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シムーン第二章 ~乙女達の祈り~

随想/論文集

身勝手な親父たちが若い命を犠牲にする

22-11-07
ウクライナで鹵獲されたロシア軍のPM1910マキシム型ガトリング砲

次から次へと書きたい事が頭に浮かんでくるので、どれを先に書いたらいいか分からなくなっていた所へ面白いニュースにぶつかった。
ウクライナ軍の攻勢を受けて慌てて撤退したロシア軍の陣地から今し方まで使っていた「ガトリング砲」が見つかったと言うのである。
※ガトリング砲=1861年にアメリカのガトリングによって発明された初期の機関銃。複数の小銃を輪にして束ねて台座に固定し、手動で回転させて弾丸を発射する…今回ロシア軍陣地から鹵獲されたのはPM1910型 通称「マキシム」と呼ばれる100年以上前の年代物兵器である。


♪おしえてください この世に生きとし生けるものの すべての生命に限りがあるのならば 海は死にますか 山は死にますか 風はどうですか 空もそうですか おしえてください…1980年の東宝映画『二百三高地』 主題歌「防人の歌」:さだまさし

我々日本人にはかっての日露戦争「旅順の戦い」において、ロシア軍の要塞だった二百三高地の攻略戦に挑んだ祖先が、当時の最新兵器だったマキシム機関銃をズラリと並べたロシア軍の一斉射撃を浴び、僅か1週間足らずで15400名の戦死者を出したと言う悲惨な思い出がある。
映画スタッフだった頃、その撮影に使われたマキシムのレプリカを東宝の道具部屋で見た記憶があって、無性に懐かしさが込み上げてきた。
それにしてもよく今までマキシムがあったものだ。それも博物館ではなく実際に現代の戦場で使われていたのだから驚きと言う他にはない。
けれどそもそも100年前の機関銃が使えたのだろうか?弾丸は?替えの銃身は?…少し前に第二次大戦中のソ連製旧式戦車がウクライナ軍に鹵獲されたと言うニュースがあっただけに、ロシア人の物持ちの良さと言うか、古い物を大事に使うと言う伝統には敬服せざるを得ない。
反対に言えば、それだけロシアに新しい物を作る能力がない事を証明している訳であって、連敗続きも致し方なしと言うところなのだろう。
見た事のない骨董品をウクライナ兵が珍し気に触っている所を見ると、アンティークマニアにとっては堪えられない代物だったと言う事だ。
20世紀最高のプリンシパルと謡われたソ連のバレリーナ:マイヤ・プリセツカヤの名言に「ロシア人は新しい波を怖れる。誰かが新しい何かを作ろうとすると、寄ってたかって裏切り者の烙印を押して投獄しに掛かる」…道理でいつまで経っても脳ミソが進歩しないはずだ(笑)


『るろうに剣心』の1シーン 緋村抜刀斎vs武田観柳ガトリング砲

激戦の末にウクライナ軍が奪還した要衝イジュームの近くに小さな町がある…そこでウクライナ人収容施設の地下からロシア軍の機密文書が大量に発見された。突然の奇襲を受けて文書を焼く暇もなく慌てて逃げ出したのだろう。床には戦闘の跡を表わす血痕が点々としていた。
連絡係だったと思われる若い将校が綴った公式の戦闘記録が見つかり、2月24日の侵攻以来取ってきたロシア軍の行動が丸分かりになった。
どうもロシア軍はウクライナの国土の18%に及ぶ最前線への兵員、弾薬・物資の補給に困窮していて、7月頃にはウクライナ軍との形勢が逆転していた事が判明し、逆襲されるのを怖れていた様だ…それを隠す為に莫大な犠牲を払ってルガンスク州の完全制圧に及んだと見える。
秋になってからは戦闘記録は悲観的な内容ばかりで、公式文書にも拘わらず個人的な事が綴られていた…その連絡係の若い将校の故郷はウクライナから8000キロも離れたイルクーツクであり、彼自身はここにくるまでロシア軍は演習をしているんだと信じて疑わなかったらしい。
母や父の事、兄弟や友人達の事が目の前の景色の様に綴られているのをみる限り、迫りくる敵襲に怯えながら故郷を思って死んだのだろう。
10月29日夜、ハロウィン前夜のソウルで154人が犠牲になった「韓国梨泰院(イテウォン)雑踏圧死事件」もだが、いつもながら若者の死に接する度に心が痛む…何10年ものこれからの未来があったであろう若い命に、ウクライナ人もロシア人も、韓国人も国籍などは関係ない。
若者の死の原因ははっきり言って無責任な大人達にある…大統領の警護に800人も動員しながら10万人の若者にはたったの130人しか配置しない警察。己はリゾートに数千億円の宮殿を持ちながら、若い兵士には骨董品のマキシム機関銃と、錆び付いた小銃しか与えない独裁者。
しかもその独裁者を愚にもつかないエセ情報や陰謀論を振り回して応援するバカ親父共…こいつらも人の親であろうと思うが、まったく親としての自覚がなく他人の子の命は何とも思わない人間失格者である。これでは若者達が次から次に死んでゆくのも無理はなかろうと思う。
憎まれ親父ほど世に憚ると言う…まぁ、せいぜい厚顔無恥で若者を犠牲にして、ボケ老人やヨィヨィ爺になるまで長生きしてくれや(嘲笑)


若者達は悪くない…梨泰院(イテウォン)の事故は親父達の偏見と無責任によって起きた。

22-11-08
<ウクライナ産ビスケットのご紹介>
ハロウィンでふと浮かんだ事は、戦火に見舞われているウクライナではお菓子ももらえない可哀そうな子供達が多かっただろうと思った。
前日「業務スーパー」に行ったら、見た事のない動物ビスケットが置いてあった…子供用?と思って裏を見たらウクライナ産と書いてある。
そう言えば、ロシアの妨害で特産の小麦が倉庫に溜まったまま輸出できない状態だと聞く…腐らせるよりお菓子にして売ったと言う事かな。
早速買ってきて味見してみたが、余り甘みがなくてほんのりと小麦の香りがする…多分、紅茶やハーブティなどにピッタリ合いそうである。
小さい袋が118円で、大きい袋が158円…250g入りと言う大容量の割には安価で、ささやかながらウクライナへの支援ができた気分になった。


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<その子には名前があった>
昔観た映画に忘れる事のできないシーンがある…従軍記者と若い兵士が戦場で友達になった。戦闘が始まったのでまた会う事を約束して記者は安全な場所に退避した。それからしばらくして、記者は激戦のあった戦場に戻ってきてその兵士を探すが、彼の姿はどこにもなかった。
不安になって遺体安置所に行くとたくさんの戦死者が隊舎の床に並べられていた。担当者に彼の特徴を言って戦死者の書類を調べてもらうと、担当者は向こうを指さして記者にある番号を告げた。そこで記者は戦争の真実を知る。彼は数百名の戦死者の中の一つの数字だった。
「彼には名前があった。父も母もいた。兄弟や友人もいた。誰かが彼の名前を覚えておいてやらないといなかった人間になってしまう」
ロシア政府はひた隠しにしているが、ウクライナではすでに5万人(ウクライナ政府の統計では8万人)ものロシアの若者が戦死したらしい。彼らは単なる数字ではない…それぞれに命があり「セルゲイ」とか「ビクトル」とか親が付けた名前があって、家族や恋人や妻がいたかも知れない、貧しくとも細やかな幸せがあったかも知れない。だが身勝手で強欲なハゲ親父(プーチン)のせいで短い人生を終えてしまった。
梨泰院(イテウォン)のハロウィン人雪崩で、事故直前に参加者から通報を受けながらそれを無視し、部下に任せてグーグー寝ていた警察署長や、大統領の警護に800人も動員しながら、10万人の若者にたったの130人しか配置しなかった行政関係者らが韓国検察庁に逮捕された。
一口に154人の犠牲者と言うが、それぞれに名前があり父や母がいて、家族や友人もいたはずである…「ハロウィンや音楽イベントや、とかく若者は騒がしくて軽薄なミーハーばかり」と言うバカにした様な態度で頭ごなしに見る親父共の無責任さが梨泰院の大事故に繋がった。
「人事を尽くして天命を待つ」と言う格言がある…何事も偏見を抱かずに人として精一杯の努力をしていたならば、どんな事が起きてもそれは不可抗力である。日本で行なわれた「信長まつり武者行列」ではキムタク見たさに62万人もの群衆が押し寄せたが何一つ起きなかった。
梨泰院の事故の後だった事もあって、岐阜県警が綿密な警備計画を練って大勢の警官を動員し、人事を尽くして天命を全うした結果である。
 
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~ Comment ~


おはようございます。

 ガトリング銃を初めて知ったのは、西部劇映画を見たときです。インディアンの集団を騎兵隊がこの手回し機関銃で撃ちまくっていました。そして二百三高地でロシアのトーチカから機関銃で撃たれまくっても、突進命令が出されて大勢の日本兵が無駄死にしたことも思い出します。さだまさしの歌は心に響きますね。

 そのガトリング銃が今でもウクライナ戦線で使われているとは驚きです。古い戦車や単発銃が使われているという話もありましたが、ロシアがよほど困っている明白な証拠なのでしょう。もはやロシア敗退は決定事項でしょうか。欧州がゼレンスキー疲れをしなければいいのですが、イタリアが危なそうです。

 しかし日本の馬鹿馬鹿しい若者カルチャーとかいうものが、韓国にも伝染したというのも驚きですが、「ハロウィーンは肩書や出身地にかかわらず、みんなが対等に楽しめる場」というのが、あれ、そうなのか、それなら無理もないかと思いましたね。
 有名大学さえ出ていれば幸福になれるという風潮は、中国の「科挙」由来だろうと思います。昔は「胡蝶の夢」で、その虚しさを認識していた人もいたのですが、いまなおその愚かしいカルチャーが続いているのは情けないことですね。

 いい大学を出ていても意味がさほど無いのは、日本の大臣や国会議員を見ていれば分かります。東大やハーバード大を出ていても、まるで政治の能力や見識のない人が多いですから。高等教育を受けてなくても首相になった田中角栄のような優秀な人材が、黒いピーナッツ問題は別にして、日本に出てこないのが残念です。
#8607[2022/11/06 09:33]  ☆バーソ☆  URL  [Edit]

Re: バーソ様COありがとうございます^^

> ガトリング銃を初めて知ったのは、西部劇映画を見たときです。インディアンの集団を騎兵隊がこの手回し機関銃で撃ちまくっていました。
> 日本の馬鹿馬鹿しい若者カルチャーとかいうものが、韓国にも伝染したのも驚きですが「ハロウィーンは肩書や出身地にかかわらず、みんなが対等に楽しめる場」なら無理もないかと思いましたね。

時代遅れのロシア軍は、ウクライナインディアン相手に西部劇をやっている様なものです(笑)
第二次大戦中の戦車を出してきたのにも驚きましたが、まさか100年以上前のガトリング銃とは…ロシアはそんな兵器が現役だったのか?もはや呆れ返るしかない>_<
ロシア軍は物資不足と言う報道が嘘でない証拠で、これじゃ兵士は死にに行くようなものです。

自分は基本的に若者カルチャーを嫌いません…それは失敗は成功の母であるのと同じで、馬鹿馬鹿しいのは未来の画期的なイノベーションを生む大元だからです。
ただ騒ぎが度を超すと命に関わります…人生経験を積んだ親父達は若者を守ってやる義務がある。それを放棄して偉いさんの警護や、己の利権に血道を挙げている親父共が多過ぎる。
未来よりも自分の私利私欲を第一にする…事故も戦争もそんな小汚い親父共に責任があります。
#8608[2022/11/06 14:45]  sado jo  URL 

ガトリング砲って、司馬遼太郎さんの「峠」のイメージですよ(^^;)
「るろうに剣心」や「究極超人あ~る」でも見ましたが、いずれにせよ小説やマンガの中のしろもので、まさか実戦投入されているとは。しかもロシアのような軍事大国のはずの国で。

アサルトライフルじゃないのかよ、ロシア軍ならAK-47とかじゃないのかよ、って極東のオバサンでもツッコみたくなります。ソ連時代よりお金まわりは良くなったのかと思っていましたが、実際はそうでもなかったのですね。物持ちがいいのは、骨董品でも使い続けなければならない理由があるのでしょう……。

戦争でも事故でも(病気でも)、若い方々が亡くなるのは本当に嫌ですね。
事故や病気と違って、戦争で前線に送る人は選べるのですからせめて老人からにならないですかね……。
#8609[2022/11/07 00:56]  椿  URL 

Re: 椿様COありがとうございます^^

> ガトリング砲って、司馬遼太郎さんの「峠」のイメージですよ(^^;)
> アサルトライフルじゃないのかよ、ロシア軍ならAK-47とかじゃないのかよ、
> 戦争でも事故でも(病気でも)、若い方々が亡くなるのは本当に嫌ですね。

おぉっ!ありました…司馬遼太郎「燃えよ剣」で土方歳三が旧幕府軍を率いて突撃するシーン。
薩長軍のガトリング砲が火を噴いて仲間がバタバタ死んで行き、最期は土方も全身に銃弾を浴びて壮絶な死を遂げる…あれは男の死に様を美しく描いたロマンですよね~♪
でも司馬遼太郎の小説や「るろうに剣心」みたいなアニメの時代劇ならまだしも、近代戦でミサイル撃ちながら骨董品のガトリング砲はギャップが大きすぎてサマになりません。
まったくプーチンのロマンに付き合わされて死んで行くロシアの若者は気の毒そのものですよ。
勲章もらうのは将軍親父ばかりで、最前線で戦って死ぬ肝心の若い子らは消耗品でしかない>_<
#8610[2022/11/07 14:14]  sado jo  URL 

こんにちは

おおまだそんな古い銃を使ってますか。
マカロニウェスタンで派手なアクションシーンでぶっ放してました。
手回しで撃ってたような気が・・・。
もうロシアには武器が枯渇しているんでしょうねえ。
もともと不足気味なのにウクライナにたくさん進呈してますから、戦車も銃も。
最近は兵が逃げるのを許さずなんと督戦隊を組織しているとか。
その督戦隊が逃げると、さらに後ろの督戦隊が攻撃する、マトリョーシカですね。
今日知ったニュースではイランがロシアに渡したドローンの見返りに核兵器情報を要求しているとか。イランことをする。(笑)
「坂の上の雲」を読むと、203高地で乃木の無能さを救ったのは、児玉さんと28サンチ榴弾砲でした。
#8611[2022/11/07 15:50]  エリアンダー  URL 

Re: エリアンダー様COありがとうございます^^

> おおまだそんな古い銃を使ってますか。
> マカロニウェスタンで派手なアクションシーンでぶっ放してました。
> もうロシアには武器が枯渇しているんでしょうねえ。

わっはっは…マカロニウェスタンでも悪名高い「パンチョビラ」の映画に出てきましたよね~
ガトリング砲を知ってる人は意外と多いんですね…手動の回転式機関銃なんて珍しいからかな。
ウクライナではロシア兵が戦車を120万円で売っていると聞きました。ロシアの戦車は中古車より安いんですね~…でも、せっかく買っても日本に持って帰れないのが残念です(笑)
今回の戦争で核があると欧米に攻撃されない事が実証されましたから、北朝鮮もイランも必死に核開発をしようと狙ってます…金に困ったプーチンが技術を売ったら怖いですね~>_<
203高地もそうですが、サイパンや硫黄島でもなぜか日本兵って「万歳突撃」をやりたがるんですよね~…あれは日本人の美学でしょうか?民族性でしょうか?理解に苦しみます。
#8612[2022/11/07 16:41]  sado jo  URL 














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