワープ目掛けて散弾銃を放った。卑怯者の銃と言われる当ればこれ幸いの散弾銃だ。
 バウッ!と放たれた弾はほとんど逸れたが、たまたま一発がワープの右腕を掠め、ワープの二の腕からは血が流れた。
 それでもワープは怯む事無く、コルト45=バントラインで、ボスが手にしていた散弾銃を吹き飛ばした。
 そうして、ワープとホリディは馬を下りて、ボスがいるコンテナ馬車に飛び乗った。
 ワープとホリディに追い詰められたボスは、馬車の荷台の箱からダイナマイトを取り出してかざした。
「悪あがきはやめろ!ウラ・プーチン!インディアンの土地の略奪と、人身売買容疑でお前を逮捕する」アープは言った。
「近寄るな~!ちょっとでも近寄ったら、ダイナマイトで娘たちを吹っ飛ばすぞ」ウラ・プーチンはそう喚いた。
「死なばもろともって訳か?どこまでも性根の腐ったヤツだな!ウラ・プーチン」
 脅しに屈するようなアープでは無い。たちまち放たれたバントラインの弾丸が、悪徳毛皮商人:ウラ・プーチンの腕を貫いた。
 ダイナマイトは虚しく荷台に転がり落ち、ひっくり返った悪徳毛皮商人:ウラ・プーチンはジリジリ後ずさりした。
「まっ!待て!俺が悪かった…どうか、命だけは助けてくれ」とうとうウラ・プーチンは命乞いを始めた。
 しかし、ワープは黙ったまま、血の滴る腕に構えたコルト45=バントラインのトリガーを引いた。
 ズド~ン!一発…ズド~ン!二発…ズド~ン!三発…銃声がクリミア砦に鳴り響いた。
 見苦しく転げ回っていた悪徳毛皮商人:ウラ・プーチンはついにピクリとも動かなくなった。
 アープはウラ・プーチンの脇腹を蹴り上げてどかすと、コンテナの覆いを取って監禁されていたインディアンの娘たちを解放した。
 その中には、アラモーサの町で、アープの見ている前で悪党共にさらわれた、あの娘がいた。
「ありがとう。保安官…何とお礼を言っていいやら…」その娘は、頭を下げながら言った。
「いや、気にしなくていいよ。人間、困った時はお互い様だ…ところでお嬢さん、名前は?」アープは尋ねた。
「ユリア…ウクライナ・インディアンの酋長、ティモシェンコの娘です」
「そうか~…あんたがあの人の娘さんか」
「殺された父を知ってるんですか?」
「な~に、少しだけ世話になってね…みんなで仲良くして、大切な土地を守って暮せば、死んだ酋長も浮かばれるだろうさ」
 そういい残すと、アープはホリディと共に馬に跨って、激闘の終ったクリミア砦を後にした。
 目の前には、かってインディアンとバッファローが共存していた、果てしないコロラドの大平原が広がっていた

 後にこの一件は、国交悪化を恐れた政府によって隠匿された。だが地元のインディアンの間では長く語り継がれたそうである。

 夕焼けのコロラドの大平原を、馬を並べて歩んでゆく二人の男の姿があった。
「またやっちまったな~…ドク」アープは、傍らを行くホリディに言った
「これから何処へ行く?やっちまった以上、アラモーサの町には戻れねぇぞ」ホリディは、アープにそう言った。
「そうだな~…あてはないが、西に向かって行ってみるさ。海の見える所までな」
「俺も付き合ってもいいか?」
「好きにすりゃあいい。どうせ共犯だからな…って、痛ぇなぁ~、傷が!」
「手当てしねぇと、ばい菌が入ったら厄介だぞ。俺が手当てしてやるよ」
「ごめんだね。お前は酔いどれのヤブ医者だからな…荒っぽすぎる」
「馬鹿言え!こう見えても、俺は西部一の名医だぞ」
「なら、俺は西部一のガンマンだ」
「ちげぇねぇ…」
 そうして、ワイアット・アープとドク・ホリディは、お互いの顔を見て笑った。
 コロラドの大平原を、西に向かって流れて行く二つのシルエットが、沈んでゆく夕日に映えていた。

伝説の名保安官ワイアットアープは、1929年1月13日、ロサンゼルスにて80年の波乱に満ちた人生を閉じた。
生涯、正義を愛し、不正を憎み、悪と戦った男の中の男、アメリカ人の中のアメリカ人であった
晩年のワイアットアープと親交を結んだ、映画監督「ジョン・フォード」は、彼の男気に惚れて、数多くの西部劇映画を製作した。
『駅馬車』(ジョン・ウェイン主演)『荒野の決闘』(ヘンリー・フォンダ主演)『黄色いリボン』などは特に有名である。
まさに西部開拓史の生き証人として、ハリウッド映画に影響を与えた正義のヒーロー「保安官ワイアット・アープ」であった。

親ロシア派に4年間監禁された、元ウクライナ女性首相「ユリア・ティモシェンコ」に愛を込めて捧ぐ…

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元ウクライナ女性首相≫ 「ユリア・ティモシェンコ:お宝画像」 (女人禁制)(笑)イヤ、ホントキレイデス~♪
女性のみなさま、済みません…一応、健全な男子ですので、少々の目の保養はお許し下さいませ (゚ー゚;Aアセ

<歪んだ事実を隠した歴史書> ~その本音~
この小説は、好きな女性に捧げた片想いの「ラブレター」で、別に政治的な意図があって書いた訳ではないが…
ただ、最近起きている一連の騒動から、ロシア指導部が、「旧ソビエト連邦」の復活を目指している事が鮮明になって来てます。
でも、何で21世紀の今時になって過去にこだわって東西対立なんて…?後ろ向きになるかなぁ~…権力欲?それとも過去の栄光?
なぜ、こんな事になるか…?ロシアばかりが悪いのではありません。実はヨーロッパ人にも、歴史的に大きな責任があるのです。
そんな事を、解り易く解説したいと思ってます。そして、日本と中国・朝鮮のギクシャクした関係についても述べるつもりです。
次回の更新をお楽しみに…^^ (こう見えてもヨーロッパ史には、ちいっとばかり通です)(笑)
 
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