シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

特撮で有名な円谷プロの元スタッフのブログです。面白くてためになる「小説」や「お話」「詩」をお届けします。【通常ブログ画面】 からお入り下さい。

ちょっと一息 

随想/論文集

ふぅ~う…続けて書くと、さすがに病の身には堪えます(苦笑)なので、ここいらでちょっと休憩。

―第2話【帰還】は、ストーリーはできてますが、プロットの構成に苦心してます。発表まで少々お待ち下さい(汗)―

ところで、小説の中で、戦に破れた宮国北部を支配する嶺国の人々に、ドイツ系の名前が多い事にお気づきかと思います。
前回の作品では、宮国にはラテン系の名称が多く使わてました。国名自体が、シムラクルム宮国(ラテン語の蜃気楼)です。
宮国がラテン系ならば、その北にある寒い国・嶺国はゲルマン系になるのかな?(済みません。小山田先生、勝手な解釈で)
実は、歴史的に見ても、ラテン(ギリシャが発祥)と、ゲルマン(ドイツを中心に、英アングロ系、北欧)は、ローマ時代から深い繋がりを持っていました。
さて、ドイツと言えば、いかつい・堅物・独裁的、などと言うイメージがありますが、これらはナチス時代の産物でして、本来はゲーテやシラー、ヘッセ、ハイネ、バッハ、ベートーベン、ワーグナーなど、世界的な文化人を輩出した、ロマン溢れる文化国家なのです。
現に、軍隊でさえ「エリカ」や「リリー・マルレーン」などの『恋の歌』を歌いながら行進します(そんな歌で気合が入るのかなぁ?)でも「大〇魂で、敵を撃つ」とか「仇なす敵を攻める」とか言う、恐い軍歌ばっかりのどっかの国よりも、はるかにロマンチックな民族性だとは思いませんか?
さて、この二つ文化は、その起源に独自性があり、世界的な広がりを持ってますが、もう一つ、それに当てはまる文化があります。
それは世界に冠たる中国文化(朝鮮・日本を含む)です(歴史的観点から見ると、インドはカースト差別のため文化圏が狭く、アラブ文化は起源に独自性が見当たらず、混合文化?と思われるので除外します。ごめんなさい)。
ちなみに、私は中国文化が好きで『史記(司馬遷)』や『三国志演義(羅漢中)』『水滸伝(施耐庵)』などの愛読者ですが、その人間性と、スケールの大きさには感動してしまいます。
特に『薄幸の少女・虞姫=(虞美人・花の名前にもなってます)』が、戦に破れた項羽のために死ぬ話には、涙が出るほどです。
何で『薄幸の少女』に惹かれるのか?自分でも分かりません(いや、私は決してロリコンではありません)(笑)
昔、何人かの女の子に「私、お金に困ってるの」と言われて、お金を貸してあげて、何度も騙されましたが、未だに懲りている気配がないくらいです(笑)不幸な女性を見ていられないんでしょうかねぇ?
済みません。話が脱線しましたぁ~(笑)でも、仮に中国がなければ日本はなかったでしょう。中国が漢字を作ってくれたお陰で、日本の文化は発展したのです。だから、漢字を使う時は中国に感謝しましょうね。
そこで『シムーン第2章 ~乙女達の祈り~』を進める上で、問題が起きて困っているのです。
宮国はラテン的、嶺国はゲルマン的、と来て、残る南方の礁国は中国的?―ところが、前回の『シムーン』では、礁国は宮国に攻め込む侵略的な国家と言う設定になっているんですね~><
折りしも、小さな島がどうのこうのと騒がしい昨今、登場人物などに中華的な名称を使って誤解を招いてもいけない。
う~ん…困った。そう言う訳ですので、もし物語の中で、中華的な名前が出てきても、どうか中国の方は怒らないで下さいね^^あくまでも架空のお話ですから…(陳謝)
それにしても、両国(北朝鮮・韓国も)の政治家の先生方には困ったもんだ(漢字を使う同一文化圏なのに)偏狭な思想に凝り固まってると、やがて戦争が起きますよ~。国民が大変不幸になります>_<

『人』と『愛』と『文明』と 

随想/論文集

前回の雑談で、中近東文化を勝手に除外しましたが、実は、中近東こそ人類の文明の発祥地なんですよね。
かっては『エジプト』『シュメール』『インダス』と、三つもの古代文明が栄えていた事は、みなさんご存知の通りです。
ところがですよ『インダス』は別として『エジプト』『シュメール』は、文字や、数々の神話が残っているにも関わらず、その末裔が皆目見当たらないんですね。
なので、どこぞの文化人類学者さんが、直系の子孫を発見してくれるのを心待ちにしています。
まあ、そう言う訳で、隆盛を誇った文明が、人間もろともあっけなく滅ぶのが人類の歴史。
―と、言う事は、我々の文明も例に漏れない訳で―
太陽の活動が減衰し、氷河期を迎える(事実、天文学者の間では、太陽の活動が減衰しつつある事が確認されています)とか、二酸化炭素の増大によって、大気の組成が変わる、とかして、我々の文明も人もあっけなく滅んでしまうのかも知れません。
そうなると、この文明もやがて遺跡になるんでしょうね~。
それから数千年後、環境に適応して生き残った人類の末裔が、その遺跡から我々の遺骨を発掘したとします。
「発掘された人骨は、スマホを握ったまま死んでた」とか「パソコンにかじり付いて死んでた(ひっきーか?)」(笑)
なんてのは、シャレにもならないですよね~。これがホントのシャレコウベ(骸骨)なんちゃって(オヤジギャグで済みません)。
どうせ死んで発掘されるなら、もっと綺麗な姿で掘り出されたいもんですね~。
ところがですよ、実はそれがホントにあったんですよ~!(驚き)
場所は【イタリア】、奇しくもシェークスピアの悲劇『ロミオとジュリエット』の舞台となった『ベローナ』の郊外で…
何と、数千年前に抱き合ったままで死んでいた、男女(恋人同士?)の遺体が発掘されたんです。
いやぁ~。場所が場所だけにドラマチックですよね~。
もしや、古代の『ロミオとジュリエット』は、仲の悪い家同士の板挟みとなって、愛し合いながらも結ばれぬ事を嘆いて心中したのでしょうか?
感動した私は、早速、その抱き合って死んだ恋人同士?の人骨写真を、友人全員にメールで送りました(下に現物の写真を載せました)。すると…

古代のロミオとジュリエット

男友達の反応 = 「エグ~ぃ!」「きも~ぃ!」「気味の悪い写真を送って来るな~!」
女友達の反応 = 「死んでも君を離さないなんて、よほど愛し合ってたのね~」「素敵だわ~」「私も好きな人と一緒に骨になりた~ぃ」

意味が分かりますか?…男性は “見た目で反応” し、女性は “心の中で反応” したんですね~。
待てよ?そうすると、発掘された恋人同士?の人骨を見て感動した私の心は女性型なのでしょうか?(笑)
ともあれ、『たとえ文明は滅ぼうとも、愛は永遠に滅びはしない』
みなさんにご賛同いただければ、大変うれしいです^^
 
 

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心にいる二人の歌姫 

随想/論文集

「本田美奈子」と言えば白血病で亡くなったアイドル歌手?…いぇいぇ、それだけではありません。
『ミス・サイゴン』『ひめゆり』など、戦争の悲劇を扱った「ミュージカル」に出演した女優(歌姫)でもあるのです
実際、彼女ほど、民族や国境を越え、世界の多くの芸能人と交流し、愛された歌手は日本にはいませんでした。
クイーンの「ブライアン・メイ」イタリアの歌姫「フィリッパ・ジョルダーノ」数え上げればきりがないほど…
その彼女に死が迫っていた数ヶ月前の事、恩師である「岩谷時子」さんが、同じ病院に入院して来ました。
本田さんは絶対隔離の無菌室の中、岩谷さんの見舞いに行こうにも行く事ができません。
そこで彼女は、カセットに岩谷さんが好きだった歌をアカペラで吹き込み、看護師さんに頼んで届けてもらいました。
病の床でも人を励ます心…これが、観客のいない本田美奈子たった一人の『ラストコンサート』になりました。

一方その頃、ニュージーランドで生まれたアイルランド移民の少女がいました。
当時、父親(祖父か?)の祖国アイルランドは、イギリスとの戦争の真っ最中でした(IRA 北アイルランド紛争)
悲劇に小さな胸を痛めた少女は、やがて平和の歌姫になりました。現在も世界最年少の「ユニセフ親善大使」だと思います。
「ヘイリー・ウェステンラ」 デビューした頃よく来日してたので、ご存知の方もいらっしゃるかも知れません。
すき通るような天使の歌声の持ち主です。私もファンの一人ですが、とってもやさしい性格の娘さんです。
思いを同じくする二人は、生前に出会う事はありませんでしたが、本田さんの死後、歌での出会いを果たしました。
心で聞いて下さい…二人の歌姫の競演による『アメイジング・グレイス』です。



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乙女達の祈り 第2話 【帰還】 その1 

シムーン第二章 ~乙女達の祈り~ 小説本編

simoun-62
平和だった時代の飛空客船アルクス・プリーマ


私もすっかり年老いた。外を歩く事さえままならない。
こうして椅子にもたれて、窓から見える空を見上げていると、あの日の事が脳裏によみがえる。
私はあの日の出来事を…あの日見た光景を…いまだにはっきりと覚えている。
数え切れないほどたくさんの乙女たちが、風に乗って大空に羽ばたいて行ったあの日の事を…
あの日、空に大きな虹が掛かった。乙女たちは、まるで白鳥のように舞い上がって、虹の橋を渡って行った。
高く、高く、どこまでも高く…そして、乙女たちは伝説になった。人々は去ってしまった乙女たちを恋慕った。
愚かな人は、失ってから、それがどれほど愛おしいものだったかに気づく。かく言う私もその一人には違いない。
罪深い私の人生の最期に、あの伝説の少女たちの事を記録に残しておこうと思う。 ~元宮国大聖堂書記官 グラギエフ~


 執務室のドアをノックする音がした。
 私は椅子から立ち上がり、歩いて行ってドアを開けた。そこには嶺国の宮女が立っていた。
「あのう、グラギエフさんでいらっしゃいますか?」宮女はそう尋ねてきた。
「そうですが…何か?」私は答えた。
「これをあなたにお渡しするように頼まれました」そう言って宮女は、一枚の紙切れを差し出した。
「ありがとう」私が礼を言うと「確かにお渡ししました。じゃぁ、失礼いたします」と、言って彼女は立ち去った。
(何だろう?)そう思いながら、私は折りたたんである紙を開いてみた。
 そこにはこう書かれていた『アルクス・プリーマでお待ちしています』アルクス・プリーマ…懐かしい響きだった。
(でも沈んだ船で会いたいなんていったい誰だろう?アヌビトゥフはもういないはずだし…取り合えず仕事が片付いたら行ってみるか。昔の仲間かも知れない)
 私はその当時、宮国の首都にある大聖堂の嶺国総督府で、雇われ書記官として働いていた。
 事実上の降伏とも言える礁国や嶺国との和平締結後、宮国の大聖堂は嶺国大法院の管理下に置かれていたのだ。
 すでに宮国の宮守や上位の女官たちは追放され、大聖堂は今では嶺国の主神アニムスの祭殿となっている。
 戦後、宮国の聖職者の多くは聖職を失い、私も食べる事に困っていた。
 そんな私を、嶺国の先代の宮守が、総督府の現地雇いの書記に推挙してくれた。
 ネヴィリルとアーエルが私たちの目の前で消えたあの日に、アルクス・プリーマで立ち会っていた嶺国の宮守が…だ。
 多分、デュクスの経験を持ち、宮国の宗教事情をよく知る私を、戦後の宮国の宗教管理をする上で役に立つと考えたからだろう。
 案の定、旧宗教体制から新宗教体制への移行…つまり嶺国占領地の宗教を、テンプスパティムからアニムスに改める手配をするのが私の主な仕事だった。

 大空陸の嶺国に始まり、礁国北部までを南北に貫く、アルトゥム山脈の中間にある宮国は、礁国や嶺国とは比べものにならない小さな国だ。
 国土は起伏に富んでいて、多くの山々が連なり、人々は谷あいの狭い土地で、牧畜や果樹園などを営んで暮らしている。
 山間部には、宝石や金属鉱石を産出する鉱山もあり、平和な時代には、酪農製品や果実と共に、宮国の貴重な輸出品となっていた。
 そんな穏やかで、信心深い人々が住む、もの静かで平和な宮国には、他の国にはないものがあった。
 かって『神の民』が舞い降りたとされるこの地には、彼らが残したと伝えられる数多くの遺跡がある。
 そこから出土するヘリカル・モートレスは、信仰の対象であると同時に『神の乗機=シムーン』の心臓部でもある。
 ヘリカル・モートレスは、螺旋状の二つの車輪が必ず対になっていて、シムーン宮と呼ばれる発光球と共に掘り出される。
 二つの車輪はシムーン宮を通して、片方が空間、片方が時間を制御すると言われるが、その構造は現代の科学では解き明かせない。
 ヘリカル・モートレスを模造したシミレ機関が作られたが、不思議な事に二つ取り付けても、まったく動かなかった。
 どうやら神の巫女=シムーン・シュヴィラが、シムーン宮を通して制御しなければ、対では起動しないらしい。
 単体のみのシミレ機関は燃料を必要とするが、従来のエンジンよりはるかに効率が良く、多くの交通機関などに使用されている。
 しかし、宗教上の制約もあり、シミレを含むヘリカル・モートレスは、長い間輸出が禁じられて来た。
 大空陸の国々の文明が発達し、人々の欲求が増して来ると、多くの国々がヘリカル・モートレスを欲しがるようになった。
 特に大国である礁国と嶺国は、露骨にその野心をあらわにして、小国である宮国に侵略して来たのだった。
 長い戦いの末、宮国は敗れ、国は二つに分断されて、礁国と嶺国の支配を受ける事になってしまった。

 乗り気のしないいやな仕事が一段落すると、私は嶺国に沈没させられた懐かしいアルクス・プリーマへと向かった。
 借りてきたボートを漕ぎ出し、船に横付けにすると、私は客室へと続く通路に登った。
 船体はあちこちが錆付き、手すりは朽ちていたが、かっての豪華客船はその名残りを留めていた。
 今は帰らぬ平和な時代…この船はテンプスパティムの巫女が搭乗するシムーンと、大勢の観覧客を乗せて大空を舞っていた。
 船から飛び立ったシムーン・シュヴィラたちは、神に捧げる祈りのリ・マージョンを大空に描き。人々を祝福した。
 争い事もなく、誰もが心豊かに平和に暮らしていた時代だった。
 そして、あの戦争が始まった。
 アルクス・プリーマはシムーンの戦闘用母艦として、戦いに駆り出された少女たちを乗せる事になった。
 懐かしい思い出が、昨日の事のように脳裏によみがえって来た。
 アヌビトゥフがいた。コール・カプトや、コール・ルボルの少女たち。そして、忘れもしないコール・テンペストの少女たち。
 ネヴィリルとアーエルが踊っていた。それを見ているパライエッタの側には、カイムが寄り添っていた。フロエが泣きべそをかいていた。アルティがそれをなだめていた。ドミヌーラが幼いリモネの手を引いていた。お澄まししたロードレアモンがいた。物思いにふけるユンがいた。勝気なヴューラがいた。
 それからマミーナ…あぁ、あの子は死んでしまった。ネヴィリルと嶺国の巫女たちをかばって…葬式すら出してやれなかった。
 モリナスは、あれから整備士のワポーリフと一緒になったが、そのワポーリフは徴用されて、嶺国に行ってしまったらしい。
 私は階段を上がって、展望台がある舞踏室に出た。テーブルや椅子は倒れ、窓にはちぎれたカーテンが掛かっていた。
「おーい、誰かいるのか~。私だ、グラギエフだ」私は呼んでみた。
「グラギエフ」物陰から誰かの声がした。私は声がした方に振り向いた。
 壊れて朽ち果てたピアノの傍らに、二人の人物が立っていた。私は一瞬目を疑った。
「ネヴィリル!ネヴィリルじゃぁないか。それにアーエルも…」
「グラギエフ、呼び出したりして済みませんでした。でも私たちは街の中へは入れないので」ネヴィリルが言った。
「分かっている。君たちはまだ指名手配中だ…それにしても、よく無事で帰って来た」
 私は二人をまじまじと見た(きっと随分苦労した事だろう)しばらくは声も出なかった。
「君たちはあの日私たちの前から消えた。翠玉のリ・マージョンで…あれからどこにいたんだい?」
「私たちは過去…」何事か言い掛けたアーエルをネヴィリルが制した。
(今は言わない方がいい。言ってもグラギエフには分からない。かえって混乱させるだけだから)その時は、ネヴィリルはそう考えたのだ。
「あれから五年か…済まない。君たちを戦争に巻き込んだのは我々大人の責任だ。せめて、あの時誰かが…」
「いえ、それよりここに来る途中で、古代シムーンが私たちに向かって来ました。戦争はまだ続いているんですか?」
 済まなさそうにしている私に、ネヴィリルはそう尋ねて来た。
「それにたくさんの町や村が燃えているのを見たよ。大勢の逃げ惑う人がいて、銃を持った兵士たちが戦っていた。あれから何があったの?」
 長い空白の間に何が起こったのか?アーエルも知りたがっていた。
「そうだな…君たちが旅立った時には戦争は終わっていた。だが…」
「だが…どうしたんです?」
「また戦争が始まってしまった。今度は嶺国と礁国だ。今、宮国を二つに割って争っている」
「宮国が二つに分かれたんですか?」ネヴィリルとアーエルは、信じられない。と言うような顔をした。
「同じ宮国の人間が敵味方に分かれて戦わされている。今や宮国は戦場だ。大勢の人が戦争の犠牲になっている。ひどいもんだ」
「みんなはどうなりました。無事なんですか?」ネヴィリルが心配そうに尋ねて来た。
「還俗した君たちの仲間も大勢兵隊に取られた。男を選んだシュヴィラは貧乏くじだったな…だけど、女を選んだ子も気の毒だ。夫は兵隊に取られ、家を焼かれたり、子供や家族を亡くした子も多い」
「そうですか…そんな事になってしまっていたんですか」
 ネヴィリルとアーエルは、ただ唖然として顔を見合わせていた。
 私は倒れていた手近なテーブルを起こし、椅子を揃えて二人を座らせ、自分も椅子に腰掛けた。
 それから、今までに起こった出来事を彼女たちに話して聞かせた。

~続く~

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乙女達の祈り 第2話 【帰還】 その2 

シムーン第二章 ~乙女達の祈り~ 小説本編

simoun-77
シュヴィラ・ネヴィリルとシュヴィラ・アーエル

 思想も政治体制も異なる嶺国と手を結んで、戦争に勝った礁国は、長い間の念願だったシムーンを手に入れた。
 だがシムーンは、神の恩寵を受けたシムーン・シュヴィラがいなければ、動かす事はできなかった。
 それで、宮国のシュヴィラを引き渡すように嶺国に求めたが、先回りした嶺国は、宮国のシムーン・シュヴィラを全員還俗させてしまった。その上、礁国の男女差別が改まらない限り、自国のシュヴィラも礁国に赴かせる事はできないと突っぱねた。
 さらに、宮国を共同統治する約束だったが、嶺国は宗教上の理由を盾に、大聖堂のある首都ソムニアへの礁国軍の進駐を拒んだ。
 礁国は同盟を結んだ相手が、かっての宮国と何一つ変わらない事に気づいた。テンプスパティウムがアニムスに変わっただけで。
『約束が違う!』と嶺国を非難したが、もう遅かった。腹を立てた礁国は同盟を破棄して、占領していた宮国南部を礁国に併合してしまった。
 冷静に考えれば、省エネ構造であるシミレ機関を使えば、礁国は公害汚染を軽減できるはずなのだが…贅沢ばかり望む礁国は、せっかくのヘリカル機関を、ターボに改造して台無しにしてしまった。
 欲に執着して、互いに張り合っている者たちのお陰で、いまだに戦争は収まる事なく続いている。

 二人は黙って私の話を聞いていた。大人たちの醜い争いの有様を…
 しばらくして私が話を終えると、ネヴィリルはポツリと言った。
「父はどうしていますか?」
「ああ、君のお父様はお元気だよ。今は政界を引退されて、悠々自適の毎日を送られている」
 私はそう言った後で、しまった!と思った。心配させまいと嘘をついたが、勘の鋭いネヴィリルは、私の表情を読み取っていた。
「嘘は言わないで!グラギエフ。本当の事をおっしゃって下さい」
「済まない、ネヴィリル…あの後、ハルコンフは戦争の責任を取らされて政界を追放された。財産も取り上げられてね…それからは、あのメッシスのワウフが面倒を見てあげていたようだ」
「そうでしたか…やはり」ネヴィリルは、すべてを見通していたように言った。
「時々会いに行くと、君の事を心配しておられた。すっかり痩せてね…去年亡くなったよ。だから君には帰る家もない…済まない。辛い話を聞かせて」
「いえ、いいんです…権力を望んだ父が自ら招いた事です。むしろワウフにお礼を言わなくては」
「ワウフはあれからモリナスやアルクス・プリーマの人たちを雇い、メッシスを使って、北部でコンテナ運送業をやっていた」
「それで、今はどこに?」
「戦争前に礁国が運送業者を求めていたので南部に移った。そっちの方が稼ぎがいいらしくてね。今は南部で軍の物資輸送をやっていると思う」
「南部ですか。南は礁国の領地になっているんですよね。会えないのかな~」ネヴィリルは残念そうに言った。
「そうだねぇ…南部と言えば、アーエルも実家が南部だったね。何でも妹さんがいるとか?」
「はい、私がシムーンの訓練生になって家を出た時は、まだ子供でした。もう大きくなっているだろうな~…たった一人の妹です」
「そうか、無事だといいね。何でも礁国の支配地域では、だいぶん宗教が取り締まられているらしいから」
「そう言えば、アヌビトゥフはどうされました。あの方も南部のご出身だと聞きましたが?」ネヴィリルが尋ねて来た。
「アヌビトゥフは礁国に徴兵されたよ。あれだけ腕の立つ飛空士を放っとくはずもない。今頃は礁国の飛空船にでも乗っているんじゃないかな」
「そうでしたか…みんな戦争のために散り散りになっちゃったんですね~」二人はガックリと肩を落として落胆した。
 私はアヌビトゥフの事を思い出していた。かってのアルクス・プリーマの同僚。そしてシムーン・シュヴィラ時代の最愛のパル。
「それはそうと、シムーンはどうしたんだい。あるんだろ?」
 私はアヌビトゥフの思い出を振り払って、ネヴィリルとアーエルに尋ねた。
「ええ、格納庫に隠そうとしたんですが、壊されていたので、覆いを掛けて甲板の上に」ネヴィリルはそう答えた。
「あの型のシムーンは、もう宮国にはない。嶺国にみんな取り上げられてしまったからね。見せてくれないか?」
 私がそう言うと「ええ、それじゃ甲板に出ましょう」と、ネヴィリルは誘ってくれた。

 そうして、私たちはみんなで一緒に、アルクス・プリーマの甲板に出た。
 意図的に壊された格納庫の前に、破れたシートやカーテンの継ぎはぎで覆われたシムーンがあった。
 私は、その可変式ヘリカル・モートレスを撫でながら、つぶやき混じりに言った。
「懐かしいなぁ…でも、ここじゃあ、嶺国の連中に見つかってしまいそうだな」
「でも、私もアーエルも他に行く所がないので…」ネヴィリルは困った顔をしていた。
 私はしばらく考えた…(一か八かになるが、策がない訳でもない)元々、二人の居場所を奪ってしまったのは我々だ。
 私たち大人が起こした戦争のために…言わば、ネヴィリルとアーエルは犠牲者になってしまったのだ。
「私にいい考えがある。ここは私に任せてくれないか?君たちの居場所を作れるかも知れないから」
 私がそう言うと「でも、嶺国は私たちの行方を追っているんでしょ?」と、ネヴィリルは不安そうに尋ねて来た。
「うん、一年くらいは血まなこになって探していたが、戦争を始めてからはそれどころじゃなくなった。今は逆に…」
「逆に…何かあったんですか?」
「今は詳しく説明できないが、ひとまず、遺跡に隠れていてくれないか」
 私がそう言うと「遺跡に…ですか?」と、ネヴィリルとアーエルは怪訝そうな顔をした。
「あそこなら、シムーンを隠す洞窟もあるし、嶺国の連中がシムーンを掘り出した後の作業小屋が、そのまま残っているはずだ」
「嶺国が!…やはりシムーンを狙っていたんですね。神聖な遺跡を荒らしたんですか?」
「ああ、洗いざらいね。私たちは聖地を穢さぬよう、慎重に一台ずつ掘り出したが、彼らのやり方は無茶苦茶だった」
「ひどい!私たちの大切なテンプスパティウムの聖地を…」
「荒らされた聖地だが、しばらく居てくれ。食料は私が運ぶ。お風呂は泉を使うといい。夜は寒いが、昼間なら入れると思う」
「でも神聖な泉で入浴なんて…」
「もう神聖でも何でもない。嶺国の発掘作業員が汗を流すのに使って汚してしまった。だからもう、ユンも来ない」
「ユンが来ないって?」ネヴィリルは怪訝そうな顔をした。
 私は思った(そうだった…ネヴィリルとアーエルは、あの後の出来事は、まったく知らないのだ)
「うん、ユンは泉の大宮煌になった。今はオナシアがいた場所に立っている。最近はすっかり大宮煌らしくなって来たよ」
「ユンが泉の大宮煌になったんですか…じゃあ、テンプスパティウムの泉はそのままあるんですね」
「そうだよ。泉だけは嶺国も手が出せなかったらしい。人々の性別が決まらないと兵隊にも取れない。子供も産まれないしね」
「そうだったんですか…それじゃ、私たちはこれから遺跡に行って隠れる事にします」
「ああ、そうしてくれるとありがたい。見つからないように気をつけて行くんだよ。ネヴィリル。アーエル」
 もうすっかり日が暮れて、辺りは暗くなっていた。私は二人と別れると、ボートを漕いでアルクス・プリーマから離れた。

~続く~

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乙女達の祈り 第2話 【帰還】 その3 

シムーン第二章 ~乙女達の祈り~ 小説本編

simoun-76
シムラクルム大聖堂の嶺国総督府

 シムラクルム大聖堂にある嶺国総督府は、ここ数日あわただしかった。どうやら大幅な人事の刷新が行われたらしい。
 情報筋から得た話では、礁国本土への攻撃に出撃した嶺国の艦隊が全滅し、たくさんのシムーン・シュヴィラが死んだとか。
 嶺国の宮守・エルフリンデに会えたのは、だいぶん経ってからの事だった。

「私は忙しくしてるから、用件は手短にしてちょうだい。グラギエフ」会うなり、エルフリンデはそう釘を刺してきた。
「負け戦だったそうですね。シムーン・シュヴィラもたくさん死んだとか」私は話を切り出した。
「どこでそんな話を…」
「隠したってすぐに分かりますよ。あれだけあちらこちらで大騒ぎしていちゃぁね」
「そんな事を言いに来たの。グラギエフ」どうやら、エルフリンデは機嫌を損ねたらしい。
「いえ、当面の苦境を打開する策をお耳に入れたくって」
「そんなのあるの?上位の巫女が4人も死んだのよ。一線級のシムーン・シュヴィラ…12神将の内の4人までもがっ!」
「失礼を承知で申し上げるなら、あなたの国のシムーン・シュヴィラは一線級とは言えません。まだまだ未熟です」
「何ですってっ!」急にエルフリンデの顔色が険しくなった。
「聞く所によると、礁国の高速シミレに負けたとか。いかに相手が速かろうと、シムーンがシミレに負けるはずはない。宮国のシムーン・シュヴィラなら…ですが」
「一体、何が言いたいのグラギエフ!嶺国のシュヴィラを侮辱する事は私が許しませんよ!」とうとうエルフリンデは怒り出した。
「シムーンだけが使えるリ・マージョンが完璧にできていない。だから敵につけ込まれる。でも、あなた方のシュヴィラに完璧なリ・マージョンをお教えできる人物を私は知っています」
「そんな人がどこにいるって言うの…まさか今更」
「そのまさかです。あなたが先代からお聞きになっている五年前の一件を不問にしていただけるなら…」
「二人のシムーン・シュヴィラが、みんなの見ている前から消えたとか言う?」
「宮国の最もすぐれたシムーン・シュヴィラ。ネヴィリルとアーエル」
「ふざけないでっ!二人はまだ指名手配中でしょ…まさか、あなた匿っているんじゃぁないでしょうね?」
 その時、ふいに蒼い目の金髪紳士が部屋の中に入って来た。
「まぁまぁ、そう怒鳴らんでもいいじゃないかエルフリンデ…なかなか面白い話だ。聞こう。グラギエフと言ったか」
 端正な顔に含み笑いをたたえ、鷹のような鋭い目をした紳士は、エルフリンデを諭すと、そう私に言った。 
「これはこれは、アルハイト様。いつこちらへ?」エルフリンデは、即座に腰をかがめて、その紳士にお辞儀をした。
「今しがた着いた。王立議会の副総裁に就任してな…早速総裁に命じられて、わしがここの総督になった」
「それはそれは…おめでとうございます」
「めでたいか…祝うのは礁国に勝ってからの事だ。本国で聞いたが、我が方の巫女は負け続けてばかりおるそうだな」
「はい、誠に申し訳ございません」エルフリンデは、すっかりアルハイトに恐縮していた。
「な~に、お前一人の責任でもなかろう。先代の宮守が、少し巫女たちを甘やかし過ぎとったからな」
「はっ、宮国国境に近い南部のご出身でしたから、冷徹にはなれなかったのかと…」
「今は一人でも優秀な人材が欲しい。お尋ね者であろうとなかろうと戦争に勝つ事が第一だ。そうだろう、エルフリンデ」
「はい、アルハイト様のおっしゃる通りでございます」
「そこでだ。グラギエフとやら…その二人は、わが国の頼りないシムーン・シュヴィラを一線級に鍛えてくれるのかね?」
 新総督になったアルハイトは、私の方に向き直ってそう尋ねて来た。
「はい、お許しいただければ、すぐにでも手配いたします」私はアルハイトに答えた。
「よろしい。逃亡の件は不問にする。君の提案は承知した」
「ありがとうございます。総督閣下」私はアルハイトに礼を言った。
「戦時中でもある。何事も急がねばならん。その二人に至急連絡を取るように」
「承知いたしました総督閣下。下級官吏である私の提案をお受けいただいた事を深く感謝いたします」

 アルハイト総督は満足そうにしていた。私は思わぬ助け舟に恵まれた事を神に感謝して宮守の部屋を出た。
 それから総督府を出ると、止めてあったヘリカル車に乗り、ネヴィリルとアーエルが待っている遺跡へと急いだ。
 後ろを振り返ってみたが、大丈夫…後をつけてくる者は誰もいない。
 だがその頃、遺跡では大変な事が起こりつつあった。

~続く~

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乙女達の祈り 第2話 【帰還】 その4 

シムーン第二章 ~乙女達の祈り~ 小説本編

古代神殿
宮国の遺跡の地下深くに埋もれていた古代神殿

 アーエルとネヴィリルは、大空陸に帰ってきてから、やっと人心地がついた思いがしていた。
 二人の仮住まいは、嶺国の発掘作業員が使い捨てた粗末な作業小屋だったが、ひとまずは雨露もしのげたし、何よりも追われる心配をせずに過ごせるのがうれしかった。
 この日、二人は泉で入浴を済ませ、身体の汚れを綺麗に落として着替えをしていた。
 グラギエフが持ってきてくれた着替えは、奥さんのものらしいが、アーエルには少し大きかった。
「やだぁ~…これブカブカだよ。ネヴィリル」と、アーエルは不服そうな顔をして言った。
「あら、私にはちょうどいいわよ。早く大きくなりなさいアーエル」ネヴィリルは笑いながら、アーエルをからかった。
「子供みたいに言うなよ~」アーエルはちょっぴりむくれた。
 それから、二人で笑い合いながら作業員が使っていた粗末なベッドに座り、足を伸ばしてくつろいだ。
「ねぇねぇ、ネヴィリル…グラギエフの奥さんってどんな人かなぁ~」アーエルが言い出した。
「そうねぇ、結婚してるとは知らなかったわね。子供もいるらしいけど…気になる?」ネヴィリルは、逆にアーエルに聞いた。
「うん、会ってみたいね~…それに、結婚生活ってどんなんだか興味沸かない?ネヴィリル」
 どうやら、アーエルは結婚生活に、とっても興味があるようだ。
「さぁ、私は小さい頃から、ず~っと立派なシュヴィラになる事を父に教えられて来たし、考えた事もなかったわ」
 ネヴィリルは、そう言ってはぐらかそうとしたが、アーエルは「でもさぁ…いつかシムーン・シュヴィラをやめて、ネヴィリルと一緒に暮らせたらいいな~」と、真剣な目をして言った。
「アーエルったら、気の早い事…私はまだ相手を決めてないわよ」
 ネヴィリルはそう言いながらも、そっとアーエルに顔を近づけた、そして、二人は照れくさそうに愛を確かめた。

 その時、急に遠くの方から何かが近づいて来るような音がした。それは、次第にはっきりと二人の耳に聞こえて来た。
「ネヴィリル、空の上から何かが来るよ!」アーエルが言った。
「何かしら…?」ネヴィリルも不審に思った。
 アーエルとネヴィリルは、窓を開けて空を見上げた。
 空には黒い航跡を引きながら、遺跡の方に向かって飛んで来る、礁国の高速シミレの一団が見えた。
 近付いてきた高速シミレは、ヒュ~!ヒュ~!と、何かを遺跡に落とし始めた。
 ドド~ン!ドド~ン!と、たちまち遺跡のあちこちで爆発音が鳴り響き、もうもうと土煙が上がった。
「伏せてっ!アーエル。爆撃されているわ」ネヴィリルが叫んだ。
「くそっ!礁国は何だって遺跡なんかを…」
 そう言って、アーエルがかがみ込んで伏せようした時、シムーンを隠してある洞窟の辺りに爆弾が落ちた。
「ああっ!シムーンが…シムーンがっ!」アーエルは、それを見るなり、慌てて外に飛び出した。
「待って、アーエル、今出て行っちゃぁ危ないっ!」ネヴィリルは、アーエルを引き止めようとして叫んだ。
 だが、すでにアーエルは洞窟に向かって、まっしぐらに駆け出していた。ネヴィリルも急いで後を追い掛けた。
 爆弾が振りそそぐ中を、アーエルとネヴィリルは懸命に走って、シムーンを隠してある洞窟にたどり着いた。
 ハァハァと息が切れていたが、とにもかくにも、シムーンが無事かどうかを確かめるのが先だった。
 よく見ると、二人のシムーンは爆撃の土砂をかぶってはいたが、幸いにどこも破損はしていなかった。
「危ないじゃないのっ!アーエル。もし怪我でもしたら…」
「だってネヴィリル。シムーンが壊れたら私たち…」
 アーエルがそう言い掛けた途端、すぐ上で爆発音がした。とっさに頭を抱えたアーエルとネヴィリルの上に土砂が降り注いだ。
「ここは危険だわ。もっと奥に隠れましょ」
「うん、そうしよう。ネヴィリル」
 アーエルとネヴィリルは、暗い洞窟の中を手で探りながら、奥へ入ろうとした。
 その時、ふいに二人の足元が崩れた。アーエルとネヴィリルは、土砂と一緒に暗闇の中に転がり落ちた。

 どのくらい気を失っていたのだろうか。二人が気がつくと、ボ~ッとしたエメラルド色の光が辺りを照らしていた。
 目を凝らすと、ぐるりを壁に囲まれ、ズラリと石の柱が立ち並ぶ何かの回廊のような場所にいる事がわかった。
「ネヴィリル大丈夫。怪我はない?」起き上がりながら、アーエルはネヴィリルに尋ねた。
「えぇ、何とかね…それより、ここはどこかしら?」ネヴィリルも起き上がった。
「洞窟の中じゃないね。何だか周りがエメラルド色に光ってる…向こうはもっと明るそうだよ。行ってみよ」
 アーエルとネヴィリルは、よろよろしながら、列柱をくぐりぬけて広い場所に出た。
「石の柱がボ~ッと光ってるよ。それにここは随分広そうだね」アーエルは、薄明かりの中で辺りを見た。
「きっとシムーン宮と同じ発光石だわ。私があの時もらったのもそう…それに、古代の神殿はエメラルド色に光っていたって言い伝えもある」
 確信はなかったが、ネヴィリルがそう言うと「そうか~…じゃぁ、ここは古代の神殿なんだ」と、アーエルは言った。
「そうかもね…でも、遺跡の地下にこんな神殿があるなんて、聞いた事もなかったわ」
 ようやく薄明かりに目が慣れて来ると、ネヴィリルは、もう一度周りを確かめた(ここはどうやら神殿の大広間らしい)
 床一面には、装飾された大理石が敷き詰められ、大広間を取り囲むように、発光石がはめ込まれた何本もの石柱が立っていた。
 回廊の壁一面には、様々な鳥や獣、海の生き物や、人々の生活の様子が、浮き彫りにされている。
 そして、石でできた丸い天井には、まるでリ・マージョンをかたどったような幾何学文様がいくつも刻まれていた。
(遺跡の建物がまだ建っていた頃は、こんな風だったのかな…でも、祭壇はどこに?)ネヴィリルは考えた。
「ねぇねぇ、あれ見てネヴィリル」アーエルが何かを見つけたようだった。

~続く~

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